(3)
日曜日、福岡空港に、よく通った。
飛行機に乗るためでなく、見るためである。
午後2時半ぐらいになると、ハワイからJALの飛行機が飛んでくる。
おそらく、 10時間ほど前には、この機体はハワイにいたのだろうと思うと、何かしらの感慨が胸の中にわき起こる。
遠く空の彼方に、小さな光が見える。
それが形を大きくしながら、段々近づいて来て、やがて、機体が見えて来る。高度を下げながら、滑走路に向かって、いよいよ着地である。
いかにも、重たそうな機体に見える。 400人ぐらいの乗客が乗っているだろうか。貨物も載せているはずだ。
思いっきりたくさん、お土産を詰め込んだスーツケースを、それぞれの乗客が載せていると思うと、よく空中に浮いていると感心してしまう。
ホノルル空港で、国際線の長い滑走路をぎりぎり先まで走って、ようやく離陸する飛行機を、いつも、重たそうだなあと見ていた。
一旦、ホノルルの市内に向けて飛び上がり、すぐに、右旋回を続ける。いつもそうだが、なかなか、高度があがらない。
やがて、Uターンをして、日本の方向に、雲の中に消えていく。
10時間も飛び続けて、ようやく、福岡空港にたどり着いたという感じである。
車輪が、滑走路に接地して、その瞬間、摩擦の煙をあげて、しばらくは、そのまま滑って行く。
走りきったところで、徐行を始める。
無事の帰国であるが、毎度、見ていて、ほっとした気持ちになる。
いつも、この飛行機と共に、ハワイから何かを持ってきてくれるような気がするである。
あの南国のさわやかな風の音か、プリメリアの香りか、潮騒の感触か、過去のノスタルジーか、友達への思いか、何でもいい、凝縮したハワイの思いが、その飛行機と一緒に、やって来るのである。
シュミットさんとは、その時は、再び会う事になるとは思っても見なかった。
福岡空港で別れた時は、おそらく、妹さんが迎えに来ていたのだろう。ちょっと、慌てている様子だったし、トシも、高速バスを気にしたり、慌ただしい瞬間であったのである。
別れ際に、「スイマセーン!名刺を差し上げます!」と、シュミットさんは走ってきた。
「ありがとうございます!お元気で!」とか言って、別れたが、はっきり言って、その時が、最後だろうと思った。
このような別れは、今までにもあったからである。
数か月経って、友人たちに手紙を書いた時、名刺入れに入っていたシュミットさんの名刺が出てきた。
まったく、ついでという感じで、日本語で彼女宛の手紙を書いてしまった。
内容は、憶えていないが、シュミットさんは、お元気ですかとか、トシの近況とか、日本で、最近起った政治の出来事とか、そのようなありきたりのことであっただろう。それを、他の手紙と一緒に投かんした。
すると、すぐに返事がきた。
丁寧に、いかにも、心をこめて書いた文面だった。
「まさか、お手紙をいただけるとは、思っていませんでしたので、感激しております」と書き出しに書いてあった。
おそらく、戦中に教育を受けたのだろう。今では、使われてない漢字が、あちこちで見られた。
学ー學
辺ー邊
絵ー繪
寿ー壽 などである。
シュミットさんは、いつごろ日本を離れたのだろうか。
戦後の激動の中で移り変わって行った日本のことをあまり、ご存知でないのでは、と思う。
飛行機の中で、会話をしていても、そのことが窺われた。
もっぱら、トシに質問をする形で、日本の事を細かく知りたがったのである。
「次に、ハワイに来られる時は、ぜひ教えてください!」と手紙に書かれていた。
10年ほど前に、アメリカ人のご主人を亡くしているようだった。子供さんは、長女と、その下の弟さんの二人がいて、それぞれが、アメリカ本土に住んでいて、お孫さんもいるようだった。
ご主人の定年を待って、ハワイに移り住んで来たようで、ご主人が亡くなったいまは、独りで住んでいるようだ。
このハワイに永住する計画で来たので、他のところに移り住むつもりはない、とのことである。
当然、アメリカ市民権を持っているので、生涯を、この地で過すことは可能である。
時々、妹さんを訪ねて、日本に里帰りするようなので、
「日本に住むお積りは?」と訊いてみると、
「それは、全くありません」とのことだった。
「自分という人間が、アメリカ人になってしまっていて、日本ではとても住めそうにありません。墓参りなどで、帰りますが、数日も滞在すると、ハワイが恋しくなってしまいます」
怖いと、思った事も無いですが、離陸と着陸時に外を見ていて、パイロットって、うまいな~。と感心する事しばしば・・・。
息子は、出来る事なら、一生乗りたくないそうです。(怖いらしい・・)
今回にyamadaさんの文を読ませていただき、ああ本当にハワイをもう一つの故郷として
心に抱いておられるんだな~と暖かい気持ちにさせてもらいました。(何故なんでしょうね)
文章が、良かったんでしょうね。(お世辞ではないですよ。私はお世辞が言えない人間なんです)
暖かくて、花の甘い香りが漂ってくるハワイに住んだら、長生き出来るかも・・・。
人生の縮図を見ているような気になって(大袈裟かな?)
人混みの雑踏の中にボゥ~と醒めた目で自分を見つめていた青春時代がありました。
友人がC.A(昔はスチュワーデス)だったので飛行機には馴染みがあります。
CAやパイロットの訓練話など聞くと大変さを痛感しました。
シュミットさんの腰の具合はどうなのでしょうね?
ハワイで、最初に住んだ家は、ボロい家でした。
冬の時期、朝方、よく雨が降りました。日中暖められた空気が、夜の間に冷やされて、夜中を過ぎるころから、それが雨になるようでした。
屋根を伝わって、下に落ちる時、ポトッ!ポトッ!と音がして、それで、目を覚ましていました。
雨が降ると、その時のことを思い出して、郷愁を感じてしまいます。
大勢の人にまぎれて、その中で起こる、さまざまな物語は、映画のテーマになりやすいのでしょうか。
何か、人生や世の中の縮図を見るような気がします。
ほっとひと息さんも、心で、そのようなドラマを見ているのでしょうか?
キャビンアテンダントの仕事は、外から見ると華やかですが、相当に肉体労働のようですね!
お土産 その他たくさん買い込み 空港で重さを量った時
えーっ?大丈夫かな・・・なんて思うこともありました。
多くの人がそうだとしたら 重くて飛び上がれない(;´・ω・)・・と飛行機は訴えているのかもしれませんね。
ハワイに降りて一番に思ったこと・・あっ!ハワイの香りがする・・・・
独特の香りがありますね。
また行ってみたいです!
よく、寒い国の人たち、カナダとか、ミネソタ、ウイスコンシンなどから来た人たちに会いますが、この人たちは、食事を作ったり、教会に行ったり、本を読んだりしながら、ハワイの日常を楽しんでいる雰囲気ですね!