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宝塚市・長尾山古墳 国内最古級、ほぼ完全な状態の未盗掘「粘土槨」が見つかる

2010年10月12日 | Weblog
 発掘調査を行っている宝塚市教委と大阪大考古学研究室は12日、同市山手台東の長尾山古墳(全長約40mの前方後円墳、4世紀初頭)で、木棺を粘土で包み込んだ全国でも有数の大きさの「粘土槨」(長さ6・7m、幅2・7m、高さ1m)がほぼ完全な状態で見つかったと発表した。
 後円部の墳頂に竪穴(深さ2m以上、幅5m、長さ9m)を掘り、礫を敷いた上に築かれていた。
 通常、粘土槨は内部の木棺が腐り、上部の粘土が落ち込んだ状態で見つかることが多いが、長尾山古墳では造られた当時の形をほぼ保っている。粘土槨がある古墳としては真名井古墳(富田林市、前方後円墳)、鴨都波(かもつば)1号墳(御所市、方墳)などと並び国内最古級であり、しかも、この時代の粘土槨がほぼ完全な状態で確認されたのは初めてとされる。
 粘土槨は4世紀初めに畿内で始まったとされ、竪穴式石室の被葬者に次ぐ地位にある有力者が埋葬されたと考えられている。
 盗掘しようとした跡はあるが、穴は木棺まで達せず、棺内には貴重な副葬品が入っている可能性が高いという。木棺内部の調査については、方針は決まっていない。
 現地説明会は16日(土)午前10時から開かれる。
[参考:共同通信、朝日新聞]

2010.12.17追記
 宝塚市教委は、10月に長尾山古墳で発見された木棺を粘土で覆った国内最古級の粘土槨を埋め戻した。
 市教委の担当者は「数十年ぐらいは、開封することはない」としている。
[参考:読売新聞]

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