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サンスクリットの韻律 世界に広がる篇

2021年02月24日 | 梵語入門

[こころざし] カーリダーサの詩を読めるようになりたい。
[あらすじ] サンスクリットの詩は音の数で韻律を作るよ。
そして、音節には1拍分の長さのlaghu(軽)と2拍分の長さのguru(重)が有るよ。
軽重の組み合わせでいろんなリズムのパターンが有るよ。
「たたんたたん」というリズムがよく出てくるよ。
音節を三つずつに区切ったものを「gaṇa」(ガナ)と呼び、
その軽重8種類のパターンに一文字の名前を付けて、
यमापाराजभानसलगाः
yamātārājabhānasalagāḥ
ヤマーターらージャばーナサラガーは
と憶えると、य(ya)から読めばyamātā:軽重重などと、
リズムが分かるよ。インド人すごいよ。
そういった、音節の数と音節の軽重の組み合わせによる様々な韻律に、
いちいち名前を付けている。その数600以上。インド人すごいよ。
その韻律を定義する詩がその韻律そのものでできている。インド人すごいよ。

「帝釈天のいかづち」という意味のइंद्रवज्राインドラヴァジラーという韻律は
「たんたんたたんたん、たたたんたたんたん」
だが、
「たんたーんた|たんたーーん|たたたーんた|たんたんんん」
と、西洋音楽の三拍子に聞こえる歌い方をするのも聞かれる。

これって、そもそも伝統的に厳密に歌ったら
「たんたんたたんたん、たたたんたたんたん」であって、
「たんたーんた|たんたーーん|たたたーんた|たんたんんん」
というのは西洋音楽からの影響を受けているから、なの?
それとも、伝統的にも有りの歌い方なの?

というのが前回までのお話。

そんな疑問を抱いたら、ZOOM講座の先生に質問するという方法も有る。
だが、疑問というのは一つが解決したらすぐに次の疑問が湧くものだ。
質問はし始めたらキリが無い。
そんな初学者の質問に、専門家の先生を付き合わせるのは申し訳ない。
調べても調べてもどうしても分からない。というレベルの問題に辿り着くまでは
もう少し自分で調べてみよう。



じゃあ伝統的インド音楽がどんな音律やリズム体系を持っているのか、
調べてみなけりゃ。
実はこれも、今までずっと敬遠してきた。
深遠そうで、途方も無さそうで、敬遠していたのだ。

むかーし、サリガマなんちゃらとかいうグループで演奏している人と知り合って、
セッションしましょうと誘われたのだが、
何をどうすりゃいいのか分からないから敬遠してしまった。

サリガマとは、インドのドレミである。
ドレミファ、か。
日本の「いろは」が「ドレミ」ではないように、
きっとインドの「サリガマ」も「ドレミファ」ではないのだろうけれど、
それがどんな音律なのか、まるで知らない。
すごく面白そうな課題だが、敬遠してきた。

というのも、私はオーケストラで金管楽器を演奏してきて、
今は金管アンサンブルを続けている。
だから、金管楽器を演奏するための背景にある音楽理論を勉強するほうを
優先させてきたのだ。
それだけだって、学べば学ぶほど深く掘り下げられる世界だ。

探してみると、『インド音楽序説』という本が有り、
ちょうど数ヶ月前に電子版の新版が出ている。
分厚い専門的な本がわりとフツーな価格で買えるので、ありがたい。

この本のあちこちを読み、また、【翻訳で使用した参考文献】リストには
日本語の本も多いので、この中から選んで読んでみるか。



きっと「インド音楽」なんて一口に言えないほど色々なのだろう。
南はあの三角の先っちょから、北はガンジス流域、インダス流域、
きっとネパール辺りの音楽も知っていくはめになるんだろうなあ。



自分が信心している神様を讃える歌がある。
「tvam eva」(トゥヴァムエーヴァ)と呼ばれている。
例によって4行詩である。

त्वमेव माता च पिता त्वमेव ।
त्वमेव बन्धुश्च सखा त्वमेव ।
त्वमेव विद्या द्रविणम् त्वमेव ।
त्वमेव सर्वम् मम देव देव ॥

tvam eva mātā ca pitā tvam eva /
tvam eva bandhuś ca sakhā tvam eva /
tvam eva vidyā draviṇam tvam eva /
tvam eva sarvam mama deva deva //
あなたはまさに母であり、あなたはまさに父でもある
あなたはまさに親族であり、あなたはまさに友でもある
あなたはまさに知であり、あなたはまさに富である
あなたは私の全てです、神の中の神です

自分の信心する神様に、心を捧げるバクティbhaktiという信仰の形が有る。
信愛、などと訳される。
ヒンドゥー教に色んな神様がいるけれど、
この歌はどの神様に対しても歌えるので、
なんじゃやら、すごく広く歌われているらしい。知らんけど。

もう、どういう人が演奏しているのかとか、調べる気もまるで失せてくるほど
沢山の演奏がyou tube上に在る。
色々な国で、様々な捉え方で、それぞれの音楽性に練り込まれて
演奏されている。

聞いていくと、インド臭いのから、西洋的にポップなものまで有る。
そういうことなんだろう。
ご興味が有ったら聞いてみてちょうだいませ。
ちなみにどれも、ただひたすら繰り返しであり、
ずっと聞いていたところで意外な展開は訪れません。

三拍子のもの。
https://www.youtube.com/watch?v=jprRLqyTQQM&t

何人だろう?
美しげなコードが当てられている。
https://www.youtube.com/watch?v=UqTc8kq0xCA

Diego Hauptmanというインドで活動するシタール奏者の演奏。
ラテン系なんだかゲルマン系なんだか分からん名前だな。
https://www.youtube.com/watch?v=LQg40HBsN6s
とても真面目そうな演奏だけど、なぜか「ś」の発音が「s」になっちゃっている。
/ʃ/の発音が無い母語ってなんだろう?

と思ったら、インドのどこかではそういう発音をするようだ。
あらでもこれ合衆国なのね。
https://www.youtube.com/watch?v=KHCLYWPxkC4

演奏は西洋的な和声の上で、
日本人として聞くと沖縄っぽい音律の間奏が挟まるが、
歌そのものは伴奏と関係無い韻律で歌い切るという
そこそこな折衷が面白いのがこちゃら↓
https://www.youtube.com/watch?v=vEC5q6g7kjE

ああもうやめたやめた。
「tvam eva」で検索したらうぞむぞ出てきますからどうぞ。

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