浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

フランク・ブリッジのワルツ 知らなければ幸せが一つ足りない名曲

2007年08月05日 | 忘れられた作品作曲家
この美しいワルツを知らない人は幸せが一つ足りない。忘れ去られた英國の作曲家、フランク・ブリッジの2つの小品からワルツ~間奏曲ホ短調は1902年に完成された弦楽四重奏用の小品のやうだ。今日は弦楽オーケストラに編曲された演奏で聴いてゐる。

この美しい旋律は英國風といふよりは露西亜風である。ベンジャミン・ブリトゥンの師であるブリッジは作風の定まらない器用な作曲家といふイメージがあるが、この作風を一言で言ふならアレンスキー風だらうか。当時のブリッジは仏蘭西と露西亜の音楽に対して強い関心を持ってゐたやうだ。

このワルツを聴いてゐて思ひついたことがある。バウアーとガブリロヴィッチの連弾で何度も聴いたアレンスキーの洋琴連弾のワルツも弦楽オーケストラにアレンジして演奏すれば結構いい線をいくやうな気がするのだ。暇ができれば是非試してみたいと思ふ。

それにしても、この退廃的な雰囲気はどこから感じるのだらうか。半音階的で甘く切ない旋律とワルツのリズムを繰り返し聴いてゐると、京都四条にあった喫茶ソワレに行ってみたくなった。あの蒼い間接照明による幻想的な世界はブリッジのワルツの世界と同じ感覚だ。

盆休みは京都に旅に出て、家内とソワレのゼリー入り珈琲を愉しんで来ることにしよう。

盤は、英國NaxosのCD 8.。


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