庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

再生可能エネルギーへの転換政策こそ活性化策。 

2009-08-04 | 環境問題
雇用の確保と安定化、農業政策の抜本的改革で地域経済の自立化が、これからの激動の時代における基本政策である。
その上で、21世紀の前半は、化石エネルギー依存から離脱して、再生可能エネルギーを主力とする社会と産業に転換することが必須の時代に入る。
その観点で、今回の政権党のマニフェストを見てみよう。

自民党の打ち出している政策でエネルギー面での要点は、
太陽光などの再生可能エネルギーの開発・利用、原子力エネルギーの利用を強化。
環境・地球温暖化対策として、太陽光発電の買い取り制度など再生可能エネルギーの需給拡大を進める「低炭素社会つくり推進基本法」を制定。
2020年の温室効果ガスの削減目標を15%(2005年比)削減に。
となっている。

再生可能エネルギーの促進に積極的なEU諸国に比べて著しく見劣りする政策である。
また、ブッシュ政権で大幅に遅れたアメリカは、オバマ政権になってから国のエネルギー政策の基本を再生可能エネルギーに大転換する政策を打ち出して、その事業拡大によって経済の再生を目指している。
自民党は、いまだにエネルギー政策については、旧時代の化石燃料重視の社会・産業構造にとらわれている。
連立を組んだ公明党は、環境大臣が積極的な取り組みを主張してきた。
しかし、少数意見として退けられている。
旧体質の産業界におもねる自民党政治の限界であろう。

太陽光発電への取り組みで、自民党政権と経済産業省は大失策をしてきた。
これについては何度も書いてきたが、その反省は一切ない様である。
先進各国は、国際的にも温室効果ガスの削減目標を途上国も巻き込む狙いで、覚悟を決めた大幅な削減目標を打ち出す戦略である。
ひとり日本は今頃になって、2005年時点を削減の起点に変更して自国に都合のよいような条件をあれこれと主張しだしている。
これは、1990年比でずっと世界の主要国が交渉して来た経緯を無視するもので、世界から軽蔑の眼で見られている。

1990年比の昨年は国際的に1992年のリオサミットの時からの合意事項であり、それを何の根拠もないのに、2005年に変えること自体、国際公約違反に等しい。
それに1997年の京都議定書交渉時や、条約の批准時点〈2003年〉では、自民党政権であったのだから、政策の一貫性の面からも基準時点を勝手に変更するのは、お粗末なことである。
今回のマニフェストは、1990年時点を起点としたマニフェストに書き変えるべきである。
1990年比でいうと削減目標は8%になる。
この数値はアメリカを除いた主要国では最低の水準である。

その点では民主党のマニフェストは、1990年比で2020年までに25%削減を目指すとして、太陽光発電の優遇のみにとどまらず、すべての再生可能エネルギーを現時点の水準から大幅に増加させる政策を打ち出すとしている。
これは実行する価値がある目標であり、外交政策の面でも重要な切り札となっていくであろう。
民主党の方が外交においては信頼できる政党となりそうである。

そしてエネルギー政策では相変わらず原子力発電の利用の強化を謳っている。
これも、旧体質の原子力業界に癒着している表れで、そのせいもあって「核兵器の廃絶」との関連については言及がない。
これについては、次回にさらに検証して、その矛盾を指摘して行こう。

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