浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

メンゲルベルク指揮巴里放送響の歴史的演奏会の模様【最終回】

2009年09月28日 | 指揮者
【前回までのあらすじ】 ここ数日の休みで日本に一時帰國してゐた僕は、神戸のCD屋で奇跡のCDを購入した。Z共和國に戻り、繰り返しこのCDを愉しんでゐる。帰國時、維納フィルハーモニーがメータとともに西宮に来てゐた。ランランとかいふパンダがショパンを弾くといふことで親父達が観に行ったが、丁度其の頃、僕はコルトーとメンゲルベルクのショパンに打ちのめされてゐた。 . . . 本文を読む

1944年1月20日巴里シャンゼリゼ劇場への誘い【第2回】

2009年09月27日 | 指揮者
【前回のあらすじ】 奇跡的な発見により陽の目を見たコルトーとメンゲルベルクによる夢の協演。Asのオクターヴ下の代用にAを叩くコルトーの無謀な低音補強にやられっ放しだった僕は、これを真似てレッスン室からつまみ出された。現在はコルトーとフルトヴェングラーの協演の音源発掘に念力をおくり続けてゐる。 . . . 本文を読む

歴史的な協演を聴ける幸せに感謝! コルトー/メンゲルベルク

2009年09月26日 | 洋琴弾き
この歴史的な協演のSP原盤が復刻されるまでの奇跡的な経緯を聞き、神さまに感謝した。数日間、日本國に帰ってゐた際にこのCDを購入してきた。冒頭から、これまでに聴いたことのないショパンが登場する。コルトーのSP商業録音とも雰囲気がまるで違う。伴奏がメンゲルベルクといふことと熱狂的な巴里の聴衆の前で行われたライブ録音であることを考えれば当然のことだ。メンゲルベルクが1943年にヴァン・デル・パと協演したものとも異なる、贅沢さ、白熱度、興奮度、野獣の如き表現、いずれも過去最強の全くの新種の登場だ。 . . . 本文を読む

ブルッフ作曲ヴィオラとクラリネットのための協奏曲 ホ短調作品88

2009年09月19日 | 忘れられた作品作曲家
渋いヴィオラの独奏に続いてクラリネットが登場する。ヴィオラとクラリネットの為のドッペルコンチェルトといふブルッフの逸品がある。ブルッフは何を思ったのか、晩年にクラリネットとヴィオラの為の作品を続けて発表してゐて、いずれも忘れられた名曲である。ちなみにブルッフのご子息はクラリネット奏者だったそうだ。 . . . 本文を読む

オドノポゾフの情熱的なチャイコフスキー

2009年09月18日 | 提琴弾き
オドノポゾフといふ提琴家の演奏を初めて聴いてゐる。しかし、この人は維納フィルハーモニーのコンサートマスターだから、どこかで必ず耳にしてゐるはずである。このやうな大家の雰囲気を持つ名演がどうして一般に知られてゐないのか不思議でならない(知らなかったのは僕だけかも知れない)。 . . . 本文を読む

オスカー・フリードの「ヘンゼルとグレーテル」の主題による幻想曲

2009年09月15日 | もう一つの顔
マーラーの複数の交響曲の伯林初演を行うなど、歴史上の大指揮者と認識されながら数多くのレコヲドが忘れ去られたまま放置されてゐるのが今日取り上げるオスカー・フリートである。フリートは作曲家としてもセンセーションを巻き起こし、当時は絶大な支持を得てゐたことも忘れ去られてしまった。 . . . 本文を読む

ショパンコンクールの生みの親 ジュラヴレフによるショパン「スケルツォ第2番」

2009年09月12日 | 洋琴弾き
ショパン競技会の生みの親であるジュラヴレフのCDを取り寄せて聴いてゐる。波蘭周辺の洋琴家は世間ではあまり知られてゐない。しかし、大手レコヲド業界から発売されるありきたりの無難な演奏には無い実に面白い表現や興味深い演奏解釈が犇めき合ってゐる。「日本、文化国家!ほんまか?ほんまか?」の歌詞で有名なあの作品一つとっても新鮮な発見の連続である。 . . . 本文を読む

ショパンの孫弟子 コチャルスキのライブ録音からマズルカ作品7-1

2009年09月11日 | 洋琴弾き
1948年2月21日、ショパン生誕138年のこの日、ワルシャワでは首相を招いて演奏会が開かれた。ショパンの弟子ミクリの弟子、つまりショパン直径の孫弟子であるラウル・コチャルスキが開いた独奏会の模様がラヂヲのアナウンスのやうな紹介付で録音されてゐる。 . . . 本文を読む

モニーク・アースによるラモー「一つ目の巨人」

2009年09月09日 | 洋琴弾き
ハンス・シュミット=イッセルシュテットとモニーク・アースの協演によるモーツァルトの協奏曲が発売された。その余白に1946年のSPレコヲドの復刻が居心地悪そうに収まってゐる。協奏曲も名演奏だが、僕はバッハの伊太利亜協奏曲とラモーの小品に心を奪われてしまった。 . . . 本文を読む

再びゲディッケ ホルン協奏曲とトラムペット協奏曲

2009年09月08日 | 忘れられた作品作曲家
ホラフキン氏から教えていただいたゲディッケのトランペットの作品については聞いたことがあったが、CDを探しても見当たらないのでYou Tubeで検索してみると、仰るとおり多くの動画が登録されてゐた。確かに聞き覚えのある旋律だった。そんなわけで、先日の劇的序曲に続いてホルン協奏曲などを聴いてゐる。なかなか親しみやすい名曲だ。 . . . 本文を読む

トムソン「ルイジアナ物語」からパストラール

2009年09月07日 | 忘れられた作品作曲家
トムソンは亜米利加の作家で、ナディア・ブーランジェに師事した経歴の持ち主である。ドキュメンタリー映画「ルイジアナ物語」の為の音楽として作曲されたものらしい。故郷を懐かしく思ひ出すシーンやちょっとしたCMのバックに流すとこの上も無く上品で心に染み入るBGMとなるだらう。 . . . 本文を読む

チャイコフスキー交響曲第8番 ゲディッケ

2009年09月05日 | 忘れられた作品作曲家
チャイコフスキーの第5交協曲の影響を愉しむことのできる名曲、ゲディッケの劇的序曲を聴いてゐる。露西亜の作家だが、父がオルガン奏者であったことやバッハの音楽に傾倒する音楽一家に育ったこともあってか、ゲディッケの作風には対位法的な素地がしっかりと刻み込まれてゐるため、構成もしっかりとして独逸的でもある。 . . . 本文を読む