Wine&Dish&Music・・・

2009年11月に念願のJAZZ BAR をオープン。
よちよち歩きで、何とかやっています。
飲み食べ歩きは激減。

カウント・ベイシー・オーケストラ

2007-01-11 11:17:26 | DH氏のライブレポート
~ベイシーでカウント・ダウン 最高の大晦日~






普段、大晦日は家で過ごすことが多いが、今年はブルーノート東京でのカウント・ベイシー・オーケストラのカウント・ダウン・ライブの魅力に惹かれ1ヶ月前に予約。大掃除に忙しい暮れではあったが、期待に胸を膨らませてブルーノート東京に向かった。
でも、トパーズさんは年末のお節料理作りで忙しく、二人がブルーノート東京に着いたのは10時半。
既に客席はほぼ満席で、ステージに向かって右端の、ボントロ・セクションのすぐ横当たりの席に案内された。見えるのは、バス・トロ、バリサク、ラッパの横姿で、ブッチ・マイルスはまったく見えない。残念。家で年越し蕎麦を食べて来たので、つまみは甘エビのカルパッチョだけで、ワインはさっぱり系のフュメにした。

フュメを1杯飲みほした頃から、一人、また一人とメンバーがステージに登場。むむっ、サックスと一緒に大きな鞄を抱えて来て、面譜台の下に入れている人を発見。楽屋には置いておけない貴重品があるのがろうか?

舞台左手から拍手がわく。見えないけど、ブッチ・マイルスの登場だろうか?
フランク・フォスターのディスコ・モーションで演奏がスタート。
1曲目から急速テンポで、ぐいぐいぐいぐいとスウィングする。サックスのソリ、トゥティともに、まさに一糸乱れぬ迫力の演奏だった。しかも、余裕シャクシャク。自然と、足がリズムを取り、体が揺れる。
早いテンポの曲を中心に、どんどん演奏は進むが、とにかく一分の隙もない演奏だ。しかも、不思議だけど、聴いていると、どんどん、どんどんと、幸せな気持ちになってくる。ブッチ・マイルスのハイハットとリムショットがさらにバンドをつんのめるように前へ、前へとドライブさせる。このスウィング感がベイシーだ。テナー陣2人のソロも、フランク・フォスターを彷彿とさせてカッコいいし、ラッパのハイノートも決まっている。もう言うことなし。
途中、メルバ・ジョイスという黒人の女性ボーカルが入って、ペーパー・ムーン、ボディ&ソウルなどを、ブルージーに聴かせてくれた。
エラとダイナ・ワシントンを足したような感じのベテラン歌手で、ベイシーにはぴったりのシンガーだった。

そして、最高の気分でいよいよ12時を迎えた。クラッカーが打ち鳴らされ、シャンパンで乾杯。
ハッピー・ニュー・イヤーの声が客席から、そして、ステージから飛び交い、クラッカーの紙吹雪が銀色の雪となって舞う中、演奏された曲はエイプリル・イン・パリ。もちろん、何度もワン・モア・タイム。

アンコールでは、バンドのメンバーにもシャンパンが出され、ジャンピン・アット・ウッドサイド、ウィンド・マシン、ワン・オクロック・ジャンプが演奏された。
ジャンピンでのテナー・バトル格好良かったなー。

最後は、もちろん自然と湧き上がるようなスタンディング・オベーション。
最高の大晦日、そして、新年をありがとう。

ベイシー亡き後のベイシー・オーケストラには余り興味がない人も多いかとは思うが(僕がそうでした)、今のベイシーは、パブロ時代を彷彿させる、最高の状態だと僕は感じた。ベイシーのDNAは健在。
2005年の仙台でのライブを録音した最新作「ベイシー・イズ・バック」も聴いてみようと思う。

シェリル・ベンティーン (2006年12月23日 丸の内コットンクラブ)

2007-01-09 17:35:25 | DH氏のライブレポート

~素敵なクリスマスをありがとう~

この日はクリスマスのイブイブ。
クリスマス時期の良いレストランは混んでいるので、家ご飯にすることが多いのだが、シェリル・ベンティーンのクリスマス・ディナー・ショーに心が動き、たまにはちょっとロマンティクで豪華なクリスマスにしようかなということになり、少しおめかしして丸の内コットンクラブに向かった。
トパーズさんはいつものダウンコートとは違って、有閑マダムの雰囲気漂う豪華な毛皮のコートを着用、うーん、素敵だ。

舞台左手のボックス席につき、まずはモエ・エ・シャンドンで乾杯。そしてクリスマス・ディナーが順次運ばれる。フォアグラとヘレ肉のステーキがなかなか美味だった。ワインはピノ・ノアール、ステーキにぴったりと合う、しっかりとした味だ。

さて、デザートを食べ終わる頃にライブが始まる。
まずは、バック・バンドで1曲やり、それからシェリル・ベンティーン登場だ。

太った!!

昨年マントラで見たときよりも確実に太っている。お互いウェイト・コントロールには注意しなければ。

バック・バンドのメンバーはCorey Allen(p), Kevin Axt(b), Dave Tull(ds)。
途中のメンバー紹介で分かったのだが、ピアノのCorey Allenはシェリル・ベンティーンのご主人ということだった。

シェリル・ベンティーンは上手いのはもちろんだけど、とにかく歌に余裕がある。そこが、ロバータ・ガンバリーニとの決定的な違いだと思う。
アップテンポの曲でのスキャットなんかは、シェリルだったらもっと華麗なテクニックを見せつけて長尺のスキャットを楽々とできると思うけど、そんな野暮なことはしない。ちらっとおいしいフレーズを見せるだけだ。
ハウ・ハイ・ザ・ムーンでは、エラばりの華麗なスキャットを聴かせるかと思っていたら、意表をつくように、ドラムのDave Tullがエラを完コピした見事なスキャットを披露してくれた。
なかなかアメリカのショービジ世界の奥は深い。
また、バラードでの彼女の表現力の奥深さは、まさに一流の域に達している。
特に、アイム・ア・フール・トゥ・ウオンツ・ユーは素晴らしかった。
僕はビリー・ホリデイみたいと思ったけど、トパーズさんはシナトラみたいと言った。
確かにビリー・ホリデイのようにストレートに感情を表出するのではなくて、内に秘めた感情が歌の中に自然と沁みだすような歌い方だった。
いつもながらトパーズさんの鑑賞力には脱帽。

アンコールでは「サイレント・ナイト」をしっとりと歌ってくれた。
まさに、素敵なクリスマスをありがとうだ。

さて、仕事が忙しいのを言い訳にここまで書けなかった(書かなかった)ライブ・リポートを、大晦日の今日、一気に書き上げた。
今から、カウント・ベイシーの年越しカウントダウン・ライブに行きます。
では、皆様良いお年を。来年もよろしくお願いします。(とはいっても、これがアップされるのは年が明けてからですが。)


マドレデウス(2006年12月3日 武蔵野市民文化会館)

2007-01-01 12:07:49 | DH氏のライブレポート
~テレーサ・サルゲイロの天使の歌声~

僕は30歳代の10年間は、いわゆるワールド・ミュージックに傾倒して、ほとんどジャズを聴くことはありませんでした。そんな時に大好きだったのがポルトガルの民族歌謡ファドであり、ファドとクラシックの融合を図ったグループであるマドレデウスでした。
ファドとは運命とか宿命とかという意味で、民族音楽というより、リスボンで生まれた民族歌謡といったほうが当たっているような気がします。

マドレデウスは5年程前に渋谷のオーチャード・ホールで見ましたが、場所柄のせいか、今回の観客の平均年齢は前回よりも随分と高め(50歳代か?)のような気がしました。
メンバーはテレーザ・サルゲイロ(ヴォーカル)ペドロ・アイレス・マガリャンエス(クラシックギター)、ジョゼ・ペイショート(クラシックギター)、フェルナンド・ジュディス(ベース・ギター)、カルロス・マリア・トリンダード(キーボード)。

クラシックのコンサートのように燕尾服に身を包んだバック・メンバーによる、クラシックギターを中心としたミニマル音楽風の演奏にのせて、テレーザのどこまでも透明で繊細だけども、とても力強い歌が響きます。
僕は、このテレーザの声と独特の節回しがとにかく大好きです。
冬の夜空のようにどこまでも透明な高音はもちろん、低音部の表現力が一段と増しているのに少し驚き、やっぱりテレーザはいいなと嬉しくなってしまいました。テレーザの歌は慈愛そのものです。

マドレデウスのライブではいつも舞台の両脇上部に設置された掲示板に訳詩がでるんですが、この歌詞がまた好きなんです。 こんな感じの歌詞です。  


   たとえ何があっても  私はここにいる  
   たとえ何があっても  貴方を待っている    
   私は知っている  貴方が私にとって誰なのかを  

   たとえ何があっても  私は貴方を待っている」(たとえ何があっても)  

   来て  一切の孤独を超えて  
   貴方の命の光を失った私は  地平線を失ったのと同じ    

   いいでしょう  気が済むまで進んでいって  
   だが その後には  この悩む心を癒しに来て欲しい」(願い)    

まぁ、単純と言えば単純かもしれないけど、何か僕の心に突き刺さります。
何だか「サウダージ」を感じませんか?
決して取り返す事の出来ない時間、人、心。
僕はファドを聴くといつもそんな喪失感、底知れぬ哀しさ、そこから生まれる力強い希望を感じます。
心に沁みる良いコンサートでした。

ポルトガルと言えば、最近聴いてないけど、ドゥルス・ポンテスはどうしているのでしょうか?
「プリメイロ・カント」は大好きで何度も聴いたものです。
ショーターのソプラノも素敵だし、良いアルバムでした。


富士通コンコード・ジャズ・フェスティバル2006(2006年11月5日 東京簡易保険ホール)

2007-01-01 11:46:52 | DH氏のライブレポート
~アメリカ・ジャズの底力を実感~

今年の富士通コンコード・ジャズ・フェスティバルはルイス・ナッシュのビバップ・オールスターズにデューク・エリントン・オーケストラ、それに、話題の女性ボーカリスト、ロバータ・ガンバリーニという、いつもにも増してバラエティ豊かなプログラムでした。
会場の平均年齢はかなり高め。会場をきょろきょろ眺めていると、昨年だったか一昨年だったか、今は亡き藤岡琢也さんを会場でお見かけしたことをふと思い出しました。

さて、トップ・バッターはルイス・ナッシュ&ビバップ・オールスターズ。
メンバーはテレル・スタフォード(トランペット)、ジェシー・デービス(アルト・サックス)、マルグリュー・ミラー(ピアノ)、ピーター・ワシントン(ベース)、ルイス・ナッシュ(ドラム)、そして、スペシャル・ゲストがフランク・ウェス(テナー&フルート)。
オープニング・ナンバーは「ワーク・ソング」。いやー、実にファンキーです。ナット・アダレイ&キャノンボール・アダレイといった感じでしょうか。もちろん、マルグリュー・ミラーの左手は真っ黒なサウンドをたたき出します。そして、大御所フランク・ウェス。いぶし銀の滋味溢れるサウンドでした。
曲はオータム・リーブス、マイ・フーリッシュ・ハート、ラウンド・ミッドナイト、スカイラーク、イージー・リビングとお馴染みのスタンダードが続き、モーニン、クール・ストラッティンで雰囲気は最高潮に達し、五反田の簡易保険ホール(それにしてもセンスのないネーミングだと思いませんか)がニューヨークのジャズ・クラブになったような錯覚に襲われたのでした。

二番手はロバータ・ガンバリーニ&ジェイク・ハナ・トリオ。
メンバーは、ジェイク・ハナ(ドラム)、ジョン・ハモンド(ピアノ)、ジム・ヒューアート(ベース)。
ジェイク・ハナはいつものように、スネア1本、シンバル1個、バスドラ、にハイハットのシンプル過ぎるセッティングです。このセッティングの前で叩くジェイクの姿を見るだけで、なぜか心がスウィングしてしまいます。
ロバータ・ガンバリーニは「エラ、サラ、カーメンの再来」と言われ、ファースト・アルバムの「イージー・トゥ・ラヴ」がかなり評判になった人です。このブログでは以前にトパーズさんがそのアルバムをジャケ写付きで紹介した時に、その魅力的で大きな胸も話題になりました。ところが、ステージに登場した彼女は見事に痩せてスタイル抜群。ジャケ写よりもずっとあか抜けて、ハリウッドの女優さんといったイメージに変身していました。お見事です。

歌の方はどうでしょうか???

これはあくまでも僕の個人的な感想ですが、もっているテクニックをすべて使ってプレイしていると言った感じで、なにか余裕が感じられないので、どうも「歌を楽しむ」といった気分になれませんでした。
テクニックはしっかりしているし、表現力もあるだけに残念です。
今の70%くらいの力でリラックスして歌えば、もっともっと良くなるような気がします。

トリは、デューク・エリントン・オーケストラ。
いきなり、耳にピアスのニューヨークの不良といった感じのポール・マーサ・エリントンが登場して指揮をしますが、何だか、僕的にはこの人は雰囲気に合わないような・・・。
しかし、オーケストラは、そんなこと関係なく強烈にスウィングします。特に、サックス陣はすごい。ソロは上手いし、超高速ソリでも一糸乱れず、ぐいぐいとスウィングしまくります。これが、デューク・エリントン・オーケストラの伝統のなせる技でしょうか。
途中に、ボーカルのフリーダ・ペインが入りましたが、この人はどうも・・・・・ノーコメントということにします。

それにしても、アメリカのジャズの伝統の底力はすごいなーと感じたコンサートでした。
どうやれば、あんな風に音を出すだけで、自然にスウィングし、ファンキーなグルーブを出せるのでしょうか?何千回、何万回練習しても、八分音符のノリを体得できなかった僕にとっては一生の憧れです。


スティーブ・キューン・トリオ・ウィズ・カーリン・クローグ

2006-11-22 18:57:06 | DH氏のライブレポート

<2006年11月2日 JZBrat>~キューン節、クローグ節、自分だけの世界をもったミュージシャン~3年前に新宿の「DUG」でスティーブ・キューン・トリオを聴いた時に、アップライト・ピアノからこんなに綺麗な音を出すことができるんだ・・・・と感動した。特に高音の美しさ。そして、透明でセンシティブな音世界に、アメリカ的なジャズとは違うジャズのライブの楽しさを感じた。どちらも素敵だ。カーリンはトパーズさん30年来の憧れの人。僕は残念ながら、トパーズさんに教えられるまで知らなかった・・・・・・自分の聴く量の少なさ、幅の狭さが恥ずかしい。場所は渋谷セルリアン・タワー・ホテルの中にあるJZBratというライブ・ハウス。このライブ・ハウスに行くのは初めてなので、どんなところか楽しみにしながら、仕事を早めに切り上げて(無理矢理です、サボリに近いかも)ファースト・ステージ開演の7時30分の少し前に到着。セルリアンの中にあるにしては庶民的なテーブルと椅子にインテリア。早めに予約したおかげか、席は一番前でピアノに手が届きそうな最高の席だった。開演までのひと時、いつものように、まずはビールを飲みながら、ふと後ろを振り返るとキューン先生(本当にプロフェッサーと呼びたい雰囲気)は客席で数人の女性ファンと一緒に楽し気に談笑中。「年の功」なのか、来日初日の初ステージ前の緊張感は全くなさそう。さて、ビールがなくなり、ワインを飲み始めたところで、照明が暗くなり、ファースト・ステージ開始。最初はスティーブ・キューン・トリオでの演奏。メンバーはドラムが「DUG」で見たときと同じビル・ドラモンド、ベースは違う人で、まだ若い感じのダグ・ウェイスだった(DUGでは多分デビット・フィンク)。1曲目は「イフ・アイ・ワー・ア・ベル」。高音部の鍵盤を叩いて美しい音を出すいつものキューン節です。2曲目はほとんどテーマの出てこない「枯葉」。そして、アルバム「オーシャンズ・イン・ザ・スカイ」から「パッション・フラワー」。このアルバムはビトウスのベースが好きでよく聴いたなー。続いて、ステラ、コンファメーションとスタンダードが続くが、キューンらしくひねってあり、曲名のアナウンスを聴くまではなかなか分からない。ここで、カーリン・クローグ登場。いかにも北欧の上品な「おばさま」といった暖かい雰囲気。ニューヨーク・モーメンツから中心の選曲で、最初の一声でカーリンと分かる独特の歌世界に連れて行ってくれた。カーリン以外の他の誰にも創りだせない彼女だけの世界を持っています。3曲目にホエアー・ユー・アットを歌ったところでファースト・セットは終了。カーリンをもう少し聴きたかったなー。ほとんどの人はファースト・セットだけで帰るみたいで、ここで客席は入れ替え状態になる。もったいないなー、ファーストだけで帰るなんてと思っていると、客席の後ろでファンにサインをしているカーリンの姿を発見。すかさず、トパーズさんはもってきたCDをもってサインをもらいに走る。トパーズさん、一番前の席でずーっと口ずさみながらステージを見ていたものだから、カーリンから、「あなたは歌手なの?」と聞かれたそうです。そして、カーリンがスティーブ、と呼んでくれて、めでたくキューン先生のサインもゲットしました。さて、セカンド・ステージは、「グレーター・ラブ」で幕開け。「ビューティフル・ラブ」、「ブルー・ボッサ」と続くが、なんだかファースト・ステージと違う。キューンのピアノの「ノリ」があきらかに良くなっている。フレーズも滑らかで、ピッタリと決まっていて、美しい。そして、カーリン登場。キューン作曲のミーニング・オブ・ラブで始まり、ジョン・サーマンのカント・マイと続く。カント・マイで、ドラムと掛け合いでスキャットするところが格好良かったなー。アンコールでは、キューンがソロでポエム・フォー#15を演奏し、渋い歌も聞かせてくれた。そして、最後にカーリンが登場して、レイジー・アフタヌーンをしっとりと歌い上げステージは終了。うーん、素晴らしいライブだった。ちょっと、お客さんが少ないのが淋しかったけど、来年も是非来日して、素敵な歌を、ピアノを聞かせてください。=トパーズ追記=ずっとずっと、今でも大好きなカーリンの歌を目の前で聴ける、という幸せな瞬間が訪れるとは思ってもいなかったので、今回のライブはとても楽しみでした。 彼女の歌は独特で、楽器っぽいというのか、バンドをバックに歌うのではなく声で演奏しているように感じられるサウンド。若い時は実験的なこともしていて、それがカッコよくて憧れていたなぁ。アーチー・シェップと一緒にアルバム作っちゃう歌手なんて、そうはいないでしょう。ちょっと怖そうなインテリぽい人なのかな、って想像していたのだけれど、ステージに現れたカーリンはニコニコ微笑む優しそうなおばさまだったのでびっくり。でも歌い出したらレコードと同じ声、独特の歌い方、なんて素敵な・・・・うっとりちゃん。ONE&ONLYの人だなと再認識。年取って少し丸くなったようにも思うけれど、最近のアルバムもなかなかよくて、やっぱりカーリンからは目が離せない私なのでした。=追記の追記=ミクシィの「スティーブ・キューン・コミュ」のメンバー「スティーブ・キューン完全コレクター」さん、全公演を追っかけするというすごい人。コミュでは存じていたけれどお会いしたことはなく、当日隣りのテーブルにそれらしき方が。あちらも「そうかも・・・」と思っていたそうで、「もしかして・・・?」とステージの合間にご挨拶。中野新橋のジニアスの常連さんでもあり「ジニアス・コミュ」でもお仲間。「中新にお住まいですか?」から話が始まり、彼の名刺に書かれた勤め先の住所を見てびっくり~私が9月まで、10年半も住んでいたマンションの1階にある会社にお勤めでした。何度もすれ違ったり、見かけたりしてたのだろうけど「スティーブ・キューン大好きです」って顔に書いてあるわけじゃないから、わからなかったなぁ。世の中狭い!ミクシィもすごい!ホントに驚きました。今度ジニアス飲み誘ってくださいね~。


まだまだ続くぞ・・・で =NO.3=

2006-11-20 18:32:21 | DH氏のライブレポート

ウルフ・ワケニウス・グループ(2006年10月6日 ボディ&ソウル)~ギター小僧は必見~ 一昨年のオスカー・ピーターソンの来日ステージで見てから注目しているスウェーデンのギタリスト、ウルフ・ワケニウス。基本的にはウェス・モンゴメリー的なテクニシャンで、バンド全体を強烈にスウィングさせて、ピーターソンを優しく的確にサポートする姿が印象的だった。今回は、ピーターソンに捧げた「ケークウォーク イン・ザ・スピリット・オブ・オスカー」のメンバー(ピアノ:シェル・オウメン、ベース:ハンス・バッケンロス、ドラム:ユッケ・エクベリ)での来日。場所は、久しぶりのボディ&ソウルで、ピアノのすぐ前の席でした。 ウルフのギターは、深めのリバーブをかけた優しい音色で、オクターブ奏法を何気なく織り込みながら、難しいフレーズをいとも簡単に弾いてしまう。「ケークウォーク」のライナーで成田正さんが、「ジョー・パスとメセニーが同時に聴こえてくるようだ」と書いていたけど、僕にはメセニー的な部分のほうが大きく感じられた。この日のライブでも、ソロが盛り上がってくるとメセニーっぽいフレーズが連発されてスリリングであり、ギター小僧にはたまらないだろうなと思った。ただ、バックのメンバーはウルフと比較すると少し力不足かなといった感じで、ピアニストなんかはかなりご高齢ゆえ、指はちょっともたつき気味で、最後の方は手がだるそうだったのが残念だった。同じく北欧のピアニストであるカーステン・ダールと一緒にやっているアルバム「チェッキン・イン」で、ショーターの「フットプリンツ」をやっているんだけど、そこでのソロはまさにメセニー的なハーモニーとフレーズで印象的だったし、カーステン・ダールの力強いタッチのピアノも素敵だったので、今度は、このユニットで聴いてみたい。(カーステン・ダールはデンマークのピアニストで、昨年、武蔵野スウィング・ホールでトリオのライブを見たんだけど、ヘビー級の力強いタッチと、唸り声、強烈にスウィングするドライブ感溢れるプレイに圧倒された。) ★トパーズ追記★ピーターソンのスピリッツを継承しようというコンセプトで作られたこのユニット。CDでもそうだったけれど、時々ハローハービーのサウンドの雰囲気が顔を出したりして面白かった。驚いたのはワケニウスのギター、演奏じゃなくて楽器の方ね。フルアコじゃなくてレスポールなの。もちろん見た目は中年ロッカー、なのに演奏はジャズという不思議な光景だったのでした。レスポールでオクターブ奏法ギンギンギン・・・上手いぜウルフ!DH氏も書いていたけど、アンコールが終わってピアノのおじさんが手をブルブル振りながら「いやー疲れた~、これで明日の朝コペンに帰るんだよ~」と私たちに愚痴ったのがとってもおかしかった。どうやらハードスケジュールだったようですね。この日のライブも、終わったのは12時近かったし、お年寄りにはきついかも・・・でした。


遅くなったぜ、ベイビー=その2=

2006-11-12 15:08:46 | DH氏のライブレポート
ブラッド・メルドー・トリオ(2006年9月16日 オペラ・シティー)~真っ白なキャンバスに音で描く真剣勝負のインプロビゼーション~ ブラッド・メルドーは今最も気になるピアニスト、ジャズ・ミュージシャンの一人だ。ジャズの歴史・伝統の中で蓄積された遺産を自分の中でしっかり消化して、尚かつ、新しい表現手法を開拓しようという真摯な姿勢が感じられる。ハンク・ジョーンズとはまったく違った、イノベーター的な魅力。メンバーはベースがラリー・クレナディア、ドラムがジェフ・バラードというレギュラー・トリオ。2年前のソロ・ライブは、想像していた以上に繊細なパフォーマンスだったし、今回も期待が高まる。ところが・・・・・・1曲目はオアシスのワンダー・ウォール。なんだか乗り切れないメルドー。深い闇の中で手探りでメロディーラインを探すんだけど、見つけられなくてやめてしまう。そんなことの繰り返し。2曲目はメルドーのオリジナル。ここでは、時折メルドーらしい斬新なフレーズが飛び出し、一気に爆発してインプロに突入するかと思ったが、結局、不発のまま曲が終わってしまう。なんだか、ドラムともビート感がちぐはぐな感じで、メルドーが少しいらいらしているような雰囲気も感じた。そんな状態のまま、1時間少し経過したところで、初めてメルドーがマイクをもって演奏した曲目を紹介。そして、次にスタンダード・ナンバー、ベリー・ソート・オブ・ユーをやる。ここでやっとメルドーらしい意表をつくようなフレーズから息の長いソロが展開され、なんだか、大きな黒い雨雲から太陽の光が差し込んで来たような感じがした。そして、何かがふっきれたかのように、次のレノン&マッカートニーのシー・イズ・リービング・ホームではエンジン全開に近いパフォーマンスを展開してくれた・・・・が、これが最後の曲ということで、まだまだ聴きたい、これからなのにという気持ちでアンコールの拍手を贈っていると、ここからアンコールの嵐。アンコールだけで5曲、約1時間の緊張感に溢れた、息の詰まるようなパフォーマンスが続いた。コルトレーンのカウントダウンでの3者一体でグイグイと突き進む疾走するようなスピード感には驚いた。気がつくと。時計の針は9時近く。6時から約3時間近い演奏で大満足、メルドーの実力とジャズに取り組む真摯な姿勢を再確認することになった。あれ程のテクニック、実力であれば、アベレージな演奏をすることなんて簡単に出来てしまうはずなのに、敢えて、自分のイマジネーションのすべてを注ぎ込んで、真っ白なキャンバスを音で埋め込んでいく困難な道を選んでいるメルドー。スウィング・ジャーナルのライブ評では、杉田宏樹さんが「かつてのヒリヒリした感触とは異なり、成熟度を感じた」と書いていたけど、僕はいつまでもヒリヒリした緊張感から逃れることができない良い意味で成熟することのないメルドーを強く印象づけられた。メルドーは1970年生まれだから、まだ36歳。これからが楽しみで目が離せません。最新盤であるメセニーとのデュオも良かった。さて、インターネットで発表された当日の演奏曲目は次の通りですが、なんだか僕の記憶とは少し違うような・・・。デイ・イズ・ダンは演奏したと思うけど入ってないし・・・。1. Wonder Wall (Oasis) 2. Buddha Realm (Brad Mehldau) 3. O, Que, Sera (Chico Buarke) 4. Fat Kid (Brad Mehldau) 5. Black Hole Sun (Soundgarden) 6. The Very Thought of You (Ray Noble) 7. She Is Leaving Home (J. Lennon/P.McCartney) Encore 1. No Moon At All (David Mann/Redd Evans) 2. C.T.A. (Jimmy Heath) 3. Still Crazy After All These Years (Paul Simon) 4. Countdown (John Coltrane) 5. Exit Music (For a Film) (Radiohead)

遅くなりましたのライブレポート=その1=

2006-11-12 15:07:32 | DH氏のライブレポート

ハンク・ジョーンズ・トリオ(2006年9月5日 コットンクラブ)~自然と暖かくて幸せな気持ちになれる音楽~ 今日は11月11日。2ヶ月以上もライブレポートをさぼってしまった。どうも仕事が忙しくなると、書く時間はなんとかあるんだけど、書く心の余裕が無くなってしまって・・・というわけで、記憶の細い糸をたぐり寄せながら書きます。ハンク・ジョーンズはなんと88歳。半世紀以上ジャズの第一線で、「一流」と言われるポジションで演奏を続けて来たミュージシャンにしかないオーラが漂い、もう、曲がいいとか演奏がいいとかいう次元ではありませんでした。 何も考えないで聴いているだけで、ジャズの空気に包まれて、暖かくて幸せな気持ちになる。そんな、ライブでした。サイドメンはベースがジョン・パティトゥチ、ドラムがオマー・ハキム。最新作の「スピーク・ロウ」ではベースは同じだけどドラムがディジョネットだったので、ドラムが変るとどんな風にサウンドが変化するのかなと思いながら聴いたけど、結果的にはハンクの世界は変らず。ただ、ジルジャンのシンバルが1、2、3、4、5、6、7、・・・・・・・・大きいのから小さいのまで何枚あったかな?それにタムも・・・・・。どうみても、ヘビメタかプログレのセッティング。そして、出てくるサウンドは・・・・・ウルサい。でもハンクは、ドラムのうるさいバッキングも長過ぎるソロも、にっこり微笑みながら包み込んでしまうんだからすごい。パティトゥチはショーター・バンドで見たときとはまったく違うプレイで、相手によってスタイルを変えることのできる職人風。もっと年とるとムラーツみたいになるのかな。それにしても、ハンクのピアノの音は暖かくて、太くて、シングル・トーンのソロが、テナー・サックスみたいに聴こえてしまった。 =とぱーす追記=「Alone Together」のソロ演奏から始まった今回のライブは、「86」という年齢に驚愕しながら指だけを目で追い続けた2年前のブルーノートでの時と何も変わらず、素晴らしい演奏を私たちに聴かせてくれました。2年の歳月の間に老いてしまうのでは?弱ってしまうのでは?という心配は無用だったようで、美しいフレーズを奏でる姿は、まるで壮年ピアニスト。まだまだバリバリ活躍してくれるだろうと思わせる力強さもありました。曲目は枯葉やステラなど、スタンダード中心。DH氏も書いていましたが、ちょっと畑違いでは?と感じずにはいられなかったオマの賑やかドラムにも動じず、ピアノはただただハンクの世界。独特の温かみのあるふんわりとした音空間がコットンクラブ内に広がり、その心地よさにうっとりしたのでした。演奏が終わり、握手を求める皆の塊に飛び込んで軽く手を握ってもらったのですが、あの優しくきれいな音とは違う、太くしっかりして力強い指をしていたのに驚きました。同時に、来年も再来年も彼の演奏を聴けるだろうな、という期待を持たせてくれる手でもあったのです。


チック・コリア&タッチストーン  ~エンターテイナーな夜~

2006-10-05 02:08:03 | DH氏のライブレポート

(2006年8月26日 ブルーノート東京) 僕にとって一番衝撃的だったチック・コリアは「ナウ ヒー シングス、ナウ ヒー サブス」。「マトリックス」のスピード感に腰を抜かした。ずっと聞いていたハードバップとは全く違った、駆け抜けるようなスピード感に夢中になった。これはもう30年以上前のこと。リターン・トゥー・フォー・エバーとかエレクトリック路線は余り好きじゃなかったかな。さて、チック・コリアのライブを観るのは4年ぶり位だと思う。前に見た時はアコースティック・ピアノ・トリオだった。今回は、チック・コリア&タッチストーン。「タッチストーン」はチック・コリアがフラメンコ・ギタリストのパコ・デ・ルシアをフィーチャーしてリリースしたアルバムの名前。たしか1980年代前半だったと思う。その頃僕はフラメンコにはまっていたので、パコ・デ・ルシアに惹かれて買ったのをよく覚えている。でも、今回のメンバーにパコは入っていない。どんなスパニッシュ路線のチックなのかに期待を膨らませてブルーノート東京に向かった。フルートの超有名プレイヤーのヒューバート・ロウズも見てみたかったし。会場は当然ながら超満員。僕達はかなり左寄りのピアノの後ろの席を選ぶ。時間よりやや遅れてチック・コリア登場。ウーム、太って横綱級になっている。最初にチックがおどけながらメンバー紹介をし、楽しく陽気な雰囲気の中でライブが始まった。メンバーは、チック・コリア(ピアノ/キーボード)ヒューバート・ロウズ(フルート)アイアート・モレイラ(パーカッション)ティム・ガーランド(サックス/バス・クラリネット)トム・ブレックライン(ドラムス)カルレス・ベナベン(ベース) 1曲目はチックの名曲「セニョール・マウス」。ヒューバート・ロウズのフルートの音が実にいい。CTI時代の音よりも暖かくて丸い音になっている。容貌も白い髭をたくわえて柔和な視線で「ジェントルマン」といった感じ。バス・クラからテナー・サックスに持ち替えてのティム・ガーランドのソロも盛り上げ方が上手で中々。2曲目はフリーな雰囲気の中でスリリングなソロが展開され、スパニッシュ・モードを基調とした演奏で、リズムをめまぐるしく変化させながらどんどんテンションが上がっていく。カルレス・ベナベンの切れ味の鋭いベースが印象的。この独特の切れ味からしておそらくピックで弾いているんだと思うけど、チックの大きな背中に隠れて手元は見えなかった。それにとても「イケメンおじさん」だ。ひきつめて後ろで束ねた長髪とスペイン的な彫りの深い知的な容貌。ソロがヒートアップすると、束ねた髪が乱れて前に垂れてくるところがとてもセクシー。それにしても、このベースはすごい。ゲイリー・バートンの時のスティーブ・スワローも格好良かったけど、やはりベースってカッコいいなと再認識。そしてフラメンコ・ダンサーのアウシ・フェルナンデス登場。いかにもフラメンコ・ダンサーといった感じの美人。最初はステージ右手で手拍子。フラメンコののりが濃厚になってくる。ステージ中央に出て踊りだすとバンド全体のテンションも最高潮に達し、ダンサーのタップとチックの掛け合い、情熱的な「演劇」を見るような感じのフラメンコ・ダンスに目は釘付けとなる。オーソドックスなフラメンコの踊りとはかなり違うような気はするけど、バンドのサウンドにマッチしていてとても魅力的だった。バンドのメンバー達のフラメンコのビートを完全に共有した手拍子を見ながら、高校生の頃にフラメンコ・ギターを習いに行っていた時に練習させられたソレアのリズムを思い出した。僕はリズム感が悪いので、何度やっても先生の打つような手拍子が打てなかったな。最後はやはりこの曲「スペイン」。オール・スタンディングとなってライブは終了。時計の針はすでに12時近い。<今日の感想>それにしても、チック・コリアはエンターテイナーだな。 <追伸>このライブレポートは、僕の個人的な感想をさらさらと書くことを基本スタンスにしているので、書くにあたってあまり調べたりはしないんだけど、ベーシストのことがとても気になったので少し調べてみた。何とこの人は、昔のパコ・デ・ルシア・セクステットのベーシストだった。僕がフラメンコに夢中だった20年以上前に熱心に聞いた「ソロ・キエロ・カミナール」でベースを弾いていた人。今はこのレコードが手元にないので聴き直せないけど、当時はパコばかり聞いていて余りベースは記憶に残っていない。きっと狭い感性で聞いていたんだろうな。最近、少し音楽の楽しみ方の幅が広がったような気がする。ほんの少しだけだけど。


ジョー・ザビヌル&ザビヌル・シンジケート

2006-08-29 18:34:52 | DH氏のライブレポート

<2006年8月12日 ブルーノート東京> 久しぶりのライブ。ザビヌルは大学の時にウェザーで見て以来だから、実に25年ぶりくらいになる。ウェザーの時、僕の興味はショーターとジャコにあったので、ザビヌルのイメージは薄い。確かに、ウェザーのトータルな音楽的方向性を決めていたのはザビヌルだったと思うけど、その魅力の核心部分はショーターとジャコという強烈な個性だったのではないか。音楽全体をクリエイトするディレクターはもちろん重要だけど、サックスのインプロで勝負するショーターの方に僕は魅力を感じる。最近のショーターは余り音数を吹かなくなったので、ディレクター的なアーティストになったと見る向きもあるようだけど、僕はそうは思わない。「神が降り立つ瞬間」を感じて、どうしてもここで吹くべき選び抜かれた音を発している訳で、昔とちっとも変わっていない。さて、今日の客層は若いクラブ・ミュージック系ファンと往年のウェザーを懐かしむ世代のファンが半々くらいの感じだった。メンバーは、ジョー・ザビヌル(キーボード・ヴォーカル)、アジズ・サムウイ(ヴォーカル・パーカッション)、アレグレ・コリア(ギター・ヴォーカル)、リンレイ・マルト、ナサナエル・タウンスレー(ドラムス)、ジョルジ・ペゼーハ。勉強不足でザビヌル以外は知らない人ばかりだけど、予習で聴いた「ウィーンの夜~ライブ・アット・バードランド」に入っていた人達なので大体のサウンドの予想はつけた。ただ、サビーネ・カボンゴが来れなかったのは残念。この人の歌うイエレナは聴いてみたかった。ザビヌル&ザビヌル・シンジケートの面々が登場すると、いきなり大きな拍手、スタンディング・オベーションで大盛り上がり。ジャズのライブではあまり目にしない光景なのでちょっと驚いた。これがクラブ・ミュージック世代の乗りかと思うと、「オジさん」になったなーと感じてしまった。アジズ・サムウイのイスラム風、カッワーリーのような感じのヴォーカルでステージは始まった。全体的にアフリカではなく中近東の音楽がベースになっているイメージだ。しかし、ザビヌルの機材の調子が悪く、ヴォーカルでソロをとろうとしてもマイクが入ってなかったりでかなりイライラしている様子。結局ヴォーカル・ソロは諦めて、キーボードでソロをとる。この人のソロはウェザーの頃とほとんど変わらない。ソリスト・タイプではないけど、ツボはピシッと押さえているところは流石。ザビヌルがメンバーに向かって両手を挙げるとカッコイイ決めのフレーズが飛び出し、客席に向けて手を上げると拍手が沸き起こり、まさに「キーボードの魔術師」の雰囲気となってきた。ギターのアレグレ・コレアは凶悪指名手配犯のような人相でザビヌルを睨み付けながら、グルーブ感溢れるリズムを刻む。ソロはちょっとヘビ・メタ風。パーカッションのジョルジュ・ベゼーハはなぜか黄色い工事現場のようなヘルメットを被って、色んな道具を駆使して楽しいリズムを送り出す。ドラムのナサナエル・タウンスレーはビリー・コブハムのような重量級。ベースは余り目立たなかったけど、ソロは中々かっこ良かった。ザビヌルはキーボードの要塞の中で時々手を上げて、メンバーを、そして客席を自在に操るんだけど、どうも機材の調子が良くないみたいで、なかなかうまく思ったようなソロが取れない様子。何度もスタッフが要塞の中に潜り込んで調整するが、結局最後まで復調せずといった感じだった。それでも、最後は「ルーフトップ・オブ・ウィーン」で、メンバー紹介をしながら、最高に盛り上がって終わった。この曲は「ウィーンの夜~ライブ・アット・バードランド」の中で一番気に入っていた曲。ここでの、タウンスレーの重量級強力ビートにのった、各メンバーのスピード感溢れるソロは圧巻だった。最後の最後に、ザビヌルの日本公演すべてを見に行ったと思われる、客席の「ノリコさん」と「ダイチさん」を紹介。また、観に来ていた渡辺貞夫も紹介された。ザビヌルはショットグラスに入った透明な液体(ウォッカかジンだと思われる)を飲みながらの演奏(5杯は飲んだだろうか)で、頬も赤くなり少々ヨッパ気味だったようだ。 =この日の感想=ザビヌルは、今まで聴いたことのないような音楽を創りだしてくれる可能性の高いアーティストだと思う。でも、今まで何度も聴いた音楽だけど僕たちを感動させてくれる、あるいは心を気持ちよく浮遊させてくれる、そんな音楽に魅力を感じるのは年のせいだろうか?家に帰ってハンク・ジョーンズを聴きながらそう思った。 PS.「ノリコさん」と「ダイチさん」はバンドで使っていたパーカッション(コンガのような)をプレゼントされて、嬉し涙を流していた。僕が全公演を追っかけるなら誰だろうな?と考えると余り名前が出てこなかった。この熱意と情熱に感動。何かに異常なほど熱中するのはとても素敵だと思う。