犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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バクロニムとアプロニム

2021年02月09日 | 国語真偽会
[ARSJ] アクロニムとは日本語で、頭字語という意味。
いくつかの単語が集まって一つの名称になっているようなものの、
かしら文字を取って、そのかしら文字の連続を新たな語として捉える、ということ。
発音も、新たな文字列を自然に読む。つまり、
[ARSJ]なら「エーアールエスジェイ」ではなく「アラスジ」などといった具合に。

特に、三文字のものが多い。
三文字も有れば他と偶然同じになるということもかなり少ないし、
語呂も良い。
これを、TLAと呼ぶ。
TLA自体もThree Letter Acronimつまり「三文字の頭字語」のTLAになっている。
こういう再帰的な言葉って面白い。



なんでもかんでも頭文字で略してしゃべるのは、楽しい。
友人との間で流行ったことが有る。

なんでもかんでもTLAで会話する。
「ちょっと待ってて」と言わず、
「CMT!」などと言う。
いやそれを言うなら「CHM」だろうとか、
いや「MTT」のほうがいいとか、どうでもいい議論をストイックに重ねて
ブラッシュアップしてゆく。

わざわざ全部言う。
「次の角を右、略してTKM!」とか。
長くなるわ伝わらんわで、略する意味が無い。



自分のやっている二人組のバンドを「i.n.u.」と名乗っている。
二人とも犬好きだが、日本には「INU」という名の伝説のパンクバンドが有る。
だから、何かの略称っぽくピリオドを入れた「.」。
なんかの頭文字ならば大文字にするのがフツウだが、小文字にした。
「INU」との視覚的な違いを出すという意図であったが、
アルファベットの中でも大文字と小文字の形の違いがあまり無い3文字であった。

アクロニムというよりは、イニシャルであるので、
「イヌ」ではなく、「アイエヌユー」と読む。



友人タドコロの同棲相手カミヤマが、タドコロのことをからかって
「TBS」と言う。
なんのことかと思ったら
「タドコロ馬鹿説」の略だ、という。

タドコロが悔しがって、
「じゃあKBS!」と言い返すが、
「KBSなんて有りませんー。何言ってんの。」
と、まるで小学生の喧嘩である。

つまり、TBS有りきなのである。
こういうのは、バクロニムという。
こじつけるんである。



バンド名を「i.n.u.」としてから、考えた。
何の略なのか。

ある人が「I need you」の略だ、と言った。
きれいだ。
きれい過ぎて、自称する気になれない。

考えて考えて考えたが、
「u」から始まる言葉がどうしても
ウンコしか出てこない。

何年経っても
「一日 二回 ウンコ」
を越えられない。



略して言う時は、
「〇~~×~△~~、略して〇×△!」
のように言う。

そこで、バクロニムの場合を考えた。
「略して」の反対だから、「略さずして」だ。
「i.n.u.、略さずして一日二回ウンコ!」
といった具合だ。

しかし、どうもうまく伝わらない。

「次の角を右、略してTKM!」
などと言えば、理解して乗ってきてくれて、
「その後はSMNね。」なんて言ってもらえる。
そうそう、しばらく道なりね。

「TBS、略さずしてタドコロ馬鹿説~」
と言われても、なかなか同様にバクロニムでやり返すことはできない。
言いたいことを略するのは自在だが、
既存の略称に合わせて言いたい文を作るのは、難しい。



アプロニムというものも有る。
頭字語がちゃんと語になっていて、略していない元の言葉と意味が合っている。

wikipediaにこんなのが紹介されている。

季節性情動障害はTLAでSADという。
Seasonal Affective Disorderを略すと、悲しいのsadになるという仕組みだ。
しゃれている。

ただ、偶然というよりは、
意味的にsadだから略したらSADになるような単語で命名した、
つまりバクロニム的に作られた語なのではないか、と私は思う。

いづれにせよ、言葉遊びとして、面白い。
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