歴歩

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奈良市・春日大社 氷室跡か、謎の穴 3つ

2008年11月21日 | Weblog
 春日大社(春日野町)境内北部の水谷神社付近で、3つまとまって掘られた鉢状の大きな穴(直径約10m、深さ約1・2m)を神職の中野和正さんが見つけた。形や大きさから「氷室」跡の可能性がある。
 穴は一般の立ち入りが禁じられている場所にあり、直径7―10m。深さは1mほどあり、ほぼ正円に掘られている。
 今年夏ごろ中野さんが見つけ、龍谷大大学院で氷室の研究をしていた川村和正さん(奈良市在住)に連絡した。「日本書紀」に登場する氷室は深さ約3mで、竪穴にカヤなどを敷き詰め、氷を収めたという。
 天理市福住町や奈良市都祁地域で氷室とみられる遺構が見つかっており、三基1セットで造られるケースが多い。直径は5―12m程度で、春日大社の窪みと一致する。
 奈良時代の絵図である正倉院宝物「東大寺山堺四至図(さんがいしいしず)」には、現在の境内を指す「神地」の北側に「氷池」の文字があり、氷室も周辺にあったとみられている。見つかった穴は両者の中間に位置する。
 中野さんは「水を凍らせて氷を作るのが氷池。保存施設の氷室が近くにあってもおかしくない」とみている。
 問題は深さが1mと浅く、長い年月を経ているのに木が生えていないこと。川村さんは、「正円、大きさ、三基のまとまり」を氷室の共通ポイントと挙げる一方、木の生育などを相違点に挙げ「水はけの良い土質であるかなど、検討課題は残る。奈良時代に氷池の伝承地があったのは確かで、周辺には何らかの形で氷室があったはず。候補の一つと言えるだろう」と話している。
[参考:奈良新聞、毎日新聞]
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