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奈良県高取町 薩摩遺跡 ため池跡を発見

2008年12月10日 | Weblog
波多里長檜前村寸木簡
 県立橿原考古学研究所が9日、薩摩遺跡(高市郡高取町薩摩)で奈良時代末-平安時代前半(8世紀末-9世紀前半)ごろの灌漑用ため池跡や、池の完成式で読み上げたとみられる人物名を記した木簡などが見つかったと発表した。
 木簡は「波多(はた)里長の檜前村寸(ひのくますぐり)本なすがこの池を造った。完成すると神が現れ喜んだ」などという内容。近くで皇朝十二銭の承和昌宝(835年鋳造)3枚が見つかっており、同研究所は「感謝のセレモニーで木簡を読み上げ、一緒に納めたのかもしれない」としている。
 木簡は表裏に文字が墨書きされ、縦21・5cm、横4・1cm。檜前村寸は有力農民で、高度な土木技術を持った渡来系一族の出身だったらしい。同研究所は、技術力を見込んだ国司の命を受け、ため池の造営に当たったと推測している。
 読売新聞の記事では2つの木簡の読みが掲載されている、それによると次のとおりである。
 ①癸應之 波多里長檜前主寸本為 □□□遅卿二柱可為□
 ②田□□前□申此池作了故神

 ため池跡は、東西40mの谷を堤でせき止める構造とみられ、南北の長さは90m以上、深さ1m。池の水を流すための木材を組み合わせた木樋の一部が見つかった。長さ約115cm、幅約50cm、厚さ約25cmで管状になっており、中がくりぬかれている。上面には取水穴を開けた蓋があり、穴に丸太を抜き差しして水量を調整したと考えられるという。 
古代のため池の発掘は大阪府の狭山池(約4万㎡、7世紀初め)など数例で極めて珍しく、古代の土地開発の一端を知る手掛かりとみている。
 現地説明会は14日午前11時~15時。説明は11時と13時の2回。近鉄市尾駅から東へ徒歩15分。
木簡は同日午前9時~午後4時30分、橿原考古学研究所付属博物館(奈良県橿原市)で展示する。
[参考:10/9共同通信、産経新聞、読売新聞、橿原考古学研究所]

古代のため池跡発見=排水設備見つかる-奈良・薩摩遺跡(時事通信) - goo ニュース
古代のため池から施工者示す木簡出土…奈良・薩摩遺跡(読売新聞) - goo ニュース

 14日、現地説明会が行われ、県内外から約400人が訪れた。[参考:12/16奈良新聞]

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