ザ・フー Daddy Rollin’ Stone http://www.youtube.com/watch?v=UgbrSe6lXtk
1966年のテレビ番組で、ザ・フーが演奏している曲 Daddy Rollin‘ Stone は、オーティス・ブラックウェルの曲だ。
ロカビリー(ロックンロール)は、カントリー&ウエスタンから発展した音楽で、ブルーズやリズム&ブルースなどアフロ・アメリカンの音楽に強く影響されて成立した。と、わたしは書いた。実際、ロカビリーの名曲のかずかずを書いたのは、アフロ・アメリカンのソングライター、つまり黒人の作曲家だ。
その黒人の偉大なソングライターのひとりが、オーティス・ブラックウェルなのだ。きのう紹介したエルビス・プレスリーの大ヒット曲「冷たくしないで Don't Be Cruel 」も、オーティス・ブラックウェルの作品だ。
オーティス・ブラックウェルは、1932年、ニューヨークで生まれた。子供ころからピアノを習っていて、リズム&ブルースとカントリー&ウエスタンが好きだったという。十代のときから曲をつくっていたので、エンターテインメントに関わりたいと思っていた。それで、最初についた職業は、ニューヨーク劇場の床磨きで、つぎに洗濯室のプレス係に昇進したという。
1952年、ニューヨーク・ハーレムのアポロ劇場のタレント・コンクールに優勝する。そうして、最初にレコーディングした自作の曲が、ザ・フーがカバーしていた Daddy Rollin' Stone なのだ。
オーティス・ブラックウェル Daddy Rollin' Stone http://www.youtube.com/watch?v=JVuVEC2TCAQ&feature=related
オーティス・ブラックウェル自身のレコードはヒットしなかったが、ジャマイカのデレイク・マーチンがカバーしてヒットした。それをイギリスのモッズのバンド、ザ・フーがカバーしたのだ。
デレイク・マーチン Daddy Rollin' Stone http://www.youtube.com/watch?v=TL1Ebx-sg_E
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ペギー・リーが歌って大ヒットした「フィヴァー Fever 」は、いまもビヨンセなどが歌うスタンダードだが、この曲も、オーティス・ブラックウェルの曲だ。
ペギー・リー Fever http://www.youtube.com/watch?v=JGb5IweiYG8
ビヨンセ Fever http://www.youtube.com/watch?v=VpZT_tG8HnI&feature=related
1955年のクリスマスの前、貧しいソングライターだった、若きオーティス・ブラックウェルは、自作の6曲を音楽出版社に売る。1曲25ドルだったという。その6曲のなかに、エルビス・プレスリーで大ヒットする「冷たくしないで Don't Be Cruel 」も、ペギー・リーのヒット曲「フィーヴァー Fever 」もはいっていたという。
「フィーヴァー」は、黒人シンガーのリトル・ウイリー・ジョンのために依頼されて、オーティス・ブラックウェルが書いた曲だ。リトル・ウイリー・ジョンのオリジナル・バージョンは、黒人マーケット(レイス・レコードとして)だけで売られ、全米的な成功はなかった。しかし、白人ジャズ・シンガーのペギー・リーのカバーが世界的にヒットして、いまも演奏されるスタンダードになった。
リトル・ウイリー・ジョン Fever http://www.youtube.com/watch?v=nr8XOuesG3s&feature=related