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【200】ピンカートンというブランド・戦争責任

 弱小ブランド【114】であったピンカートンは、勢い戦争に踏み切ったものの、情勢が悪化しはじめるとあっさり探偵社に鞍替えし、爆発で飛散した体の欠片の遡行調査を請け負うようになった。探偵たちは瓦礫をかき分けながら、おびただしい数の指、手足、頭、臓器、靴、心珠などを瓦礫の中から拾い上げては個別に分類していった。足跡【42】を分析にかけてプロファイルを作成すると、これまでの行為や性格にふさわしいと思われる各部位を選択者がより集め(主観に左右されないよう、犯罪人体測定学【119】を確立した)、接骨師が解剖医学事典【351】に照らし合わさせながらつなぎ合わせていく。足りない臓器は、独自に管理する臓器林【108】で調達し、最後に心珠【174】を埋め込む。元通りに復元することは重要ではなかった。このため復員兵の多くが、欠損した体を取り戻せなくなった。
探偵社の病室に安置された復元者の半数が、全身を包帯に巻かれたまま抜け出し、戦場へと戻っていった。彼女たちは激戦の中に散っていった【204】。解雇通知は未だリッター元帥【194】の手元にあった。どのみち一通しか用意されていなかった。

リンク元
【199】蝶々夫人たち【194】リッター元帥

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