NECのExpEtherでコンピューターをばらばらに設置可能に
こんにちは。匠技術研究所の谷山 亮治です。
NECのExpEtherは、Etherパケットにデーターを詰めて渡します。そういう意味ではインターネットや社内LANで使うTCP/IP通信と相似形の動きです。しかしながらTCP/IPとの互換性はありません。これは過去Ethernet上にNovell NetWareやAppleのApple Talk等が共存して、同じ物理ネットワークでありながら、異なるネットワーク系で通信を行っていたことと同じです。
ExpEtherは、もともとPCI Expressバスすなわちコンピューターの内部にあるマザーボード基板上の通信を拡張する仕組みであり、インターネットでの通信や社内LANに代表されるコンピューター間通信を目指したものではありません。イメージはSANで利用されるiSCSIではなくInfiniBandやFiber Channelです。
ExpEtherへの期待としては、高速なバス接続プロトコルとして広く普及すれば、日本企業発の新しいIT基盤プロトコルとして定着するかもしれません。頑張れNEC!頑張れNippon!です。
以前、米国の勉強会でのこと、Intelの技術者が「コンピューターの内部バスまでTCP/IP化されないのか」という問いに「オーバーヘッドが大きくあり得ない」という回答をしました。数年前に普及期に入ったギガビットEtherのチップが市場投入され始めた頃のことです。通信は必要に応じ最適化が進む方が自然な流れなのでしょう。TCP/IPもプロトコルのオーバーヘッドを押さえる為の様々な工夫がなされ、様々なプロダクトがあります。
NECのExpEtherは通信手順にTCP/IPを使わないことでEthernet上の通信を高速化し、コンピューター内部のバスを延長するアプローチです。この方法だとWANの高速化と高品質化が進めば、遠隔のコンピュータ資源を効率の良い通信手順で結び利用することができます。日本ではNGNの普及期に入っているので、近い将来にそれが実現すると思います。そういう意味でも、日本のコンピューティング環境を大きく変える可能性を感じています。
ExpEtherはL2層でのルーティングなので、既存の通信サービスとしては「広域イーサー」にL2スイッチを付けるか、IP-VPN上にL2を乗せることになりますね。
NEC、世界初の技術「ExpEther」を用いた製品を発売
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