暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

くだらねえな

2016-04-21 | つめたい
貴方の利己心で
いったい誰が笑うというの

振り回すだけ振り回した
あとにはバターも残らないのに

都合よく返事を期待するのね
黙っていろと仄めかしておいて

それでも愛すると言えるほど
大人でもないし子供でもない

盲目的なのは貴方だけ
世界は多様な人からなる

くだらない、くだらない利己心が
このはらわたを焼いていく

去ろうとしたそのはしから
振り返る背中になんて

誰が声をかけると言うの
臆病者のいくじなし

早めの五月病

2016-04-21 | 暗い
願いを込めてイヤホンを差す
乱立するビルが
溶けていくようにと
実際に溶けていくように感ぜられるのは
わたしの鼓膜、
脳髄の奥底
いやになまぐさい鼻水をすする
(いまもふいに途切れて逃してしまった
 ことばの残滓を見つけかねている)
(視界はもはやずいぶんと
 ぼやけて見えなくなってしまった)

自慰的交友関係

2016-04-19 | 心から
私はあなたに縛られているけれど
あなたは好きなように振る舞っている

時折憎いとさえ思うのに
現状維持を選択しては
綻んだ布を裂くように
じわじわ開く溝を眺めている

結局は
結局は己の保身のため

私が苦しいと感じたとき
あなたは何をしただろうか
矛盾に私は怒りをおぼえ
怒りはあなたに伝播する

いずれ決壊するのが目に見えて
それでも私は縛られたがる

私は、私は
何にこれをぶつければいいの

幻臭

2016-04-09 | 明るい
濡れそぼった
血の臭い

冷えた肌に
ぬるい感触

指先はしびれ
視界は昏い

かつて投げやった
わたしをつくった細胞たち
穴の空いた痕跡からは
まぼろしの血潮がわきでてくる

なつかしさに目をほそめ
引き攣れたままの皮膚をなぞる
甘美なまぼろしに舌なめずりをして
フラッシュバックにたっぷり浸る

開いたままの
脂肪層

拭いても拭いても
血に汚れ

濡れそぼった臭いに
目を覚ます

本質は何一つ変わりなく
皮膚は相も変わらず冷えたまま
なぞればなぞるだけ死に近づく
死んでいくことなどできないくせに

幼いわたしが頬杖をついて
白く浮いたケロイドを見やる
まだ生きているのかという問いに
目を細めるのはいまのわたし
濡れそぼった血の臭い
熱い飛沫はすぐにぬるみ
1層2層と分離して、
それがいまのわたしたちのようだ
お望みどおりに生きている
恥を晒して、
浅ましくも

こびりついた茶色の錆
まだ生きているようだ、
分離と廃棄を繰り返しながら