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高島市・天神畑遺跡 金剛般若波羅蜜経38枚を含む「こけら経」115枚が見つかる 「見せ消ち」も初確認

2010年02月20日 | Weblog
 滋賀県文化財保護協会が19日、高島市鴨の天神畑遺跡から細長く薄く剥いだ木の板に経典が墨書きされた「こけら経」115枚が見つかったと発表した。15~16世紀の室町期のものとみられ、バラエティー豊富に7種類の経典などが書かれていた。中国の禅宗で重んじられたとされる経典「金剛般若波羅蜜経(金剛般若経)」が書かれた全国でも珍しい38点も含まれており、「妙法蓮華経(法華経)」が69点、ほかに5種8点があった。
 金剛般若経記載の「こけら経」出土は柳遺跡(滋賀県草津市)、清洲城下町遺跡(愛知県清須市)に次いで3例目という。
 県内には中国の僧が開いた東近江市の永源寺があり、また比叡山がある湖国の仏教文化の多様性を示す今回の「こけら経」の発見は中国仏教の強い影響を受けた当時の地域性が伺え、「こけら経」の役割を知る上で貴重な発見であり、禅の文化の広がりを裏付ける貴重な資料としている。
 高島市鴨にある天神畑遺跡は、縄文時代から中世にかけての複合遺跡で、「こけら経」は2009年2月、天神畑遺跡東側の中世後半の時代に水が流れていたとみられる旧河道に密集した状態で発見された。下半分が欠損しているものがあり、長さ10~30cm、横幅21mm、厚さ1mm以下の針葉樹製。供養などのために1枚に17文字ずつ縦書きで写経し、通常20~40枚を1組として、ひもで縛っていたと推測される。「こけら経」は全国102の遺跡から出土し、その大半が法華経という。
 また、「見せ消(け)ち」と呼ばれる方法で、妙法蓮華経(法華経)の誤字を修正した「こけら経」2枚が含まれていることがわかった。これは全国初の発見という。
 「見せ消ち」は写経で文字を訂正する際、誤字を消さず、そばに符号などを記す手法で、飛鳥時代に定着したとされる。
 木板は法華経などを写しており、「他」の文字を書くところに誤って「佛」と書いたため、左側に誤りを示す片仮名の「ヒ」に似た印を入れ、右側に「他」と訂正していた。
 今回発見された「こけら経」は、21日午前9時から午後5時まで行われる県立安土城考古博物館(安土町)の「あの遺跡は今! Part10」で一般公開される。同日午後1時から報告会(要予約)もある。
[参考:BBCびわ湖放送、中日新聞、読売新聞、共同通信、産経新聞、京都新聞]

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