オークランド通信

のんびりしたお国柄が気に入りニュージーランド在住27年。仕事、子育て、生活全版にわたって語ります。

その72 クライストチャーチの地震

2010-09-30 08:10:55 | 第71回ー80回

..72..

クライストチャーチの地震 21-09-10


9月4日午前4時35分(日本時間午前1時35分)にニュージーランドの南島中
央部クライストチャーチの西約30kmを震源として、マグニチュード7.1の地震
がありました。
クライストチャーチ市内の古い建物や道路、Kaiapoi, Waimakariri District
に大きな被害が出たものの、土曜の早朝といううこともあり、死者はでませんで
した。
2週間たった今も余震は続いていて、クライストチャーチの人々は落ち着かない
日々を送っています。


たまたまその週末は、私の友人が3人もオークランドからクライストチャーチ
に行っていました。
テレビのニュースを見て、すぐに友人達の携帯電話にテキストメッセージを送っ
たのですが、返事が返ってきたのは2時間ほどたってからでした。
安否を気遣って多くの人が電話したので、回線がパンク状態だったようです。
その時点では、まだクライストチャーチは停電したので、オークランドにいる私
のほうが情報が早かったです。
クライストチャーチにいる友人に、震源地、空港が閉鎖していることなどを教え
てあげました。


ヘラルド紙のサイトにこの地震の被害の写真がでています。
http://www.nzherald.co.nz/nz/news/image.cfm?c_id=1&gal_objectid=10673504&gallery_id=113868#7087912


地震が発生した日に、総理大臣のジョン・キーは海外への出張をキャンセルして、
クライストチャーチ入りしました。
この辺が国が小さいせいと、1931年のネイピア以来の大地震ということもあ
り、すばやい行動でした。

上下水道が破損し、水が吹き上げたりと復旧には相当時間がかかるのではないか
と思いました。
どうせニュージーランドのことだからだらだら時間かかるだろうと思いきや、
国に全力投資のせいで案外早かったそうです。
道やら建物の復旧には1年近く予想されてますが、とりあえず市民生活の正常化
を計るのを最優先されてます。


カンタベリー大学の学生がFacebookで被災地でのボランティアをよびかけ、
Facebook Armyと称して後片付けを手伝いました。
学生達は、ガンブーツ(長靴)はいて、とシャベル持って参加してました。
この様子はテレビで放映さて、いつもカーレースやパーティー騒ぎで迷惑な学生
達も、なかなかいいところあると評価されてました。


この地震の震源は11キロと浅く、レンガ作りの建物の被害がひどかったです。
レンガの暖炉の煙突が落ちたところが多かったです。煙突が停めてあった車を
直撃して、車がへこんでました。
地震のあと、liquefaction(液化現象)が起こり、地中から砂が吹き上げてきま
した。
そのあたりはもともと砂地だったところに家が建っており、地震により地面に割
れ目ができたところに地下から水分を含んだ砂が盛り上がってきていました。

ニュージーランドには温泉もあるし、オークランド近くにあるランギトト島の火
山が活動しているにもかかわらず、ニュージーランド人の地震に対する認識はま
だまだだなと思いました。

地震の多い日本で生まれ育った日本人は、地震をよく経験しているし、ちょっと
した揺れには驚きません。

クライストチャーチの友人一家は、9月4日の大地震のあと怖くて、リビングに
家族全員で寝ていると言ってました。


テレビ等の報道を見た日本の友人が、地震騒ぎがちょっとお祭り騒ぎのような、
なんか違和感を感じると言ってました。
この国では地震はまだ珍しい出来事のようです。

災害キットののリストとかと特集をテレビでやっていて、日本人の私からすると
今さらというか、そんなの当たり前じゃないと思えました。
たとえば飲料水、水(トイレ用)、カセットコンロ、ろうそく、懐中電灯を常備
するとか。
実際クライストチャーチでは、下水道が壊れて汚染されたため、しばらく水道水
が飲めなくなりました。それでスーパーでは飲料水が売り切れとなり、その上み
んながストックしだしたので、今でも品薄だそうです。
クライストチャーチは水道代がただなので、市民は「湯水のように」水を使って
きており、
今回の地震で水のありがたみを思い知ったようです。


ニュージーランドでは、地震も住居の保険でカバーされます。
詳しく言うと、最初の10万ドルを家と土地に対して、家財は2万ドルを政府機
関のEQCが支払います。
残りを各自が加入している民間の保険でカバーします。
地震のあと9月5日には、かけこみで約1500件の保険を入りたいというお問
い合わせがあったそうです。当然、審査の結果、却下されたようです。

EQC(Earthquake Commission)のサイト
http://www.eqc.govt.nz/

9月4日の時点でEQCは、この地震の救済には$2 billionかかるだろう言っていま
した。
あれから2週間経ち、被害は予想より深刻で、当初の倍以上かかるのではないかと
言われています。
いくら保障されたとしても、地震で全壊した家のあったところにまた家を建てたいと
思わないだろうし、クライストチャーチの地震の被害の多かった地域は不動産の値打
ちも下がると思います。


地震により、農場のなかに新しい川ができ、地形そのものが変化しました。
下水道の破損で、ウィルス性の下痢の集団発生が起きていて、人間だけではなくファ
ームの動物達も病気になっているそうです。
さらには、川、海岸線の汚染も報告されてます。
歴史的建造物の復旧には、まだまだ時間がかかりそうです。


ニュージーランドで一番美しい町、ガーデンシティ、クライストチャーチが、元に近
い形になり、経済的にも復興するにはしばらくかかるのではないかと思います。


コメント
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