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146 岩手山の”シャーマン山”の可能性

 以前のシャーマン山の右肩での私の結論は
 シャーマン山のモデルは早池峰山よりは岩手山の方ではなかろうか。
であったが、4月29日、岩手には霜が降った。
 そこで前回、もしかすると岩手山や早池峰山は新雪で被われたのではなかろうか。さすれば、シャーマン山の検証に役立つのではなかろうかと思って羅須地人協会跡地を訪ねてみた。そこから見えるそれらの積雪状態から以前報告してある”シャーマン山は岩手山では?”の検証を試みたいが、その報告はGW後ということで終わっていた。

 ここに”シャーマン山の右肩”を書き換えることによりその報告に代えたい。
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 かつて、『4月頃に再度岩手山等をじっくり眺めて、岩手山が”シャーマン山”か否かを検証してみたいというようなことを考えていた。
 このことを受けて、この4月に入ってからそのタイミングを見計らっていたのだが、残念ながらこの場所から同一日に栗駒山、早池峰山、岩手山の全てを見ることは出来ないままにいる。また、もう4月も下旬になったのでこれからの山の景は賢治が詠んだ時期からは大分ずれてしまうことになる
 そこで、4月上~中旬に花巻市内でこれらの山をそれぞれ眺めてみた写真を用いて懸案事項を考えてみたい。

 まずは
《1 栗駒山》(平成21年4月19日撮影)

上の写真の右端のピークが金ヶ崎の駒ヶ岳(夏油三山のうちの駒ヶ岳)で、その裾野のに小さく見える(写真中央)山が栗駒山である。これを
《2 ズームアップすると》(平成21年4月19日撮影)

のように見える。やはり”栗駒山あえかの雪をたゝえたり”である。またこの時期でも残雪はかなり多く、シャーマン山の右肩が/にはかに雪で被はれましたという表現には馴染まないのでシャーマン山の候補からは外れると思う。

 次に
《3 4月上旬の早池峰山》(平成21年4月8日撮影)

《4 4月中旬の〃》(平成21年4月18日撮影)

の残雪状態はそれぞれこのとおりである。
 ところが、今年(H21年)の4月25~26日、東北地方には寒さが戻りなおかつ低気圧が通過したので高い山には雪が降った。その結果、快晴になった4月29日に眺めた
《5 早池峰山は再び真っ白》(平成21年4月29日撮影)

 したがって、シャーマン山の右肩が/にはかに雪で被はれましたと詠まれているが、”早池峰山の右肩”という表現はそぐわないと思う。もし俄に雪に被われるのならば地形的には東西に連なる早池峰山のことだから、沢山の積雪があったのならばこのように全山が雪に被われると思うからである。あるいは、あまり積雪が多くない場合には左肩の方が被われるのではなかろうかと推理できるからである。

 一方、
《6 4月上旬の岩手山》(平成21年4月8日撮影)

《7 4月中旬の〃》(平成21年4月18日撮影)

はこのとおりである。このように、この時期の岩手山は頂上付近の方が雪解けが早い。この一帯は樹木が殆どなくて砂礫地帯だから早く解けるせいであろう。因みに雪形の『鷲の尾』も頂上付近に出来る雪の解け去って出来る雪形である。
 ところが、今年(H21年)の4月25~26日、東北地方には寒さが戻りなおかつ低気圧が通過したので高い山には雪が降った。その結果、快晴になった4月29日に眺めた
《8 岩手山は大分白くなっていた》(平成21年4月29日撮影)

上の写真からは、先程の《5 早池峰山は再び真っ白》に比べて岩手山の積雪は少ないと思われるかも知れないが、実は
《9 4月29日の早朝の岩手山》(平成21年4月29日撮影)

はこのとおりで、朝靄に霞んではっきりとは見えないかも知れないが朝方は岩手山はほぼ真っ白だったのである。言い換えれば、前述したように岩手山はこの部分の雪解けが他の部分より早いのである。
 したがって、シャーマン山の右肩が/にはかに雪で被はれましたと云うことが岩手山では起こりうると思う。まず、シャーマン山の右肩の右肩とはいわゆる「東岩手山」の上部がこれに相当し、この部分は見てのとおり”右肩”と云う詠み方が出来ると思うからである。次に、《6》や《7》のような残雪状態に俄に雪が降ったのならばにはかに雪で被はれましたと云う、それまでとの違いが際立つ積雪状態に見えるからである。

 さらに、わたりの鳥はもう幾むれも落ちましたに関してだが、かつて次のような経験がある。5月の連休に鳥海山にスキー登山をしたことがある、そのとき、頂上付近に達した頃俄に天候が急変してブリザードとなり、頬に針が突き刺さるようようだった。そして、鳩より一回り大きめな鳥がばたばたと雪面に落ちてきたのに吃驚したことがあった。可哀想に想い、その中の一羽を胸の中に入れて暖めたやったならばそのうち元気に飛び出していったが、多くの鳥は凍死したことであろう。
 そこで、この個人的な経験からこのようなわたりの鳥はもう幾むれも落ちましたと云う事態が起こりやすいのは独立峰の岩手山の方が、東西に峰が連なる早池峰山よりは起こりやすいと思うからである。

 したがって、結論は
 少なくとも、『測候所』(日付1924,4,6)の中のシャーマン山のモデルは早池峰山よりは岩手山の方ではなかろうか。
である。 

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