昨日、NHKの番組【プロフェッショナル 仕事の流儀】
「あきらめなければ、道はひらける~浅川智恵子~」を見ました。
今回は全盲の研究者 浅川智恵子氏。
はっきり言って、すごい・・・の一言でした。
彼女は海外からも注目をされている研究者(IBM)の1人で、
研究内容は、一言でいうとITのバリアフリー。
視覚障害者や高齢者、貧困層など、コンピューターの恩恵に預かれない人たち
(その数10億人以上)の生活を変えると期待されるIT技術の開発です。
彼女は、目の見えない人たちがパソコンの数字のキーを触るだけで、
インターネットの情報を音声で聞けるように開発し、
かつて5人のノーベル賞受賞者も就任した研究職の最高職位フェローに
選ばれています。その名誉は日本人としては唯一彼女1人だけだそうです。
14歳の時に事故で失明してから、51歳に至るまで、
彼女の人生「不屈」の一言に尽きると思いました。
普通高校には進学できず、盲学校へ。そこで英語を勉強し、みるみる上達。
(その英語力は、現在、世界各国の研究者たちと対等に交渉できる位のもの)
ですが、当時は点字しか読めないために、通訳という職業を断念。
「自分に出来ることは何か?」と次に探した先が、
職業訓練学校で学んだコンピューターだったそうです。
そのバイタリティ、前向きさ、諦めない精神・・・
IBMの社内チームは、そうそうたる理系大学を出た優秀な人たち。
その中で、文系の彼女は、最初は話にもついていけず、沈黙するしかなかった日々。
【自分は(全盲のため)できることが限られている】
【でも、だからこそ、ここで出来る仕事をがある】
そう信じて、研究の道を一から勉強、切り開いてこられました。
文系から理系への転向。
ご本人の資質も相当のものをお持ちだったと思いますが、
そうは言っても全盲というハンデを抱えながらの研究。
他の人が難なく読める資料や論文も、点字では膨大な時間と労力がかかってしまう。
それでも読み通す根気と努力。
その姿は「がむしゃらに」とか、「髪を振り乱して」というのではく、
ただひたすらに、黙々とという言葉があっているように見えました。
目指す点に於いて迷いなく突き進む、という感じです。
仕事のできる人に共通していると思われる点があるのですが、
彼(彼女)らは、総じて非常に落ち着いているということです。
感情に左右されないというか、言葉に無駄がないというか。
仕事上の指示も的確で、余計なものがありません。
思考が整理されているというか、発言も論理的で分かりやすい。
私の中ではジャーナリストの江川紹子さんなども同じように見えます。
見習いたい点です。
浅川さんの言葉です。
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「ふと振り返った時に、ああ、自分っていつも大変なほうを選んできたなって
思ってたんです。たとえば、コンピュータの勉強しようと思った時、
もっと他の道もいろいろ考えてたんですね。
結果としてよく分からない方の道を選んだんですけれども、
やっぱり大変だったなって。それをやり切るためにすごく努力したし、
勉強もしました。やると、きっと大変だからやめとこうって思いつつも、
やめなかったんですね。それがよかったのかなって思ってます。
(なぜそうできたかというと、)大変そうだけど、
先が見えないので面白そうだなって思ったんです。
何が次に起きるか見てみたいなっていう、興味があったのかな。
これを乗り越えると、自分にしかできない何かが見つかるかなとか、
そんな感じだったような気がしますね。
なので、選んだあとも常に大変で、よく後悔したこともあります。
そういう意味では、割とチャレンジ精神はあるかもしれないです。
いつもどちらかというと、つらい決断をして、乗り越えるために努力をする。
それで結局どんどん道が開けてきたなというのは、
振り返ると、よかったなという風に思ってます」
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「苦しいと思えるまで突き詰めたら、道は開ける」
とおっしゃってました。これってどの世界にも当てはまる言葉ですね。
■再放送は1月19日(火) 午前0:45~午前1:35(50分)