人骨

オートバイと自転車とか洋楽ロックとか

アルトワークス ETC取り付け

2016年11月03日 | メンテナンス実演(その他)
ETCはこれまで使ったことが無かった。理由はクルマが重たくなるからだ。

…はウソで、本当の理由は、いつも通りのクレジット支払いで料金所通過は十分素早いだろうと思っていたからである。
しかし嫁が買ったクルマにETCが着いており、これを試みに使ったところ、通行料金の安さに驚いた。さらに今年、最も利用頻度の高い中央高速の料金均一区間が、それまで500円チョイだったところ、非ETCは一気に800円に値上げされてしまった。そこで自分もとうとうETCの軍門に降ることにしたのだ。

導入検討のために相場・費用を確認する。純正オプション品は本体1万6千円+工賃5千円、社外品は最安5000円程度という相場であった。純正オプションは値段こそ高いが、イグニッションスイッチ下の専用箇所に「ぴったりスタイリッシュに」収まることについては、金を払う価値があると考えたため、購入をディーラーに掛け合ってみた。もちろん、自分はDIYが身上なので取り付けはセルフで行うから工賃ヌキで、という条件でである。
ところが、ディーラー曰く、セットアップ費用が取り付け工賃に込みなので、自分で取り付けても安くはならないという説明であった。
セットアップ?聞いたことが無い言葉だ。ともあれいったん純正購入は見送った。

そこで今回は、今時そんなニーズはないと思うが、ETCのセルフ導入のための初心者向け解説を書いてみたい。

ETCを導入するにあたっては当然車載器というハードウェアの購入が必要だが、同時に「セットアップ」と呼ばれる製品登録が必要である。料金徴収を確実にするためハードウェアに車検証情報を紐付けてお上に登録しなくてはいけない、という趣旨である。このセットアップが済まないことには、車載器を取り付けていてもETCレーンで無視されること請け合いである。
セットアップ作業は認定販売業者にしか行えないことになっており、個人によるユーザーセットアップは無理である。ただしオートバックスやディーラーでは、持ち込んだ車載器に対してセットアップのみを請け負ってくれるらしい。
またセットアップには手数料を取られる。概ね3千円弱程度である。
したがって、車載器代金+セットアップ手数料が最低必要経費ということになる。

車載器は好きな場所に粘着テープで張り付けても構わないが、自分はイグニッションスイッチ下部にある純正ETC設置穴を使用したいため(穴と車載器の間にスキマが出来てしまい、ぴったりスタイリッシュにはならないが)、そこに車載器を置くための専用ステーも必要となった。
そこで「槌谷ヤック」なるサードパーティ製のステーを導入、1800円程度の出費となった(このステーに車載器をどのように置くのかというと、結局粘着テープで貼るのではあるが)。

ETCカードについては、ETCカード単体での発行は無いため、クレジットカードに追加する形でカード会社に発行を依頼することになる。新規でクレジットカードを申し込み同時にETCカードを発行依頼しても良いが、自分の場合は手持ちのクレジットカードの会社に電話を入れたところ電話一本で追加のETCカードを数日後に届けてくれる手配となった。親カード同様で年会費などは一切かからなかったため、カード利用開始にかかる費用はなかった。

車載器の選定については、嫁の車のETCで気になった「案内音声がうざい」点を解決できるモデルを選ぶこととした。嫁の車はイグニッションをONにするたびに「ETCカードが挿入されています。カードの有効期限は○年○月です」と呑気に案内され、どう設定してもこの音声を消すことは出来なかった。
わたしは気が短いし、とにかく静かなのが好きだ。


選んだのは、パナソニックの912という機種である。こいつはとにかく喋らないことがウリである。ウリというよりは、音声案内が省略された廉価品という位置づけである。自分にとっては逆に高くても良いくらいだ。

購入は大手家電量販店の通販を用いた。購入時に有償でセットアップもしてくれるサービスがあったのでこれを利用した。セットアップ申し込み方法は、車検証等を量販店にメール添付送信することになる。商品価格5千円+セットアップ費用2700円であった。車載器の受け取りと同時にETCの使用が可能となるため、購入と同時のセットアップサービスは便利である。

車載器の取り付け方法はWEBなどで色々案内されているが、いずれも自分で電源配線をやらなくてはならないのがポイント。車載器の種類にもよるが、「常時電源」「ACC電源」「アース」の3種類の配線を必要に応じて取りだす必要がある。
常時電源とは、例えばカーステの場合、時計メモリの維持やチューナーのプリセットメモリ維持などに用いられる類のものである。メモリさえなければ、カーステやETC機器は本質的には運転時にのみ通電していれば良い。常時電源を必要とするETC車載機は、何らかのメモリ維持にそれが必要なのだと推測される。
果たせるかな、自分の選んだ音声も出ない廉価機種が必要とするのは「ACC電源」と「アース」の2種のみであり常時電源は不要であった。

課題となる電源取り出しは、ヒューズから分配するのがDIYの常道らしい。アルトのヒューズ一覧を見ると、ACC電源のヒューズは2つあり、それはシガーソケットとカーステレオであった。ETC車載器の取り付け位置は純正スペースと同位置(運転席側)にしたいのだが、ヒューズボックスの位置は助手席側であり、遠い。そこで自分はヒューズではなくカーステの配線から分岐することとした。
そのためカーステを取り外し、カーステの裏側の配線から電源を抜きだす作業が必要となった。
が、大したことはない。

カーステを収めるセンターパネルは、素手で適当に引っ張れば外れます。センターパネル撤去後、ネジ4本外すとユニットがごっそり外せる。ユニットを取りだすとブルーのカプラで車体と接続されている。写真は、車体側のカプラである。

テスタで調べた結果を書いておくと、以下のとおり。

「黒」アース
「白」常時電源
「白+黒」ACC電源

写真にある車体側のカプラ&ケーブルに手を入れるのは若干気が引けるので、自分はカーステ側カプラから先のコードを分岐した。

こいつを使って、カーステ側のACCケーブルを分岐し、ETC車載器の電源ケーブルと繋いだ。ラクチン。あとはケーブルをダッシュボード内部を這わせて運転席足元まで持ってくれば良い。
なお、車載器の電源ケーブルのアース線はクワ型端子であったことから、アースについては適当なネジにボディアースすることとした(写真撮り忘れたけど、カーステを取り外した空間にアース可能なネジがあった)。

続いてETCアンテナの配線を這わす。フロントピラーの裏側と、天井裏を経由してアンテナ先端端子をフロントガラスに貼りつけるところまで漕ぎつける。
フロントピラーを剥がすのも力づくでバリバリとやる。特に内装剥がしレバーも不要。フロントドアのゴムパッキンはあらかじめ引っ張って外しておく必要があるが、これも律儀に先端部から剥がさずとも、適当な箇所で引っ張ればすぽっと抜けます。


ピラーにはウォッシャー液のホースとラジオアンテナかなんかのクランプがあるので、こいつを借用してアンテナコードを這わせてみた。ラジオとETCのアンテナが干渉するのかどうかは知らないけど無視。


ETCアンテナケーブルは長くて大量に余った。余りはワッカ状にトグロ巻きしておくのだが、取説曰く、トグロワッカの直径は10cm以上確保されたいとか。トグロワッカは、足元ではなく天井部分に生成するようにし、天井裏に仕舞いこんでおいた。
アンテナ先端のセンサーを窓ガラス貼りつけるのだが、この取り付け角度次第ではETCゲートが反応しないのでは?という心配があろう。しかし心配したところで他に取り付ける場所もないので、躊躇なくこの位置に貼るしかないい。


車載器を取り付ける場所は純正と同じとしたが、純正箇所はダッシュボードの切り取り線に従いカッターナイフで切断し穴をあけなくてはならない。自分は穴あけ4辺のうち1辺を切り取らずに残すことで、外から見て車載器が全く見えないようにした。100%入れっぱなしとなるであろう、ETCカード盗難予防である。
ただしETCカードはまだ届かないので嫁に借りてテスト走行。結果問題なく通れたよ。

ところでカーナビは引き続き使用していない。スマホで十分だ。
それこそ重たくなる。
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スズキEN125の復活

2012年10月12日 | メンテナンス実演(その他)
人骨クリニックの新しい患者です。正確には、昨年の暮れから入院してましたが、私がなかなかオペにかかる気が起きずに自宅で放置されていたものです。

今回の患者は、これまで拙ウェブログでも数度紹介された、T課長の「前妻」こと、スズキEN125であります。
T課長は、このEN125を平成19年に購入し、長らく愛していたものの、数度にわたる私からの請願(注)を受け入れ、平成23年晴れて中型免許を取得しホンダCBR250に乗り換えました。

(注)ツーリングにお誘い頂けるのは嬉しいが、課長が125ccで高速道路NGのため、多摩地区在住の私にとって過酷な「房総縛り」が課されるため、「中型に乗り換えて下さい」と請願し続けたモノ。

課長曰く

「あなたのせいで乗り換えたのが1点、おいらバイク王が大っきらいなのが1点、というわけで骨ちゃんが売りさばいてよ!」

趣旨はよく分からないのですが、2011年11月、わたしは課長宅まで電車で向かい、EN125を譲り受け、我が家へ引き取りました。
それが約1年を経て、このたび晴れて売りに出すことになりました。
1年間どうしていたか?何もしていません。引き取ってきたまま放置プレイ(屋根下・カバーかけなのでとりあえず安心)。むろん、乗ってもいません。作業遅れの理由はと言いますと、私の趣味が音楽やらカメラやらキノコやらに移ってしまい、オートバイに触る気が中々起きなかったことによります。自分自身、1年で1000kmも走っていない有様…

引き取り当時の状態は

「チェーンさびさび」
「アイドリング不調」
「フロントブレーキふにゃふにゃ」
「シフトチェンジむっちゃ固!」
「メインスイッチ接触不良」

です。
まあこの辺の修理は得意なので急ぐこともないや、ということで引き取ったEN125は全く顧みられることなく、我が家で熟成されたところ、10ヶ月後はさらに

「バッテリーあがり」

が症状に追加されました。

というわけで、診て参りましょう。



フルード交換

一番最初にブレーキ関連。
1年間何もしてないのに、ブレーキのエア噛みは放置後さらに悪化してました。もう、握っても全くブレーキが掛からない状態。これでは取り回しすら出来ない!
原因は分かりませんが、直す方法は一つしかありません(普通にフルード交換)。
最初はこのように手作業でやってましたが、途中で面倒くさくなってワンマンブリーダー使って一気に作業終えたよ。
原因が気になり、油圧系統をくまなくチェックしたけど、ブレーキホースやキャリパー、マスターシリンダなどから液漏れなどの様子は一切見当たらない。もしかしたら、ホースの材質そのものが空気を通しているんじゃないかしら…その辺が中国製。。。



さびさびチェーン


整備後

サビサビのたるみまくりの状態。T課長は、バイク愛はあるのにメンテ欲が無いストイックな方。クリップ式のノンシールという原付仕様チェーンなので、クリップでラクラク、チェーンを車体から取り外してワイヤーブラシでサビを落とし、給油し、張り具合を調整して完了。スイングアームにある張り目盛も超ラフ。コレダだってこれよりは良い目盛です。中国だ。。。
シールチェーンだとこうは行かず交換コースになるところであった。



得意のキャブ全バラ

続いてお得意キャブレター。
全部バラして洗浄液浸けこみコース。アイドリング不調もこれで解消。吹けあがりも良好になりました。
EN125のキャブの注意事項としては、メインジェットホルダを外した後に、そこからジェットニードルホルダがポロリと外れてくることでしょうか。付ける時は向きに気を付けてください。
なお、通常は存在するエアスクリュー用Oリングが無く、スクリューとスプリングを直接キャブ本体にぶっ込む仕様。エアスクリューの戻し回転は2回転ぴったりでした。
指定のアイドリング回転数は不明ですが、音から察してタコメーター読みで1600程度が適当と思われます。

イグニッションの接触不良
T課長曰く
「メインスイッチがとってもセンシティブで、OFF状態から一旦ON状態にして、そこからホンのちょっとOFF側に戻さないと通電しないのよ。」
そんな箇所がセンシティブである必要性はゼロなので、問答無用でばらしてみると、ON時に導通される接点が腐食していました(写真ナシ)。フッツーにヤスリで磨いてグリスを塗って修復しておきました。

シフトチェンジめっちゃ固
これは単なる給油です。シフトペダルはリンケージ式なのですが、このリンケージの接触部分のゴムブーツが死んでいます。そこでゴムブーツは破り捨てましたが、どうせブーツが付いてるのなら、ブレーキキャリパーの可動部分と同様でグリスが封入されるべき箇所と思います。ボロボロになっていたブーツ内部にそもそもグリスが充填されていたのかどうかも不明な状態。今後こいつにスムーズに乗り続けるためには、チェーンへの給油と同じく、シフトリンケージへの給油が欠かせないと思います。


あとはバッテリーを交換し、エンジンオイルを交換するなど…。
作業は2日で完了。

今回分解して思ったこととしては、いたるところでこれまで見てきた諸バイクと比べて「しょぼい」箇所があるところです。キャブレターのダイヤフラムのゴムはかなり薄くて頼りない感じがしましたし、イグニッションの接点不良も何故こんなところが腐食するのか不思議でしたし、ボルトも全般的にモロくてナメ易い印象があります。中国製・・。

ヤフオク的な商品情報は以下とおり。誰か、もらってください(笑)


スズキEN125-2A

2007年新車購入。現在走行3600km。事故・転倒歴いっさいナシ。走行性能は極めて良好。外装は普通(タンクに1ヶ所小ヘコミがあるのが自分的には最大の瑕疵ですが、他は小キズ程度)。フロントフォークにサビあるものの、摺動部分ではないので実用に支障なし。メッキ部分は色々小サビ浮いてます。リアキャリアつき。タイヤ山は十分ですが、グリップはしないと思うので交換をお勧めします。

ワンオーナー。前オーナーは私のバイク仲間です(書類上は、課長の後に一旦私名義で登録しているので2オーナー)

当方素人ですが一通りのセルフ整備技術あり。ブレーキフルード、エンジンオイル、バッテリーは新品です。他の不具合箇所は全て一通り整備済みです。
低速でよく粘る乗りやすいキャラクターです。ファーストバイクや女性にお勧めと思います。

取りに来て下さる方限定。とりあえず登録済みで自賠責もわずかに残っているので、名義変更ちゃんとしていただく契約のもと、乗って帰っていただいても結構です。
受け渡し後は返品不可ですが、後日整備のご相談があれば可能な範囲で対応したいと思っております(整備好きですので)。
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ダックス(1)

2009年08月24日 | メンテナンス実演(その他)
さて、新しい患者に手をつけることにした。
ダックス50(ST50)というモデルは、1970年代を中心にモンキーとかの兄弟モデルとして発売されていたようだ。その後1995年に再発され、こちらはST50でなくAB26という形式となっている。
今回の患者さんは、再発モデルのAB26型であることが判明している。初年度登録は不明ながら、十数年前のモデルなら部品も大体出るだろう。
患者の主訴は「エンジンがかからない」である。それ以外も含めざっと見立てると、次のような状態。

1.ガソリン全て揮発し、タンクはサビサビ

ガソリンタンク


2.キックは降りる
3.キャブレター内部が緑色
4.フロントフォークのインナーチューブ、錆さび
5.チェーン真っ赤
6.バッテリー当然死亡
7.タイヤもかちこち

屋根下で5年ほど放置といった感じかな。

その他気づいた点として
●ハンドルが絞られている
●社外チタンマフラー装着
●社外アルミステップ装着
といった、カスタムが施されている。

今回の整備は転売目的ではなく、あくまでオーナーへ整備済で引き渡すためのものである。例によって手間賃無料で、部品代のみ実費請求とさせていただくことに。上記のような要整備箇所を伝えたうえでざっとした見積もりを適当に伝えたところ、予算は∞との回答。
さらには、表皮が劣化したシートと、純正マフラーも取り寄せたいとか。

ということで、金額度外視でメンテナンス開始。

まずは第一段階の復活としてエンジンを始動させるべく、燃料系統から手をつけねばなるまい。
キャブのガスケット類を注文。納期は若干かかるものの、入手可能であった。値段は数百円。
ガソリンタンクについては、サビの程度自体は酷くないので(ザクザクではない)、さび取り剤で対応することにした。用品店に行くと「花咲か爺」ほか色んな種類があってナニを選んで良いか分からなくなったが、とりあえずおっぱいが付いていたのでコレにした。やっぱ爺より乳だよね。3500円くらい。

錆取りおっぱい


続いてとりあえず走らすためにやらなくてはいけないこと。
サビだらけのフォークをまず何とかせねば。かつてスクーターのフォークがグリス式だったのに驚いたが、ダックスについては、フォークのダストカバーを剥がしてみると、オイルシールが封入されており、普通のオイル式のテレスコピックフォークのようだ。
ということでインナーチューブ等も注文。こいつは即納で出ました。2本で15000円くらいかな。

チェーンはシール式ではないので、タンクと一緒に処理しちまうのがベストでしょう。処理後はグリスを塗ったくっておけば当面いけるでしょう。

で、まずは燃料系統からバラしにかかります。
カブ系を見るのって、実は初めてです。えーっとどうやって外すのかな。
とりあえずガソリンコックを見てみる。ONとRESにそれぞれホースが刺さっている。
ガソリンタンクに直接付いていないコックを見たのは初めて。このコックはキャブレターに合体している。まずはココを抜いちまおう。結構固い。

ホースの抜けたガソリンコック


ホースがフリーになったので、ガソリンタンクを外します。ダックスのガソリンタンクは、フレーム内部に収められています。

タンクが収まってる様子


中々引っかかって上手く外れなかったのだが、どうもフレーム内のゴムクッションが抵抗になってて引きずり出しにくかった様子。
タンクの左側から来てるホースがONで、右側がRES(多分)。反対につけたらコックのレバーの向きが逆になってしまうアルよ~。

摘出後タンク


続いてキャブレター。じっくり観察したところ、ココを開けて取り外すことに。合ってんのかな。

インシュレータが無いので、ココで外した


緑色のやつがトロトロ垂れました。あの独特のガソリン腐敗臭が漂います(私はこのニオイ結構平気です)。
アクセルワイヤーがトップに刺さってるってことは、2ストスクーターとかと一緒のVM式。中のピストンとニードルも取り外して置く。

摘出したキャブ


意外なことに、一番取り外しが面倒だったのがエアクリーナーボックス。ステーのボルトが、フレームのエンジンハンガーにくっついてるのかな?14mmのスパナを咬ませ、ソケットを当てるんだけど、スパナ側の方がクリアランスが少なく、薄型スパナしか入らないんです。フレームにキズを入れないようトルクをかけるのが大変でした。
エアクリのエレメントも新品を取りました。

あとは室内作業。とりあえず家に持ち帰って今日は終了です。
次回はキャブ清掃とタンクとチェーンの錆取りかな。
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新しい患者

2009年08月02日 | メンテナンス実演(その他)
突然、ご近所から依頼が参りました。

こいつを直して欲しいのだと…。




現状:もちろん不動。

年式は90年代後半。最終型?
放置期間不明。
半野ざらし。
ガソリンタンクサビサビ。
フロントフォークインナーチューブサビサビ。

今まで扱った中では最も熟成が進んでいて、ほぼレストアの域ですね。
こいつは売りに出すのではなく、直った後はオーナーの手許に戻るそうです。
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SACHSその後(後)

2009年04月12日 | メンテナンス実演(その他)

写真21.清浄中の本体の様子

インテークには、ゴミの侵入を防ぐためにこうやってフタをしておきましょう。


写真22.インテークのOリング

今回は再利用。パーツクリーナーで汚れを落としてから、シリコングリスを薄く塗って取り付けましょう。


写真23.キャブ取り付け

グリグリねじって取り付けます。


写真24.エアクリBOXとキャブを結ぶインシュレーター

ここにもOリングがあるので、同様にして清掃、グリスアップ。どうでも良いんですが、なんでOリングが緑色なんでしょう?


写真25.取り付け時の干渉注意

キャブ本体のクランプをマイナスネジで閉めればキャブの固定が完了しますが、その際に一点だけ注意。
取り外し段階で説明した、クラッチのリフタージョイント金属とキャブが接触しないように、クラッチレバーを動かしながら当たらない場所で組み付けるのです。


写真26.ガソリンホースのクリップ

取り付け時にはタイラップバンドをぶった切ってしまったから、ありあわせのホース用クリップでしっかり留めておきました。明らかにサイズが合ってないのはご愛嬌ということで…

※ ※ ※


さて、ここまで済んだところで再度試運転。
前述の赤文字で記載した不具合箇所のうち、2番目に書いたアイドリング不安定は見事に解消した。アイドリングは超安定、吹け上がりも超良好。キャブレターは完璧と言ってよかろう。
しかし相変わらず、突然のガス欠症状と、ナゾの加速不良は発生する。
はっきり言ってキャブOHに全く落ち度は無いという自信があったため、「キャブは完璧、原因はそれ以外」という方向で躊躇無く探求を行うことが出来る。

ここで一旦ザクコへ進捗報告してみたところ、彼女曰く

「もう十分じゃない?」

しかし私はまだ納得いかないので、さらなる修理のためもう1週間もらうことにした。

まずはナゾの加速不良について。
試運転していて、主に減速後なのだが、突然加速が悪くなる時がしばしばあった。
しかし、そのまま停車して空ぶかしをすれば極めてよく吹けあがる。うーん何故だ?

何度か試していて、気づいた。ある時加速不良に陥り、そのままバイクを手で押そうとしたところ、何だか動きがムチャクチャ重いではないか。
はじめは「なんだ、パンクか?」と思ったのだが、すぐに違うことに気が付いた。
そう、フロントブレーキを引きずっているのだ。
どうやら、ブレーキングのあと、レバーを戻してもシューが戻っていない様子なのだ。
その理由は、「ブレーキのカムが固着している」しか考えられない。
加速不良の原因は間違いない、これだ!
そうなれば話は早いので、フロントをバラしにかかる。


写真27.フロントアクスルのナット

サイズは19mm。反対側のナットも同じです。スパナをかけてびっくり、メチャクチャ緩い…
この段階で速攻作業中断。その他すべてのナット類を増し締めしました。命に関わるよこの整備不良っぷり。メイド・イン・ジャーマニー、大丈夫っすか?!


写真28.スピードメーターケーブル

これまた手で緩むくらい、緩んでました。
グリスが流れ出ていて、スピードメーターはアル中患者の指先ごとくプルプル震える状態です。問答無用でグリスアップ(もちろんグリスアップ後はメーターはスムーズに動くようになったよ)。
今は取りあえずケーブルをホイールから抜き取ります。


写真29.ブレーキワイヤーを外します

ここは特に説明いらないでしょう。アジャストボルトをめいいっぱいまで締め込みワイヤーをダラダラ延びきった状態にして、タイコ部分を抜いてやります。


写真30.前輪撤去

フロントホイールのアクセルシャフトは、抜き取る必要はありません。シャフトはフォーク側のツメに載せてあるだけなので、ナットを緩めるだけでホイールが外せます。この辺の仕組みは自転車と全く同じ。さすがモペッドです。
ホイールが抜けると車体は自重でリアに傾きますが、万一に備えてとりあえずビール箱で保護。
なおフロントのブレーキパネルはフォーク側の切り欠きとシッカリはまるように出来ているので、取り付け時は注意です。


写真31.ブレーキパネルの取り外し

ホイールを抜いた後になって、さらにパネルがナットで締められていることに気づく。ホントはホイール取り外し前にナットを緩めればよかったのですが、写真のようにブレーキのカムリフターを手で押さえてブレーキが掛かった状態にすれば、パネルがホイールごとしっかり固定され、難なく緩められるのだ!


写真32.ブレーキのカム

今回、主にこの部分を清浄してグリスアップするのが目的です。ここが汚れると、今回の症状のようにブレーキの引きずりが起きるのです。長期放置以外のケースでも、内部が汚れると起こりやすいです。
なおグリスには熱に強いシリコングリスを使うのがマストとなります。しょぼいグリスを使うと熱で溶けてドラムにグリスが移ってしまい、ブレーキが効かずに即時死亡→朝刊掲載、となります。


写真33.シューを固定するロッド

主に原チャリのドラムブレーキでおなじみのこいつは、結構クセものでして、外すのはラクですが、嵌めるときに色々コツが要ります。しかもそのコツは車種ごとに違っていたりして、なかなか難儀です。
このザックスも、嵌めるのが中々大変でした。


写真34.新品同様のブレーキシュー

このブレーキシューは純正品の新品だったようです。全然減ってませんね。
とりあえず、セオリー通りカドをヤスリで削って落として鳴き止め&初期効きの改善を講じておきましょう。


写真35.シューの比較

上、無修正。
下、カドを落としたもの。
分かりますか?


写真36.ドラム側

こちらの内部もパーツクリーナーでよく洗浄。
シャフトの部分はおそらくベアリングにグリスが封入されていているので、クリーナーは吹きません。
常識ですが、ベアリング部分には絶対CRCを吹いたりしないこと。


写真37.ブレーキパネルの取り付けナット

「フォークとドラムパネルの間の細めのナット」のことを言っています。
上述通り、うっかりホイールを取り外してから存在に気づいたナットでしたが、取り付けるときは、逆にフォークに仮付けしてから締め付けましょう。

あとは普通に取り付けてフロントブレーキ終了。
レバーを握っただけで分かりますが、明らかに戻りが違います。これで引きずりは解消。
ここでまた試運転。結果超オーライ!
赤文字不具合箇所の3番も消えた。

あとはガス欠症状だけじゃ~。


※ ※ ※



さて、このガス欠的な症状なのですが、これはガソリンが来ていないか点火不良のどちらかだろう。
ミクシーのザックスコミュニティを覗いてみたのだが、「走行中突然失速し、そのままエンスト」の報告は結構ある。持病に近いのだろうな。
「それも含めて、手のかかる可愛いヤツ」
なんていう心優しい意見もあったが、私個人としては、工業製品にこんな持病が存在するのは許せない。絶対に原因を突き止めてやる!

まずはプラグを換えてみた。しかし症状変わらず。

続いてガソリン。コックがイカれててガソリンが流れないのではないか?
ホースを抜いて確認してみると、案の定コックが「ON」あるいは「RES」なのにガソリンが流れてこない。つまりガス欠に間違いなかったようだ。

それにしても、ガソリンコックなんて普通そう壊れるものではないんじゃないか?

いろいろ試してみたところ、コックではない箇所に原因があることがスグに判明した。

それがガソリンキャップ。ガソリンを補給する時に開けるアソコのことだ。

というのも、「ON」でガソリンが流れてこないこのガソリンコックであったが、ガソリンキャップを取り外しさえすれすれば勢い良くガソリンが流れ続けるではないか!もちろん「OFF」にすればしっかり止まる。
しかし一旦キャップを嵌めたとたんに、ガソリンの流れがか弱くなり、やがてほとんど出なくなる。

「ナンタラの法則」だか忘れたが、要するにプッチンプリンと同じで、空気穴が無ければ、密閉された液体は下側に流れない。
だからオートバイのガソリンキャップはちゃんと空気穴が開いている。俗に「呼吸」といわれるヤツだ。

ところが、このザックスはキャップの息抜きがイかれている様子だ。その証拠に、走行中にガス欠症状が起きた時、すかさずキャップを半回転緩めて息抜きをしてやり、即また閉めればバイクのガス欠症状は途端に完全に治るのだ。明らかにキャップが死んでいる。
とりあえず、キャップにクリーナーを吹いたりエアーを噴いたり色々やったのだが、若干良くはなったものの完全には改善しない。
これについてはキャップを交換するしかないみたいだ。
しかし幸か不幸か、このザックスのガソリンキャップはキーレスだ。キャップだけ変えても、キーを換える必要は存在しないので、単純に部品交換で直るであろう。


写真38.ガソリンホース途中の可視部分

ふつうこのパーツはタンク内のサビを確認するためのガソリンフィルターなのだが、ザックスの場合フィルター機能は無い単なる可視パーツである。
ガソリンの流れが目視できるのだ。ここを目視することで、ガソリンがちゃんと流れているのかどうか確認できる。


写真39.キャブ全景

ガス欠症状が出たとき、例の黒ボタンを押してみても、可視部分でソリンがチョロチョロ動くのが目視できないようならば、キャップ不良でガソリンタンクが息詰まりしているのが原因である。100%間違いない。
なお、ガソリンがしっかり流れている場合ならば、ボタンを押して数秒もすればダラダラとキャブからガソリンが漏れてくる。
しかし息詰まり時は、ボタンを惜し続けていても一向にオーバーフロウしてこない。
これにて原因究明。ザックスのガソリンキップ、しょぼすぎ

思うに、ザックスが混合給油であることとキャップ劣化には関係あるのではないか?
ガソリン給油後にオイルを注入するのがこのバイクのセオリーになるのだが、ガソリンタンク上部でオイルがうわずんでいるままキャップを閉めてしまうことで、息抜き孔にオイル分が詰まることが、キャップ不良の起きる原因なのではないかな?
あくまで想像だけど。

その他細々した部分を整備してみたが、ともあれ、SACHS整備はこれで終了である。これなら売りに出しても文句は言われないだろう。
試運転中にも思ったことであるが、快調の状態で乗ってみるとこのバイクは結構気持ち良い。日本車に飽きてしまったマニアには打ってつけであろう。グリップによるギアチェンジ、始動時のマニュアルデコンプ、左足でもかけられるブレーキ、等々、普通の現代のバイクでは味わえないマニアックな機能が満載なためだ。わが手許のへたれザックスは、ガソリンキャップさえ新品に交換すれば、もうどこへでも行ける気にさせてくれるだろう。

セールストーク、おわり(笑)
さあ、誰かもらっておくれよ。
うちの庭に置いておくのもジャマだから…。
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SACHSその後(前)

2009年04月12日 | メンテナンス実演(その他)
ハロー人骨です。
さて、以前こちらで紹介した青い眼の即身仏ことモペッドのSACHS OPTIMA50が、ついに当クリニックへ入院してきた。
残念なことに、売却前提での入院である。修理後にはザクコの手を離れるのだ。二度と元の場所には戻れない悲運のクランケである。
しかし新たなオーナーの手で愛されたほうがこのモペッドにとっては幸せなことであろう。現在のオドメーター、200km弱

ということで、モグリの整備士である私がこの即身仏を徹底的に洗いなおすことにした。今回はザオラルではない、ザオリクである。しかも、ザクコが金をかけられないというので、部品交換をしない前提での修理である。これは難しいオペだぞ。

「自賠責は大丈夫?」
「へーき、ちゃんと払ってるよ!」
しかしナンバーに貼られたシールを見ると、平成18年で終わっている。書類をチェックしたが、更新されている様子はない。どうやら彼女は自賠責と自動車税と勘違いしているようだ。っていうか、前回これで試運転しちゃったじゃないか…

公道における試運転については断念せざるを得ない。そこで今回はトランポで当医院まで持参し、普段私が使用している総延長数kmにおよぶテストコースへ持ち込み試運転を試みてみることにする。
すると次々と不具合箇所が明るみになった。前回の修理時は、ワイヤーに注油しただけで取りあえず無事に走ってくれるような気がしていたが、そうはいかなかった。やはりいくらナチスドイツであっても、3年放置のマシンでは注油だけでは復活しないようだ。

まず不具合の症状は次のとおり。


1.満タンにもかかわらず、走行中に突然ガス欠症状を起こしエンスト。

しかし、エンスト後しばらく放っておくと、何事も無かったのかのようにエンジンがかかる。


2.アイドリング状態で放っておくと、どんどん回転が上がっていく

濃いのか薄いのか知らないけど、やっぱり吸気系統だな…


3.空ぶかしは軽く回るのに、なぜか加速しない時がある。

常にではない。タマにである。こういうのは厄介だぞ



ネット等で調べてみたのだが、このOPTIMA50というモペッドに関する整備情報はほぼ皆無。無いことは無いのだが、役に立つものは皆無といって過言でない。そこで私は急に色めきたった。何故なら私が整備してその詳細をこのクソウェブログで発表すれば、本邦唯一のザックスの整備情報となるからだ。これは皆さんの役に立てるに相違あるまい!
私はこういうのに弱い。

ということで、セオリー通りキャブレターから分解清浄するよ。


写真1.エアクリを外したところ

エレメントを外しただけです。金属製の留め金で固定されているので、マイナスドライバー等をテコにして留め金を外しましょう。


写真2.キャブレター外観

黒いキャップが、マニュアルにも書かれているナゾのボタン。今回こいつの正体が明らかになります。


写真3.エアクリ側から覗いたインテーク

白いフタみたいなのが見えますね。こいつが、何とこのバイクのチョーク機能の本体。チョークワイヤーを引っ張ると、この白いフタがキャブのインテークを軽く塞ぐのだ。確かにエアが減って濃くなるけど、そんなのってアリですか?!カルチャーショック。


写真4.キャブ上部

上のワイヤーがアクセルワイヤーで、下のホースはガソリンね。


写真5.アクセルワイヤー撤去

ピストンは、スプリングを縮めれば抜けます。この辺はそこらの2サイクルの原チャリと全く同じ。


写真6.スロットルバルブ

アクセルワイヤーとピストンが直結。これも一般的な2サイクル仕様。


写真7.ガソリンホース撤去

普通ホースはクリップで留めてあるものだけど、こいつは使い捨てのタイラップで留めてある。ニッパーでカットします。当然再利用不可。日本車と比べてメンテナンス性で劣ると言える。


写真8.キャブ撤去

アクセルとガソリンを外せば、あとはマイナスドライバーで本体クランプを緩めてクリクリと捻るだけで抜けます。これもまあ一般的。


写真9.キャブ下側

ここでまた驚き。ガソリンを抜くためのドレンは存在せず、オーバーフロウホースも存在しない。底部に空いてるこの穴からガソリンが抜けるのだが、仕組み的にはオーバーフロウ穴と言える。フロートチャンバー内の油面が一定に達すると勝手に抜ける。かつ、ドレンを兼ねているわけだ。日本車ではお目にかかったことが無いシンプルさ。


写真10.キャブ撤去後のインテーク付近

とりあえず汚れていたから綺麗にふき取りました。キャブ本体を避けるように取り付けられたコの字型の金具は、クラッチワイヤーとリフターをつなぐジョイント金具。
今まで見た限りのバイクでは、普通クラッチワイヤーは最低限のテコ目的で小さめの金具を介してリフターにつながっているのだが、これはかなり派手な金具だ。これはリフターがクランクケースの外側に位置しているせいだろうか。無駄な仕組みに思えた。


写真11.フロートと、フロートピン

フロートチャンバー(キャブの下側のフタ)はマイナスドライバ2本でカンタンに外せます。今回は一切の部品を再利用するため、ガスケットを破かないように注意。
中身なのですが、腐ったガソリンも見当たらず、サビ粉も見当たらず、きわめてキレイな状態でした。これならガソリンタンクも錆びていないはずです。
しかし一見キレイでも結構ネバネバして詰まってるのがキャブレター。ここではキャブ洗浄オタクの真髄を発揮します。
最初に顔を出すのがこのフロートですが、フロートのピンは軽く圧入されているため、極小ドライバー等を当てがって、ドライバーの柄などでコンコン叩かないと抜けません。フロートバルブが金具で固定されている仕組み等は、日本車と同じで普通なようですね。


写真12.アイドリング調整スクリューと、ナゾのボタン

大体正規のアイドリング回転数に合わすには、マックス閉めこんでから2回転半戻しくらいです。まああまり気にしなくて良いでしょう。スクリュー取り外してみましたが、Oリング等は一切使われてません。いい加減だなあ。

で、上述のボタンの正体ですが、単にボタンと繋がったロッドが下まで伸びているだけの仕組み。ロッドはフロートに直接接触します。
ナゾのボタンを押す→フロートが押し下げられる→強制的にフロートチャンバー内部にガソリンが流入する
たったそれだけの仕組みでした。マニュアルには5秒程度とか書いてますが、適当に押してるとすぐにオーバーフロウして例の穴からガソリンがこぼれてきます。。
なおこのキャブはオーバーフロウしようがなんだろうが構わずにスグエンジンがかかります
素晴らしいというか、なんというか…


写真13.メインジェット

写真の真ん中のが、メインジェットと、そのホルダー。その左下に見えるのはフロートバルブ。
これを見て、私はビビってしまった。
そう、このキャブレターには、スロー系統が無いのだ!
こいつにはのけぞるほどたまげた!思わず傍にいた3さいの息子に声をかけてしまいました。
「おい見ろよ、このキャブ、スローが付いて無いぞ!」
「ンー、ソッカア・・・ソロウガ付イテ無イカア・・・」
なんていうか超シンプルではないか。
どこがナチスドイツの科学力だ。


写真14.ジェットニードル

いちおうクリップが付いています。段数は一番上に止まってるので、そのまんまにします。チューンナップの余地とかは皆無。


写真15.メインジェットとジェットホルダーならびにスペーサー

ホルダーの穴のなかに、スペーサーをポトンと落としてあり、その上からメインジェットが付きます。
分解してポロリと外れて初めて気づきました。こんな場所に付いているスペーサーは初めて見ました。無くしやすいので注意。
いい加減なバイク屋とかにキャブレター清掃を依頼すると、こんなナゾの部品は紛失されそうな気がします。


写真16.洗浄中

とうとう、内部にOリング類は一切見当たりませんでした。唯一、例のキャブ上部に付いている樹脂製ボタンだけは取り外し不可なので、そのまま洗います。
メイン系統のエアジェットは写真に見える穴1つだけなので、ここには念入りに薬剤を注入しましょう。


写真17.洗浄後の各パーツ

クリーナーに漬けない部品については、パーツクリーナーで丁寧に洗浄します。


写真18.洗浄後のメインジェットホルダー穴

キレイに貫通していますね。


写真19.フロートの組み付け

ピンは、外した時と同じ要領で、ドライバ等を当てがって、ドライバ柄とかでコンコンやって軽く圧入します。
なおフロートバルブには、段付き磨耗とかは一切ありませんでした。走行距離200km未満というのが本当かどうかの傍証になりえます。


写真20.清浄、組み立て後のキャブ

何度見ても良いものです、きれいなキャブレター。
フロートチャンバー合わせ部のガスケットは再利用したので、念のため耐ガソリン性の液体ガスケットを塗布しておきました。我ながら気配り最高!
なお漬け置き洗浄の所要時間は、60分程度です。


(後編に続く)
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SACHS

2008年11月18日 | メンテナンス実演(その他)
1.青い目の即身仏

ハロー人骨です。ハローハロー、ハロー。超お久しぶりです。
この間ナニをやっていたかというと、音楽ばっかやってました。
今年の夏はろくにツーリングも行かせてもらえなかったし(赤ん坊がいるので妻に悪い)、かわって家にとじこもり、子作りはもう良いからシコシコと音楽を作っていたのです。作ってどうするのかはまだナイショです。「32歳のおっさんが今さらバンド野郎もないだろう」と思われそうですが、ご安心を。年齢相応の裏方活動をしたいと思っています。まあそんなことはどうでも良いっす。

さて最近このウェブログは自他共に認めるバイクブログと化したので、バイク以外のことは書かないような雰囲気に、勝手に浸っています。それがようやく書くネタにありつきました。
というのは、先日修理を依頼され余所様のオートバイを分解する機会に恵まれたのです。しかも今回のクランケ(患者)はわが人生初の外人です。ドイツ人です。つまりジャーマンです。とうとう人骨モーターズの信用度もここまで来ました。カモーンBMW!

往診することになり、上のチビを連れて訪れてみると、そこにいたのはとっても小さなバイクでした。ナンバーはなんと原付です。BMWに原付なんてあったのか?
こいつがその正体です。



ご覧の通りのモペッドです。ゴテゴテのPOPも良い感じっす。大人のペット。もう見た目的にどこからどう覗いてもこいつはモペッド。何ていうんですかねこれは?
SACHS?
聞いたことねー。

オーナーは女の子。思いっきり日本人です。ちなみに髪真っ黒(可愛い)。

「だって可愛かったんだもん」

何でも聞くところよれば、見た目の可愛さに惹かれて購入したは良いけど、全く乗りこなせなかったため、買ってから1回しか給油してないとか。そんなに見た目が可愛いのかよモペッドや。彼女にモルモットなんか見せたら可愛すぎて気絶しちゃうだろうな。

SACHSと書いて「ザックス」と読むのだそうだ。車名は「OPTIMA50」。オプティマ。聞きなれない言葉だなあと思い車名の意味について調べたところ「ぴったりな(最適の)」という意味らしい。意訳すればさしづめ「普段着」ってトコだろうか。つまりゲタの意である。
その後このザックスはおよそ2年間、即身仏として彼女の実家に祀られていたそうである。今回このドイツから来た青い眼の即身仏にザオラルを唱えてやるのが私の役目である。

「それにさー、『SACHS』だなんて、なんか私の名前に似てない?」

ですので、ここでは彼女の名前を仮にザクコと呼びます。ザクコの実家を訪れると、ガルマ様ふうの彼氏とマチルダさん風のオカンが一緒にお迎えしてくれた。最高っす。
私が庭を覗くと、「最適上人」のミイラは既に厨子から出されていて、雑巾がけされているところであった。
ガイ者もとい外車と聞くと若干尻ごみしてしまうかもしれないが、まあ相手が白人だろうが上人だろうが開けちまえば中身は全部一緒だろうと安易に考え、かなり軽い気持ちで臨んだ。およそ考えられる故障個所は、キャブレターのつまりとバッテリーあがりくらいであろうと予測しながら。
しかしこのミイラを見た瞬間、私は一瞬唸ってしまった。

「こ・・・・これは」

「き・・・・気持ちいい・・・!」

のでは全然なく、得体の知れないメカニズム。かなり面喰ってしまった。
まず左グリップでギヤチェンジを行う仕様になっている。噂には聞いたことがあったが、ベスパ等はハンドルごとガゴっと回してシフトチェンジするというが、これがまさにそれだった。そういや足こぎペダルなんだもんな、チェンジペダルが無くて当然と言えば当然。
エンジンのかけ方からして既に分からん。リアブレーキも見当たらない。ハンドルからは夥しい数のワイヤー類が伸びている。2サイクル50cc短気筒。ガソリンはなんと混合給油。これもベスパと一緒か。
ちなみにリアブレーキは、ペダルを漕ぐのと逆方向に踏む仕組み。チャリンコのペダル逆回転のつもりで踏んだ日には速攻ロックだろう。
ホーンについては、なんと「チリンチリン♪」のみだ。

イグニッションを回すが何の反応もない。バッテリーはダメだろう。おそらくフラマグ点火と思われるので、バッテリーが無くてもエンジンはかかるはず。とりあえずザクコに始動方法を教わり試みる。かかればお慰みだ。ペダルを蹴るのだが、全くかからない。そもそもクランキングしている気配がない。
とりあえず取り説が出てきたので、これを見ながらトライすることにしたが、これまた単なるコピーをホチキス留めしたものであった。模範解答のコピー並みに見にくいため、すぐに見るのを辞めた。


2.メンテナンス箇所

当初いきなり修理にかかろうかと思ったが、はっきり言ってワケわかめ。
とりあえずは最適上人と戯れることから始めることにした。エンジンのかけ方が分からんので、2速に入れて押しがけすることにした。

チビをザクコに預けて遊んでもらっている間に道へ出る。頭の中は直せなかった時の言い訳づくりでいっぱいだ。「すみません、やっぱりナチス・ドイツの科学力は世界一ィィでした!」で良いかなとか。

2回ほど飛び乗ったところなんとあっけなくエンジンが始動。即身仏がパッチリとお目覚めになられた。キャブレターに問題はないと踏んだ。これはラクそうだ、ほとんど修理する必要もあるまい。ひと安心した。

ところが違うトラブルが発生。ギアが2速に固定されてしまい、動かなくなってしまったのだ。最初は操作方法がいけないのかと思ったのだが、間違っていない。操作方法はクラッチレバーを握ってハンドルレバーをガコガコするだけである。これが何故か全く反応しない。
やむなく2速だけで発進停止とする。センタースタンドがあるのでクラッチを繋いだ状態でアイドリングが可能だ。
エンジンの方は、温めてやればアイドリングも安定している。さすがジャーマン!

さて、あとは問題のギアチェンジである。チビは完全に預け、私と最適上人の2者だけでガチンコとなる。
最初は面食らった各種の変わった仕組みだが、だんだんと馴染むことができた。
まずはグリップを回転させる例のギアシフトだが、これは左のハンドルボックスに仕込まれたワイヤーを介して行われる。自転車と同じだ。クランクケースの真上にシフトリンケージのロッドがにょっきり突き出しており、これをワイヤで操作する。リンケージ本体を押してみたところ、ちゃんとシフトチェンジすることが判明。シフトがぶっ壊れてしまったわけではなかったようで、ひと安心する。となるとワイヤーが怪しいな。
なお、クラッチレバーにはツメが付いており、ボックスの切り欠きにはまることで、N、1、2の各ギアポジションにしっかり固定される仕組みであった。

続いてエンジン始動なのだが、クラッチを切ってキックしていたのだがいけなかったらしい。クラッチを握ると、スターターギアまでも切断されてしまうようだ。何故クラッチを握ったのかと言えばキックが全く降りなかったからなのだが、これは手動デコンプが存在しているせいあった。左ボックスに付いているレバーを引くと圧縮が抜け、ラクに蹴ることができる。デコンプなんてSRとかにしか付いていないと思っていたし、使ったこともなかったので一瞬びびったが、要は蹴ると同時に引いていれば良いだけだ。これで初めてクランキングしたよ。とほほ。

チョークレバーは右手ボックスにあるのだが、これはなぜかスプリングが仕込まれたワイヤーであり、引ききった状態で固定できない。つまりチョークを機能させるにはずっとレバーを引いていないといけない。これは少々面倒くさい。
また取り説には、冷機始動時はキャブについている「ボタン」を5秒くらい押してから始動すること、と書かれていた。これも「は??」だった。おそらく想像だが、フロートレベルよりさらに上面に別のジェットがあるものかと思われる。試さなかったが、ずっとボタンを押すとオーバーフローするのだろう。とにかくいままでお目にかかったことの無いメカニズムが満載。
この状態でキックを試すと無事エンジンが始動した。

ザクコが練習中に壁に当ててねじれたというフロントフォークは軽く手足でひねって修正し、フラットスポット寸前のタイヤに空気を入れ、あとはギアシフトワイヤーの処理だけとなった。
最初は遊びの調整が狂っているのかと思い色々試したのだが、どうやらそうではないらしい。
このワイヤーなのだが、まさにチャリンコ然としており、フレーム裏側を通ってシリンダーへ達すると、そこから先はアウターがないむき出しの状態である。赤錆こそ来ていなかったが、白っぽくてカサカサになっている。これでは潤滑なんて期待できないだろう。
もしかして単なる油切れ?油切れにしても、ここまで全く動かないものだろうかワイヤーって。
あいにく油脂類を持参していなかったため、借してもらったクレ556を用い、上も下も外してフリーとなったワイヤーへガンガンと油を注ぐ。組み付けるとこれが、動いた。そんなものなのかぁ。

最後に赤錆びに染まったチェーンを取り外して、持ちかえって磨くことにした。
それから身体検査して分かったが、このマシンはバッテリーレスであった。
この時点で方針決定、再度ワイヤーにしっかりグリスを送りこみ、チェーンの薄いサビを落としてグリスを吹けば良いだろう。
2年放置の即身仏が、グリスアップだけで蘇る奇跡。さすがジャーマン。なのか?!
次週に再度チビを連れザクコ宅を訪れ追加の作業を行う。事前にワイヤーブラシでサビ落とししグリスアップを済ませたチェーンを仕込み、シフトワイヤーには専用グリスを注入した。これだけでシフトチェンジは問題なく行えるようになった。

3.インプレッション

試みに給油がてら数キロ程度の試運転を行ったのでインプレでも。
まず始動性。これはかなり良くない。2スト50㏄ながらキック(ペダル)がかなり重い。
うちのコレダ号はおそらくオートデコンプを搭載しているだろうから、キックは非常にラクである。仮に走行中にエンストしたとしても、跨ったまま軽く蹴るだけで再始動が可能である。
ところがこのザックスは、デコンプレバーを引いても体重をかけなければ始動できない。おそらく跨ったままエンジンをかけるのはムリだろう。
そして肝心のエンジンのかかり具合であるが、これがまた良くない。重たいキックを数回やるのは、かなり疲れる作業だ。普段着という名を持つOPTIMA50は、ゲタはゲタでも洒落たサンダルとは程遠い「鉄ゲタ」である。

続いて操作性等。
シート座高は自転車のサドル然としており調整が可能だが、一番低くしてもかなり高い。780くらいあるんじゃないか。ゲタ代わりの原付でこのサドル高は日本人の体格に合っているとは言えず、ザクコに至っては足が着かなかったことであろう。
独特のステップ(ペダル)であるが、走行中はママチャリで坂道を下っている気分で軽く足をかけていれば良いのでそれほど違和感はない。ところが前述の通りリアブレーキはペダルを逆回転させるという奇妙なギミックである。左足でも右足でもブレーキ操作が可能という点ではメリットなのかも分からないが、走行中にペダルの位置がずれると正方向へ空漕ぎしてからブレーキを踏める位置まで随時調整する必要がある。これではパニックブレーキには対応が困難だ。
ウインカースイッチは右手にあるが、これまた日本車ではお目に掛からない位置についている。「フロントディスクブレーキ車のリザーバタンクが着く場所」と言えば分るだろうか。はっきり言って、手届きません。ドイツ人の大きい手でもムリだろう。古いカブとかはウインカースイッチが縦形であったが、操作方法はこれに近い。アクセルから手を放さないと操作できないので、私は走行中は左手でウインカーを操作したよ。
もう1か所操作しづらいのが、「1速でクラッチを切ってアイドリングキープ」である。
このバイクは左グリップを回転させシフトワイヤーを介しギア操作をするのだが、グリップ位置を各ギアへ固定するための仕掛けとして、クラッチレバーにツメが仕込まれている。これはクラッチを繋いだ時にレバーが各ギア位置でボックスにガッチリはまることでギアが外れないようにするものだ。ツメの位置とずれているとギアは入らないしクラッチも繋げない。
都合1速はシフトワイヤーに引き方向のテンションがかかる。よって1速に入れる時のグリップは重い。だから1速でクラッチを切ってアイドリングしているときは、レバーのツメが機能していないせいでグリップにテンションがかかったままとなる。グリップ位置が1速から外れないように、左手で位置をキープしていると手が疲れてくる。アイドリング後に発進しようとしたらグリップが戻ってしまっていてツメがハマらず空ぶかし、という経験を何度かした。ワイヤーの遊び調整でラクなポジションを探したが中々上手くいかない。ここもマイナスポイントだね。
それから混合給油仕様も面倒。給油後スタンドのレシートとにらめっこしながらエンジンオイルを足し、タンクをよくシェイクしなくてはならない。

続いて音。これは文句なくすごい良い音である!国内規制なんて無視だから当然なのかもしれないけど、見た目に似合わず50ccとは思えない低音の効いた獰猛なエキゾーストノートを出します。
「ばらんばらんばらん!ばイィィィん!」です。
遊び仲間のT課長のスズキ逆輸入原付も良い音しているが、やっぱり海外のバイクは気持ち良い音が多いのかな。
しかしOPTIMAで一番良い音がするのは、上述のホーンであることは言うまでもない。
走行中、
「うわ危ねー割り込みだ、こいつオレの存在に気づいていないらしい!どいてくれー、チリンチリン!
と鳴らしたところで、多分その音は自分にさえ聞こえない。もうこれは風鈴かなんかだと思った方が良い。夏に荒川土手あたりまでツーリングに出かけ、のどかな田園風景の中をのんびり走りながら、「あー暑いけど風が気持ちいいなあ、チリンチリン」というのが正しい使い方だろう。

乗り味は極めてビジネスバイクに近い。低速から非常によく粘り2速発進もできる。ハンドルグリップのギアシフトは、操作方法自体は案外すぐに慣れるので問題ない。2速しかないため速度にはあまり期待していなかったが、50km/hまで問題なく出るようだ。大体発進時のみ1速であとはほぼ2速固定、ほとんどギア操作必要なし。オートマに近い。今回アップダウンは走行していないのだが、登板能力がどれほどのものなのかは気がかりであった。

上記インプレは1回乗ったきりのものですので、慣れればもっと効率よく作業できるかもわかりません。あしからず。

4.むすび

そうそう、忘れてはいけない、モペッド最大の特徴があった。
「エンジンを切って漕いでも自転車のように乗れる!」
ところが私はそのことを忘れていたので試していない…ホントに走るのか?!
うろ覚えだけど日本の法律って、エンジンつきの乗り物は「エンジン切って、降りて押せば、歩行者扱い。それ以外の状態は自動車扱い」だった気がする。だからチャリンコとして乗りたくても、車道限定でヘルメット着用がマストなんじゃないかな?よく分からん。
モペッド自体は結構街中で見かけるけど、そういや漕いでいる人は見たことないよね。ザクコも見たことないと言っていた。
しかし、練習したけど乗りこなせず壁に激突して泣いた彼女は、たぶん1回か2回は漕いでいると思う。
ちなみに私が上記法律に詳しい理由は、バイク運転中に右左折したい信号が目の前で赤になった時に、よくエンジン切って歩いて堂々と押して渡るからだ。
すいません短気なDQNで…。

ということでSACHS完。
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KITACOのリアショック

2008年08月02日 | メンテナンス実演(その他)
キタコ製のリアショックを付けてみました。
多分モンキー用です。



左、ノーマル。右、ソレダ。


長さは305㎜のをチョイスします。コレダのノーマルサスとピッタリ同じ長さです。商品に付属するカラーは2種類ですが、このうち肉厚のある方(内径10㎜がピッタリ使えます)。

カラーをサスのピボット部へ挿入するには、力づくでは大変です。
まず、ピボットにあらかじめ挿入されているゴムブッシュを一旦取り外します。
続いて、外したブッシュへカラーを半分だけ入れます(楽に入るはず。潤滑にはシリコンスプレーを利用)。


こんな感じで


それから、カラーがはみ出したままのブッシュを、サスのピボット部に戻します。
ブッシュがピボット部にはまったら、最後に残りのカラー半分を全部押し込んでください。
これで準備終了。

続いてノーマルサスを取り外します。サスを外すにはシートを外す必要があります。ソケットサイズ17mmのネジが締まってる箇所は結構固いですが、簡単に外せるでしょう。あとはリプレイスするだけ!

…と思いきや。実物を取り付けてみて分かったのですが、残念ながらポン付けは不可能です。干渉する箇所があります。

第一に、リアフェンダーに干渉します。スプリングがフェンダーと擦れてしまします。ノーマルサスに比べて、スプリング外周部の径が太いせいです。
第二に、スイングアームに干渉します。スイングアーム側のピボット付近に、サスの下端が当たってしまうものです。

しかし非常に惜しい感じですので、ここは何とか現物合わせで加工して取り付けましょう!

まずリアフェンダー。干渉の度合はごくわずか。こいつの処理は簡単。フェンダーを力づくで内側へ曲げるのみです。ショックが当たる部分をプラハンでバキバキ叩いて窪みを作ります(振動でウインカーバルブが切れたよ…)。窪んだ箇所を狙い、グラブバーをテコの支点に利用して、長いレンチで曲げます。クランプがあればラクそうなのですが、あいにく持っていません。目標クリアランスは「フレーム側ピボットへワッシャを入れない状態でゼロ」くらいまで曲げればOKでしょう。
これは楽勝です。


スイングアーム側の干渉箇所


続いてスイングアーム。ここは悩みます。本当に数mm程度なのですが、スイングアームとリアサス本体が当たってしまいます。このおかげでボルトがはまらないのです。
サスを上下逆さまにひっくり返せば難なく着くのですが、オイルサスではご法度のようなので、却下です。

こいつは切削するより仕方がありません。切削というと、やったことがないので非常に敷居が高い気がします。
まずは、オイル漏れを心配しながらもリアショックを削ることにしました。
といってもその手の工具を持っていません。「サンダー」とかですよね。流用加工とかカスタムはあまりしない方なので、切削加工とはこれまで無縁でした。また工具を買わなくてはいけないのだろうか…。
一応、購入する前に、ホビーオタクである実家父親に持っていないか聞いてみました。
すると幸運にもこんなもんを貸してもらえたのです。


名称不明


電動ドリルに付けるだけの砥石状のアタッチメント。
こいつは行けそうだ!

最近大活躍中のビールケースへサスペンションを据え付けて、サスペンション側の干渉箇所をガリガリと削りにかかります。暑い日だったので表で裸で作業していたのですが、火花と鉄粉が肌に突き刺さってムチャクチャ痛い!自分の方に鉄粉が飛んでこないように気をつけて慎重に削ります。


この辺を削ります



これぐらい削った


大体このへんまで削ると、とりあえずスイングアームに収まってくれるようになりました。これ以上削ると心配かな。

ただしこれでもクリアランスはほぼゼロなので、結局スイングアーム側も若干削ることにしました。スイングアームは2枚の鉄板をプレスして出来ているようなのですが、上の方の干渉シーンの写真でも分かるとおり丁度この箇所が合わせ面となっていて、若干バリが出ています。
このバリが主たる干渉箇所ですので、完全に平面になる程度まで削り取ります。


こっちも削った


削った後はパーツクリーナーで洗浄しすぐに黒でタッチアップしておきました。


収マッタ


これくらいのクリアランスを確保できればOKかな?
右側も同様の作業を行って、干渉問題を無事に乗り越えることが出来ました。

万難を排除して、いざ取り付けようという段になってまた問題が。
フレーム側のピボット部分にはめるゴムブッシュなのですが、KITACOの付属品はノーマルより幅が小さすぎ、取り付けると遊びが生じてしまうのです。
純正のゴムブッシュは、カラーの幅以上に張り出しています。サスを固定するボルトとナットでもって、ブッシュをカラーと同じ幅になるまで締め付ける仕組みです。
仕方ないので純正リアサス上端のゴムブッシュを取り外して再利用することになりました。

こいつを外すのが超!大変。めっちゃくっちゃ固く収まってます。
カラーは難なく抜き取れますが、ブッシュ本体が鬼です。
サスをビールケースに置き、ブッシュに合うサイズのソケットレンチをあてがい、尻で全体重をかけてグリグリして何とか抜き取りました。
それでもなかなか外せずに、諦めて単体で純正部品を注文しようとも思ったのですが、あいにくこの部分はサスと一体になっており単体で出ないようです。
何とか外した時にはもう汗だくでした。
外すのは鬼でしたが、はめるのはスルリと行きます。

さてようやく全ての関門をクリア!とうとう取り付けられます。
取り付けに際しては、スイングアーム側のボルトとナットのうち、ボルトの方もしっかり締めましょう。実はスイングアームにもネジ山が切ってあって、ナットが無くても締め付けられるようになっています。多分、ボルト側でしっかりとゴムブッシュを圧縮させようという意図なのだと思います。ピボットのゴムはしっかり圧縮させれさせるほど、カラー部が固く締まります。ちょっとエロいですね。


かんせい!


さて、イザ取り付けが完了したリアサスの乗り心地はというと、フニフニだったノーマルと比べるとカチっとコシが出ました。リア荷重気味で運転すれば高速時の安定性はかなり改善されます。
プリロードは5段階ですが、最柔から2番目くらいでノーマル相当レベルです。
ただし固めに振るとフロントのショボさが余計に貧弱になり、急加速や急減速でハンドルを取られるような症状がでます。
早めにフロントも対策したいものです。
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スズキコレダスポーツ50/K50のエンジン分解(6)

2008年07月28日 | メンテナンス実演(その他)
なぜ混合給油仕様に出来ないのか?
それは、分離給油のタンクが空になってしまった場合に、仮に混合ガソリンを用いていたとしてもベアリング側の潤滑が不十分になるおそれが考えられるからです。
実際のところはどうなんでしょう???


ミッション

ひとまず、バラバラになって取り出したミッションを、元あった形に組んだものです。それ以外のギアもバラかさずにスマートにケースから取り出すのはなかなか困難です。MONKEYマニュアルによれば、あとで困らないよう、元通りの形に輪ゴムでくくりつけておくことが推奨されています。確かに私の場合でもパーツリストを見ないと組めませんでした。
なお、数か所サークリップで止めてあり、外れないようになっているギアがあります。特定のギア1枚のみを交換したいような場合、それらのサークリップを外す必要がありますが、今回は特に何もせず、洗うだけにします。
そうそう、ミッション室内部は鉄粉が底の方にたまって黒ずんでいました。2ストのミッションオイルはなおざりにされがちですが、それなりに汚れるものだと分かりました。ちなみに12000kmの間に3回ほど換えてます。前回変えたのは、いつだか分からないくらい昔です。まあこの辺を掃除できるだけでも腰下を分解した甲斐はあったかな?


コンロッドとクランクシャフト

写真はひと固まりになってますが、コンロッドはピンを抜けば外せるようです。バランサーウェイト+クランクシャフトは一体部品です。
ところがパーツリストによればこの一体部品の名称は、「クランクシャフト(レフト)」とか書いてあるのです。何故左なのか?かつて2気筒のモデルが存在し、その片肺だけがK50に採用されているのか?でもシャフトまで一体になっていて、それがもう1気筒分存在するというのも考えられないし、ナゾです。


キックシャフト


キックシャフトもミッションとギアで繋がってますが、被せたガスケットの上から載せることになるので、ミッションと一緒にくっつけたまま外すことは出来ないです。
なんかワッシャが2枚ありますが、うち1枚はそっくりかえったワッシャです。並び方は写真の通りです。
あとキックシャフトのギアにはチキチキと鳴るラチェット機構?ワンウェイクラッチ機構?が着いてます。
ソケットレンチと同じ要領です。エンジン始動時にキックを踏み、そのままペダルを踏み下ろしたままにしていると「チキチキチキチキ…」と鳴りますが、それはおそらくこの部分でしょう。実はギアの仕組みはよく分かってませんが、エンジンがかかるとこの部分は自動的に反対回転に変わるんでしょうか?よくわからんとです。
注意すべきは、シャフトを取り外すとこのラチェット機構がすぐバラバラになるので、戻し方を間違えないように、という点のみです。


ミッション洗濯中

前述の通り、ミッションオイルはかなり金属粉で汚れていました。これらのオイルを洗い流すべくミッションは洗濯することにしました。愛用のメタルクリーンαという洗剤を使いました。
一晩くらいつけておけば十分です。防錆被膜ができるらしいのですが、洗剤を水で洗い流しても効果あるのかどうかは不明。水で流してドライヤーで乾かしていたら黄色っぽくなってきてしまったので、あわててオイルを差しました。


ガスケット

分解洗浄が済んだら、クランクケースとクラッチカバーのガスケットを新品に換え、組み付けるのみです。組み付けに際しては、ベアリングを含む擦動部に事前に注油しておきます。
なおクラッチ側分解写真で説明したシフトの外部機構に2か所と、リードバルブ取り付けネジ2本、それからシリンダのスタッドボルトにネジロック剤を使います。
プライマリーギアのワッシャは新品にしましょう。

クランクケースを締める+ネジのトルクはよく分かりませんが、1.0kg/mくらいで締めておきました。

あとのことは省略!


電動インパクトドライバーとショックドライバー

今回大活躍したMVP工具どもです。無事に作業できたのはこいつらのおかげと言って過言ではありません。



で、探し物だったクランクピンのクリップは…

無かった。
全く無駄な作業でしたが、勉強になったので良かったとします。

もし何かコレダの整備情報でお知りになりたいこと等ございましたら、メールくだされば返答いたします(わたしに分かる限りですが!)。

<完>
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スズキコレダスポーツ50/K50のエンジン分解(5)

2008年07月20日 | メンテナンス実演(その他)
ところで、降ろしたエンジンを上から見てみます。


ところで上から見ると


ご覧のとおりです。左右にシャフトが飛び出しているのがお分かりでしょうか。ネジやパーツ取り外しにはエンジンを横倒しにしないとなんとも無理なのですが、シャフトが突出しているせいで床にも置けません。ほどよい網目になっているビールケースが無ければ作業は困難を極めます。
前述MOKEYマニュアルでは「適当な木枠を用意する」なんてありましたが、載せた上からガンガン叩いたりするので半端な木枠では心許ないです。是非ビールケースを手に入れたいところです。


マグネトー側からクランクケースのねじを外します

左右のクランクケースを固定するボルトは、すべてこちら側についています。最後にこの面を上にして、プラスねじと格闘することになります。
オイルポンプは付けておいたままでOKです。
ニュートラルスイッチのフタは外しておいてください。スイッチ内部のでかいプラスねじ(シフトドラムに繋がる)を外しておかないと、シフトドラムが抜けません。


クランクケースねじ


ザッツオールです。ほとんどが「ソケットレンチ+ネジビット」で外せますが、数本はショックドライバーで相当しばいても取れないくらいの固さでした。何故こんなばらつきがあるのかは、謎です。

さて!
いよいよクランクケースを分割します。いまネジを外した面をさらにひっくり返し、右側(クラッチ側)を上面にした方が良いです。逆に締める時もこの向きが良いですね(シフトドラムをニュートラルスイッチのところで固定できて、ラク。)。私は反対向きで割ってしまい、開いた瞬間にびっくり箱のごとく、ミッションがはじけました。


われた(ミッション・クランクつき)


無事に開くことができました!ぱちぱちぱち。
実は開ける前に心配な点が一つあって、それは「クランクシャフトが、クランクケースに圧入されているのではないか」という疑問です。圧入となると剥がすのも取り付けるのも少々厄介です。
ちろっとネットで下調べしたところによれば、似たような排気量のKSRなんかはしっかり圧入されているとか。
しかし、この件についてMOKEYマニュアルでは一切触れられておらず、クランクケースはさり気なく分割されています。

私の事前予想は「圧入ナシ」でした。例のプライマリギアのナットがこのバイクにおける最大トルクで締められているからです。その上で圧入までする必要は無さそうです。

果せるかな、クランクケースはネジを全て外した後プラハンでコツコツやると、あっけなく分割出来たのです。


われた(ぜんぶ取れた)


綺麗に外すとこんな感じです。
繰り返しになりますが、ベアリングは放置しています。
ところが今回ベアリングについて、あることが分かりました。へーと思ったのも束の間、よく見たらサービスガイドに書いてあったのですね…。面白いなと思ったので、ここで説明してみます。

上の写真を見ますと、4箇所にベアリングが用いられているのが分かるでしょうか。ベアリングが用いられているのは、クランクシャフト軸受け部ならびにカウンターシャフト軸受け部。各左右1箇所ずつです。
ところで、そのうち1箇所はオイルシールでフタをされています。何故1箇所だけなのでしょう?オイルシールがされているのは、クランクシャフトの右側部分になります。

ご存知の通り2ストロークはエンジンオイルを燃やしながら走っています。エンジンオイルはピストンの潤滑に使われるということも、皆さんご存知かと思います。よくベスパとかで「混合給油」と聞くのもソレです。混合給油というのは、ピストン潤滑のためのオイルをガソリンタンク内でガソリンと混ぜてしまうものです。一般的には別タンクにエンジンオイルを入れておき、クランクケース内へ運ぶケースが多いでしょう。これが分離給油でして、コレダもそうです。
一方2ストローク車ではギアオイルというもう1種類のオイルが使われていることも、スクーター含む2スト車に乗られる方ならご存知かと思います。こちらは名前の通りミッションやクラッチの潤滑に用いられています。
要するに潤滑油の種類がミッションとクランク室側では異なるわけです。よって2ストロークのエンジンは、クランク室とミッション室が隔壁で完全に分離されています。上の写真のクランクケースの内部写真からも見て取れるでしょう。

コレダのクランクシャフトの軸受けベアリングのうち、オイルシールがある右側ベアリングは、クランク室の外側からミッションオイルで潤滑させています。だからクランクケース内へミッションオイルが混入しないよう、オイルシールが設けられているわけです。
ところが、左側軸受け部はベアリングがむき出しです。つまりクランク室と同じエンジンオイルにさらされていることになります。
そうです、このクランクシャフト左側軸受け部ベアリングはエンジンオイル潤滑なのです。このベアリングのために、わざわざエンジンオイルのオイルラインが設けられています。

コレダには、もう1ヶ所吸気付近(リードバルブ手前)にオイル吐出孔があります。左クランクシャフトベアリング側と併せて都合2箇所にオイルラインが設けてあることになります。
サービスガイドによれば、吸気口側のオイルはアクセル開度に応じてオイルポンプで吐出量が調整され、ベアリング側は常に一定量のみが供給されるとのことです。
吸気側では、ガソリン混合気と、霧状に噴出されたエンジンオイルが混じってクランクケース内部へ運ばれます。ベアリング側では、ベアリング潤滑を終えたエンジンオイルがクランクケース内に運ばれます。2系統のオイルはいずれもコンロッドやピストン等を潤滑しガソリンと一緒に燃えることになります。
この仕組みはスズキによって「CCIS」と名づけられています。何の略なのかは想像もつきません。

自分はエンジン分解は初めてなので、この仕様が一般的なのかどうかは分かりませんが、ここである推測が成り立ちます。
それは、コレダは完全な混合給油仕様(=分離給油用のオイルタンクを廃止)には出来ないであろうということです。
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スズキコレダスポーツ50/K50のエンジン分解(4)

2008年07月14日 | メンテナンス実演(その他)
クランクケースカバーの取り外しについては撮影忘れてしまったので、写真ナシです。
注意点としては、パーツリストを見てしっかりプラスネジを全部外すこと。当り前のことにも関わらず、私はうっかり1個取り忘れてしまい、いっくらプラハンでガシガシ叩いても取れなくて、ついにはご法度のコジリまでやっても取れず途方に暮れました。
だから写真がないのです!
一応、コジリはキャブレターインスペなんたら空間の上部に入れ、あとで傷痕をシール剤で十分塞げるように配慮しましたが(エアのみでオイル潤滑ナシの部分)、あまりにうかつでした。

問題の取り忘れたネジは、キャブレター付近にあるエンジンオイル通路のバンジョーボルトのところです。このオイルラインの裏側にもう1個ネジがあったなんて…。
オイルのバンジョーボルトは先に外しておきましょう。オイルラインはオイルポンプ側と繋がったまま内部が満たされているため、外しても漏れてきません。

なお、ここから先たくさん現れるプラスネジを外すにあたっては、ショックドライバーが必須です!
中には普通のプラスドライバーで緩む個体もありますが、固い個体は無理に回してはいけません。舐めるとヒサンだよ。
それからこれも当たり前ですが、ドライバーはネジ頭としっかりサイズの合うものを使うことが大事です。サイズが合ってないと(特に小さいドライバーを使うと)、これまた舐めます。

私はドライバーで緩みそうにないものは、ソケットレンチにプラスドライバーのビットを取り付けて回しました。かなりのトルクがかけられるので、実際のところほとんどのネジはこれで外せます。
だけど中にはどうしても外れない個体が居ます。こういう時は、ムキにならずあっさりと道具を変えるのが吉です。ショックドライバーは本体が太いため、奥まったネジにはアクセスできません。そのため専用の長いビットも用意しました。

さて、クランクケースカバーが外れると、ケーブル・ホースの類が一切外せます。私はこの段階でエンジンを降ろしています。


エンジンを降ろした


続いてクラッチ板を外します
ここでも、先ほどのクランクケースカバーの取り外しのショックを引きずってしまい、写真がありません、よよよ。

読みにくいけど文章で書きます。
クラッチは、真ん中にレリーズのフタが載ってますので、これをスポと抜きます。
続いてスプリングを止めるネジ×6本を外します。こいつがまたプラスネジ!しかも結構固いです。おまけにクラッチ本体が空回りします。
ネジ頭をよーく脱脂してからとりかかります。一応、最初にプラスドライバーを当てましたが、無理でした。こういう時こそショックドライバーです。プラハンでガシガシガシガシと遠慮なく責めます。やがては屈伏するでしょう。スプリングの張力がかかっている部分ですので、「対角線状に、複数回に分けて」緩めていくのがセオリーです。

最後にクラッチセンターロックナットを電動インパクトを使ってガガガと外しました。

(ここで電動インパクトが無い場合)
エンジンを降ろす前にクラッチを外します。センターロックナットを外すためには、バイクはギアを入れ、ケツに誰かにまたがってもらってリアタイヤを地面に押し付け、リアブレーキを思い切り踏んでもらいます。これで共回りを防ぎつつ、柄の長いレンチで入魂すれば外れるはずです。
クラッチのロックナットが外れたら、下の写真にあるプライマリードライブギアも車載状態で先に外します。ゆるみ防止でワッシャを折り曲げて取り付けてあるので、スプロケットの時と同様に叩きのめします。ナットが露出したら、エンジン左側のフライホイールを専用ホルダーで固定し、これまた入魂で取り外します。2人がかりの方が良いでしょうね。
最後にフライホイールを外し、それからエンジンを降ろしてください。



クラッチ側の取り外しネジ


さて、降ろしたエンジンの右側をやっつけます。右側を上にしておいて作業しましょう。
ここに写っているのは、主にギアチェンジペダルと繋がっている部品です。
黄色いマルは取り外すべきネジ(とスプリング)です。今回はベアリングには触らないので、ここにマルしてあるところはクランクを割るのに必要な個所のみです。
2個あるスプリングのうち右側のは結構固いので、最初に支点のボルトを外した方がラクでした。
左側のボルト2個については、ネジロック剤が塗られているので結構固いです。ソケットを当てたら、ゆっくりグググと力を加えるのではなく、ガツンとチョップを加えると簡単に取れますよ。
一番右側がプライマリーギアとそのナットです。超固くしまってますので、心してかかりましょう。ナットのワッシャは上述の通り叩きのめして下さい。



同、取り外すパーツ


一番左のはキックレバーのシャフトです。内側に樹脂性のカラーが入っているのでまずこれを取り外し、スプリングを外します。スプリングは、シャフトのど真ん中の穴に刺さっている所をドライバー等でこじって引っこ抜けばOKです。スプリングをどかすと、シャフトにはΩ型のサークリップが嵌まっているので、この段階で取り外します。

それ以外の赤マルは、全てギアチェンジのためのシフト外部機構です。この段階で、ギアチェンジのシャフトもすっぽりと抜くことができます。


キックシャフト

サークリップの下に、キックのスプリングを止めるパーツが固定されています。こいつも取り外します。


あとは割るだけクラッチ側

印をしたところを全部外した状態です。
プライマリーギアとナットは、実は私は分割した後に電動インパクトで外したのでまだ付いていますが、実際は取っちゃってください。
この状態でクランク分割を迎えます。
いよいよ本丸に近づいてきました。
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スズキコレダスポーツ50/K50のエンジン分解(3)

2008年07月10日 | メンテナンス実演(その他)

フライホイール

キャブレターをどけたらエンジン右側の作業はいったん終了。左側の作業に回ります。
最初に対面するのがこのフライホイール。まんなかにナットが嵌まってます。私は電動インパクトで一気に外しました。
ところがこの部品はナットを外すだけではビクともしません。今回購入した特殊工具「フライホイールプーラー」の出番です。こいつを使ってもカタかったです。何とか外しました。
フライホイールを締め付けてある軸なのですが、これが「クランクシャフト」です。エンジンの爆発が一番最初に回転運動に変わる場所です。ちょうどクランクシャフトとフライホイールの間の窪みに「キー」と言う小部品が挟まれています。どれくらい小さいかというと、親指の爪を切ったカケラくらいです。これは点火タイミングを決めるパーツです。簡単に外れますので、無くさないように外して取っておきます。なお今回オートボーイさんに注文した中にはタイミングを早める改造キーも含まれています。爪のカケラサイズながら2500円ですよ!
ホイール取り外し後は、その下についてる発電兼ピックアップコイルも取り外しておいてください。コイルはニュートラルスイッチにアーシングされていて、バッテリー付近にカプラ接続が繋がっています。アースは取り外しますが、残りの配線は繋いだまま車体のどこかにくくりつけておいても構いません。

ところで電動インパクトをお持ちでない場合は、まんなかのナットを外すために「フライホイールホルダー」が必須です。かつ、実はこのフライホイールと反対(エンジン右)側の軸にはまっているナット(「プライマリーギア」の)がかなりの高トルクで締め付けられているため、そちらを緩める時にこのフライホイールを共回り防止のためにホルダーで掴むことになると思います。ですので、電動インパクトを使わない場合は、このフライホイールは最後の最後までまで付けたまま残しておくことをお薦めしおます。

なおフライホイールホルダーには、写真に見えている2つの穴に差し込んで固定するタイプと、全体を締め付けるタイプがありますが、後者の方が使いやすそうです。私は前者しか持ってませんが、これは後の組み立て時に規定トルクで締め付ける際に活躍するでしょう。

オイルポンプ

オイルポンプは一時的に取り外すだけで、特に分解する必要はありません。クランクやシリンダーへオイルを送るホース(写真の緑色のホース。これはゴムではなくて、半透明の樹脂性で多少弾力性はありますが、固いです。)も今回はそのまま付けたままで作業できました。
とりあえずオイルタンクと繋がっているホース(写真、黒色)と、ワイヤーだけ抜いておきましょう。
そのために一時的にオイルポンプの固定ボルトを外して本体をフリーする必要がありました。なおオイルポンプは、後でお目にかかるキックシャフトのギアと噛み合って動く仕組みです。ギアはオイルポンプ裏面にありますが、ここへはまっている樹脂製のピースは、いまのうちに取り外しておくと良いです(クランクを割った時に無くさないように)。
なお、抜いたあとのホースからは、タンクから運ばれたエンジンオイルがどんどん漏れてくるので、栓を準備するのを忘れないでください。


ワイヤーと、ニュートラルスイッチ


写真まんなかは、ワイヤーのアジャスタねじです。仕組みはクラッチワイヤーと同じです。ワイヤーのアジャスタを変えるとオイルポンプの開度=吐出量が変化するわけすが、ひとまずアジャスタめじには一切手を触れる必要はないです。というのは、このワイヤーはタイコ部が外れると、アジャスタからスッポリと抜けるからです。
オイルポンプ本体を一時的に外した時、ワイヤーのテンションがゆるむ方向へ動かし、タイコを本体から外してください。クラッチ同様タイコは別部品(プラスチックのピース)なので、失くさないように。

黄色マルはニュートラルスイッチのフタ。ここも開けてください。中はミッション室と繋がってるので、ミッションオイルのシールがされています。スイッチ(単なる接点)は大きいプラスねじでシフトドラムと接続しているので、これも外してください。
写真でマルのついてない銅色ネジは、上で書いたコイルのアース箇所です。写真では既に取り外してあります。
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スズキコレダスポーツ50/K50のエンジン分解(2)

2008年07月07日 | メンテナンス実演(その他)
【2.エンジン着脱】

以下、分解画像に載せる黄色いマルは外すボルト・ナット類。赤丸は工具を使わずに外す部位という位置づけです。要するに全部外すんです。

1.ミッションオイル排出
省略。

2.マフラーとドライブスプロケの取り外し
マフラー詳細省略。ナット3つのみ。フランジはフックレンチで外せますが、私のは手で緩みました。
注意点は、マフラーはセンタースタンドを跳ね上げた時のストッパーを兼ねているため、マフラーを外したあとにセンスタを勢いよく跳ね上げるとスタンドのスプリングが吹っ飛ぶこと。マフラーを外してから車体を動かす場合は、センタースタンドをそーっと跳ね上げましょう。
ドライブスプロケは、ゆるみ止めにワッシャが折り曲げてあるため、このワッシャを貫通マイナスドライバー等で平坦に叩きのめしてからナットを外してください。チェーンが張ってる場合は緩めておかないと外れません。
なお私の場合はワッシャをしばいて展ばして、いざナットを外そうと思ったら、このナットもプランプランで手で緩みました。各種増し締めが必要なバイクなんですね。

3.ホース、ケーブル、配線等の取り外し
私の場合はすでにシリンダーとピストンを撤去した状態で始まってます。よってシリンダーを固定するスタッドボルトが4本飛び出している状態。まずはこいつを抜いてしまおう。
ここは特殊工具は使わずに、頭を使う…。
とか言って実は上記MONKEYマニュアルに書いてあった方法の受け売りである!
まずナットを2つ、ねじ山に噛ませてください。そしてその2つを互いにガッチリ締め付けてください。あとは締めつけたナットのうち根元に近い方にメガネレンチをかければ、スタッドボルトが緩む方向に回せるわけです。なるほど~。

これでトレタ



クランクカバーのそのまたカバーを開ける

パーツリストによればこのカバーにはキャブレターインスペクションなんたらとかいうものすごい名前が付いているが、開けても何も起きないから臆することは無い。
ガスケットは油紙状のものであり、何度でも開け閉めが可能だ。ただしキャブからこぼれたガソリンを吸うとフニャけるので注意(私のがそうだ)。
ここを覗いてアレ?と思うのがキャブレターの位置。普通キャブは外部に露出しているものだけど、コレダ君は女の子だったようだ。今日からコレダちゃんと呼ぶことに決まった。
このなんたらインスペカバーの内部は、エアクリーナーボックスの役割をしていると考えることができる。1960年代の技術?後にも改めて説明しますが、この空間はクランクケース上部にいたるまで広がっており(写真キャブ左上のホース方面)、各部で二次エア吸入が無いよう注意しなくてはならない。

まずは写真左半分に写っているクラッチケーブルでも外しましょう。
ケーブルはクランクケースカバーにアジャスタねじで締めこんであります(写真左上部)。はじめに固定ナットを緩めまくります。そのあとでアジャスタネジをどんどん閉め込むと、だんだんケーブルのテンションが緩みます。弛みきったところで、スプリングを外して、左にあるレリーズのナットを緩めると、ワイヤーのタイコ部分がするっと抜けます。タイコは真鍮製の別部品となっていますレリーズ機構はそれ以上いじらず放っておいて構いません。ワイヤーが外れたら、閉め込んだアジャスタねじを今度は逆に緩めて、クランクケースカバーから抜いてしまいます。以降クラッチワイヤーも放置でOKです。

続いてキャブの処理。
キャブの真上にあるゴムフタを、ネジ4本取って開けます。ゴムフタ自体は取り外さずに、上の方へずらします。写真には写ってませんが、もっともっと上の方までずらしてあるだけです。ケーブルとゴムフタはこびりついちゃってましたが、隙間にシリコンスプレーをするとゴムフタだけ「ズリズリ…」と上に引き上げることができます。
キャブ本体。てっぺんの丸いフタを、プライヤで掴んで左へ回し緩めてください。フタが外れると、そのままピストンバルブ(ニードルつき)とアイドル調整スクリューがすぽっと抜けるので、そのまま引き出して、軍手とかを被せて保護し、あとはそのままにしておきます。


キャブのケーブル


同様にして、丸いフタの右手にあるチョークバルブ(この写真)もスパナで緩めてから手で緩めて抜き取ります。
今回キャブのOHを行うわけではないので、これらはケーブルごと束ねて単にどかしておくだけにする。


クランクケースカバーのゴムキャップ×2

この2か所のゴムキャップは超重要ですよ!上述の通りキャブレターインスペなんたらの内部に直結しています。よって外しっぱなしにすると二次エア吸いまくりになりますので、整備時以外は開けてはいけません。外す時も破損させないようシリコンスプレーで滑らせてヌルリと抜き取りました。
キャップの中身は何かというと、右がキャブレターをクランクケースカバーへ接続するクランプのネジ、左はキャブ本体のエアスクリュー調製用のネジです。ということで今回左側は放置。右側にアクセスし、中に見えてるネジを緩めます。緩んだら、キャブレターを引っこ抜いてください。あそうだ、引っこ抜く前にガソリンだけは抜いておきましょう。キャブ本体の一番下にあるネジ(2つ上の写真)を緩めればフロート内部のガソリンはトクトクと流れていきます。


真鋳製のフロート

今回キャブレターをいじる必要はありませんが、主に夜間中心の室内作業をしているためガソリン臭いのは妻を怒らせます。フロートチャンバーを開けて換気扇の下で揮発させておきました。
ところで見てください、真鍮製のフロートです!旧車は真鋳製らしいとウワサに聞いていましたが、まさかウチのバイクに採用されていたとは。生きた化石コレダくん、解剖して明らかになる謎の生態です。

なおキャブOHは大した作業ではないので、是非皆さんが身に付けておくことをお勧めします。ほとんどの軽度の不動車はこれで蘇るのですから。エンスーの第一歩です(わたしは違いますよ!)。
ただし火気厳禁をお忘れなく~。こんな下らない理由で失火したくないですもんね。
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スズキコレダスポーツ50/K50のエンジン分解(1)

2008年07月05日 | メンテナンス実演(その他)
【1.参考資料ならびに手順】

まずは準備体操として、サービスマニュアルとパーツリストの用意はあった方が良い。一応私もコレダ購入当初から両冊子を持っている。持ってはいるが、ほとんど使用したことが無い。何故かというと、普通に乗ってて壊れたことが無いからだ。耐久性は折り紙つきである。
いざページを開いてみるとこのサービスマニュアルはかなりハイレベルだ。何しろネジのトルク管理・仕様一覧・車種特有の調整箇所等を除き、ほとんど何も書いていない。唯一気合いをこめて説明している箇所と言えば、各マイナーチェンジ時に前形式とどこが変わり整備方法がどう変わったか、だけである(例:「電装が12ボルトになりました」)。そもそも冊子の名称がサービスマニュアルとは微妙に違うのも気になる。「サービスガイド」だ。
思うに、このマニュアルがターゲットとしている人間は、スズキKシリーズごときは丁稚時代に十分知り尽くしていることを前提としているのではなかろうか。2スト50㏄ミッションは、確かにメカニズムとしては最もシンプルな類だろう。バイク屋たるもの、カブを始めとしたビジネスマシンは最も扱う頻度が多い商品の一つであろうし、「この程度のことは知ってるよね?」という編集側の意図が見て取れる。

そういう具合だから、私が期待したようなクランクケース分割方法なんてものは一切書かれていない。腰下についてはいきなりクランクシャフトの計測から始まる。
だがここは裏を返せば、私レベルでも分解できそうな予感がしてくるではないか、人々よ?!
よしやってみよう。

したがって本論は、この不足している「サービスガイド」の説明を補うものとして、私自らの分解体験を綴っていきたいというのが、その主旨である。

なお春先に出かけた「東京モーターサイクルショー」で取得したパンフレットの中に、キタコのMONKEYエンジンチューニング完全マニュアルとかいうのがあった。無料配布パンフレットながら、エンジンを降ろすところからはじまって、クランクケースの切削加工に至るまで、非常に丁寧に工程がひとつひとつ写真つきで紹介されている(パンフ本来の目的は、ボアアップキットや5速ミッションを載せる手順説明である)。これが今回役に立ちそうなので、サービスガイドと併せて参考書籍とすることにした。コレダは2サイクルゆえバルブ機構が無い分さらにシンプルだろう。


参考書籍はコレラダ

コレダエンジン分解にともなうおおまかな手順は次の通りである。

1.ミッションオイル排出
2.マフラー、ドライブスプロケット取り外し
3.ホース、ケーブル、配線等取り外し
4.各部ボルト、ナット類を事前に緩める
5.エンジン本体を降ろす(同時にエアクリーナー取り外し)
6.クラッチ、シフト機構、フライホイールの取り外し
7.トランスミッションならびにクランクシャフトの取り外し


以上。工具は通常のソケットやドライバー類のほか、以下のものを用いた。

1.サークリッププライヤー
 (キックレバーの1箇所は必須。ミッションのギア1枚1枚まで分解する場合も必須)
2.フライホイールプーラー(多分必須)
3.ショックドライバー(プラスねじがあまりに多いため、これも必須)
4.電動インパクトドライバー
 (無い場合:プーリーホルダー必須&クラッチ、プライマリーギア、
  フライホイールの3つの高トルクナットをエンジン本体降ろす前に要取り外し)
5.スクレイパーとオイルストーン(ガスケット(特にシリンダー)を剥がすのに要ります)
6.ビール箱(超必須!今回のために酒屋さんに頭を下げて譲ってもらいました)


なお私は今回タッチしていないが、クランクケース内のベアリングを取り外す場合は別途ベアリングプーラーも用意してもらいたい。ケース内のベアリングの付け外しについては色々なサイトで語られていると思いますでそちらを参考ください(適当)。

用意するケミカル類は、パーツクリーナー、浸透潤滑剤、シリコンスプレー、ネジロックくらいかな。あとはギアオイルとエンジンオイル。
事前に用意しておく純正部品は、まずはガスケット類。それからプライマリギヤのワッシャ(緩み防止に曲げてある)、ドライブスプロケットのワッシャ(同じく)。

では具体的に説明していこう。

(つづく)
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ドレダ(3)

2008年06月26日 | メンテナンス実演(その他)
まずはこのコレダスポーツ50というバイクの素性から説明しよう。
デビューは1996年ごろである。しかしそのルーツは、1960年代からずーっと販売されているビジネスバイクの「K50」である。身近なところでは地域課のお巡りさん御用達の白バイとして現在も活躍しているので、しばしばウンコ警視庁のお世話になっている我々都民にはお馴染みであろう。
なおK50もコレダも加速最高速ともに遅いです。高校生のスクーターにガンガン抜かれます。うっかりお巡りさんのK50白バイを抜いてしまった高校生は、そのまま逃げることをお勧めします。追いつけませんから。

K50


デビュー当時の90年代中頃は、エストレアを皮切りにCL400とかテンプターと言ったネオクラシカルなモデルが流行していたようである。50㏄クラスにおいても、見た目も中身も「生きた化石」の感があったビジネスモデルを、各社がこぞってクラシカルに仕立てて販売していたのだ。
コレダはK50がルーツであると書いたが、ルーツというより外装以外はほぼK50そのもの、いわゆる派生モデルだ。コレダスポーツと時と趣旨を同じくして「コレダスクランブラー」という若干オフロード寄りのモデルもデビューしたが、こちらは駆動ならびに排気関係に若干手が加えられている様子。
冠されたペットネーム「コレダ」は、Kシリーズよりさらに昔のスズキ黎明期に採用された2サイクルマシンシリーズのリバイバルらしい。現代版コレダというわけだ。
しかし2サイクルの宿命で、コレダ含むのKシリーズも最近ついに息の根を止められたようである。合掌。

余談であるが、実はコレダを後の妻に譲渡した後、私は通勤用として「K90」というバイクを購入した。K90は外観はK50とウリふたつであり互換部品も多かった。結婚後K50コレダとK90が並んで車庫に入ったため、コレダのシートをKへ移植してよく2ケツしていたものだ。新婚旅行(離島)にも持っていき、現地ではたいへん重宝した。
しかしK90には耐久性等の問題があった。まず、全開走行がメインだったにも関わらずマフラーがすぐに詰まった。所有期間中に15000kmほど乗ったがその間に2回ほどマフラーを交換した。またある冬の全開走行時に「パッキーン!」と焼きつきを起こしてしまった(オイル管理もメンテナンスも行き届いていたのに)。ミッションもガタガタで、ワンクリックのギアチェンジで何故か2速も跳ね上がったりしたっけ。
そして何より気に入らなかったのがギア比である。トップギア(4速)がかなりオーバードライブに設定されていて、3速との差が非常に大きかったのだ。これは乗りにくかった。3⇔4というシフトチェンジ往復を使いたい速度域においては不快以外の何物でもなかった。ホンダではCD90のベンリイ版も販売していたが、スズキが「コレダスポーツ90」を販売しなかったことは頷ける。全くスポーティとは言えないからだ。走ること自体を楽しみたい向きには、K90はダメだ。トラブル続きもあって速攻売っぱらってしまった。

そういう意味でも、オーソドックスなギア比を持っているコレダ50をベースとした「コレダ60」には、90ccのトルク感こそ望むべくもないものの、普通に乗れる原付二種としての活躍を期待している。
しかし私の最大の目的はパワーアップではなく、黄色ナンバーを取得することにある。
30km/h制限というのは短気な私にとってこの世で最も嫌いなものの一つである。よってコレダの最高速が現状の60km/h程度のままでも特に不満はない。違反で捕まらなければそれで良い。こう書いるだけでイライラするほど私はオマワリサンが大嫌いだ。
その程度で良ければ書類チューンという手段もあるのだが、書類チューンは税法上虚偽申告にあたるためいま一つ気分が良くない。しかし脱税とは逆で、車両税を多めに払うことになるわけだから、役所としてもそれほど悪い話ではない。市民と行政の思惑が一致した素敵な悪習慣、それが書類チューンなのである(たぶん)。
ちなみに所轄の市役所に聞いたところ、二種登録申請に際しての添付書類は、改造申請書・業者に加工した場合はその領収書・自分で加工した場合は「ピストンの領収書」が必須とのこと。領収書を偽造すれば書類チューンは難なく通ることが分かった。

とは言え人脈ゼロの自分に偽造領収書を作成してもらえるアテもないため、真面目にボアアップするわけである。合法的に黄色ナンバーが取得でき、実際にパワーアップするのなら一石二鳥だしね。ボアアップ後のトルク感や回転数の具合を見ながら、場合によってスプロケの丁数を変更することで若干高速寄りに変えても良いだろう。

それでは次回以降はタイトルも改め、本題に入ろうと思う。

(つづく)
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