こんな夢を見た。
人がすれ違うのもやっとというような細い坂道の通りは、灰色の土が踏み固められて、
土間のように黒く滑らかだった。
そこは間口の小さな商店が連なり、今居る蕎麦屋も、その通りの中の一軒だった。
小さな蕎麦屋に、ぞろぞろと入ってきた客は、
男も女も一様に無口で、奥の壁際にずらりと並んだが、押し黙ったまま。
しかもその空気の重苦しいことといったらなんとも陰鬱で、
蕎麦屋の主も扱いに困っていることが伺えた。
偶偶居合わせた丸髷の女は二、三軒ばかり隣の石屋の女房だが、
石屋といっても墓屋ではなく、奇岩名石を扱っている。
その石屋の女房は件の団体客を一目見ては血相を変え、
「すまないねぇ、直ぐにどうにかするよ」と蕎麦屋を飛び出した。
石屋に戻った女房は、上がり框で手代に「うちのひとは?!」と吊り上った目で問うた。
手代曰く、主人は祝い事に呼ばれてしこたま飲んで帰って、今は二階の自室とのこと。
框の直ぐの急な階段の上に向かって
「あんた!瑪瑙石に水晶石、虎目石に玄武石、殺生石の姐さんまで!!」と。
驚いた様子の石屋の主人は転がり落ちるように階段を下り、
女房とともに蕎麦屋へ向かった。
そこでは先ほどと同じように壁に張り付くように七、八人の男女が立っている。
蕎麦屋は蕎麦屋で座を進めてよいか困り果てて居、
立っている者共も、勝手がわからず間誤付いている。
石屋の主が石共に問うてみるには、主人は何やら宴席で楽しんで帰った様子、
どれ我等も酒を所望、と思うて出かけてはみたものの如何に『楽しむ』ものか分らず
結局困っていたのだという。
石屋夫妻は、石共の為に石屋に一席、宴席を設けることにして、蕎麦屋に詫びて、皆を連れて帰った。
なんでしょう。日本昔話的な(?)夢でした。
人がすれ違うのもやっとというような細い坂道の通りは、灰色の土が踏み固められて、
土間のように黒く滑らかだった。
そこは間口の小さな商店が連なり、今居る蕎麦屋も、その通りの中の一軒だった。
小さな蕎麦屋に、ぞろぞろと入ってきた客は、
男も女も一様に無口で、奥の壁際にずらりと並んだが、押し黙ったまま。
しかもその空気の重苦しいことといったらなんとも陰鬱で、
蕎麦屋の主も扱いに困っていることが伺えた。
偶偶居合わせた丸髷の女は二、三軒ばかり隣の石屋の女房だが、
石屋といっても墓屋ではなく、奇岩名石を扱っている。
その石屋の女房は件の団体客を一目見ては血相を変え、
「すまないねぇ、直ぐにどうにかするよ」と蕎麦屋を飛び出した。
石屋に戻った女房は、上がり框で手代に「うちのひとは?!」と吊り上った目で問うた。
手代曰く、主人は祝い事に呼ばれてしこたま飲んで帰って、今は二階の自室とのこと。
框の直ぐの急な階段の上に向かって
「あんた!瑪瑙石に水晶石、虎目石に玄武石、殺生石の姐さんまで!!」と。
驚いた様子の石屋の主人は転がり落ちるように階段を下り、
女房とともに蕎麦屋へ向かった。
そこでは先ほどと同じように壁に張り付くように七、八人の男女が立っている。
蕎麦屋は蕎麦屋で座を進めてよいか困り果てて居、
立っている者共も、勝手がわからず間誤付いている。
石屋の主が石共に問うてみるには、主人は何やら宴席で楽しんで帰った様子、
どれ我等も酒を所望、と思うて出かけてはみたものの如何に『楽しむ』ものか分らず
結局困っていたのだという。
石屋夫妻は、石共の為に石屋に一席、宴席を設けることにして、蕎麦屋に詫びて、皆を連れて帰った。
なんでしょう。日本昔話的な(?)夢でした。