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JFL後期第17節 最終戦

2008-11-30 22:25:33 | ファジアーノ岡山
※写真は試合と関係ないです.


 この日も現地に…,行きたかった.行けないものは仕方ない.当然関西ではTVも見れない.ネットでも探したが見つからず.文字速報のみが頼り.
 この日は勝てばJ参入圏内である4位以内が確定するが,相手はすでにJ参入を決めた強豪富山.しかもアウェイ.簡単な試合では無い.そんなこともあってどうしても鳥取の結果も気になる.


 試合は前半スコアは動かず.しかしこの日は何故かあんまり悪い結果が思い浮かばなかった.変な確信があった.しかし後半開始直後失点.玉林のオウンゴールらしい.そのまま試合は…,と思ったときに同点弾.このところ力強い活躍をしていた木村.そしてその直後鳥取が失点.4位はほぼ手中に,と思ったときに更に鳥取が失点….この日の勝負は決まった(試合終了までドキドキしていたが).


 1-1の引き分けだったが鳥取が0-2で敗戦しJ参入圏内となる4位が確定した.しかし勝負に負けたのがお隣ってのはやっぱり嫌なもんだ.
 この日も一人でこっそり喜んだ.昨年の地域リーグ決勝大会優勝の時と良く似た感じで.しかしまさか1年後にJ参入圏内確定を喜んでいるとは思っていなかった.しかも1年間4位以内で戦いきるとは.そのままJ参入圏内でシーズンを終えるなんて.本当に予想外の1年だった.

 あとはJリーグからの電話を待つだけ.サポーターもチームも結果を残した.あとはクラブが結果を残す.いや残しているはず.


 JFLを1年めで4位.これだけで十分凄い.しかもファジアーノはお金に恵まれたチームじゃないのにこの結果を残したことが凄い.
 お金が無いのにどうして強かったのか?それはクラブ全体の力が強かったからだろう.金が無いなら頭を使う.技術が無いなら走る.そして一つの目標に向かいクラブがまとまったこと,これらが合わさることで今年の結果をもたらしたのだろう.

 ファジアーノというチームは決して強くなかった.だからこそ後期に悪い内容の試合も続いた.客観的に見てもその程度の力しかなかった.ただサポーターや岡山の街を含めたクラブ全体としては強かった.だからこそギリギリのところで戦い抜けた.
 元々今年のJFLは上下の一部を除いて大きな力の差は無かった.だから差が出るのは選手の技術以外のところ.そこで他のチームより上回っていた.それがこの結果だったのだろう.昨年からそういう戦いを続けてきたことが今年の結果につながったと思う.

 とりあえず来年のことを考えるのや感傷に浸るのは明日の確定を待ちたい.とにかく初めての全国リーグを1シーズン戦い抜いた選手にお礼を言いたい.そして残した結果を喜びたい.


 この日が今のメンバーで戦う最後の試合だった,と考えると何とも言えない気持ちになる.本当に良いチームだった.いや今年だけでなくこれまでのチームと言うべきだろう.ファジアーノには短いながら歴史ができた.そしてクラブの色が出来た.ここ数年選手は入れ替わってきたがそれは引き継がれていると思う.
 今後Jリーグにたどり着きアジアチャンピオンになったりしても,このクラブの色はずっと引き継いで欲しい.それがここまで戦ってきた選手への最高のお礼になるだろう.

JFL後期第16節

2008-11-25 21:46:20 | ファジアーノ岡山
 この日は試合の結果も大事だったが,同じくらい気になっていたのは観客数だった.この日は久々に天気に恵まれ,しかも勝てば昇格圏内決定.メディアも連日報道した.岡山のファジアーノに対する期待がこの日の観客数に出てくるはずだ.
 ちなみに前回の桃スタは天候に恵まれなかったとは言え終盤戦で4000人程度しか集まらず.この日も同じような結果になるかも,と不安がよぎった.

 いつもは試合直前に行くのだが,この日はビッグフラッグを見るために普段より1時間早く前に岡山に到着.にもかかわらずスタジアムへ向かう道に今までに無く人が多い.時間を考えるとその人たちが桃スタへ向かっているとは信じられず.「岡大の学祭かな?」などと他の理由を考えていた.
 桃太郎アリーナ前.スタジアムからの応援練習はヘッドフォンをしていても聞こえてきた.スタジアムではチケット売り場でなく入場者の多さのために入場ゲートで行列になっていた.まだ理解できていなかった.

 スタジアムに入る.そこでようやく理解することが出来た.間違いなく過去最高の入り.メインスタンドは最上段まで両側とも埋まる.立ち見もいる.ゴール裏に座る人なんて初めて見る.11053人.メインとバック両スタンドの席数が15600,緩衝帯アリということを考えると本当に満員だ.
 岡山にこんな環境ができたこと,こんな環境を選手に準備できたことに対する感動は,過去の選手の横断幕や希望の轍に載せた映像でよりいっそう強くなった.

 そしてビッグフラッグに加え,山陽新聞のえんじ色の紙面が掲げられる.

 「岡山にJリーグがやってきた」

 一瞬勘違いしそうになるほどの素晴らしい雰囲気だった.

 サポータは,岡山の街は力を見せた.残るはチームだけだった.

 
 スタジアムの雰囲気は選手を間違いなく後押しした.いつも悪かった試合の入りは見違えるほど良かった.選手の気合はスタンドまで伝わってきた.少し動きの悪い栃木にチャンスを与えず,攻撃では前で鴨川がしっかりボールを収め,喜山と絡み,そして両サイドに関と川原,それを玉林が追い越した.3バック相手でやりやすかったのかもしれない.
 そんな中1つだけ気になったのは小野の動きの悪さ.大舞台に弱いタイプなのか?緊張がほぐれた頃からようやく動きが良くなったように見えた.

 前半20分.試合が動く.川原のシュートのこぼれ球に関が詰め,相手のファールでPK.良い内容のところに良い時間でのPK.最高の展開.観客でも冷静でいられなくなる状況.キッカーは喜山.こういう厳しい場面でも決めてきた選手だ.
 ・・・しかし結果は誰もが知るとおり.多分小針が手ごわいGKということが頭にあったからあのようなキックだったと思う.彼にとっては一生忘れない,忘れてはいけない大事なPKになると思う.

 それでも試合は支配し続け得点は遠くないように感じた.そのくらい出来が良かった.けれど前半30分鴨川が退場する.自らのカード,審判の性格.それを感じながらプレーしなければならない試合だった.判定に同情の余地もあるが不用意だったことには違いは無い.
 彼には早くJ1でも名古屋でもないJFLの岡山で結果を残せていない1選手という雰囲気を出して欲しい.そうしないと来季どのカテゴリでも結果は残せないと思う.


 残り60分を10人で戦うことになったファジアーノ.しかしそこからのプレーは更に気持ちの入った素晴らしいものだった.退場直後こそ相手に自由にボール廻しをされたが,しっかりと守備を固めることで「相手にボールを廻させる」ようになった.そして縦へ来る瞬間を狙いプレッシャーを強め,そこからのカウンターで得点を狙った.
 ただ前の人が足りず攻撃が遅れる.スピードのある武田がいれば,と思わせる場面が何度もあった.こういう状況だからこそ朝比奈の運動量に期待した.戦略は間違っていなかったように思う.
 1つあるとすれば,ドリブル突破で時間をかけてしまう妹尾よりは,左SBに野本を入れてセットプレーの高さ勝負にしても良かったのではないか,ということか.


 0-0.結局後期はホームで1勝止まり.素晴らしい舞台でチームだけが最高の結果を残せなかった.しかしとても良い内容の試合だった.引き分けの試合でこれだけ拍手をしたのは初めてだ.初めて来たと思われる観客も満足そうだった.
 しかしこの時期は「惜しい」なんて要らない.この日同時に開催されていた地域リーグ決勝大会を戦うチームが,その「惜しい」結果で何年も苦しんでいるのはよく知っているはずだ.


 まだ何も成し遂げていない.まだ何も手に入れていない.昨年の今頃,B神戸にPK負けした後に非常によく似た状況だ.次の試合の結果も昨年と同じにしなければ.


 ちなみにこの日富山が昇格圏内を決めた.対戦相手を見ると富山が意外と…,と少し期待していたがそんな都合の良い希望は当然のように外れた.そして予想通り一番嫌だなと感じていた鳥取との一騎打ちになった.
 いつかJリーグで2008年11月30日のことが因縁として,両チームの対戦を盛り上げることになるんだろう.

カタール戦

2008-11-21 20:46:42 | Sports:football(A代表)
 結構重要な試合だが以前のように変に緊張はしない.応援するクラブチームができるとこういうことなのか,と改めて思う.23日のことを考えるほうが余程嫌だ.

 試合は立ち上がりカタールがカミカゼアタックを仕掛ける.まるでACL決勝第2戦のアデレードのような戦い方,いやあれより余程汚いプレー.そこに審判はカンフーサッカーの国の人.あまりファールの概念が無いようだ.審判のレベルはJFL以下だった.これがあの国のサッカーのレベルを示している.
 ラフプレー容認の審判にカミカゼ攻撃.風向きはカタールだった.しかし日本はまるでACL決勝第2戦のG大阪のように冷静にパスを回す.前に攻める,じらす,といううまいいなし方でカタールを手玉に取る.それは中村が「危なくなかったっスよ」とこの場面をピンチと捉えたインタビュアーに失笑して返事したことからもよく分かる.
 ただしこういう舞台の経験の少ない寺田や長友のあたりは安全とは言えなかったが.


 カタールには献身的という言葉は似合わない.序盤の勢いさえ止めれば後は日本のもの.そんなプレー振りで日本は主導権を奪う.この日目立たなかったがこの展開を生んだ遠藤のプレーは抜群だった.ボールを落ち着いて分配する様は本当に見事だった.ただ今の遠藤ならもう1つ前のポジションで見てみたいが.

 この日目立ったプレーは「挟む」動きだ.相手がボールを持ったときに前後から,特に前から戻って奪い取る動きが物凄く効果的だった.相手は僅かでもトラップが大きくなると殆どボールを失う.だから慎重になってまたミスをする.そしてロングボールに逃げるしかなくなった.
 そこからの攻撃も場当たり的なものから少し組織的なものへ変わりつつある.特に前線に大きな選手を入れていないことで「やばいときは高さに頼る」という変な気持ちがなくなったのが良かったのかもしれない.人とボールが動くサッカーが1年ぶりに蘇った.
 ただしまだパスを出した後に休む選手もいて,そういったプレーからボールを奪われることもあった.そこで走れてようやく世界レベルだろう.

 最終的には試合は気持ちが決めた.田中達は常に前へ,ゴールへ,という気持ちが強く見ていて気持ちの良い動き.そして玉田は俺が俺が,と良くも悪くもFWらしく動く.彼らのようなゴールを目指す気持ち,勝利への貪欲さが日本にはこれまで欠けていた.そういう選手が揃うことでようやく決定力不足という言葉を返上できた.
 田中は相手のミスを逃さず奪いゴール,玉田はためらいなく狙いゴール.ここに大久保が絡めれば日本はアジア予選で何も心配することはなくなるだろう.中盤はアジアでは圧倒的なのだから.


 結局3-0で勝利.ほぼ完璧と言って良いだろう.田中達,大久保,長谷部,田中マルクス.控えの松井,阿部,今野.彼らはアテネ世代でドイツには1人も行っていない.アジアカップや今回のW杯予選で苦労している理由はこれかもしれない.ようやくコインブラの負の遺産が消えつつある.

 では勝手に採点.

玉田(7.0)動きの量・質とも良かった.キープできるドリブルが良い.
田中達(7.0)動きの量・質とも良かった.前を向いたドリブルは効果的.
大久保(5.5)チームに入りきれず.チャンスも逃す.審判にも嫌われた.
中村(6.0)怪我の影響かミスが多かった.
遠藤(7.0)抜群の組み立て.守備も頑張った.
長谷部(7.0)強く,たくましくなった印象.
内田(6.5)見ていて怖いくらい余裕を持ってプレーをしていた.
長友(6.0)らしさが少し弱かった.
寺田(6.0)大きなミスを1回かましたが,予選デビューとしては上々.足元は…
田中マ(7.0)前に出る必要も無かった.強く・高く.そして得点も.
川口(6.5)足元が怖いのは仕方ない.後半見せ場無し.

松井(5.5)なじめず一人相撲.
岡崎(6.5)やるべきことをやった.
佐藤(-.-)

岡田(6.5)
 守備,攻守の切り替えは良かった.攻撃は前監督の遺産を引き継いだままだが,攻守の切り替えの意識がそれを生かす方向になっている.2トップで1トップでもいいから大久保を生かさせないようではもう1つ上にはいけない.

JFL後期第15節

2008-11-19 12:50:45 | ファジアーノ岡山
 残り3試合.この日は横河との対戦.当然スタジアムへ…は行けず.この日負ければ横河に抜かれ今季初の昇格圏外(でもこれは昇格1年目ではかなり凄いこと).鳥取の結果次第では6位もある.残り試合を考えると負けだけは許されない.アウェイで勝ち点3が求められるとてもシビアな試合だった.相手は守備の堅い横河.先制された場合勝ち点3はかなり遠のくことが予想された.
 試合前から緊張気味だったという選手.しかし前半は0-0で40分を過ぎ,「このままで前半は…」と思ったロスタイムに痛い失点….相変わらずと言うか何と言うか.与えてはならない失点を与えてしまうのは若さか?弱さか?

 直後に迎えた絶望的な気持ちの15分間.ただその時,1時間開始の早かった鳥取の敗戦が確定した.少し気は紛れたが鳥取の人もこのブログを見ていたし,サッカー後進の中国地方として共に盛り上げたい相手の敗戦は何とも微妙だった.最低引き分けと思っていたので意外でもあった.


 ただこの1時間差は,シーズン終了後ファジアーノの今季の命運を分けるものになるかもしれない.


 鳥取の結果は当然選手に伝わり彼らの心理的プレッシャーはかなり軽減されたことだろう.
 後半7分妹尾を投入.ここでの監督の玉林を残すという選択が当たった.このところ好調で彼がいなくなるとチーム全体の運動量が落ちていたからだ.そしてその交代直後にこのところ存在感に欠けていたキャプテンがFKからゴール.久しぶりに見せたキャプテンらしい仕事.彼も少し呪縛から解き放たれたのではないだろうか?
 (試合を見ていないから想像だが)そこからは「ファジアーノらしい」戦い方で,喜山,妹尾と久々の畳み掛ける攻撃.絶対に手に入れたかった勝ち点3を見事に獲得した.

 この勝利は勝ち点以上に大きかった.ここのところ煮え切らない戦いが続いていた中で,良い時期のファジアーノのような内容で,しかもこの厳しい状況で守備の堅い横河に,しかもアウェイで逆転勝ちできたからだ.この勝利は開幕当初の雰囲気を思い出させた.


 「あと1勝すれば」

 多分ファジアーノを知る人は皆そんな浮ついた空気だろう.ただその1勝は甘く無い.残る相手はこの日4位以内を確定させた2位栃木と3位の富山.ファジアーノは弱くない.けれど彼らも強い.浮つくどころか去年の広島や熊谷を越える緊張感で23日を迎えることだろう.

 こんな時だからこそ山陽新聞の「頑張れ岡山サッカー」にあるファジアーノの記事を2003年から改めて読み返してみた.ここにはファジアーノのホームページよりも歴史が分かる素晴らしい記事が残っている(残してくれている).
 土のグラウンドで戦う姿が見える.周囲の冷たい目線や手探りのクラブの様子がわかる.そんな小さなクラブを支えてきた選手やスタッフの顔が見える.

 彼らがいるから今がある.そんな思いの詰まった今季最後のホームの試合だ.


 そんな思いで今度は山陽新聞の動画を見ると喜山のコメントがとても印象的だった.「昨年のこの時期活躍できなかったので…」.正直今年の活躍でそんなことはすっかり忘れていた.でも彼は覚えていた.そしてこの日もそんな去年を忘れさせる活躍をした.今季最も大事な次の試合でも活躍して彼も記憶を上書きして欲しい.そして最後かもしれない「ホームの桃スタ」を最高の舞台にして欲しい.

ACL決勝

2008-11-14 19:01:20 | Sports:football(J)
 ホームで内容も結果も圧倒したG大阪.相手は既にCWC出場権を得ており気が抜けているようにさえ感じたのが第1戦だった.しかしアデレードのホームスタジアムを見るとそんな状況ではないことはすぐに分かった.スタジアムは収容人員は少ないとは言え超満員.バックとゴール裏の間の通路にまで立ち見の客があふれる.豪州でこれ程クラブサッカーが根付いているとは予想外だった.ただホームとアウェイの客の分離がしっかりできていないなどプロリーグ発足間も無い部分も垣間見えた.

 試合は彼らが諦めていないことを示すように立ち上がりから体格の差を生かした殆どファールのような攻撃から始まった.あのまま押し込まれるといくら3点あるとは言え嫌な空気になっただろう.しかしG大阪はCBを中心に跳ね返す.しかもそこでも繋ぐ意識を忘れずクリアを繋ごうとした.それにより相手のミスを誘い相手陣内に入ることに成功した.これがこの試合の分岐点となった.
 そこからは相手の寄せを素早いパス回しで交わしながらポゼッション,間をおかずに先制!.この先制点がG大阪のACL初制覇を事実上決定させたことは,ゴール裏のアデレードサポーターの意気消沈振りからも明らかだった.
 アデレードにも何度かチャンスはあった.しかし肘打ちなんていうくだらない手段で対抗しようとした選手には良い結果は巡ってこなかった.

 結局2-0と圧倒して昨年の浦和に続くアジアチャンピオンとなったG大阪.全くスタイルの異なるJの2チームがACL制したことは,Jリーグのレベルの高さを示すものだ.特にG大阪のアジア制覇というのは昨年より更に大きな意味を持っている.それはG大阪がその他どのチームより攻撃的なスタイルだったからだ.
 攻撃的スタイルは脆さも持ち合わす.トーナメントをそれで勝ち抜くには攻撃力が相当高いレベルに達していないと難しい.この試合を見ていたアジア各国のチームはJリーグの本当のレベルを感じたことだろう.もしG大阪の今年の順位を知っていたら尚更だ.


 今季のG大阪はJリーグの順位が示すように決して順風満帆ではなかった.バレーは旅立ち,ミネイロ,ロニーの補強は失敗し,水本は現実から逃げた.そこに安田の負傷,遠藤と播戸の入院.それでもACLを制すことが出来たのは中沢・下平の成長,これに加えて山崎・佐々木の加入があったからだろう.
 加えて最も大きかったのは遠藤を中心とした中盤の成長だ.この数年存在した絶対的FWが抜け得点力が落ちたG大阪が,本当の意味でパスサッカーを習得した.それはアーセナルやスペインのような.そしてその両チームの中心にいるセスクのようなプレーを遠藤が始めた.彼がこの大会でMVPというのは文句無いだろう.


 ただ悲しいことにG大阪の攻撃的で楽しいサッカーも,地元関西には浸透していない.ABCの試合直後の21時前のローカルニュースでも,翌日朝のFM(神戸局だが)のニュースでも全く触れられず.丹念にACL参加国数より少ない世界大会を開く競技の報道はしていた.
 このように関西地上波メディアだけを見ているとガンバの達成したことがまるで夢のように,何も無かったかのようだ.それはJを制したとき,ナビスコを制したときも同様だった.

 しかし今回はちょっと桁が違う.アジアチャンピオンだ.世界中で報道されている.CWCも全国,いや全世界に中継される.関西メディアの意味不明なスタイルにより封印された情報も,彼らが達成したことの価値が余りに大きすぎるため,関西で無く周囲から知らず知らずのうちに認知されていくことだろう.
 だからこそG大阪のACL優勝は関西にとって物凄い価値を持つことになる.最終的には関西ローカルメディアのおかしさに関西人が気づくきっかけにさえなるのだから.

 そしてその時大阪府民はACLの決勝という舞台であんなみすぼらしいスタジアムをアジア全体にさらしてしまったことを恥じることになるだろう.G大阪でなく「大阪」という街がアジア全体に「あんなみすぼらしいスタジアムしかない山の中の田舎町」と思われたと気づくだろう.
 このCWCを経て,そして新しいスタジアムが万博に出来たとき,関西は大きく様変わりしているかもしれない.早ければ2年後か?


 ちなみに今回のCWCで一つ楽しみにしていることは,CWCの取材に来た外国メディアに対する大阪府民の対応だ.こんな対応だったら面白いのだが.

「ガンバがCWCに出ますけど」
「ガンバ?大阪はハンシンやで!」
「大阪のハンシンという街にクラブがあるのですね.そのハンシンはどこで見れますか?」
「兵庫県や」

 冗談みたいだがこれに矛盾を感じない人が実際にいる可能性があるのが恐ろしい.ちなみに知り合いの外国人は大阪に来て「ハンシン」という土地を地図で必死に探したらしい.多分理解するのに時間がかかったことだろう.

JFL後期第14節

2008-11-11 02:00:16 | ファジアーノ岡山
 この日は何とか雨は上がったがどんよりとした曇り空.それはファジアーノの今を示しているような空模様だった.

 先発は伊藤がCBに復帰した以外はいつものメンバー.試合は相変わらず立ち上がりが悪い.集中力を欠いた時間を何とか乗り切り次第にファジアーノのペースに持ち込む.しかし主導権を握れない.それは2トップが厳しくマークされたことが原因だ.
 小林は足元にボールを納められず,そして喜山はマークを嫌がりサイドに流れることが多かった.そのため縦へのボールが入っても小林は孤立気味になり,喜山がサイドでボールキープしても河原や関とポジションがかぶり,中は手薄になるという状況が続いた.支配気味に進めた試合は実は相手のペースだった.

 そこに玉林のパスミス.そのミスをカバーしに戻ったが止めきれず.そのフォローなどでチームが全体に右寄りになったところで相手はボールを中央,そして逆サイドにまわす.このとき小野が左サイドの走りこみに気づかずスペースを殺すだけの守備をしたために簡単にラストパスを出されてしまった.守備の人数が足りていたところから出た余裕が仇になった.
 ただ守備の人数が足りていたのでGKをボールが抜けても伊藤が戻っていた.しかしクリアできず失点.この1点の重さを知っていたからこそ伊藤はすぐに立ち上がれなかった.それでも前半.まだ時間はたっぷりあった.しかしその後も試合は支配するが得点できず前半を終える.

 後半頭から玉林を妹尾に交代.しかしここでチームがバランスを崩す.いつ点を取られてもおかしくないような状態に陥り,逆転どころか同点にする気配も感じられなかった.この時間が10分ほど続いたのが後から考えるとものすごく大きかった.
 ようやくペースを取り戻したのは鴨川投入前後から.前でボールを納められるようになり攻撃に人数をかけられるようになった.しかしペースをつかみ始めたときに中盤でためを作っていた関をなぜか交代.

 これで試合は決まった.


 この日の審判は腐っていた.最も冷静であるべき審判が感情的になり試合を壊した.けれどこの日の負けは審判がまともでも必然だった.ファジアーノは2トップが押さえ込まれたときの戦術がはっきりしなかった.MFが局面を打破すべきだったがボールを持っていない選手の動きは少なく,パスコースは殆ど無く前に放り込むだけ.サイドチェンジもみられず.両SB,特に重光は深くえぐる攻撃は殆どできなかった.
 元々個の力頼みで,なおかつリアクションサッカー気味ではあったが,この日のようにしっかりと守ることのできるチームにはその欠点が顕著になった.最も残念だったのはチームでのプレスが殆ど見られなかったことか(できなかったと言うべきか?).これにより相手にスペースを与え,そして自らは間延びする結果となった.

 試合を通じて選手が戦う姿勢は見えた.しかしチームとして生きなかった.声もいつものように出ないまま.草津戦からチームとしての大きな変化も見られず.大事な場面でのミスも目立ち,この内容でJ2にあがってしまっても…と思ってしまう内容だった.
 昇格争いが激しい中,終盤で2連敗.内容も悪い.状況は最悪だ.5位との勝ち点差は1.貯金も使い果たし敗戦どころか引き分けも厳しい状況となった.勝ち以外≒JFL残留と思っていいだろう.

 ここまで来るともう地域決勝なんて比ではない.「地域決勝と同じ…」.その言葉を聞くたびにJリーグ昇格争いの厳しさという現実から目をそむけているように感じてしまう.この敗戦はこの日訪れた新規の客に現在の厳しさを教えるものになっただろう.そして「Jリーグ昇格濃厚」なんて感じで急に注目してきたメディアの浮ついた雰囲気にも一石を投じることになっただろう.この敗戦に意味があるとすればそれだけだったかもしれない.


 この日最も強く感じたのは,3週間後の結果がどうあれファジアーノというチームが目指すサッカーのスタイルを確立する必要がある,ということ.今年はJFLで戦えるチームになった.しかし確固たる形は見えない.J2が目標でなく現実に近づいた今,その先を考える時期でもある.来年どちらのリーグにいようとこのままでは先は無いだろう.負けても希望のもてるチーム.そんな理想にできるだけ早く近づきたいものだ.



 ちなみに試合後にこんな声が聞こえてきた.「選手がくるまで歌い続けよう」.ちょっと甘ったるい.ただ「ブーイングでええじゃろ」なんてのも違う.選手は戦っていたのだから.こんな状況でみんなが思うことが同じわけが無い.一人一人が思った言葉を叫べばいいんじゃないだろうか?何でも型にはめようとするのは日本人らしいが.

11/08プレビュー

2008-11-07 22:58:24 | ファジアーノ岡山
 この日は多分今年のここまでの試合で開幕の次くらいに大事な試合が待つ.負けたからといって昇格できないと決まるわけではないが,残り3試合が地域リーグ決勝大会以上の緊張感の下での試合になる覚悟が必要だろう.もし勝ったら?それはそれで喜んでおけばいい.引き分けは?ちょっと残念な結果だ.

 試合にはもちろん行くつもりだが極寒の雨.晴れの国も今年は試合の日だけ天気に恵まれない.雨予報ですでに1割ほど観客は減ったはずだ.自分も2時間かけて極寒の中に行くのにはためらいがある.
 秋春制にするなんていう犬飼会長はこれから来年春まで毎週末,東北・北陸のスタジアムのVIPルーム以外で観戦して欲しいものだ.何なら嫁や孫を連れて行って欲しい(結婚してるかは知らないが).あれだけ強く言うのだから寒さなんて屁でも無いだろうし.


 さて相手は佐川.昨年のチャンピオンも今年は下位に沈む.今年がレベルが高いのか去年の佐川が強すぎたのかはよく分からないが,ファジアーノが今年昇格を逃せば彼らのようになる可能性は低くない.そんな彼らが相手だからこそ勝たなければならない.
 試合はスリッピーなグラウンドが多少不安だ.立ち上がりに慎重になりすぎてDFがミスしなければいいが.逆に攻撃は中盤がどんどんミドルシュートを打って欲しい.


 そして明日は岡大デーだそうだ.大学生ってスポーツ見ないでしょ?と思ったら実際そうらしい.確かに自分も学生時代は殆どスポーツを見ていない.遊ぶことに夢中だった.特に土曜日はサークルのある日.午前で終えて飯食いに行って,そのまま遊びに行くというのが行動パターン.昼間の試合は当然見ないし,夜は夜でバイトだった.今も大きく変わってないはず.
 だから「サークル終わったら桃スタへ!」という道筋が重要になる.金の無い学生はみんなでわいわいするため,且つ女性と近づくきっかけ,という動機が無いと金を使わない.だから各サークルのサッカー好きに声を掛けるのが大事だろう.
 ただ学祭シーズンというのは時期が悪い.且つ文科系は演奏会シーズンだし.準備はかなり忙しいからあまり期待できないだろう.寒い雨なら尚更.屋根あるって知らないだろうし.


 という岡大デーだがここに書いたことが結構実行されているのはちょっと驚いた.配ったビラにもクラブの歴史が書いてあったみたいだし,写真部来るらしいし,大学周辺の食堂情報サイトとも連動しているらしいし….もしここ見て少しでも参考にされていたらこんなブログごときがクラブに少しは貢献できたことになるのかな?それはそれで誇らしいが.こんなんで客が増えるならいくらでも参考にして欲しいものだ.

 ただ参考にしたならコメントくらい残していくだろうから多分気のせいだろう.自分の考えに近い人がクラブ内部にいると思うと,それはそれでクラブの行く末が不安だったりする.


 話が逸れたが,とにかくスポンサーにとって魅力的なクラブとは人気のあるクラブだ.というわけで明日は試合と共に観客数にも期待したい.もちろん勝ち点3も.

終幕

2008-11-05 00:40:14 | Motor
 ブラジルGPで今年のF1も終わった.昨年も劇的だったが今年は更に劇的だった.昨年はハミルトンの自滅という側面が強かった.しかし今年は運が支配したレースだった.

 予選でPPはマッサ.間に数台挟みハミルトン.この程度の状況ならチャンピオンはハミルトンの可能性はかなり高かった.しかしレース直前にスコール.雨量から判断すれば軽量タンクのマッサはドライへの交換時期とピットのタイミングが一致する.マッサが10ポイントを加算する可能性は一気に高まった.対するハミルトンは非常にレースを組み立てにくくなった.何が起こっても不思議ではない状況だった.

 レースが開始するとそれでも彼は5位以内につけ,むやみに前を争うことも無く淡々とレースをこなした.しかし普段の行いの悪い彼に簡単に神様は振り向かない.残り10ラップくらいで再度雨が降り出した.下位チームは強くなる雨に賭け雨が緩いうちからタイヤを替えた.
 微妙な量の雨だった.タイヤの履き替えには順位を落とすリスクがある.残りラップ数を考えてもドライでも十分可能性がある.

 ウェットに換えるチームが多かったことが結果的に彼に幸運をもたらした.この場合は彼は多数に合わせるのが得策だった.

 雨は強くならなかった.ドライのグロッグが前を走り,ヴェッテルに煽られながら5位をキープするハミルトン.そしてミス.今年も自滅でチャンピオンが決まるのか?.ヴェッテルはイタリアでのドライビングを見ても分かるように車の差が出ないコンディションでハミルトンが勝てる相手では無い.
 そして予想通り最後までヴェッテルはミスをしなかった.ハミルトンに絶望が訪れたかに思えた.しかしそこに「雨」がきた.それは明らかにエクストリームウェットの領域だった.ドライのグロックはコントロールを失っていた.

 あと30秒雨が遅ければチャンピオンはマッサだった.周囲にあわせウェットにしていたことが,たった30秒の差で幸運をもたらした.「運」としか言いようが無いレースだった.


 いつか今宮さんが言っていた.「今年チャンピオンの資格のあるドライバーはいない」.100ポイントに満たない争い.混戦だったわけでは無い.車の能力はフェラーリとマクラーレンが明らかにぬきんでていた.マッサ,ライコネン,ハミルトンの3人が高得点で争うべきチャンピオンだったはず.
 このような運が招いた結末は,神様が最後まで誰をチャンピオンにするか悩んだ結果だったように見えて仕方ない(そんなものを信じる人間では無いのだが).そして「マッサよりマシ」という結論に至ったのだろう.


 歴史上最もふさわしくないチャンピオンドライバーの誕生は避けることができた.F1は威厳を保てた.ただ世界最高峰の「レース」という意味で岐路に立たされているように思う.世界最高峰のレースならば「最も速く強いドライバーが勝つ」はずだ.それが「世界最速の車に乗った平凡なドライバー」が争っている.FIAがワンメイクエンジンにしたいのも当然だろう.見るレースとしてはワンメイクのGP2の方が余程面白いのだから.
 メーカーが「技術開発がF1にいる理由」と言うならば,「技術開発レース」をオフシーズンにやればいい.そして最も優れたエンジンやミッションを作ったメーカーのワンメイクにすればいい.メーカーにとっても良い提案じゃないだろうか?技術開発競争もできるし,本田のように勝てないマシンを1シーズン公開し恥をさらし続けなくていいし.

 もうパレードラップは見たくない.下手なドライバーが偉そうにする姿も見たくない.GP2より速けりゃ問題は無い.とにかくレースを見たいのだ.MotoGPの1/10くらいでもいいから競争をして欲しい.


 そもそも速さで技術力をアピールするなんてのは時代遅れだ.道具が進化するのはいい.ただ水着のように誰でも使える状態にしておいて欲しいものだ.それでようやくモータースポーツ好きにレースが帰ってくる.


 結局はメーカーの無意味な意地の張り合いが今のF1だ.そんなところに力を注ぐぐらいなら,無免許や飲酒状態では車が運転できなくなるような本当に役立つ技術を開発するべきだ.大阪で起きたようなひき逃げ事件がなくなるように.
 F1にかける力をそこに向ければ簡単な話だろう.免許を車に挿入して,個人認証しないとエンジンがかからないように,なんて具合に(そもそも何でそういうシステムが無いのかが不思議なのだが).


 このままではF1は本当に終幕を迎えることになるだろう.

JFL後期第13節

2008-11-02 23:49:31 | ファジアーノ岡山
 北九州戦.ホームでも遠いのに九州へのアウェイはさすがに無理.来週の佐川戦に体力と財力を温存してネット速報を待つ.夢では4-0で勝ってたので緊張感もなかった.

 試合は見事に逆転負け.良かったのは草津戦でとても良い動きをしていた玉林がリーグ初ゴールを決めたこと.懸念材料は関の負傷退場.あと山陽新聞の動画を見ても分かるが,小野が終盤に足が止まり失点の原因を作っている.

 この日栃木と鳥取の結果を知った上で玉林の得点の速報が入ったとき,正直「昇格」の文字が頭に浮かんだ.多分大きなプレッシャーを感じながらプレーしている選手も当然意識しただろう.そのくらいこの日の試合の意味は大きかった.
 地域リーグ決勝大会のような極端な緊迫感が無いため分かりにくいが,選手は地域リーグ決勝大会と同じかそれ以上の重圧をすでに感じているのだろう.それがここ最近の不安定な試合内容に出ているように思う.

 ファジアーノは若い.チームも若いがそれ以上に選手は若い.その選手たちにこのJリーグ昇格という重圧は相当なものだと思う.Jリーグ経験者と言えども昇格・降格を争ったことがある選手はそれ程多く無いだろう.関や小林や鴨川のような上位カテゴリでの経験が豊富な選手でもこの重圧の中での戦いは相当厳しいものだろう.
 だからこそ昨年のあの異常な重圧を経験した選手,喜山,川原,玉林,小野,重光,野本,伊藤,堤といったあたりが先頭に立ち戦って欲しい.当然監督も今がそういう状況であることを意識して選手起用して欲しいところだ.


 とにかく負けた.厳しいことを書くと,この時期に下位チームに星を取りこぼすようなチームは昇格できないだろう.諦めてはいないが相当厳しい状況に追い込まれたのは確かだ.
 ただまだシーズン序盤に頑張ったアドバンテージが残っている.やり直すチャンスが残っている.しかも思った以上に下位チームが昇格を目指すチームにモチベーション高く挑んできている.当然他チームも昇格の重圧がある.思った以上に勝ち点は伸びないかもしれない.このブログでシーズン前に今年のJFLは超混戦と書いたが,想像以上の混戦になりそうだ.ちなみに残り7試合くらいになったときに勝ち点予想をしたが(外れそうでここには書いていないが)まだ大きく外れていない.チャンスはあるはずだ.


 同じように県リーグからスタートした大分が,同じ時間に国立で試合を行い,そして見事にタイトルを持ち帰った.その監督が言っていた言葉があった.「ファミリーのようにまとまることが大事だ」と.全く同意見だ.そしてその雰囲気がファジアーノにはあると思っている.だからこそ諦めない気持ちで戦い続けていられると思う.あとは強い気持ちを.



 ちなみに今天皇杯の磐田と栃木の試合を見ているが,不調と言われている栃木だけれどこれで不調って.佐藤は良い選手だ.けど控え中心とはいえ磐田はもっともっと上のレベル.基本能力が違う.これでJ2かもしれないってJリーグはレベルが高いリーグだと改めて感じる.