明日は 約束の日 そんな時に限って
前日から なぜかしら ソワソワ ドキドキ
ぐっすり眠れない
そして体調不良 そんなことが度々
緊張型のチューリップさんに
町内のゴミ当番がまわってきた
いつも早起きだから 朝早いのは平気の平左 なのに
なぜかしら その日に限って朝起きれない
次回は 目覚まし時計を置くことにしよう
お得なお金にまつわる誘惑
ささやくようにハスキーな声の誘惑
ハイなメロディーで奏でるバイオリンの誘惑
世の中美味しいものでいっぱい
様々な誘惑に右往左往しながら
なかでも美味しいものの誘惑に弱い
好物の寿司とか おはぎやケーキのような甘い物ときたら
誘惑に負けまいと思っていても
いつの間にか ほんとうにいつの間にか
お腹はパンクしていることに
なぜもっと早くに気づかないんだろう
散歩してると 背中がひどく丸いおばあさんとすれ違った
これから農作業に行くところなのだろう
長靴をはいたおばあさんの足取りは しっかりしていたが……
チューリップさんの背中はどうだろう…… あんなふうになりたかない
背中がしゃんと伸びて お尻の動きが綺麗
そんな歩き方をする後ろ姿を見つけたりすると
なんだか嬉しくなって いつまでも見つめていたくなる
「昨日の夕方 母さんによく似た人が喫茶ランの前を歩いていた」
息子に言われてドキッとした
チューリップさんは確かに 昨日の夕方喫茶ランの前を歩いた
どんな歩き方してただろう
背中は曲がってなかったか
チューリップさんの早朝ウオーキングは 30分ぐらい
(くーちゃんは 42・195㎞歩くから 桁違いだ)
大地にしっかり足をつけて 一歩ずつ足を運ぶたびに思う
確かに地球に生きてるんだなって
地球に重力があってよかったなって
きょうは久しぶりの 爽やかな青空
もう 夏空ではない 千切れ雲が飛んでいる
空は とても広大で 素晴らしい
この坂道が どこまでも続いて 空まで続いていたらいいのに……
でも
宇宙に行ったら こんなふうに歩けない
大地に しっかり足をつけて歩く やっぱり 地球がいい
重力さん ありがとう
今日も 雨が降りそう
黒い雲が空を覆い 最近は雷がたびたび発生する
今日の湿度は８０％ 家の中はじっとり 蒸し暑い
「なんだか梅雨時みたいね」と チューリップさん
「扇風機だけでは やってられない」と くーちゃん
エアコン付けて 除湿しよう
こんな時は 爽やかなものが欲しくなる
頂き物のパッションフルーツを スプーンですくって食べた
種は小さいけれど 硬くて びっしりと詰まっている
歯が丈夫なくーちゃんは「美味い」と
平気でバリバリ
歯がもろくて 種を噛むのがおっくうなチューリップさんは
「なんだか 種ばかりみたい」と
途中で 投げ出してしまった
コオロギが鳴いている
蒸せるような暑さが消えた
暑いことには変わりないが クーラーつけなくても
扇風機だけでも なんとかなりそう
暑い！ 暑い！ と冷たい飲み物をがぶ飲みした日々
どんなに涼しげな服も 何を着ても すぐにもう汗ぐっしょりで
もう何を着たらいいのやら やりきれないよ と
あんなに嘆き苦しんだ夏だけど
終わり となると ちょっと寂しい気もする
「暑いね」 の挨拶言葉は もう聞かれない
柿の木に 虫がつく
毎朝 火ばさみを持って虫取りした
刺されたらとんでもなく痛い イガムシだ
6月ぐらいから びっしり イガ虫の赤ちゃんがつく
小さいものはなんでも かわいいものだけど
そんなこと言ってられない 葉っぱ事ちぎって捨てる
それでも 追いつかない イガムシはどんどん大きくなる
業者さんに消毒をしてもらった
去年はたくさん実を付けたのに 今年は 少ししか実がついてない
その少しの実が 毎日のように 虫食いとなってぼとぼと落ちる
「まったく 見てられないよ」と姉にこぼすと
「我が家も今年は ぜんぜんダメね」と
実家の姉が電話の向こうで嘆いていたが どこもそうなんだろうか
チラシに ジュースの特売品が出ていた
「1ダース買おう」
クーちゃんが言うので スーパーマーケットへ行った
結婚する前は 甘いコーラばかり飲んでいたくーちゃん
糖尿病がわかってからは できるだけカロリーゼロ飲料に変えた
夏場は 冷たい炭酸水が特別に美味しい
前夜 ティーバッグに入れて作り置きする冷茶も
麦茶も アイスコーヒーも くーちゃんは大好き
あっという間に 冷蔵庫が空になる
「暑い日に 熱いお茶もいいものよ」と
チューリップさんは勧めるが
「ぼくはアイスクリームがいい」と甘いものに目がない
糖尿病治療中なのに…… 治療はなかなか難しい
茄子の炒め物に ピーマンを入れたり
シシトウには じゃこを入れたり
みそ汁には 豆腐 ワカメを入れよう
ほうれん草 にんじん 黄色いパプリカ 熟したトマト
レタスにサラダほうれん草に ミニトマトを添えて
朝ごはんは 梅干しのせたご飯に 納豆のせて
夕ご飯は キャベツや人参をたっぷり入れた鮭のチャンチャン焼き
さあ 食べよう
惚れ惚れするような 真っ赤なトマトは
見てるだけで なんだか嬉しくて わくわくする
食とは 先ずは目で楽しむものらしい
９月になったら はじめましょう
９月までは お休みしましょう
コロナの影響で サークル活動は出来なかった
久しぶりに 仲間と会う
マスク姿の面々 話は弾むが ソーシャルディスタンス
何かしら みんな遠慮がちになっている
「こんな状態 いつまで続くのかしらね」
コロナ太りに困っているらしい
「歩きなさい」 とチューリップさんは歩くことを勧めた
これから美味しいものが ますます食べたくなるよ
食欲の秋が もうすぐそこまで来ているんだから
今年の夏は 雷さんの来訪が多い
くーちゃんは 全然平気らしいが
チューリップさんは 大の苦手
ピカッと光ると ゾッとする
くーちゃんはカーテンを開けて「綺麗だな」などと言って見てる
ゴロゴロ ゴロゴロ 唸りだす
そして ガミガミ 怒鳴り散らすし
そのうち ガッシャーン
いきなり頭を殴りつけてくる 「たまらないよ」 と
チューリップさんは部屋の隅っこに小さくなったり 机の下に潜り込む
くーちゃんと手を握った孫のあんこは 呆れたように見ている
「 雷さんは 大きなおならするんだねえ」 と
ホームセンターへ買い物に出る
車を運転しながら ふとおもう
昨日の冷蔵庫の中の残り物のチーズケーキのこと
（チーズケーキには目が無い チューリップさん)
先日の頂き物のチーズケーキ めちゃくちゃおいしいチーズケーキ
食べないでね と くーちゃんに言っておけばよかった
孫のあんこが来ても あげたらだめ と言っておけばよかった
などと思いながら運転していたら はてな ？
チューリップさんは これからどこへ行くんだったっけ と
行く先を忘れている あーダメダメ 運転に集中 集中
こんなことが 度々あるチューリップさん
朝の散歩の時も きょうのお昼は何食べようかな とか
くーちゃんの好きなカツでも 久しぶりに食べに行こうかな
などと ごちゃごちゃ ごちゃごちゃ
いつだって何かを思って歩いている
いけない いけない 歩くときは歩くことだけ
何も考えない 考えない
こころを無にすることって なかなか難しいみたい
甘いもの 大好き
たまにはケーキやクッキーが 食べたーい とチューリップさんは
近くのコンビニで おいしいチーズケーキやプリンを買ってみたり
ケーキ屋さんで おいしいシュークリームを食べてみたり
最近はスーパーへ行っても 以前は必ず立ち止まったデザートコーナーも素通り
コンビニも ケーキ屋さんも なぜかあんまり行きたーい と思わなくなった
「コロナのせいだ」とくーちゃんは言う
ふたりで行った喫茶店も 最近 くーちゃんひとりでいく
チューリップさんは ステイホーム
甘酒でデザート作って 冷蔵庫のしそジュースをゼリーにしたり
あんこで羊羹作ってみたり イチジクジャムを作ってヨーグルトにかけてみたり
チューリップさんは もっぱら手作りの甘いものにハマっている
暑い日は ステイホーム
猛暑なんて たまらんわ
「年寄りは家の中で じっとしてるに限る」とくーちゃんは言う
「家にばかりじっとしていたら なんだか物忘れがひどくなったみたい」
と 友人が嘆いている
頂き物のゴーヤがたくさんあった 手仕事が好きなチューリップさんは
薄切して干すことにした 気持ち良さそうに日光浴を楽しむゴーヤを見ていると
暑さが気にならなくなった
朝の6時
散歩を楽しむ人は それほど多くない
みんな忙しいのかも
でも ヒマな年寄りも多いはず
住宅街を歩いていると シャワーを使っている音がする
田んぼ道を歩いていると 犬を連れている人を見かける
たまたま ジョギングをしてる人とすれ違ったとき
なんだか楽ちんそうだったので ちょっとだけまねしてみることにした
「気持ちイイ」
歩くのとはまた違って なんだか楽しい
まだまだ走れるんだ そうおもうと チューリップさんには嬉しくなってきた
次の日も その次の日も 少しずつだけども 走ってみた
3日目 歩いていると 「ドキッ」 なんだか膝小僧が痛いのだ
やっぱ無理なんだ 走るなんて 無茶しちゃったのかも
このまま歩けなくなったら大変 と チューリップさんにはちょっと後悔した
もう若くなんかないんだから
情けないけれど 年寄りに無理は禁物なのだ
いつものように 30分間歩けるだけで 良しとしよう
