以前から読みたかった杉浦日向子氏の百日紅。
期待通り楽しませてもらった。
「散れば咲き 散れば咲きして 百日紅」とは、江戸の女流歌人、加賀の千代女の句です。
わさわさと散り、もりもりと咲く、というお祭りが秋まで百日間続きます。長い長いお祭りです。
百日紅のしたたかさに江戸の浮世絵師がだぶり、表題はこんなふうにきまりました。(まえがきより)
浮世絵師・葛飾北斎とその三女・お栄、そしてその取り巻き絵師達が繰り広げる江戸と風景。
この度も、とびっきりの江戸情緒を堪能させてもらった。
鼻腔をかすめる墨の香り、咽るような白粉や体臭の酸味臭、燭台の鰯油の燃える生臭さ…、香ばしい焼き芋や、まる鍋の湿気を含んだ甘さ…などの生活臭から唆る匂いまでもが読むほどに感じられる。
そして杉浦氏の絵描く江戸の男心と女心…、杉浦さん実に上手い。
この満足感と安らぎ感を上手く表現出来ないけれど、ただただ惹きこまれました。
台風も過ぎ、時折のぞく青空と秋の日差し。
彼岸の墓参りも済ませた。縁側の秋海棠も咲き始めました。
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