前回からのつづき
おばあちゃんが続ける。
「食べなくても、おなかが減ってしかたがないということもないのよ。
つまりね総、食べなくても生きていけるんだけど、
そうね、生活に潤いがほしいから食事をしたり、デザートを食べたり、
ときにはお酒を飲んだりするの」
「働かなくても食っていけるというわけだ。
だったら、家でごろごろしてたらいいのに」
俺は、働きづめに働き続けてきた生前の生活から抜けられる安心感を感じ始めていた
「ここへ来て最初はね、そういう感じよね。
散歩したり、読書したり、テレビを見たり。
でもね、飽きてくるのよ、しだいに。
それで、何かしたくなる。
たぶん、人間に備わっているのよ最初から、何か人の役に立ちたいという気持ちが」
「人間にはあらかじめ何か人の役に立って生きたいという性質が備わっている」
その言葉になんともいえない感動を覚えた。
「いいね、この世界は。。。
ところで、永遠にこの世界に居られるわけ我々は?
生まれ変わりみたいなのあるわけ?
それから、えっと、そもそも生まれる前の状態ってどんなふうになっているの?」
俺は矢継ぎ早に質問をぶつけていた。
「うん、ずっとこの世界に居るというわけにはいかないらしいんだ。
やがてはこの世界の寿命が尽きるらしい。
それから、生まれ変わりについてはだな、えっと・・・
詳しくはようわからん。なんとなく記憶はあるが・・・」
おじいちゃんにもわからないことがあるらしい。
「総は好奇心旺盛ね。
今日は、お祭りの日だから、神社へいってごらん
お祭りの日には、神さまがお来しになられる。
神社でお問いかけをしてくるといい」
“お問いかけ!?”
どんな儀式か知らないが、
とにかく俺は、この天界で催されるというお祭りに興味を持った
早く夜にならないかしら
まるで子供のようにはしゃいでいる自分がいた
(c) har.s|イラスト素材 PIXTA
・・・・・・・・
第七章 天界のお祭り
俺はおばあちゃんに教えられたとおり、東の方角へと続く白っぽい砂利道を踏みしめながら神社へと向かっていた。
笛や太鼓の音色が聞こえる。そう日本古来からのお祭りの音楽だ。向こう側に提灯の明かりが連なっている。
神社の参道は大勢の人で賑わっていた。たくさんの出店もある。ただ、
出店を催しているのは、テキ屋さんではないようだが。
木で積み上げた高台の上で太鼓を力強く叩く男性が見える。
その周りを輪になって踊っている姿を俺は、なんともいえない郷愁を感じながら見とれていた。
この橙(だいだい)色に輝くお祭りの風景に離れがたい感じを覚えていた。
「さてと」両手で膝をパンと打ち、神社の本殿へと向かうとするか。
「本殿はどこにありますか?」
桃色の浴衣を着た美しい女性にそう尋ねると、彼女の指した先には、
「あれが本殿か!
変わってるな」
30mから50mくらいはあるタワーのてっ辺に存在するいかにも宮大工が建築したような本殿。
直径1mくらいの丸い柱が上空へと50mくらい伸びており、
そこの頂上に本殿があるわけだが、そのまあるい柱の周りをらせん状の階段が上へと続いている。
「ドラゴンボールでこんなのがあったな」
少しやれやれと思いながら、その急旋回する螺旋階段を俺は上がり始めた。
25mくらいは上がってきただろうか。すぐ横に薄い雲がたなびいている。
お香のようないい香りもする
“本当に神様が居るんじゃないかしら”
そんな気がするほど、神妙な気配があたりに漂い始めた
(c) ツネオMP|イラスト素材 PIXTA
ついに頂上にたどり着いた。
本殿は、横幅が20mほど、高さが5mくらいで
中に入ると真ん中に階段が7段ほどあり、
そこを上がると、薄い膜のようなものがかかっているが、透き通って中の様子が見える。
やはり、奥の間の中央には台座にしっかりと乗せられている大きな鏡がしつらえてある
誰も居ないようだが・・・
つづく
おばあちゃんが続ける。
「食べなくても、おなかが減ってしかたがないということもないのよ。
つまりね総、食べなくても生きていけるんだけど、
そうね、生活に潤いがほしいから食事をしたり、デザートを食べたり、
ときにはお酒を飲んだりするの」
「働かなくても食っていけるというわけだ。
だったら、家でごろごろしてたらいいのに」
俺は、働きづめに働き続けてきた生前の生活から抜けられる安心感を感じ始めていた
「ここへ来て最初はね、そういう感じよね。
散歩したり、読書したり、テレビを見たり。
でもね、飽きてくるのよ、しだいに。
それで、何かしたくなる。
たぶん、人間に備わっているのよ最初から、何か人の役に立ちたいという気持ちが」
「人間にはあらかじめ何か人の役に立って生きたいという性質が備わっている」
その言葉になんともいえない感動を覚えた。
「いいね、この世界は。。。
ところで、永遠にこの世界に居られるわけ我々は?
生まれ変わりみたいなのあるわけ?
それから、えっと、そもそも生まれる前の状態ってどんなふうになっているの?」
俺は矢継ぎ早に質問をぶつけていた。
「うん、ずっとこの世界に居るというわけにはいかないらしいんだ。
やがてはこの世界の寿命が尽きるらしい。
それから、生まれ変わりについてはだな、えっと・・・
詳しくはようわからん。なんとなく記憶はあるが・・・」
おじいちゃんにもわからないことがあるらしい。
「総は好奇心旺盛ね。
今日は、お祭りの日だから、神社へいってごらん
お祭りの日には、神さまがお来しになられる。
神社でお問いかけをしてくるといい」
“お問いかけ!?”
どんな儀式か知らないが、
とにかく俺は、この天界で催されるというお祭りに興味を持った
早く夜にならないかしら
まるで子供のようにはしゃいでいる自分がいた
(c) har.s|イラスト素材 PIXTA
・・・・・・・・
第七章 天界のお祭り
俺はおばあちゃんに教えられたとおり、東の方角へと続く白っぽい砂利道を踏みしめながら神社へと向かっていた。
笛や太鼓の音色が聞こえる。そう日本古来からのお祭りの音楽だ。向こう側に提灯の明かりが連なっている。
神社の参道は大勢の人で賑わっていた。たくさんの出店もある。ただ、
出店を催しているのは、テキ屋さんではないようだが。
木で積み上げた高台の上で太鼓を力強く叩く男性が見える。
その周りを輪になって踊っている姿を俺は、なんともいえない郷愁を感じながら見とれていた。
この橙(だいだい)色に輝くお祭りの風景に離れがたい感じを覚えていた。
「さてと」両手で膝をパンと打ち、神社の本殿へと向かうとするか。
「本殿はどこにありますか?」
桃色の浴衣を着た美しい女性にそう尋ねると、彼女の指した先には、
「あれが本殿か!
変わってるな」
30mから50mくらいはあるタワーのてっ辺に存在するいかにも宮大工が建築したような本殿。
直径1mくらいの丸い柱が上空へと50mくらい伸びており、
そこの頂上に本殿があるわけだが、そのまあるい柱の周りをらせん状の階段が上へと続いている。
「ドラゴンボールでこんなのがあったな」
少しやれやれと思いながら、その急旋回する螺旋階段を俺は上がり始めた。
25mくらいは上がってきただろうか。すぐ横に薄い雲がたなびいている。
お香のようないい香りもする
“本当に神様が居るんじゃないかしら”
そんな気がするほど、神妙な気配があたりに漂い始めた
(c) ツネオMP|イラスト素材 PIXTA
ついに頂上にたどり着いた。
本殿は、横幅が20mほど、高さが5mくらいで
中に入ると真ん中に階段が7段ほどあり、
そこを上がると、薄い膜のようなものがかかっているが、透き通って中の様子が見える。
やはり、奥の間の中央には台座にしっかりと乗せられている大きな鏡がしつらえてある
誰も居ないようだが・・・
つづく