Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

秋霜の山

2015-10-16 | 風景

 

北海道に雪をもたらす寒気が南下してくる。

その影響は遠く四国の山並みにも及ぼす。

ぐっと冷え込んだ朝、クラセノ頭(一の森)山頂の気温は0℃だった。

日蔭には、薄く霜が降りていた。

それにしても何もない朝だ。

雲ひとつないピーカンの朝、「何しに山へ来たのだろう?」

キリリと冷え込んだ朝の透明な空気感の中、清澄な風景とは裏腹に気分は落ち込んでいる。

それでも光と影のコントラストを求めて視線を彷徨わせる写真ヤの性(さが)が哀しい。

凡庸な風景の中にも、何らかの美の瞬間はある(笑)

 

静かな秋の森や山に籠っていると隠者の気分になる。

「夜戦と永遠」の佐々木中は、既成の秩序や道徳を単に否定しても意味がない。

「幻想を破壊すれば、ただちに真理が創造される、ということにはならない。

それどころか新たな無知の断片を産み、われわれの虚空を広げ、われわれの砂漠を広げる」

とニーチェの言葉を引きながら、

虚空を通り抜けた新しい余白に新たな始まりを刻むように、新たに広がる世界を創り出す。

意味とは創り出すもの、根拠でも、理性でも、道徳でも、掟でも、

われわれは、それを新たに創り出さなくてはならない。

「ポスト資本主義」の広井良典は、人類が歴史上繰り返した、「拡大と成長」と「定常化」の波は、

今それは、第三の定常化に向かおうとしている。

その時、同時多発的に「意識のビックバン」が、過去二度の定常化への移行期に起こっている。

中国に儒教、インドに仏教、中東の砂漠にキリスト教やイスラームの原型であるユダヤ教が、

世界宗教は定常化への移行期に同時多発的に発生したらしい。

この不穏な時代に、何か新たな胎動が生じそうな予感?

 


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10 コメント

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こんばんは (misa)
2015-10-16 19:04:17
雲ひとつないピーカンの朝、「何しに山へ来たのだろう?」
思わず、「有るある」って手を合わせました
それでも光と影のコントラストを求めて視線を彷徨わせる写真ヤの性(さが)が哀しい。
凡庸な風景の中にも、何らかの美の瞬間はある(笑)

そう、何でも写真になるんです
見るところが違うから面白い
皆がみんな同じ写真を撮ってもつまらない
ってよく言われました
真似するなら上を行く真似をやれとも・・・

FBを始めて写真が雑になっていた事に気づき
只今軌道修正をしているところ
急性腸炎を夜勤中に起こし自力で何とか切り抜けました
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思いを残さないために (ランスケ)
2015-10-16 23:42:19
何かに追われるように、最後の時間を慈しむように秋の山へ通っています。

目的意識や切迫感がないと向上心は生まれないと思います。
年齢と残された時間を考えると、自ずと回答は出て来ます。
今年の冬が最後かもしれないという思いで入山計画を思案しています。
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集合的無意識 (あさぎまだら)
2015-10-17 07:14:22
いわゆるユング゛の
集合的無意識
これからの時代
何が始まるのでしょうね

梶田氏のニュートリノの質量発見
重さを与えるヒッグス粒子、の標準理論の見直し

般若心経の色即是空空即是色
般若心経は素粒子理論とか思ってしまいますね


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深まる秋の中で (ランスケ)
2015-10-17 10:00:59
さすが先達さん、よく本を読んでいますね。
ユングの集団的無意識に当て嵌めると、同時多発的な意識のビックバンも理解できますよね。
以下にユング心理学サイトの解説を貼っておきます。

http://www.j-phyco.com/category1/entry5.html

仏教哲学と量子論との近似性は、多くの人が指摘しています。
あさぎまだらさんとお山で会った時も、この話になりましたね(笑)
そうなんですよね。
般若心経の色即是空空即是色の本当の意味を知った時は愕然としました。

http://nhikaru.blog.so-net.ne.jp/2009-01-04-2

山に入って、目の前に広がる自然の移ろいを、ずっとカメラ越しに見つめていると、
近代合理主義よりも仏教哲学や、それに道教やアニミズム的な神道を習合した山岳信仰へ親和性を深めてゆきます。

季節が、ゆっくりと深まってゆく秋の山や森で本を読んでいると、
いつもより、すっと頭の中に入ってゆくように思えます。
余計なものが一切ない世界ですから(笑)
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沢詰め (鬼城)
2015-10-18 08:40:20
秋と聞けば、石鎚の沢詰めを思い出します。北、中、蔵谷・・・白骨林、良いですね。なぜか木々が茂っていた昔に思いははせます。山岳信仰とつなげるとは・・・まさにランスケさんの山に対する愛情と畏敬の念を感じます。満天の星空、すばらしい・・・山に行くことも出来ない状態で感謝感謝です。
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石鎚山系の白骨林 (ランスケ)
2015-10-18 10:38:37
安定した高気圧が張り出し、ずっと気持ちのいい秋晴れの日々が続いています。
行楽には絶好の日和ですね。
でも写真としては、何も気象変化が望めないので雨待ちの待機状態です。

畦地梅太郎の版画に代表される石鎚山系の白骨林の風景です。
残念ながら、あの当時の白骨樹は風化して枝が落ち電信柱のような棒になってしまいました。
瓶ヶ森も堂ヶ森稜線の白骨林も、ほとんどが棒状態です。
ロケーションのいい場所で形の良い枝を四方に伸ばした白骨林を探すのが大変です。
冒頭の写真は、胸まである笹薮を掻き分けて、やっと辿りついた穴場です。
秋はマダニの活動期なので、藪漕ぎから山小屋へ戻って、衣服や身体の総点検でした(笑)

今年は秋から冬にかけて、久しぶりに頑張ってみようと思っています。
ずっと山に対するモチベーションが上がらない状態でしたからね。
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再度コメント (鬼城)
2015-10-22 07:23:40
石鎚のトイレの寄付金盗難、西条側で道に迷い遭難、今日は皿が峰で滑落・・・山の事件が後を絶ちません。すばらしい山、手軽と言っても危険があります。ましてや人の善意を踏みにじる行為は赦されない。
さわやかな季節、楽しい山行・・・残念ながら悪いニュースで残念です。
このこととは裏腹にランスケさん、モチベーションが上がったようですので冬山のすばらしい写眞期待しています。
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ミネルヴァの梟は? (ランスケ)
2015-10-22 09:46:38
石鎚山の二の鎖下、チップ制バイオトイレで盗難ですか。

http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20151021/news20151021857.html

ちょっと考えられないような事件ですね。
車で行ける登山口に停めた車の盗難事件は、南アの広河原などでよく聞きましたが、
1800mの標高まで登ってバイオトイレの料金箱の鍵を壊してお金を盗る?
確かチップは100円だから、ほとんど100円玉ですよ。
数万円入っていたってことは、相当重いですよ(笑)
う~ん、神さんの山で天罰が怖くないのかしら?

コンプライアンス(法令順守)は、もう企業も国も、やりたい放題ですから。
その行為は、自分自身にとって恥ずかしくないのか?
それを常に問いかけ続けなければいけませんね。

最近、哲学書にハマっています。
人が長い歴史の中で築き上げてきた叡智は素晴らしいです。
答えは、それぞれ自分自身で見つけてゆくしかないと思っています。

ミネルヴァの梟は、静かな山小屋の黄昏に羽ばたくようです(笑)
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思考停止 (ランスケ)
2015-10-24 19:35:10
先日の渋谷、丸善ジュンク堂のSEALs関連書籍フェアへのネトウヨ炎上事件を受けてのツイートです。
教育現場への異常な自民党の介入と云い、
もう日本の大人は自分の頭で真面に判断できなくなってしまったのでしょうか?

想田和弘 @KazuhiroSoda

誰かの表現や言論を「偏ってる」と言うのはいいけど、そう批判する人の表現や言論だって
絶対に偏っているんだからさ。
偏ってない人間なんて、この世にいないんですよ。
だけどそういうそれぞれの偏りが許容されること。
それが言論の自由であり、民主社会でしょう。
「公正中立」なんて幻想なんだから。

改めてはっきり申し上げておきますけど、
安倍政権絶賛のコーナーを書店主がつくりたいなら、どんどんやればいいと思いますよ。
それは表現の自由の範囲内の行為です。
なぜなら誰の権利も侵害しないから。
同様に、安倍政権批判のコーナも自由に作られてしかるべき。
それが民主社会の基本中の基本。
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黒板アート (ランスケ)
2015-10-25 14:13:43
毎日、お天気が良すぎて煮詰まっていました(汗)
ピーカンだと山の写真は面白くないので。

この「黒板アート」のパフォーマンスは久しぶりのヒット。
作品の完成度の高さと、それがあっと云う間に消えてしまう儚さが切なさをそそります。
メイキングも合わせて観ると尚更。

http://whats.be/126411
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