異視点

世の中のなぜ?人生のなぜ?宇宙のなぜ?を垣間見ましょう!

物語12.『多次元世界にあるライフシアター』

2011-11-02 11:00:00 | 物語:『多次元世界にあるライフシアター』
前回からのつづき



では三嶋さん、さっそくですが
こちらの世界に来た以上、天国と地獄というのが大きく分かれてございます。
 だいたいおわかりかと思いますが。

 お迎えの方がお見えですので」

シニア 夫婦 おばあちゃん  - イラスト素材(c) makaron*イラスト素材 PIXTA


すると、係員の少し右斜め後方に2人の姿が見えた

「ひさしぶりねぇ」
「やあ、お帰り」
亡くなったお爺ちゃんとお婆ちゃんだ!


「最後はすこし大変だったね。
 でももう大丈夫だから」
「とにかくお疲れさん
 さあ、行こうか」



「おばあちゃんそして、おじいちゃん」
懐かしさが込み上げる。そうか、こっちの世界に存在してるわけだ!
幾分若返ったように見えるが気のせいだろうか・・・

俺は、二人に促され、歩き始める







しかし・・・
加藤と佐野はどうなったんだ?

「すみません、私の20番くらい前にここを通った加藤と佐野というカップルは
 どうなりましたか?」
俺は再び係員の方を振り返りそう尋ねた



「ああ、さきほどの加藤さんそれに佐野さんは、えーと、
 あちら側ですねぇ」
と言って係員の男性はその右の手の指を地面の方に向けた


あちら側、
下の方、
つまり地獄か?
助けなきゃ!そう感じた
また、おせっかいな性格がもたげる
俺を鼓舞するように胸のあたりで“どんどん”と和太鼓の音色が振動し始める
「すみません、その世界はどうやったら行けるのですか?」



「そこの出口Cというところから行けますが、
 三嶋さん、あなたにはまだ無理です。
 こちらの世界のお勉強をしっかり積んで
 法則に通じてこなければ、救出なんてことはとうてい
 適いませんよ」



「でも・・・」



「うどん屋刃千餅のときみたいになりますよ、また」



「は? 刃千餅?」



「ベレー帽をかぶった初老の紳士が助けに行きませんでした?
危ないところでしたよ」



「えっ、あそこって地獄だったの」
俺には咄嗟に“猫男・田中”の顔が思い浮かんだ

黒猫 - イラスト素材(c) FUTOイラスト素材 PIXTA

「いや、地獄と言うか、まあ、
我々の今回の仕事を邪魔だてしょうとする連中のたくらみで・・・
は、いや、なんでもありません・・・」



「総、おまえの気持ちは尊いことだが、もう少し、 
 時を待たねばね」おじいちゃんが言った。



「・・・
 ごめんなさい、俺
 あの二人に助けてもらったんです。
 あの最後の、あの壮絶な場面で
 そんな二人を見捨てられない、どうしても
 ごめんなさい
 必ずもどります」
そう叫んで俺は、C出口の扉に体当たりした。そうラグビー選手を彷彿とさせるように、

ズッコーン!

鋼鉄製の重い扉が口を開いた
スローモーションのように次の世界になだれ込む俺
そこで次なる世界で最初に見たものは・・・


つづく


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