暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

黙殺

2010-03-17 | 心から
声が聞こえなくなった
体の軋む音も

蛾は決して人にはなれないように
人も決して蛾にはなれない

だけれど望んでいた
だけれどもう忘れてしまった

そんな気がしているだけと
片隅のがらくたがわめいている

果たして聞こえるはずはない
百合恵は瓦礫の下にいる

見えないということ

2010-03-09 | -2010
見えないということ
それは:存在しないということ
:存在されないということ
たとえばあなたやわたしの中に
小石は記憶に刻まれないということ

見えないということ
それは:時には見ようとしていないと
誰かに言われてしまうこと
けれど見ようとしていないことと
見えないということは同じこと

見えないということ
それは:否定しているということ
:打ち消されているということ
何かが見えないことよりも
真っ暗な世界のほうが肯定されるということ

見えないということ
あなたにわたしは見えないということ
わたしにあなたの
知らないところは見えないということ
それは見ようとしていないという過程を経て
結局はただ見えないことだけが残る
わたしにとってあなたの見える部分
それ以外はすべて
見えてはいない小石と同じということ
そして見えないということは
決して見えることはないということ
もし見せることができたとしても
わたしの中にむなしい小石が転がるだけ