おっちーの鉛筆カミカミ

演劇モノづくり大好きおっちーのブログです
いろいろ活動してます
そのうち、みなさんにお目にかかれたらうれしいです

ヒストリー・ダイアリー #4-3~5

2006年10月31日 00時05分21秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 どもども、ご無沙汰しております。鉛筆カミカミです。
 寝る前の少しの合い間を利用して、ブログにカキカキしますです。

 「ヒストリー・ダイアリー」、久しぶりですなー。
 続き物なんだからこんなに間あいたら分からなくなるって(--;
 どーもすみません。

 では気を取り直して、ヒストリー、続きです。


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 SCINE.4-3 CENTURY BEAT


由里 「・・・あー、びっくりした・・・」

      次の瞬間、由里は耕平をにらむ。

由里 「・・・あんた、お金ないんじゃなかったの」
耕平 「アッ・・・しまった・・・」
由里 「それより耕平・・・!」
耕平 「ん?(由里の方を見る)」
由里 「どうしてわざわざ及川君にあんなこと言ったのよ?」
耕平 「あんな事って?」
由里 「仕事中なのにわざわざ呼び止めて、このあとつきあえー・・・なんて」
耕平 「うっさいなー・・・だってあのまんまだと・・・なんかヤじゃん」
由里 「あたしたち今それどころじゃないでしょー? そのまま帰しときゃいいじゃない」
耕平 「そりゃそうだけど・・・なんか・・・気持ち悪いんだよなー」
由里 「耕平ってときどき、変にひとがいいってゆーか・・・融通が利かないのよね」
耕平 「そっかー?」
由里 「そうよ・・・大体ね、あたし、あのひと苦手なんだから」
耕平 「・・・そうなの?」
由里 「そうなの! ・・・あたし、夕飯たべたらすぐ帰ろっ」
耕平 「えっ・・・だって・・・その本、どうするんだよ!」
由里 「知らないわよ。・・・コーヘイが悪いんだからね」
耕平 「・・・あの~・・・オレ、あいつの事あんまり知らないんですけど・・・・・二人だけで何を話せとゆーの?」
由里 「知ーらないっ・・・こうなったのは、あなたの責任でしょ? ・・・トラブル招くその性格・・・なおすいい機会なんじゃないの?」
耕平 「・・・お前・・・むっちゃキツイ事ゆーなー・・・・・・・・それかして(本を示す)、・・・その話しは後にしよ・・・今はこっちの方が先決」
由里 「あ、逃げたー・・・」
耕平 「・・・さっきちょっと思い付いた事あってさ、・・・マンガだったか小説だったか忘れたけど(カバンからペンを取り出す)、こいつと似たような本が出てくるんだよ(頁をパラパラしている)」
由里 「・・・それで?」
耕平 「・・・それでね・・・」
由里 「・・・・・エッ?・・・」

      耕平は手に持ったペンで、本にガリガリ書き込んでしまう。

由里 「ちょっと・・・ばかっ・・・このアホっ!・・・・・なにしてんのよアンタッ!」
耕平 「・・・この本には要するに、読んでいる人の過去が書いてあるわけだ。・・・じゃあ、未来は書き込めないのかな・・・って発想なんだけど・・・・・あらら」
由里 「どしたの?」
耕平 「・・・書き込んだ字が消えちゃった」
由里 「良かったじゃない・・・一時はどうなるかと思ったわ。・・・コワイ事しないでよねー・・・・・不思議な本なんだから・・・そんなペンくらいじゃうけつけないんだよ、きっと」
耕平 「そうなのかなー・・・確かに一度は書けたんだけど」
由里 「・・・でも、なんて書いたの?」
耕平 「・・・今から一分以内に、ここにお客が来る」
由里 「それで?」
耕平 「で、店員に「いつもの」って注文する」
由里 「・・・それだけ?」
耕平 「うん」
由里 「書くんならもっと夢のあること書きなよ。そんなの普通にだってありそうじゃない」
耕平 「そうだけど・・・ヘタなこと実現したら怖いし、とりあえずは、ジャブって感じで・・・」
由里 「意気地なし・・・かして!(奪う)・・・あたしだったらね・・・」
耕平 「おい、だから消えちゃうんだってば」
由里 「あ、そっか~・・・(書くのをあきらめる)」



 SCINE.4-4 友達


      まもりが入場してくる。
      店の扉を開け、まっすぐ席につく。

真二 「いらっしゃいませーっ!・・・」

      すぐに真二が出てくる。

まもり「・・・こんにちは、真二くん。・・・いつものお願い」
真二 「はい、かしこまりました・・・(まったくの営業口調とは違う)」

      真二は引っ込もうとするが、耕平&由里の横を通りぎわに、

真二 「・・あっ・・・こちら、もう少々お待ち下さい」
由里 「ア、はい・・」

      で、真二退場。



 SCINE.4-5 パレード


由里 「・・・ねえ今、及川君なんか様子おかしかったと思わない?」
耕平 「・・・ほらあの客、ほんとに「いつもの」って頼んだぞっ?」
由里 「あのひと及川君と、どういうカンケイなんだろっ?」
耕平 「やっぱりその本に書いた事は、現実になるんだよ!」
まもり(耕平と由里がいるのに気付いて、ギョッとしている)
耕平 「・・・」
由里 「・・・」
耕平 「・・・由里君・・・君はなんで興奮してるの?」
由里 「・・・・・ね~っ、やっぱりその本に書いたことは、ほんとになるみたいだね・・・まいったな・・・」

      その間にまもりは、本当に本を持っていったあの二人なのか、確認しようとしている。

まもり「・・・(やっぱりそうだとわかって)・・・うっそぉー・・・」

      耕平&由里は、まもりの方を見る。
      まもりは急いで目をそらす。

耕平 「(気を取り直して)・・・ますますそれって、大変な本みたいだな」


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 最近、ようやく念願のホームページ作成のソフトが手に入りまして。
 これから時間のあるときを見計らってHP製作にいそしもうかなと。
 思っておる次第であります。
 完成はそうだなー、今忙しいから、来年の春頃には、遅くても花粉症の季節が終わる頃には、とりあえずの形でも立ち上げたいな、と思っております。

 内容は過去の僕の文章作品を整理し発表する場として。
 それから好きな音楽、映画、漫画、小説(?)のレビューのようなもの。
 演劇―――舞台照明、路上演劇についての雑想。
 …などなどな感じであります。

 出来上がったらリンクを張りになぞ、お邪魔することもあるかと思います。
 その時はよろしくお願いいたしますm(__)m

 それではまた近いうちにお会いしましょう!

 でわでわ

 鉛筆カミカミ

5つの誤算(完全Ver.)

2006年10月09日 19時19分43秒 | 文章塾
 ご無沙汰しております。
 鉛筆カミカミです。

 へちま亭文章塾塾生の皆さん、お久しぶりです。
 この鉛筆、まだ生きてました(笑)

 本当はこの3連休で塾生の皆さんにコメント返しを
行おうと思っていたのですが、思いの外忙しく、
また体も無理がきかず、結局無理なようです。

 最低でもやろうと思っていました、第11回のコメントで宣言した、
「5つの誤算・完全バージョン」を、今更ですが、
発表したいと思います。


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   『5つの誤算~完全Ver.~』


「じゃ、ダブルデートという事で」
「いいですよ?」
 自分が何にドギマギしているのか、英二は判らなかった。
「だから期末テストまで頑張んなさい!」
「はいっ」
「じゃあこの問題…」
 机上に目を移した美穂の長い髪が、サラ…と落ちた。
「…」
 美穂がニマ~と笑う。
「ほら集中しろ!トップとれなかったら遊びにも行けないんだぞ!」
「…分かりましたぁ」

 この日、英二と真里は美穂先生と耕一とで遊びに行く約束をした。

 そしてテストも終わり、約束は果たされることになった。
 当日。

「え~っ、熱出して、ベッドから起き上がれない!?」
 真里が遅刻してくるのはおかしいと思い、英二が電話した。この時間、集合場所に来ているのは英二のみ。
 遅れて2人が到着し、話し合いの結果3人で遊ぼうという事になった。

「重いですよ~耕一さんも持って下さいっ」
「んー雲行き怪しいなあ。英二君、どっか入ろうか。急いで急いで」
(全然聞いてない)
 美穂も耕一にヒョイヒョイとついて行く。
(ほとんどあんたの買い物なんだぞ!)
 恨めしそうに美穂の後姿を睨むが、気付くはずもない。
「みやこタワー入ろうよ。展望台登ろ」
 途端に雨が降ってきた。

    *

「エレベーターより早く登れたらご褒美に何かしてあげる!」
「何かってなんだよぅ」
「秘密っ」
「英二君、競争しよう!」
「こんな疲れてて勝てる訳ないじゃないですか。それにエレベーターより早くなんて無理ですよ。僕は降ります」
「そうか?」
「耕一頑張んなさい!」
 耕一は階段で登り、英二と美穂はエレベーターに乗り込む。
 エレベーターが走り出す。
 バリバリバリーと切り裂くような音が鳴り響いた。
 ガクン、とエレベーターが停まり、真っ暗になる。
 停電?

「午後には、雷を伴った夕立があるでしょう」
 朝、テレビのお天気キャスターが伝えていた。

「雷だ」
 乗っているのは2人だけ。
「動かないね」
 若い男女2人で密室に閉じ込められた。
「ええ」
 長い。
「真里ちゃん残念だったね」
「ええ」
 長い。
「英二君キスしたことあるの?」
「えっ・なんでそんな事」
「あるの?」
「…そ、そりゃありますよ」
「本当?大人なんだ…」
 真里とのキスは数える程。
「キスしたいな」
「へっ?」
「最初に付き合った人、頭が良くて真面目な人だった」
「…へえ」
「忘れられないんだ」
「…」
 美穂の唇が英二の唇に近付いてくる。
 大人の女性の匂い。
 英二が味わったどのキスより濃厚なのだ。
 その刹那、ガタン、と床が動いた。明るくなる。離れる2人。

「ちぇ…でも未遂で良かったね」
 美穂が悪戯っぽく笑った。
 全くだ。今では本当にそう思っている。

    *

 無事に展望台に着いた。
 耕一は一頻り心配した後、
「俺の方が早かったことには変わりないよな」
 と誇った。
「わかったわよ~も~」
「約束」
 美穂さんが軽くリップにキスをした。
「…それだけ?」
「何を期待してた訳?」
 耕一は頭をボリボリ掻いた後、
「…まあ…嬉しい誤算だ」
「そうよっ」
 英二は2人の様子を無言のまま眺めていた。


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 掲載にあたって思ったのは、ニュアンスの少しの差で
文章から受ける印象が全く変わってくるということです。
 やっぱり800字、難し~~っ!!