”玲瓏”管理人のつぶやき

"玲瓏:羽生善治(棋士)データベース"管理人たいがーの独り言(HP更新情報含む)

スペシャルトークショー 絆 -次世代に伝える将棋の心- 

2012年08月29日 | 更新情報
 2012年08月19日(日曜日)ロイヤルパークホテル。それは羽生ファン、将棋ファンにとって特別な日となった。

 中野生活文化研究所主催のスペシャルトークショー「絆~次世代に伝える将棋の心~夢を育む子供たちへのメッセージ」。あの伝説の島研メンバーである、羽生善治二冠、森内俊之名人、佐藤康光王将、島朗九段がファンの前に一同に会し、まさにスペシャルなトークショーが実現したのだった。

 当日の様子は多数のブログなどで紹介されているが以下が特にお薦めである。
1.まいさんの「気が散る前に」(続編が待ち遠しい)
2.もりやんさんの「階段下のがらくた部屋」(前編)(後編)
3.まるぺけさんtweetメインのtogetter
 
 読者の方には上記お薦めご一読をいただければより雰囲気が楽しめること請け合いである。これらを元に中野生活文化研究所様のご厚意により提供いただいた写真を中心に当日の様子を紹介していきたい。

 当日はツイッター支部支部長のおさまこさんと会場に向かうこととしていた。また羽生ファンの76fさんやしらかばさんともお会いしようと話していた。どうにもいけない、ワクワク感がせわしたてるので会場のロイヤルパークに開場40分前に着いてしまったではないか(笑)まるぺけさんがロビーで座っているのを見つける。どもどもなどと言ってとりとめもない将棋話をする。そうこうしているうちにおさまこさんから会場着きました連絡。と同時に76fさんが姿を見せる。まあ、とりあえず受付行きましょうと徒党を組んで開催フロアに向かう。76fさんは「今日はtwitterで知り合った人と待ち合わせしているんで」と言うので、おさまこさんと先に受付を済ませる。会場のロビーに入ると、4人のスーパースターの紹介ポスターが目を引いたのだった。


【写真提供:中野生活文化研究所様】
 
 伝説の島研のトークショーを嫌がおうにも盛り上がる演出ではないか?次々訪れる将棋クラスタのメンバーとも挨拶しながら「この写真知っている?」「当然!(笑)」「いや、見たことない。くぅ~」などと会話を交わしながら見入ったのだった。76fさんが今日初めてお会いするご婦人を連れてきた。古くからの羽生ファンと言う。それだけでチーム羽生入り決定(笑)と勝手に思っていたら、なんと!かとももちゃんのお母様。びっくりである。

 会場入口の粋な演出のあとはいよいよ4時から立食パーティ。ロイヤルパークホテルの宴会部長が壇上にあがり、バイキングのマナーについて説明されるのだった。羽生さんの就位式に何度か出席させていただいているがそんな説明はまずない。この日は親子での参加が主体、子供も多く参加しているのでのことと解釈した。そんなこんなでようやく真打ちのしらかばさんが登場。


【写真提供:中野生活文化研究所様】

 さて席は指定席。たいがーとおさまこさんは右最後尾。偶然、ツイッター支部副支部長の直江雨続さんも、名古屋から来たひーちゃんもすぐ近くの席だった。梅田さんとおかだいくさんも当日来場していたと知ったが、ひーちゃんに「私の前に座ってたじゃん!」と言われ、あまりに舞い上がると周りがよく見えないものだなあと再認識したのだった(笑)

 舞台演出もいい。舞台セッティングはこんな感じ。
 そしてまもなく島研メンバーが入場し、各自席につかれたのだった。

 スペシャルトークショー「絆」が多くの来場者を満足させたのはその構成だったかもしれない。羽生さんのイベントは一時期足繁く通ったし今でも都合がつけば参加しているが、ツマラナイ質問をされると一気に興ざめしてしまう。それがなかった。よほど前より入念な準備をされてきたことと推察する。島さんは主催者側の立場で参加されていたので、終始現タイトルホルダー3人の良さを前面的に出すよう心掛けてこの場に望まれていると感じた。

 いよいよ始まるスペシャルトークショーに高揚感は抑えきれない。25年ぶりに揃った伝説の島研メンバー。向かって左側から、羽生さん、うてぃこと森内名人、みっくんこと佐藤王将、そして島さん。司会者は一番左に陣取る。

 最初は参加棋士4名の紹介。4人の後ろのスクリーンに各々紹介スライドが投影されると、羽生さん、森内さんが、体をよじって上を見やるのだった。打上げのときに羽生さんと雑談をしていると「後ろだったのであまり見ないようにしたんですけど気になるので(笑)」と語られていたが、どう見ても”思い切り!!”見てましたよ>羽生さん(笑)


【写真提供:中野生活文化研究所様】

 そして話はいよいよ本題。島研の歴史が紐解かれる。後で羽生さんに聞くと、島さん自らロケに立会い、昔住んでいた新宿のマンションや世田谷のマンションに同行したとのこと。なんとも準備が入念だ。ここでのコメントも島流「この人たちに着いていけばいいんじゃないかと声をかけました。」奨励会員だった佐藤さん・森内さんは「現役バリバリで当時活躍されていた棋士の方がなんでボクらなんかに声をかけるんだろう?」と奢ることなく率直な意見。

 「後からそう言われるようになっただけで、島研の呼び方は当時はなかったと思います。」殊勝に語る島さん。しかし羽生さん・森内さん・佐藤さんは口をそろえて「島研って手帳に書いてました(笑)」「ボクも書いてました(笑)」ここでふと思い出すのは、羽生さん研究会。羽生さん、木村八段、松尾七段、村山五段で構成される研究会だ。「羽生研って呼んでいいんでしょうか?」と質問したらば羽生さんは「名前は決まってません。」と回答いただく。しかし最年長の棋士の名前をとるといういわば暗黙の基準みたいなのがあると思う。羽生さんがそう言っても、やっぱり羽生研なんだな、と思ったのだった。今度、木村てんてーに聞いてみよう。


【写真提供:中野生活文化研究所様】

 羽生さんが参加されたのは世田谷のマンションに引っ越されたあと。島さん・森内さん・佐藤さんで研究会をされていたとは誘われたときは知らなかったと言う。島さんは将棋が強い棋士には興味がなかったが、佐藤さん・森内さんが同世代の羽生さんとやりたいとのことで島さんが羽生さんに声をかけたところ素晴らしい方、これからこの3人が切磋琢磨して競い合っていかれるんだろうと感じ研究会に誘った逸話をいただいた。

 面白かったのはこのあと。会場を飽きさせないようにクイズ形式で「島研伝説」と題して、3人が手渡されたホワイトボードに答えていくように工夫されていたことだ。
1.1日のうち2回食事は一緒にしないの趣旨は?
2.ファッションも重要と島さんが3人に指定した金額は?
3.4人での飲みは今後あるか?
 特に3.など将棋ファンをくすぐる質問だ。羽生さんと打上げでお話させていただいたときは1.について。

 羽生さん「ええ、世田谷のマンションで1階がケーキ屋さんだったんですよ。」
 たいがー「ケーキは3時だったんですか?」 
 羽生さん「いえ、お昼食べて食後のデザートでしたね。」
 
 おやつは3時だとばっかり思っていましたが(笑)侮れません。

 3.の結果は全員が「×」理由は3人が3人「想像つかない」とか(苦笑)ただ、また25年後でもいいので4人一同に会してスペシャルトークしてほしい(笑)


【写真提供:中野生活文化研究所様】

 伝説の「島研」の旅行会は将棋ペンクラブログさんで紹介されている。島研の解散は、初代竜王の島さんに羽生さんが挑戦を決め、また羽生さん・森内さん・佐藤さんが新人王戦であたるようになったからが理由で、島さんを除いて十代の頃である。この旅行会はそれから3年ほど経って実行されたと言う。未成年が成年になったのだが、あいかわらずアルコール抜きの旅行会だったのがなんとも島流である。「個人の内面には立ち入らない」「仲居さんには、男4人でゲームして、ビールも頼まなくて、おかしな雰囲気に見えたんじゃないでしょうか?」

 たいがー「島研で積み立てられていたお金で皆さんいろいろ買われたんですよね?」
 羽生さん「ええ、旅行の資金とか、盤駒とか、そうですね、買いましたね。」
 

【写真提供:中野生活文化研究所様】

 ここからは来場していた子供さん対象の将棋ウルトラクイズとなるのだった。今度はA・Bの二択形式。
1.森内名人が妹さんのために獲得したクイズ商品は?
2.羽生二冠が所属していた部活は?
3.島先生が棋士以外でなりたかった職業は?
4.佐藤王将が最近聞いている音楽は?
 
 羽生さんが所属していた部活は卓球部。しかし一瞬の在籍で練習がきつくてすぐにやめたとのこと。

 徐々に減っていく会場の前方にいる子供たち。羽生さん、森内さん、佐藤さんが代わる代わる敗退者の子供たちと握手を交わしていくのだった。子供たちには記念ですね。

 ウルトラクイズと言えばと佐藤さんと森内さんがチャレンジした高校生ウルトラクイズでのお話も。らしさが伝わるいいエピソードであった。


【写真提供:中野生活文化研究所様】

 将棋ウルトラクイズが終わると入場者からアンケートで回収した質問と予め用意されていた質問コーナーとなった。三者三様の回答が返ってくるたびに、羽生さんらしい、うてぃらしい、みっくんらしい、など将棋クラスタ的には歓喜するのだった。

1.三人がとても怒られた経験があったら教えてください。
 羽生さん「友たちの家に行く途中で雨に降られ、ずぶぬれになって友達の家で着替えさせてもらった
      んですけど、家に帰ったらとても怒られました。未だにその意味がわからないんです。」
 森内さん「長考派の人にあたって考慮中に漫画を読んでいたら怒られました。」

 羽生さんが、本当に意味がわからない、顔をされているのが印象的だった。そして、永世名人資格も保持する今や人格者の森内さんも少年時代は相当やんちゃだったんだエピソードを聞けたりしてほくほくする(笑)
 

【写真提供:中野生活文化研究所様】

そのほかには下記のような質問が出された。
2.対局前に寝られないときはありますか?
3.DSなどゲーム機は世の中にたくさん出ていますがゲームはよくないですか?
4.どうしたら集中力はあがるのか?
5.得意科目と不得意科目はなんですか?
6.落ち込んだときはどうしますか?
7.棋士じゃなかったらどの職業についてましたか?
8.子供の将棋の興味を持続させるには?

 羽生流の回答が炸裂したのは2.「2日前に寝ておくんです。」寝だめ戦法である、なるほど。当日は?「羊を数えるんです。」羽生さんって羊を数えていたのね?(^^;司会者の人も突っ込む。「数えていたら100と200とかなって何匹数えたら寝られるんだろうとなっちゃったら?」「それを気にしたらいけません。そうなったらもうどツボにはまっているんで(笑)」どツボ、いいですね。今度使わないと。

 打上げのときに話題になったのは7.
 羽生さん「小学校で奨励会に入って中学校でプロ棋士なんで、正直考えたことないんですよ。」
     「一生懸命振り返っても出てこないんですよね。」
 真面目である。適当にという辞書がない。
 それに・・・やっぱり羽生さんは生まれながらのプロ棋士なんでしょう。

 最後は壇上で4人と子供たちの記念写真を羨ましげに見つめていた。将棋世界の古徹さんや週刊将棋の依頼で取材にきていた文記者らと話しながら傍観していた。そこで吉報が!なんと島さんと中野生活文化研究所様のはからいで打上げに参加させていただけるとのことに!



 76fさんが羽生さんをわれわれのテーブルに誘い込んできてくれる。乾杯( ^^)/▽▽\(^^ )のご発声をたいがーさんからということで承った。羽生さんにもたいがーに向かって「はい、どうぞ」と言われる。よし、ここはひとつかますしかない!ということでどさくさに紛れて「ツイッター将棋クラスタ チーム羽生結成です!1200勝おめでとうございます。乾杯~」と叫んだのだった。羽生さんはえっ(゜д゜)と微妙な顔をしてから笑顔だったんですけどね(笑)

 宴も酣となって4人の主役からコメントをいただく。島さん、みっくん、うてぃ、そしてわれらが羽生さん。
 「島さんの先見の明にはいつも驚かされてきた。今回のスペシャルトークショーもそうです。将棋界ではこれまでまったく将棋の盤駒が出てこないイベントはなかった。新たな可能性を示されたイベントだったと思います。」
 就位式の謝辞ではいつも右斜め上を見つめられてコメントされる羽生さんが終始俯いてコメントされる姿は珍しく印象的であった。



 最後は打上げメンバーで男女に分かれて主役4人と記念写真となった。まずは主役4人が着席の段。羽生さんとみっくんが先に端を抑えて、みっくんが島さんを、羽生さんがうてぃを中央の席に導くのだった。羽生さんがプレゼントを大事そうに抱えて、うてぃが頂いたプレゼントが何かなあと覗き込み、島さんが盛大なイベントも終わりに近づき安堵な表情となり、みっくんが…みっくん…みっくん、なんとも言えないカメラ目線だったんですね。すいません、気づきませんで(笑)

 内容の濃い充実したイベント、忘れられない日になったのだった。。

たいがー的羽生善治小論

2012年08月05日 | 羽生善治
 ツイッター将棋クラスタで「巨匠」として知られる@shogitygooさんがいる。「シリコンバレーから将棋を見る」で”観る将棋ファン”を認知させた梅田望夫氏。「巨匠」はその文体でネットに親しい観る将棋ファンの心を鷲掴みにしている。その魅力は深い洞察のみならずユーモアを交えたその筆致にあると思っている。このたび氏の「ものぐさ将棋観戦ブログ」から厳選され電子書籍版「ものぐさ将棋観戦ブログ集成」を出された。その中に「羽生善治小論」という節がある。アンサーと言ってはまったくもっておかしいがそこはそれ、たいがー的な論考を書きたくなったので述べさせていただく。

 何の脈略もないけど、サービスショットを3つほど(笑)いずれも棋聖戦第2局@ホテルフォレスタの大盤解説会。対局を終えた羽生棋聖が解説会場で要所についてコメントするショットである。時系列に並べてみた。最後のショットの羽生さんの視線…(^^)




 第3回朝日杯将棋オープン戦で羽生さんは優勝された。2010年2月の有楽町マリオンに足を運び準決勝の谷川九段戦は対局場、決勝の久保九段戦は大盤解説会場だった。縁あって打上げの席にも参加させてもらい、1時間の打上げ時間のうち羽生さんを30分も独占させてもらったのはうれしい思い出である。

羽生さん:「準決勝はどちらでしたか?」
たいがー:「対局場で観戦していました。」
羽生さん:「凄い人でしたが席には座れましたか?」
たいがー:「はい、谷川先生の背中側、羽生先生の正面側に座れました。」
羽生さん:「えっ、そうだったんですか?それは気づきませんで失礼しました。」

 第36回ながの将棋まつりのときはオープニングの棋士紹介の壇上から確認していただき「K村さんの隣に座られてましたよね。」と羽生さんにコメントもらったのを覚えている。が、こちらは公式戦である。いえいえ観戦者たいがーはそんなことを期待はしていませんが、そんなことを気にするのが羽生さんなのである。また、このコメントの中で”凄い人でしたが”という言葉も何だか面白い。羽生-谷川と言えばゴールデンカード、将棋ファン垂涎であるのに、当事者である羽生さんは至極客観的に事象を捉えられているのである。

 第36回将棋の日は名古屋で開催された。羽生さんは次の一手名人戦で谷川九段と対局。将棋の日は前日にレセプションパーティがあり出演棋士との交流の場がある。そこで羽生さんと会話させていただいたときにも同じように感じたことがある。この2010年の暮れに行われた王将リーグは熾烈な争いだった。森内俊之九段、佐藤康光九段、渡辺明竜王、深浦康市九段、三浦弘行九段、豊島将之五段。将棋の日レセプションは11月13日だったが開幕3連敗した森内九段以外には誰にでも優勝のチャンスがあった。

羽生さん:「3勝の渡辺さんがトップですがまだまだわかりません。佐藤さんにもチャンスがあるし、豊島さん、三浦さんにもチャンスがあるし、深浦さんにもチャンスがある。この後どうなるのかまだまだわかりませんよー」

まるで当事者ではない一将棋ファンが語っているかのように喜々として語られていたのをはっきりと覚えている。

 第68期名人就位式、「ハヤカワ・ノヴェルズ」を創刊した常盤新平先生がお祝いにかけつけその場に居合わせていた。ひょんなことから羽生さんの書棚の話になった。羽生さんはかなりの読書家である。三浦綾子さんの「氷点」が好きな本と挙げたこともあり小説をよく読まれるかなと思えば、経済誌や科学誌も読まれる。本屋さんで大量に買ってきては読み終わった本は捨てるか知り合いにあげるのだと言う。

 羽生さんの対談者についても興味深く自分の管理する「玲瓏」でまとめている。巨人軍終身名誉監督である長島茂雄さん、元プロボクサーの赤井英和さん、元全日本ラグビー監督の平尾誠二さん、陸上の為末大さん、元プロテニスプレイヤーの杉山愛さん。落語家の桂三枝さん、数学家の秋山仁さん、シナリオライターの内館牧子さん、ニュースキャスターの小宮悦子さん、翻訳家の柳瀬尚紀さん、経済評論家の佐高信さん、漫画家の黒鉄ヒロシさん、詩人の吉増剛造さん、作家の村上龍さん、作家の高橋源一郎さん、作家の鈴木光司さん、ミュージシャンの大江千里さん、作家の宮部みゆきさん、ノンフィクションライターの金子達仁さん、作家の瀬名秀明さん、スポーツコメンテーターの二宮清純さん、カーネギーメロン大学教授の金出武雄さん、作家の三浦光世さん、作家の宮藤官九郎さん、タレントのビートたけしさん、指揮者の佐渡裕さん、作家の渡辺淳一さん、脳科学者の茂木健一郎さん、経営コンサルタントの小山政彦さん、作家の朝吹真理子さんなど錚々たるメンバーである。対談内容は、羽生さんの存在感が強烈ではないけれどいぶし銀のような渋さを放つものばかりである。

 「巨匠」は羽生さんを”対局時の異常なまでの集中力をもつ非日常の羽生善治と誰とでも明朗快活に気さくに話すあまりにフツーすぎる日常の羽生善治”と日常と非日常を比較して評した。それもひとつの見方である。ならば、日常・非日常をひっくるめて羽生さんを評価するのもひとつの見方である。たいがー的羽生善治小論では上記だけでは論拠が足りないがこう結論づけたい。羽生さんの凄いところは2点、自己客観評価能力とボーダーレスなバランス能力である。

 誰でも自分に対しては知らず知らず甘く採点してしまう。自己を客観的に観る上では非常に辛いのではないか?日常の生活でも非日常の対局中でもそうなのではないか?青写真は決して描かない。目の前の一局に全力投球する。その上で決して無理をしない。矛盾しそうな因子において判断の絶妙なバランス能力もあるのだ。そのバランス能力もボーダーレスである。勝負の世界はあらゆるジャンルにある。将棋という枠組みをとっぱらってあらゆるジャンルのトップランナーと臆することなく邂逅する。

 羽生さんは明らかに非凡な存在である。しかしこれからもごくごくフツーに飄々と淡々と前人未到の荒野を進まれるのだろう。これからもウォッチしていきたい。