おっちーの鉛筆カミカミ

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2019年02月26日 17時48分33秒 | 小説・短編つれづれ
あたしって三白眼である。
自分の顔がキライだ。そのせいで。
そのせいっつーか……女の子の三白眼って、何? 極めて可愛くない。

あたしはいま、いわゆる女子高生だけど、そのせいで恋人もいないし人気もない。
ああ、親を恨んでいる。両親とも目は大きくて瞳も普通か大きいくらいなのに、なぜ???突然変異???腹違いの隠し子???申し子??

ごめん、意味わからないで使っちゃった。でも言いたかったことは伝わるでしょ?

万博公園の太陽の塔。すげーって思うよ。まさに日本のトップ。芸術は爆発なんよ。



その前を歩いていた。「太陽の塔」を眺めながら。「大阪LOVER」を口遊む。ドリカム、好きなんよ。あたしにLOVERはいないけど。
ひとりで歩いていたんだ。今日は隣に友達もいず、ひとりぼっち。別に寂しいわけじゃないよ。ひとりで街を歩くのは、好き。太陽の塔だって、こんなだだっ広い場所に、たった一人で立ってる。岡本太郎さんに恨みなんぞはなかろうよ。私たちを見下ろす、太陽の塔。そいえばどっちが顔なんだ???
とにかく、私をはるか上空から見下ろしている太陽の塔は、何もかもを知っているように見えた。私のことも、クラスメートのことも、私の家族のことも、社会も世界も、全部。

その時、学生服を着た男の子の姿が目に入ったんだ。
「あれ?」
ウチのクラスの男の子だ。カメラを構えて、太陽の塔を写真に撮っているようだ。
「なにしてるの??」
声を掛けた。とーぜん写真だよね。
「写真撮ってる。見てて分からないか??」
見てて分かってた。
「ふーん」
どんな写真を撮ってるんだろ。見せて欲しいな。
と思っていた。すると、
「睨み付けるなよ。相変わらず目つき悪いな」
こんな極悪非道な回答が返ってきた。
「悪いね」
「別に悪くはないよ」
「違う」
「へ?」
「いいね、の反対。悪いね」
「ワケわかんねー」
「悪かったね」
「それは?」
「日本語って複雑怪奇」
「そーだな。よく分かんないけど」

そいつは笑ってまた写真を撮る姿勢に戻った。おーい、あたしまだいるんですけど。

「見してよ、写真」
「なに、興味あるの?? 俺に、興味あるの??」
「はあ???」
「モテる男はつらいっす」
「オイトマしてもよろしいでしょうか」
「テキトーにして」
「する」

あたしは何となく、そいつが写真を撮るのを眺めていた。
陽がだいぶ傾いてきた。
こいつ、熱心に何かやってる姿は、意外とカッコいいじゃん。

人の気持ちってわからない。

いつ、何に転んで、どう変わるか、何が生まれるかわからない。

こいつは、私の今この瞬間の気持ちは、いつか恋心になったりするんだろうか。
もうすぐ初夏になろうかというこの時期である。
上着の袖も短くなって、みんな開放感に溢れてくる。

「もうすぐ夏だねえ」
「暑いのは嫌いだ」
「そりゃあたしもそうだけど」

これからあたしは海にもいくし、プールにも映画にも遊園地にも行って夏をエンジョイするんだ。
そこに、こいつはいないかもしれない、いやきっといないけど。

「ねえ、このあと時間あるの?」
「えっ?」
「時間空いてる? って聞いてる」
「あいてるけど、どした??」
「未来を見たい」
「なに言ってんのあんた?」
「何でもない。忘れて」
「やっぱモテる男はつらいっす」
「馬鹿じゃないの。タリーズで、撮った写真見してよ」
「ふうん。わかった」
「すぐ行くよ」
「まあ日も暮れてきたし、終わりにするか」

今日は帰りに水着を買おう。
ビキニの、オシャレなヤツ。お臍が見えちゃうような。そんなんでも、まあいいだろう。そんな気分だ。

そのとき隣に誰がいるのか、そもそもいないのかは分からない。

もうすぐ夏だ。夜の空気もだいぶ熱気を帯びてきて。
帰ったら一番にシャワーを浴びよう。
こいつの写真には、もともとそんな期待しているわけではないんだ。
そーじゃなくて

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