政権枠組み問う 沖縄県内政局を左右 衆院選、戦いのポイント
衆院選沖縄選挙区の政党間協力
30日投開票の衆院選は、18日に公示される。
県内では、米軍普天間飛行場の辺野古移設をはじめとする米軍再編の負担軽減の在り方や、全国一高い失業率の改善に向けた経済・雇用対策などが争点となる。
自公連立政権の継続か、民主を中心とした政権への交代か、次の政権枠組みを問う選挙となり、各陣営とも無党派層の対策に力を入れる。
自公と反自公の対決を軸に選挙協力が展開されるが、選挙区によっては競合やねじれもみられる。
選挙戦突入を前に、各選挙区の戦いのポイントをまとめた。
<1区>鍵握る無党派層の動向
沖縄1区は、国民新前職の下地幹郎(48)に、自民新人の国場幸之助(36)、共産新人の外間久子(71)が挑む構図。
幸福実現新人の平良成輝(40)を含め、4人が立候補を予定する。
県都・那覇市を中心とした選挙区で、選挙結果は来年の参院選や、県知事選など今後の県内政局に大きく影響する。
都市部の傾向として、特定の支持政党を持たない有権者が多いのも特徴。
政権選択が焦点となる中で、無党派層の選挙行動や投票率が鍵を握る。
これまで、公明公認を自民が推薦する形で自公協力の象徴とされてきた1区だが、前回選挙では反自公の旗を掲げた下地が当選し、自公の牙城を崩した。
衆院選の前哨戦に位置付けられた7月の那覇市議選では、自公が安定多数を維持。
自公対反自公の争いが先鋭化している。
下地は、国民新に所属して初めての選挙。
民主との選挙協力が無党派対策の鍵を握る。
国場は、13年ぶりの1区での自民公認。
経済界を引き締め、比例とのバーター協力で公明が支援する。
外間は、唯一の革新をアピール。
共産は沖縄選挙区の擁立を1区に絞った。
社大が推薦する。
社民は推薦決定を見送り、自由投票としている。
<2区>前職同士の「一騎打ち」
県内の主要な米軍基地を抱える沖縄2区。
社民の照屋寛徳(64)、自民の安次富修(53)の前職2人が事実上の一騎打ちを繰り広げる。
最大の争点は普天間基地の移設問題。
無条件返還を求め名護市辺野古への移設に反対する照屋と、日米合意に従ってスケジュール通りの移設を推進する安次富とで態度の違いが明確だ。
幸福実現新人の富川昇(65)も立候補する。
選挙区内の8市町村のうち浦添市、嘉手納町を除く6市町村の首長が革新系。
革新地盤で知名度を誇る照屋は民主の推薦を受け「反自公」「政権交代」を掲げて選挙戦を進める。
対する安次富は党沖縄振興委員会事務局長などで国とのパイプ役を務めた実績と実行力をアピール。
公明との選挙協力で保守層を中心に浸透する。
基地返還後の跡地利用で照屋は「普天間跡地の幹線道路整備で渋滞を解消し、経済効率性を高める」と将来像を示し、安次富は「牧港補給地区跡地の大規模ハブ港湾化などで雇用を創出する」とビジョンを語った。
<3区>分裂、競合で争奪戦過熱
自公、反自公ともに候補者の一本化が不調に終わり、混戦模様の沖縄3区。
自民前職の嘉数知賢(68)、民主新人の玉城デニー(49)、社民新人の新川秀清(72)、無所属新人の小渡亨(57)の4人が乱立し、「保守分裂・野党競合」の情勢だ。
幸福実現新人の金城竜郎(45)も立候補を予定する。
米軍普天間飛行場の移設予定地の名護市辺野古を選挙区に抱え、県内移設の是非が最大の争点だ。
加えて、地域医療の課題や北部振興の手法、今後の東部海浜開発事業の方向性など、地域課題も山積する。
与党側は、5期目に挑む嘉数に対し、候補者擁立で現職優先とする党方針に小渡が反発。
県連は嘉数への一本化で説得を試みたが、小渡は自民を離党して無所属での出馬を表明した。
嘉数は公明との選挙協力を確認し、支持基盤の業界団体を引き締める。
小渡は保守系の市町村議員の賛同を集めて対抗する。
野党側は、中央で民主と社民は共闘を組む関係だが、一本化は決裂。
前回衆院選も民主と社民で票を食い合う形で共倒れとなっただけに、両陣営は反自公票だけでなく、自公の支持基盤の切り崩しにも躍起だ。
国民新は玉城を推薦。
社大は両者に推薦を出す。
候補者擁立を見送った共産票の行方が焦点だ。
<4区>実績、追い風の対決構図
本島南部、宮古、八重山を抱える沖縄4区は、自衛隊の先島配備や農業振興、離島振興などが主な争点だ。
自民前職の西銘恒三郎(55)に、民主新人の瑞慶覧長敏(50)が挑む事実上の一騎打ちとなっており、政権を懸けて争う自民対民主の対決構図と重なる。
幸福実現新人の富川満也(34)も出馬を予定する。
自衛隊配備について、西銘が前向きに検討、瑞慶覧は反対の立場を示している。
農業振興は、西銘が基盤整備や農商工連携による活性化、瑞慶覧が戸別所得補償制度による農家保護を訴える。
西銘は過去2回の衆院選で次点に2万7千票以上の大差をつけているが、今回は「民主の風」で地盤に揺らぎも。
与党の実績をアピールし支持固めに懸命だ。
瑞慶覧は、与党の支持層も取り込むものの、政治家の経験がないため知名度の浸透が課題だ。
民主への追い風がどこまで選挙区の得票につながるかが焦点。
両候補とも政権を巡る激しい舌戦も展開する。
自民と民主の直接対決だけに、有権者がどのような判断を下すかに注目が集まる。
衆院選:立候補者は1374人に 届け出締め切る
第45回衆院選の立候補の届け出は18日午後5時に締め切られ、立候補者数は小選挙区1139人、比例代表235人(重複立候補者を除く)の計1374人で確定した。
小選挙区比例代表並立制が導入された96年衆院選以降、最少だった前回05年の1131人を大きく上回り、小選挙区の競争率は3.8倍(前回3.3倍)に上がった。
女性立候補は過去最多229人 民主は増大、自民横ばい
今回の衆院選に立候補した女性は計229人で、候補者全体の16・7%。中選挙区制時代を通じて人数、比率とも過去最高となった。
民主党が前回より22人増え46人。
対する自民党は横ばいで、前回より1人増の27人だった。
衆院選が公示 候補者が支持者を前に第一声
衆院選は18日公示され、同日正午現在、県内4選挙区の候補者15人が届け出を済ませ、12日間の選挙戦が始まった。
各候補は街頭で大勢の支持者を前に第1声を発し、強力な支援を呼び掛けた。
この後、選挙カーに乗り、目抜き通りで街頭演説をするなど選挙区内を駆け回った。
県内は30日の投開票日まで選挙戦一色に包まれる。
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