8月4日 火曜
相変わらず炎暑の日が続く。日本全土で35℃から40℃に近い異常な数値を示すところに比べればまだましだが、当地とすればこの暑さはやはり異常だといえる。
さすがにこの暑さではやむを得ない場合は別として外出を控えざるを得ない。
だが、こんな暑さにもめげずに、明日からは子や孫が大挙我が家に押しかけてくる。例年のことではあるが、この暑さではこれを迎えるのも少々気が重い。
私はこの間、書斎に逃げ込めばなんとかなるが、万事世話をしなければならない老妻の負担は重く、多分、一行が帰った後にはしばらく「ぐったり」することになるだろう。
しかし、思えば定年退職後当地に移住して25年、夫婦とも80歳を超えてもなお、元気に大勢の子や孫を迎え入れることができるというのはありがたいことなのかもしれない。
毎年、この時期に厚労省が発表するのが「簡易生命表」である。これによると、日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳で過去最高を更新しており、女性は3年連続世界一、男性は世界3位(一位は香港81.17歳、二位はアイスランド)だとある。
「平均寿命」(ゼロ歳児の平均余命)の伸びもさることながら、私はいつも同時に発表される「平均余命」(ある年齢層の人がその後平均的に何年生きるか)の方を見て、これから生きるであろう期間の目途を立てることにしている。(これも毎年確実に伸びている)
この表によると、私85歳の平均余命は6.12年とあり、85+6.12=91.12歳まで。家内は83+9.45年=92.45歳まで平均的だが生きることになる。
とすると、私の場合、なんとか東京オリンピックを見ることはできそうである。東京オリンピックとそれまでの日本の変わりようを見ることを一つの目途にとして、それまでなんとか元気で健康で過ごしたいと思う。
元気に過ごせる寿命として「健康寿命」、つまり「日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間」というのがあるが、厚労省は昨年は男子71.19歳、女性は74.21歳としているが、今回は「健康寿命」には触れていない。まあ、今年もさほでの変化はないだろう。
いずれにせよ男性71.19歳、女性74.21歳とは随分短いようにも思われる。我々はそんな年齢期はとうに過ごしてきてしまった。
今の健康状況からみるなら我々夫婦はこれまだよく頑張ってきたといえるが、これからいつまで今の健康状態を続けていくことができるかどうか。
そんなことを思っていたところに、こんな本が目に付いた。名郷直樹「『健康第一』は間違っている」。
筆者は産経新聞で「家庭医が教える病気の話」」(武蔵国分寺公園クリニック院長)というのを連載し、先月107回で その連載を終えている。
時々読んだ程度だが、日本の現医療態勢の下での検査、数値、投薬の在り方に批判的で、内外のエビデンスを論拠に「生活習慣病」の薬は検査値を下げても寿命が延びることはつながらないとし、やんわりとだが年寄りは「薬は飲むな」ということを言っているらしいと私は理解し、私はそれなりに納得するところのある記事だった。
そんなこともあって、題名にひかれて取り寄せ読んだわけだが、300頁に近い本にかかわらずあまり感心しなかった。ちょっと時間の無駄だったか。
どちらかというと私が知っていることが多く、いろいろこねくり回しているが、要は長寿に何の意味があるのか、高齢者は長寿=健康にこだわるな、現在の生活を大事にしろということに尽きるとみた。(それは私も同意見ではあるが……)
]この本は題名はまことによろしいが、内容はダメ。すぐ捨ることにする。
高齢者に対する日本の医療態勢がなにかおかしいことは分かっていた。しかし、この本よりもエビデンスを基にしてより直截に現医療体制に対峙してものを言ってる近藤誠「医者に殺されない47の心得」、中村仁一「大往生したけりゃ医療とかかわるな」、浜六郎「高血圧は薬で下げるな」などの方がはるかに分かりやすく参考になる。
こちらをもう一度読み返してみよう。