バスの座席で目覚める、やけに騒々しいな。
ん? ターミナルだ。
「 ここはバタワース? 」
「 そうだよ 」
マレー半島とペナンを繋ぐ港町で鉄道、バス、船、移動の手段が密集している。
ペナンにはフェリーで行く、片道1.2リンギット ( 40円 ) だって?
ううむ、ステキな予感がするよ。
ジョージタウン到着、タクシーの客引きがうっとおしいが肌に絡みつく湿気は
もっとうっとおしい。
「 安いホテル、知ってる? 」
「 たくさん知ってるよ 」
15リンギット ( 450円 )で交渉成立するや、運ちゃんは仲間に 「 客とったぞ 」
とか自慢してる感じ、そんなに景気悪いのかね。
いきなりエンスト、おいおい、運転したろか?
2分も経たんうちについた、喜んでた意味がわかったよ。
スイスホテル
「 部屋見せて 」
「 107、そこだ 」
結構広く、ベッド、バスルーム、ファンがある、悪くない。
「 いくら? 」
「 17リンギット ( 510円 ) 」
「 エッ 」 思わず聞きかえす、ホントらしい、顔がニヤケる。
街中を彷徨うが何というか妙に懐かしい匂いと風景が所々に現れる。
戦時中、日本が支配していた時の残物がペナンの文化に自然に浸透して
しまったという感じがする。
老人が多く、ここの人たちは自分達で何かを旗揚げするとか、変えると言った
ものを持ち合わせないようだ。
ホテルのラウンジ ( テーブルとイスがあるだけだが ) でビール飲みながら
隠居の老人と話すが言葉のニュアンスの違いで理解できなかった。
しかしそういった事は話すべきではないと後に省みる。
ペナンといったらビーチ、海岸に行こう。
原付バイクをレンタルしようと思ったが交通事情はかなり悪そうなのでやめた。
事故で病院でも運ばれようものなら注射うたれるかもしれないからね。
それは避けなければならない。
変わりにマウンテンバイシクルにする、あまり変わらんか ..。
ジョージタウンを抜けて海岸線に向かうが地図以上に距離あるのね。
変速ギアも少なく、サドルも硬いので、キツイわ。
青い海とさらさらな砂浜と思いきや、ボテボテの砂と茶色の海水、あまりの
イメージとの違いに愕然とする。
この先にイメージがあるのかとさらに走るが何故か車道に出てしまい思う
ように海岸を走れない。
しかし、かなり来てしまったので今更引き下がれない。
雲行きが怪しくなってきたなあと思っているとやはりきた、スコールだ。
強烈に襲ってくるという感じ。
コレは収まるまで動かない方がいいと判断し、適当な建物の下で待つ。
しかし1時間過ぎても収まらない、スコールというよりサイクロンだ。
いまだかつてこれ程の雨を経験したことがない。
島が沈むのではないかと恐怖感さえ覚える。
少し弱まった時に意を決して動くがまた雨脚が強くなる、もうどうでもいいや。
滝に打たれながら自転車こぐって感じで、もう無の境地状態 ..。
命からがらホテル戻ったときは安堵したが部屋まで浸水。
宿主は 「 まるでプールだ 」 とか笑って言っていた。
こっちも田原俊彦笑い ” ハハッ ” って 。
ベッドでぐったりしていると部屋の天井の端でネズミが運動会をやってるよ。
ほんとにチューチュー言うんだね。
そんなことはどうでもいいほどバテバテだ。
夜はたまに見かける一人旅の日本人と酒を食らう。
広島の24歳は古着屋の社長で言うことでかくて聞いてられなかった。
横浜の34歳は女の話ばかり、「 ああそう 」 って感じ。
兵庫の女性は物事を先入観でしか話さなかった。
ペナンへ来る奴は変わったのが多いのかな? 自分もそうか .. 。
しかし、皆、目的はいろいろだね。
私の目的は?
...。