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太田市 上強戸遺跡群 奈良時代の大型車輪部材が東日本で初出土

2008年12月04日 | Weblog
 太田市上強戸町の上強戸遺跡群で、8世紀半ばの奈良時代に使われた大型車輪の一部とみられる木製部品が見つかった。
 同遺跡群では平成14~16年度にかけて群馬県県埋蔵文化財調査事業団(渋川市)により発掘調査が実施され、19年8月から整理作業が行われている。
 発掘調査では、古墳時代から飛鳥時代にかけての水田跡や溝跡、奈良時代の水路跡、中世の大規模な鍛冶工房跡が見つかり、溝跡や水路跡からは鍬・田下駄・弓などの豊富な木製品が発見された。
 車輪部品とみられる木材が発見されたのは、水田に掘られたとみられる深さ約1.2m、上部の幅約5.3mのU字型の溝の中。長さ40cm、幅5cm、厚さ3cmの緩く湾曲したアカガシ製と推測される板で、2カ所に四角い穴があけられ、両端には別のものと組み合わせるための突起(ほぞ)が作られていた。板は外輪の部材を連結するための継手にあたる内輪と分析しており、鎌倉時代の絵巻物「石山寺縁起」を参考に組み合わせると、車輪の直径は約1.5mになるという。
 周辺で8世紀半ばの物とみられる土器が見つかっていることから、奈良時代に使われたものと考えられるが、古代の組み立て式の大型車輪はこれまで、京都府と奈良県で出土したのが確認されているだけという。
 東日本では初めての例となるが、出土した溝は水路とみられ、周囲では、他の木材も多数発掘されていることから上流から流れ着いてきた可能性もあるとしている。
 同遺跡群は、国の史跡に指定された「上野国新田郡庁跡」から東に約3kmの位置。周辺は当時、「東山道」が武蔵国と下野国方面に分岐する交通の要所だった地点。
 調査を行っている県埋蔵文化財調査事業団では、来月刊行される同遺跡群の調査報告書に掲載する。
[参考:群馬県埋蔵文化財センター、12/3東京新聞、12/4産経新聞]

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