伊豆高原シニア・ライフ日記

「老い」を受容しながら自然の恵みに感謝しつつ「残躯天所許不楽復如何」の心境で綴る80老の身辺雑記 

伊豆高原「象牙美術館」に行く

2015年09月03日 | 日記

9月1日     (火)     

午前中は烈しい雷雨で外出も困難なほど。しかし、午後には不安定な天気ながら雨が降ったりやんだり。これなら外出できる。

Mr. & Mrs.のお誘いで家内とを伴い昨年伊豆高原にオープンした象牙美術館(「象牙と彫刻美術館ジェルピア)を観に行く。

この日、9月1日は開館一周年記念日とかで地元の伊豆半島住民には無料公開とのこと。入館料¥1200がタダだというのでいつもは閑散とした駐車場には車が一杯。雨にもかかわらず館内で地元の顔見知りの人にもいくたりか出会う。

この美術館の外観はおよそ美術館に似つかわしくない倉庫みたいな建物で、これが建設された時その外観からしてわざわざ訪れるような美術館とはとても思えず、関心はほとんどなかった。

しかし、タダというなら、伊東に住んでいるからにはどんな美術館なのかくらいは知っていてもいいという軽い気持ちで今回の訪れであった。

だが、中に入って驚いた。想像を超える精巧な細工が施されたスケールの大きい象牙細工の作品がたくさん陳列されている。その数も半端ではない。

象牙細工は以前に甲府にあった象牙美術館で見たことがあったがこれほどの大きさではなかったと記憶している。また、20数年前に台北の「故宮美術館」で見たのは中国歴代の王朝から伝えられた国宝級のものでその精緻を極めた彫刻技術に感嘆したことがあったが、ここの作品群もほぼそれに匹敵するのではないか。

ただ、ここの象牙細工は王朝時代以降の比較的新しいものが多く、それだけ骨董品としての価値は低いものなのであろう。しかし、それでも親子三代かけて造ったなどとあり、宮廷の支配・保護がなくなった動乱の近代中国において職人が生涯かけてただ一つのものに打ち込むという時代ではなくなっているのにそんな昔ながらの手法による工芸美術品がなお作られていたとは……。

また、象牙作品だけでなく翡翠をはじめとするいろいろな貴石を使った東洋風の美術工芸品の類も彫刻技術の精妙さ、スケールの大きさもまた瞠目に値する。

また、別に石と象嵌技術でつくられた「楊貴妃一代記」のギャラリーもある。「西遊記」のギャラリーも。

施設の外観からは全く期待していなかった館内の見事な陳列物、作品群には全く脱帽である。

このような展示内容であることが知れ渡れば、この美術館は伊豆高原の新しい見どころとして訪客を案内する価値はありそうである。

見終わってから、さらに驚いたのがこれらの展示物がすべて一個人の収集にかかわるものだということである。私は骨董品や工芸美術品の価値には全く疎いが、金銭に換算すれば数十億、いや数百億円にも上るのではないであろうか。

このような美術工芸品を一代で収集できた財力はどこから得たのであろうか。下世話なお金の話にも関心をそそられ、帰ってインターネットで調べてみたら、所有者はなんと東伊豆で桜餅を包む桜葉の漬物を作る会社の85歳の元社長だとある。

桜葉の栽培指導でしばしば中国を訪れ象牙細工に惹かれて一代かけて収集したとあったが、「たかが」といっては申し訳ないが、餅を包む桜の葉っぱの塩漬けがこれほどの財を生むとは!

伊豆半島にはなんとも想像もつかない凄い人がいるものだ。

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