俺は、今年も恵方巻きを作ることにした。
それで、インタネットでいろいろなレシピを調べて、俺なりの作り方を考えた。
まず、スーパーへ行って恵方巻きの具材をそろえた。
大好きなイカ、それにマグロ、サーモン、エビ、カニカマ、だし巻き卵、桜でんぶなど7種類だ。
ご飯を炊き、そば用のこね鉢に移して、寿司酢と合わせながら、うちわであおいだ。
うちわであおぐには、俺流のスタイルにこだわる。
うちわは右手ではなく、左手であおぐのだ。
左うちわは気分が最高。
巻き簾に海苔を置き、酢飯を広げる。
それから、7つの具材を並べていく。
巻き簾を一気に巻いて形を整える。
巻き簾を広げてみたら、力を入れすぎたのか海苔から具材が押し出された。
2本目は少し力を抜いて巻いた。 これでも、少しはみ出ている。
二つに切ってみた。 まあまあの出来だ。
俺が初めて恵方巻きを作ったのは一昨年である。
そのときは巻き方がゆるかったので、食べようとしたらマグロとサーモンが抜け落ちてしまった。
今度はしっかりと巻いているから、具が抜け落ちる心配はない。
さて、食べてみよう。今年の恵方は南南東という。
俺は女房と一緒に食べようとした。
俺は『ギックリ腰になりませんように』と、祈りながら、恵方巻きにかぶりついた。
ン!! ?????? 噛み切れないものがある。
それは鉛筆より少し太めの細長いイカだ。
歯で噛んだまま口にペロンとぶら下がった。
恵方巻きに穴が開いた。
穴をのぞいたら、女房の目が見えた。
恵方巻きの穴を通して目と目があった。
なんとロマンチックなことよ。 胸がときめく。
恵方巻きがずれた。
すると、穴いっぱいに、女房の鼻が見えた。
途端にロマンチックな気持ちは、露と消えた。
2018-02-03