ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン
↑この度、「ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン」を選出しました。映画好きブロガーを中心とした37名による選出になります。どうぞ00年代の名作・傑作・人気作・問題作の数々を振り返っていってください
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個人的評価: ■■■■□□
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)]
【映評概要】
映画を舞台化してまた映画化。話は判りやすくなったけど・・・けど女たちのゴージャスなショウは目に楽しい。「8・1/2」に再挑戦する勇気をもらえる映画。
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【映評詳細・・・ネタバレ】
以前にも書いたが、私はフェリーニの「8・1/2」を今まで4回も観て、4回とも安らかに眠った苦い過去をもっている。映画撮れないよ~って悩んでる監督がいて、女がいろいろ出てきて、なんか最後にはオープンセットみたいなところに人がいっぱいいる映画だった・・・と4度も観たのにそれくらいの説明しかできないくらいさっぱり判らない映画だ。
なので、「8・1/2」をミュージカルにしたとかいう本作「NINE」が果たして「8・1/2」と同じストーリーだったのかどうか、正直いって判らない。
だが、さすがに判りやすく作られていた。といってもやっぱり本作「NINE」も鑑賞中に何度か意識が飛んでしまい、私はよくよくこの「物語」とは相性が悪いのだな・・・と思った。ただし意識が飛んだのは主にミュージカルシーンで、会話場面等は比較的意識を保っていたのでストーリーが判らないということはなかった。
「8・1/2」は主人公の映画監督の現実と妄想や回想や夢やイマジネーションやら何やらが、全てモノクロの同じトーンの画で入れ替わり立ち替わりしてくるような構成で、何がどうなってるのやらサッパリ・・・だったわけだが、本作はカラーで、回想シーンになると画質を荒くしてモノクロにして「はい、ここは回想場面ですよ」と説明してくれるようだし、主人公の周りの女たちの心情は歌で説明してくれるし、たとえ意味が分からなくても人気女優が下着姿で歌い踊ればそれだけでなんとなく得した感になれるし
きっと、「8・1/2」が好きだけど私のように「さっぱり判りません」な人が多い事を憂う誰かが、判りやすくミュージカルにしてみんなに説明してあげようとしたのだろう。
ただ困った事が起こった。2時間の白昼夢のようだったあの映画を、判りやすい構成に再構築してみると、ただスランプの映画監督が女たちとくっちゃべるだけの軽い映画になってしまった。意味はさっぱりわかんないけどなんか凄いもの観た気になった「8・1/2」がそもそも大したものじゃなかったのかと思えてしまう(映画とストーリーは違うって判っているつもりだけど)。
あるいは映画を舞台化したものをまた映画に戻してしまうことで余計に薄まったのかもしれない。
でも、とにかくあの「8・1/2」がどういう「ストーリー」だったかのレクチャーは受けた気になれた。いずれ来るであろう「8・1/2」との5回目の対戦に向けて自信が湧いてきた。今度こそ寝ないで全部見てやろうと闘志が湧いてきた。
そういう意味でいい企画だ。
[追記1]
ペネロペさんは本作でアカデミー助演賞候補になったけれど、他の女優と比べて飛び抜けてよかった感じはしない。それだけハリウッドで彼女が好かれているということか。「それでも恋するバルセロナ」とか「抱擁のかけら」の方がはるかに女優ペネロペさんの魅力にあふれている。ただし本作で魅せた体の柔らかさに、ますます好きになったのは確か。
でも個人的には本作で一番印象的だったのはソフィア・ローレンの演じた無駄に大物感あふれる母ちゃん。
[追記2]
そういえば文庫本に「漫画で読む・・・」シリーズがあった。「漫画で読む資本論」とか「漫画で読む我が闘争」とか。
この「NINE」という映画はさしずめ「ミュージカルで観る難解映画」シリーズ。
この調子でベルイマンの「第七の封印」とかゴダールの「気狂いピエロ」とかタルコフスキーの「サクリファイス」とか、偉い人たちがほめるけど何が何やらさっぱりでした・・・って映画をミュージカル化してほしいと思った。
[追記3]
「8・1/2」ってフェリーニがそれ以前に撮った映画が単独監督8作と、共同監督1作だったからそういうタイトルにしたそうな。ロブ・マーシャルは映画「シカゴ」「SAYURI」の2作しか撮ってないから「TWO」の方がタイトルとして相応しいと思った・・・のだけど、ものの本によると「NINE」とは「8・1/2」を半歩ぶん進化させたみたいな意味が込められているとかなんとか
というわけで「第七の封印」のミュージカル版のタイトルは「第7.5の封印」でお願いします。
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
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個人的評価: ■■■■□□
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)]
【映評概要】
映画を舞台化してまた映画化。話は判りやすくなったけど・・・けど女たちのゴージャスなショウは目に楽しい。「8・1/2」に再挑戦する勇気をもらえる映画。
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【映評詳細・・・ネタバレ】
以前にも書いたが、私はフェリーニの「8・1/2」を今まで4回も観て、4回とも安らかに眠った苦い過去をもっている。映画撮れないよ~って悩んでる監督がいて、女がいろいろ出てきて、なんか最後にはオープンセットみたいなところに人がいっぱいいる映画だった・・・と4度も観たのにそれくらいの説明しかできないくらいさっぱり判らない映画だ。
なので、「8・1/2」をミュージカルにしたとかいう本作「NINE」が果たして「8・1/2」と同じストーリーだったのかどうか、正直いって判らない。
だが、さすがに判りやすく作られていた。といってもやっぱり本作「NINE」も鑑賞中に何度か意識が飛んでしまい、私はよくよくこの「物語」とは相性が悪いのだな・・・と思った。ただし意識が飛んだのは主にミュージカルシーンで、会話場面等は比較的意識を保っていたのでストーリーが判らないということはなかった。
「8・1/2」は主人公の映画監督の現実と妄想や回想や夢やイマジネーションやら何やらが、全てモノクロの同じトーンの画で入れ替わり立ち替わりしてくるような構成で、何がどうなってるのやらサッパリ・・・だったわけだが、本作はカラーで、回想シーンになると画質を荒くしてモノクロにして「はい、ここは回想場面ですよ」と説明してくれるようだし、主人公の周りの女たちの心情は歌で説明してくれるし、たとえ意味が分からなくても人気女優が下着姿で歌い踊ればそれだけでなんとなく得した感になれるし
きっと、「8・1/2」が好きだけど私のように「さっぱり判りません」な人が多い事を憂う誰かが、判りやすくミュージカルにしてみんなに説明してあげようとしたのだろう。
ただ困った事が起こった。2時間の白昼夢のようだったあの映画を、判りやすい構成に再構築してみると、ただスランプの映画監督が女たちとくっちゃべるだけの軽い映画になってしまった。意味はさっぱりわかんないけどなんか凄いもの観た気になった「8・1/2」がそもそも大したものじゃなかったのかと思えてしまう(映画とストーリーは違うって判っているつもりだけど)。
あるいは映画を舞台化したものをまた映画に戻してしまうことで余計に薄まったのかもしれない。
でも、とにかくあの「8・1/2」がどういう「ストーリー」だったかのレクチャーは受けた気になれた。いずれ来るであろう「8・1/2」との5回目の対戦に向けて自信が湧いてきた。今度こそ寝ないで全部見てやろうと闘志が湧いてきた。
そういう意味でいい企画だ。
[追記1]
ペネロペさんは本作でアカデミー助演賞候補になったけれど、他の女優と比べて飛び抜けてよかった感じはしない。それだけハリウッドで彼女が好かれているということか。「それでも恋するバルセロナ」とか「抱擁のかけら」の方がはるかに女優ペネロペさんの魅力にあふれている。ただし本作で魅せた体の柔らかさに、ますます好きになったのは確か。
でも個人的には本作で一番印象的だったのはソフィア・ローレンの演じた無駄に大物感あふれる母ちゃん。
[追記2]
そういえば文庫本に「漫画で読む・・・」シリーズがあった。「漫画で読む資本論」とか「漫画で読む我が闘争」とか。
この「NINE」という映画はさしずめ「ミュージカルで観る難解映画」シリーズ。
この調子でベルイマンの「第七の封印」とかゴダールの「気狂いピエロ」とかタルコフスキーの「サクリファイス」とか、偉い人たちがほめるけど何が何やらさっぱりでした・・・って映画をミュージカル化してほしいと思った。
[追記3]
「8・1/2」ってフェリーニがそれ以前に撮った映画が単独監督8作と、共同監督1作だったからそういうタイトルにしたそうな。ロブ・マーシャルは映画「シカゴ」「SAYURI」の2作しか撮ってないから「TWO」の方がタイトルとして相応しいと思った・・・のだけど、ものの本によると「NINE」とは「8・1/2」を半歩ぶん進化させたみたいな意味が込められているとかなんとか
というわけで「第七の封印」のミュージカル版のタイトルは「第7.5の封印」でお願いします。
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うまい表現ですね(笑)。
フェリーニをミュージカルでやる。
なるほど、それはいいんですけど、それで?
正直なところそう思ったのは確かですね。
コメントさせていただきます。
『NINE』は『8・1/2』の先に全然進めてないなぁと感じましたよ。ゴダールをモデルにしたかのようなグイドが出会う
女性は新しい関係なんかじゃなく、みんな母親の分裂だったしエンディングで決定打でした。
ミュージカルシーンの挿入も明らかに切り分けられていて
『8・1/2』の現実/妄想/夢/回想と切り分けられてしまう
「/」を切り崩すエネルギーは『NINE』には皆無でした。
何もかもうまくいかなくなってしまう状況で
どう世界を立ち上げて行くか、ここの可能性として
『8・1/2』はやっぱり異常にぶっ飛んでいますね。
だから結局グイドが何も生まれ変われなかったので
『NINE』じゃなくて半歩戻った『Eight』でいいんじゃね?
と思いました。