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【324】スワローさんという街娼

 熟まれながらのモデル【114】である彼女は、シワやたるみのない美しい容貌になるまでの困窮した老年生活に耐えきれず、住み込みで働きだした試着室の中で、やりてばばあとして街娼たちの商売に手を貸してしまった。このことが所属事務所にばれるやいなや質入れ【135】され、自らの身請けのために警察【197】手入れ【329】に怯えながら街で客をとるはめになったのだ。彼女が〈靴のウッシェンバッハ【323】〉に行ったのは、四度の出産を経てようやく身につけた美しさ【113】を馴染ませようと、靴を仕立て直してもらうためである。だがそこに立っていたウッシェンバッハは、彼女が妊娠【202】して自らの血肉にする予定の息子だった。靴屋【46】はかかとの磨り減り具合からでも、あらゆることを読み取るという。スワローさんの心臓が――

 

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【321】鵜

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