暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

2008-06-29 | 心から
塵が舞い上がる夕立の暮れ
境界線は水彩画のように際立って滲み
行き場をなくした流体は下へ下へと流れる
季節に似た変声期の終わりには
骨の軋む音さえ聞こえなくなった

感覚を模索するあいだに技巧ばかり追い求め
いつしか冷たい宗教画が出来上がる
何かになりたかったわけではないと
嗄れた言い訳には聞こえない振り
手段と目的は逆説を起こした
きれいなつめたい目がキャンバスの布目を虚ろにさまよう

雨に流された汚泥は下へ下へと流されて
いつしか見えないと存在しないをイコールで結ぶ
見えないのならばと無視をするようになったころ
もがくのもみっともないからと
信じられないほどの低い声が言い訳をつむいだ

lauuuuugh!

2008-06-28 | -2008
せりふに笑った
ばさばさばさばさ
髪はいつでも溶けてこぼれる
一人称は二つもいらないけど
あっ 猫が轢かれて死んじゃった
ばさばさばさばさ
お日様はみんな笑ってる
ひとりなのにみんなみんな
独りになっちゃったとグラスを揺らし
一人で生きると夢を語る
ばさばさばさばさ
ばさばさばさばさ

誰が自分だなどと
主張するというのか
自分などない
言葉は言葉になり得ぬように
他人などない
融合するのだ、何もかも
グラデーションに彩られ
コントラストなど存在しない
つまりはすべてが一色の世界
つまりはすべてが一色の細胞
お前の瞳は何を映そう、
何色をたとえ生きるだろう
核にある一色は無色だとして
果たして何色になるだろう

ばさばさばさばさ
ばさばさばさばさ
ばさばさばさばさ
ばさばさばさばさ
ばさばさばさばさ
ばさばさばさばさ
ばさばさばさばさ

as same as

2008-06-27 | 暗い
こころないあなたなど
うでのないわたしと同じね

ひとのおもいをたつことなんて
あいもないわたしに許されるかしら
なみだは溜まっていくだけで
目玉はからからかわいているの
ゆるくわらってこっけいだから
うでをなくしてできあがり

なんにもつかめやしないのよ
最強の免罪符でしょう
びりびりひびいて痛いけれど
まやかしなんて見えないものね

だからみんな死ねばいい
わたしをすきだとささやくみんな
こころないむねが化膿して
みんなみんな死ねばいい
なんにも知らないしあわせなうち
こころないとうそぶけるうち
けれどあいもないのも本当だから

つかめもひろえもしないなら
わたしただ死ねばいいの
うわっつらをはいでみたなら
ただの有機生命体なの

侵食腐食

2008-06-26 | つめたい
それらは・多分・おそらく
ことばごときにうんざりする
大多数が語る万種の鳴き声も
価値あれど無価値が居を占める
言い訳を聞きたいわけではないだろう
言い訳を言いたいわけではないだろう
ならば時には黙るといい
必要性こそが命題ではない
条件はその口と脳にあるばかり

可能性をたとえて事実を憂い
戯れ事にはもう疲れてしまった
平均値はおしなべて不確定事項
どうやら真実は得ないまま
知らない事実を伝聞し推定する
「明日はたぶん大丈夫」
もはや自己暗示ともとれる呪文を
何度かければ実現するのか
魔法は夜には解けはしない
端からかかっていやしないのだから

血なまぐさい洗面台に立っている
それくらいが現在の全て
ぬるんだ水は血液のように
腐食し臭気を撒き散らす
なぜと理由を考えるのは歓迎しよう
問題はその後の発言にある

頭がおかしくなったのは
世界でも自分自身でもないだろう
ただ視点と周波数が一致しなくなっただけ
雑音まじりの言い訳はより不快になる
一乗から二乗へと
亡霊のように人々はうごめいて
口々に何事かを鳴いているが

聞きたいのは
言いたいのはそれではないとばかり
言い訳口上を並べながら
血なまぐさい洗面台にうずくまるのか
清潔だろうとまたも推測、
いや既に思考もないのか
ならば水となり融けるがいい
生き物を放棄したそれは私というらしいが
ただ雑音が気になっているだけだ

だいすき

2008-06-25 | -2008
鮮やかな虫が飛び交っていて
向こうに見える星よりも綺麗で
土には虫の死骸と幼虫がいて
みんな別の死骸を食べていて
分解されたものを微生物が食べて
水と土になれば木々が喜んで
鮮やかな虫は葉っぱを食べて
連鎖に介入する隙なんてなくて
それでも生きていくために虫をつまんで食べて
鮮やかな虫が弾けて散って
かしゃりと音をたてて潰れて
赤い血だまりと灰色の内臓に鮮やかな臓物が垂れて
進化もしないなら生きる必要さえなくて
鮮やかな虫が体の肉をえぐって
結局は連鎖のなかに取り込まれて
きっとさっき死骸になったあの子も悟って
土の上にわざと倒れ込んでみて
耳鼻口瞼肛門性器にまで入り込む虫を黙って見守って
内側と外側から食い破られるのが楽しくて
幼虫が湧いて温床になればいとしくて
木々は遠縁の私の孫だとおもった

最後通牒

2008-06-24 | -2008
とても優しい声に身を任せながら
昨日の晩御飯はとても美味しかった
本当なら明日にでも延べ異境を
誰がループ再生ボタンを押した
冷蔵庫には何も入っていない
勝手にしたいのなら勝手に死ね
頭が割れそうに痛い割れそうに
呂律も回らず失禁死体
戸棚に隠していたバイト代は使わない
対処療法にはうんざりだ
いつか四肢を切断してしまって
明日を昨日のように舐めて
道は方向とはかぎらないから
私は私で一人ゆきますと敬礼
ムカデがいないから食べてしまう
私は私で最終的には見えない本の塊と死体

エゴは優しい

2008-06-23 | かなしい
もっと君に触れていたかったと
泣きながら笑う情けない気狂い

数字を切り捨てるように無感動だったのは、
自分とお前が傷つかないようにと

二人称はどうにも心地が悪い
呼ばれる、呼ばれたくもないのに

「少しだけで良かった」
「私は少しもいらなかった」

出会ったのなら別れゆく
それを知らないのは少年少女

救いようもないほど救えない
絶望したお前は美しかった

ただ正気を取り戻していく
大人になり世界を知る少年少女のよう

(ああぼくに手があるなら)
(きみの心臓を握り潰すのに)

抜け殻でもお前を抱き締めたなら
きっとお前は醜くなる

だから私はお前の救いを殺す
美しいまま破滅し私をどうか恨むといい

2008-06-20 | 錯乱
わたしはきみのせりふにくすりとわらい
それからどうしようもなくなって
いまというしあわせなじかんをこわすことをのぞんだ
わけのわからないだいさんしゃ
それはごうとうでもさつじんきでもいい
だれしらぬかれがらんにゅうして
えがおのままのわたしのかおを
きれいにはぎとってくれたらと
わたしのひふのしたでは
もはやかくしどころをなくしたびょうがいが
いのちをもったかのようにうごめいている

あなたはわたしのじょうだんにくすりとわらい
おおきなてであたまをなでる
なつかしいしあわせないちびょうかん
おもいだせばうまれおちたときからがいあくだった
たいせつなものなどそんざいしない
あればうしなうのをおそれるばかり
それにどうせうしなうのはかくていで
じきあなたはうしなわれるほうになるのに
どのくちがあんしんしろとのたまうのか
そしてうしなわせるのはこのわたし
はぐるまはきれいにかみあわず
ぎちぎちとおとをたてているときにはもう
がかいするばかり

混迷

2008-06-18 | 錯乱
見られたくないの
夢はだれのもの?
お茶会を開きましょう
痛いのはもうこりごりだから

痛い
痛い?
ああ、

沼になりたい
すべて沈める底なし沼に
そしたらみんな幸せになって
くだらないリアリティを求めもしない

どうか私を見ないで
動かず死ぬのはきっと当然
ああ、