普段、大晦日は家で過ごすことが多いが、今年はブルーノート東京でのカウント・ベイシー・オーケストラのカウント・ダウン・ライブの魅力に惹かれ1ヶ月前に予約。大掃除に忙しい暮れではあったが、期待に胸を膨らませてブルーノート東京に向かった。
でも、トパーズさんは年末のお節料理作りで忙しく、二人がブルーノート東京に着いたのは10時半。
既に客席はほぼ満席で、ステージに向かって右端の、ボントロ・セクションのすぐ横当たりの席に案内された。見えるのは、バス・トロ、バリサク、ラッパの横姿で、ブッチ・マイルスはまったく見えない。残念。家で年越し蕎麦を食べて来たので、つまみは甘エビのカルパッチョだけで、ワインはさっぱり系のフュメにした。
フュメを1杯飲みほした頃から、一人、また一人とメンバーがステージに登場。むむっ、サックスと一緒に大きな鞄を抱えて来て、面譜台の下に入れている人を発見。楽屋には置いておけない貴重品があるのがろうか?
舞台左手から拍手がわく。見えないけど、ブッチ・マイルスの登場だろうか?
フランク・フォスターのディスコ・モーションで演奏がスタート。
1曲目から急速テンポで、ぐいぐいぐいぐいとスウィングする。サックスのソリ、トゥティともに、まさに一糸乱れぬ迫力の演奏だった。しかも、余裕シャクシャク。自然と、足がリズムを取り、体が揺れる。
早いテンポの曲を中心に、どんどん演奏は進むが、とにかく一分の隙もない演奏だ。しかも、不思議だけど、聴いていると、どんどん、どんどんと、幸せな気持ちになってくる。ブッチ・マイルスのハイハットとリムショットがさらにバンドをつんのめるように前へ、前へとドライブさせる。このスウィング感がベイシーだ。テナー陣2人のソロも、フランク・フォスターを彷彿とさせてカッコいいし、ラッパのハイノートも決まっている。もう言うことなし。
途中、メルバ・ジョイスという黒人の女性ボーカルが入って、ペーパー・ムーン、ボディ&ソウルなどを、ブルージーに聴かせてくれた。
エラとダイナ・ワシントンを足したような感じのベテラン歌手で、ベイシーにはぴったりのシンガーだった。
そして、最高の気分でいよいよ12時を迎えた。クラッカーが打ち鳴らされ、シャンパンで乾杯。
ハッピー・ニュー・イヤーの声が客席から、そして、ステージから飛び交い、クラッカーの紙吹雪が銀色の雪となって舞う中、演奏された曲はエイプリル・イン・パリ。もちろん、何度もワン・モア・タイム。
アンコールでは、バンドのメンバーにもシャンパンが出され、ジャンピン・アット・ウッドサイド、ウィンド・マシン、ワン・オクロック・ジャンプが演奏された。
ジャンピンでのテナー・バトル格好良かったなー。
最後は、もちろん自然と湧き上がるようなスタンディング・オベーション。
最高の大晦日、そして、新年をありがとう。
ベイシー亡き後のベイシー・オーケストラには余り興味がない人も多いかとは思うが(僕がそうでした)、今のベイシーは、パブロ時代を彷彿させる、最高の状態だと僕は感じた。ベイシーのDNAは健在。
2005年の仙台でのライブを録音した最新作「ベイシー・イズ・バック」も聴いてみようと思う。