庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

もう先送りして迷っている段階は過ぎで決断する時期だ。

2013-10-31 | 海洋産業問題

日本の電源構成の主力に風力発電、それも『洋上風力発電』を充てることに異論を持つ人が多いことは想像出来る。

今までは、机上案の技術と思っている人が大部分であるが、現在の洋上風力発電の最先進国はイギリスで、2011年までの累計で209万kWの設置量である。

わずか5年くらいで、世界一の設置量に達して、2020年までにはイギリスの電力供給量の20%を賄う計画で進めている。

フロントランナーでなかったイギリスは、『洋上風力発電』でトップを走り、経済の再生と関連産業で雇用の創出を目指している。

 

日本は基本ベース産業の造船技術、海洋開発技術をもっていて、それに陸上風力発電技術では、トップランナークラスである。

しかし、国土が限られた日本での陸上風力では、大きな産業に発展できないが、周囲に恵まれた風況地域を持つ『洋上風力発電』では、将来への発展性が大きい需要が見込まれるので、一大産業へ育成出来るチャンスが到来する。

今こそ、日本の総力を挙げて、この洋上風力発電産業に取り組めば、2030年には世界のトップに躍り出ることは、十分に可能な挑戦課題である。

 

2030年には、日本の電力の30%を賄うことで、技術力を育成することで、さらに高度な沖合のウインドファーム建設の可能性も開けてくる。

2050年までには、日本の電力の半分以上が『洋上風力発電』で賄うことができ、変動する発電の補完には、『水素発電』や、日本の[EEZ](排他的経済水域)内で採掘されるメタンハイドレードなどで、天然ガスの自給化も見えてくる。

日本の電力エネルギー供給は、原子力発電に依存する必要性は、全くない。

安倍政権が、【具体策もないのに原発ゼロを言い出すのは無責任】と逃げているのは、具体策をしっかりと検討していない【無責任な取り組み】だからである。

 

日本の技術力と産業界の実行力を信頼するならば、2030年、2050年に向けた「電力エネルギーのベストミックス」を描くことは、十分に可能な段階である。

それをいつまでも、グズグズと引き延ばして決断しないのは、官僚依存、世襲型政治家の意志薄弱の最弱点が表れているのだ。

2000年代の初めに、再生可能エネルギーへの「国家的転進」が可能な段階で、歴代政権が原子力依存に舵を切ったのは、大きな誤りであった。

小泉元首相は、その判断に率直に謝り、原発ゼロに転進すると明言している。

この後は国民が賢くなって、それを圧倒的多数で支持すると表明することだ。


将来の電力供給のベストミックス案は日本の特質を重視。

2013-10-30 | 快適エネルギー社会問題

日本の守旧派政治家の頭では、「長期エネルギー政策の転換期」になっても、中央官僚からの提案がないと、目標が決められない。

大店の跡継ぎ旦那が店の経営判断を任されても、大番頭がいないと何もできない状況に陥っているのとそっくりである。

そこで、今までの最新の技術の進展状況と、日本の地理的、社会的情勢からみて、2030年の電力構成の割合を概要で整理して、読者に提示してみたい。

2011年がエネルギー政策転換の「エネルギー維新元年」と見做せば、20年間の日本の路線を決めるベースとなるだろう。

 

2012年9月時点での電源別発電割合は、LNG火力46%、石炭火力27%、石油火力16%,水力7%、原子力3%であった。

大震災前の2010年では、原子力発電は29%占めていたが、その稼働はすべて停止させられて、代替の電力は、LNG火力と石油火力の予備として保有していた旧設備のフル稼働で代替をしている。

この燃料費の急増と円安誘導による輸入燃料費の高騰で、貿易赤字が増大していることが、大きな懸念であり、早急な代替策が実行される必要がある。

 

2012年9月時点では、「再生可能エネルギー電力」の割合は、1%強の程度で、主力の電源には、ほど遠い普及レベルである。

このブログでは、将来のベストミックス電源構成は、「風力発電」を最優先で増強することと、石炭を水素化して輸入する「水素発電」に力を注ぐとした。

2030年時点での電源構成割合を風力発電30%、水素発電20%を目標とする。

現在、持て囃されている太陽光発電は5%程度にとどまり、地熱発電の普及を促進して5%、中小水力発電を加えて水力発電全体で10%には出来る。

そして、残りは、天然ガスLNG火力で30%を賄い、風力や太陽光の変動する発電の補完電源として活用する。

 

原子力発電は、早急にすべて廃炉に持ち込み、2030年には当然ゼロとなる。

石油火力発電も、石油価格の高騰により割高電源であるから、再生可能エネルギー電源の普及に伴って、優先的に退場をしてもらう。

2030年時点では、かなりの発電量をLNG火力に依存することになるので、輸入価格をできるだけ引き下げることに国が最大の努力を注入する。

原発の輸出促進にトップセールスをする時間があるなら、そんなことよりも国益のためにLNGの輸入先の多様化と価格引き下げに努力すべきである。(続)


再生可能エネルギー開発の本命は海洋利用の革新産業だ。

2013-10-29 | 海洋産業問題

日本のエネルギーの基幹を「海洋利用の発電とエネルギー生産」の方向に転じるとしたら、現状に固執する「守旧族」には到底理解できないだろう。

まず『洋上風力発電』の新技術は、モノにするには、長期間が必要になるから、と初めから自分の時代では実現しない、と思い込んでいる。

だが日本でもようやく、民間企業が本格的に実用化の研究開発に取り組みだして、従来からの技術力を発展させる動きに転じた。

陸上風力発電の技術は世界の一流レベルであり、このベースの産業の延長上に、洋上への建設技術や造船産業が、重要な役割を演じることになる。

 

この『洋上風力発電』は、従来の陸上風力とは違って、稼働率が25~40%(陸上は15~25%)で、1.6倍も効率的に発電が可能である。

当面の建設コストは高いにしても、日本の総力を挙げて量産に進み、技術革新を図って「火力発電」よりも「発電コストを安価」にできる様になる。

この段階になれば、日本の沿岸の適地に、膨大な量の『洋上風力発電ファーム』が建設される時代になるであろう。

そして、この洋上風力基地は、次世代の「再生可能エネルギー技術」の発展のベースとして役立つのだ。

 

第一は、ブログに書いた「大型海藻の養殖基地」に発展させることができる。

さらに、現在は研究と実験段階にあるが、海流のエネルギーを利用した『潮力発電』の実用化が実現する時代になる。

これは、「風力発電の海中版」と言えるもので、空気よりも海水の密度は800倍も大きいので、海中のブレードをあまり大型にしなくても発電量は大きい。

しかも、日本の周囲は日本海流(黒潮)、対馬海流、オホーツク海流(親潮)など、潮流のエネルギーに囲まれている。

 

この潮流の適地に、海流発電機を設置するのだが、これを保持する設備として「浮体式風力発電」の設置が進んでいれば、この設備を利用できる。

ひとつの浮体設備で、風力と海流の両方の発電ができるメリットを追求して、世界一の『浮体式海洋発電(風力、海流)基地』の技術を、産業化できる。

「海洋産業立国」を目指す将来ビジョンを早急に策定して、エネルギーの自給率向上を図り、将来は世界各国への輸出や技術供与をできる産業レベルに育成する、夢の構想を描ける様になる。

原子力発電の旧時代技術にしがみついている様な愚策は、早急に転換するのだ。


日本は遅まきながらも官庁は洋上風力発電に注力する。

2013-10-28 | 海洋産業問題

日本のエネルギー戦略の転換において、もっとも重要である技術革新は、風力発電の分野とバイオマスエネルギー利用の領域である。

バイオマス利用は多岐にわたるため、このブログで、課題毎に説明を書き加えて行きますが、一休みして、『洋上風力発電』の最近の動きに着目しよう。

10月27日(朝日新聞、朝刊7面)に伝えられた報道では、経済産業省は「再生可能エネルギーの固定価格買取り制度[FIT]で、新たに洋上風力発電向けの買い取り価格を、来年度にもつくる」とした。

 

沖合の洋上風力発電は、陸上より発電効率はいいが、建設費が高くつくのが難点で、買取り価格を高めにして、民間事業者の参入を促す。

大型の風力発電は、[FIT]では陸上、洋上にかかわらず22円/kWhで買取りされる。

海外での[FIT]では、洋上風力発電は、陸上の1.5~2倍の買い取り価格で、政策的に『洋上風力発電』の促進にシフトしている。

陸上風力発電では、建設に適する地域が限られて上限に達しつつあり、追加の建設認可にも、環境アセスなどの障壁が控えて、頭打ちになる傾向である。

 

経済産業省は、ここにきてやっと、再生可能エネルギー電力の本命は、『洋上風力発電を大幅に増やすしかない』と、気がついた様である。

このブログで、従来から提案してきた方向に転じる様で、対応が遅すぎると言いたいが、まずは、まともな路線に近づいている様である。

それにしても、「マスメディア」の扱いは小さく、エネルギー専門家や経済評論家も何も考えていない様で、声が聞こえてこない。

政権与党の政治家も、野党の動きも【目先のことばかり】に、終始している。

 

ヨーロッパの先進国では、再生可能エネルギー電力の本命は、『洋上風力発電』の技術革新と飛躍的な拡大へと、政策的に集中している。

イギリスは、自国産の北海油田の枯渇の代替に、恵まれた偏西風が利用出来る「着床型の洋上風力発電」の大規模なウインドファームの設置に邁進している。

ドイツでは、2030年には風力発電の比率が全電力の25%に達する計画で、大半が「洋上風力発電」である。

北部から南部の工業地帯への送電線網の増強計画も怠りなく進めている。

「再生可能エネルギー」の将来を否定する「守旧・原子力族」がはびこる日本も、やっと洋上風力発電への路線、「エネルギー維新」に転換出来る様だ。


おコメから燃料を生産するのに日本の稲作文化を無視。

2013-10-27 | バイオ燃料・バイオマス

日本の文化ともいえる稲作は、長い伝統の積み重ねで、「世界一の品質」と環境適合性を実現して、付加価値商品として定着している。

しかし、近年の麦食化の影響を受けて、日本人が食べるおコメの量は、従来の半分程度の減少している。

この傾向に対して、日本の農水省、農協、地方自治体関連の組織は、対応能力を失っていて、高関税率778%を維持して海外からの輸入米の価格攻勢に対応しているが、現状維持が難しい情勢である。

 

[TPP]交渉が本格化して、おコメの関税維持は聖域とされているが、それでも関税率の引き下げを約束させられるだろう。

それに対応するには、稲作の生産性を飛躍的に向上させるしかない。

関税ゼロで海外産と対抗出来るには、生産コストを8分1に下げる目標になる。

こんなことが、出来るとはだれも思っていないので、関税維持を400%程度に死守したとしても、生産コストを4分1に下げる必要がある。

農水省はこの対応策を、できる限り農地の集約と大規模化、機械化を図って、経営は株式会社の参入も認めて、効率化で対応していく方針である。

 

ところが、「おコメ由来のエタノール生産」の目標では、多収量米を活用すれば、将来は20円/㎏でバイオ燃料用のコメが調達できる目論見で始めている。

ここ10年以内で可能な生産コストは、60円/㎏程度がやっとであろう。

それには農地を大規模化して、農業機械は、本来の食糧生産用に導入した設備を、時期をずらして利用するので、設備償却費用がタダという想定である。

こんなムシのいい話ばかりで、計画を作りあげて「実証事業」を始めてしまったのである。

減反対象の遊休耕作地で、生産性を画期的にあげるのは、妄想としか言えない。

 

近い将来に減反耕作地を集約して、大規模化農地が実現出来た場合でも、目標額の20円/㎏に達しない差額は、どこから補助金を投入するかの算段も出来ないママに、国費を投入して「おコメエタノール」の路線に進んでしまったのだ。

案の定、民主党政権の「国費のムダ使い削減公約」に沿って、大幅に予算がカットされてしまった。

さらに将来的に、生産性が向上して事業がうまく進む様になった場合、食料用コメの生産用農地を奪うことにならないか、議論が始まってしまった。

稲作文化は、食料用のおコメを生産することで、基本ができているのに・・!


日本のバイオ燃料の国産化政策の発想がお粗末なのだ。

2013-10-26 | バイオ燃料・バイオマス

アメリカの石油代替燃料の技術開発と事業化促進は、石油の輸入依存度を可能な限り減らしたい「アメリカの優先的な国策」である。

その目的に沿って、ガソリンの代替燃料として「トウモロコシ・エタノール」にマトを絞って、優遇策を講じるとともに、「再生可能燃料使用義務基準」を制定して、燃料業界に「最低使用量」を毎年義務付けてきた。

2012年までの目標として75億ガロン(約2800万kL)を義務付けていて、それ以上の使用量を「トウモロコシ・エタノール」で、すでに達成している。

 

技術開発と事業拡大の目的を達成したので、2015年には「トウモロコシ由来のエタノール」の生産への優遇策は廃止して、今後は第2世代のバイオ燃料として「セルロースベースのバイオ燃料」を、優遇の対象に力を入れる。

アメリカでの「第2世代バイオ燃料」の事業化の見通しは、2012年までは厳しい状況であった。

全米科学アカデミーは商業化の可能性を疑問視していた。

相次ぐ失敗のあと、最初の「セルローズエタノール工場」が、2013年7月に稼働を開始してからは、見通しが一気に明るくなった。

 

日本では、第一世代の「おコメ由来のエタノール」でさえ、迷走中であるのに、アメリカは、特産品の「トウモロコシ由来」は目標達成により、すでに第2世代の事業化の成功にも目途がついたのだ。

日本のマスメディアは不勉強極まりないので、国の存立の基本となる革新の課題に、何の関心も示さずに「対岸の成功事例」すら、無視する有様である。

2007年から始めた「おコメ由来のエタノール」の事業化構想が7年も経過しているのに、いまだに、実証事業段階で迷走している状況に留まっているのは、『バイオ燃料』の国産化に取り組む国全体の意識が欠けているのである。

 

アメリカが特産のトウモロコシを第一番に優先した理由は、すでに書いた。

ブラジルが40年も前から、特産のサトウキビ由来のエタノールを国策として推進した理由は、誰でも知っている。

だからと言って、日本が特産のおコメを原料として『バイオ燃料』の原料に選んだのは、そもそもの選定基準が明確でないのに、単純に減反政策の弊害である「遊休耕作地」の利用に、目をつけただけの発想に問題がある。

なぜ遊休耕作地になるのか、それは、生産性が悪い農地であるから、おコメを作るにしても割高の生産コストになるから、遊休化を選んでいるのだ。(続)


バイオ燃料の原料をどうするか育成策が定まらない政府。

2013-10-25 | バイオ燃料・バイオマス

日本の耕作放棄地を活用する意味で、お米の多収量米を栽培して「バイオ燃料」を製造する目論見は、2008年度から実施されているが、政策を担当している官庁の腰がふらついて、順調に推移したとは言えない。

多収量米をとにかく低価格で量産して、日本のガソリン消費量の年間6000万kL.の少しでも代替出来るならば、実用化を進めるべきであるのに、推進の体制がバラバラであることが問題で、迷走気味の状態である。

そのいきさつを少し書いて、読者にも認識を持ってもらうことが必要である。

 

「バイオマス・ニッポン総合戦略」では、ガソリン使用量の10%に当たる600万kL.を国産のバイオエタノールで賄う目標になっている。

日本の休耕田は約28万ha.に達しているが、ここで多収量米を栽培して、お米からの燃料製造に回せば、最大390万kLのエタノール製造が可能になる。

さらに、次世代の技術開発のテーマとして、稲ワラから「バイオ燃料」を製造する技術が期待されている。

これは、植物の繊維質である「セルロース」を、各工程の変換を経て「バイオ燃料」を製造する新技術である。

これによって、220万kLの生産が可能で、目標に達するという構想である。

 

ところが、まず、多収量米の生産を担う農家の育成策が全く出来ていなかった。

新潟県新潟市のJA全農が農水省の支援で、実証事業に取り組んできたが、バイオ燃料の製造実績は、目標1000kLに対して700kLの段階に留まっている。

その原因としては、多収量米の生産コストが、目標価格の3倍以上になってしまうので、参加する農家が躊躇して、多収量米の生産増が進まないのだ。

多収量米の買取り価格と生産コスの差額は補助しないと、栽培農家は増えない。

この差額補てんの政策をめぐって、政府のやり方が迷走ばかりをしていた。

 

2011年度に実証事業は終わる予定であったが5年間延長されて、2012年度から2016年度まで継続することになっているが、先行きの見通しは暗い。

その上、『次世代バイオ燃料』として期待される「セルロースからのバイオ燃料製造」は、日本国内での原料と製造技術は、実験室レベルですら成果が出ていないで、混沌とした状態である。

アメリカ政府は、トウモロコシエタノールの製造と普及事業は目標数値に達して、補助対象ではなくなり、次世代の「セルロースバイオ燃料」の開発競争の時代に突入していると言われる。(続)


バイオ燃料の開発目標に及び腰過ぎる政府と民間企業。

2013-10-24 | バイオ燃料・バイオマス

日本の政府が「バイオ燃料の国産化」に対して、何も取組をしてこなかったと言えば、それは言い過ぎである。

遅ればせながらも、2002年には、「バイオマス・ニッポン総合戦略」を決定して、バイオ燃料の国産化に向けての取組を開始したのが事実である。

しかし、2010年に向けての「バイオ燃料」の普及目標を50万kLと、達成計画を決定したのは、2005年になってからであり、目標数量も「アメリカや欧州」の先進国に比べて、大幅に少ない目標で、しかも決定までの時間が長すぎる。

 

同じ時期のアメリカのバイオ燃料の普及量は、バイオエタノールとバイオディーゼルを合わせて2004年末には3億kLの実績であり、2010年には10億kLのレベルに達している。

日本の目標数量は、アメリカの2000分の1という、ささやかな量であったが、それすらも実績では達していない。

2006年の第一次安倍内閣では、関係6省庁が国産材料による「バイオ燃料の拡大」を決定しているが、2011年に50万kL、2030年頃には600万kLにするとの目標で、アメリカ、欧州、ブラジルなどの「バイオ燃料先進国」に比較して、憐れむべき認識レベルに留まっている。

 

なぜそんなに取組が遅れているのか原因を分析してみると、エネルギー専門家の間でも、バイオ燃料に関しての研究も情報分析も不足している。

それによって、中央官僚の頭の中にも「バイオ燃料」には取り組まない方が得策との逃げの姿勢がはびこる。

そして、政権与党の政治家達も、利権拡大の機会が全くない「脱石油・代替燃料」の課題には関心も持たずに、「石油中毒」の世の中の流れに安閑としている。

 

ホンの一部の学者や起業家が、日本のバイオ燃料の将来は「お米から作るエタノール燃料が良い」と言い出した。

日本ではお米を作らない「減反政策による遊休地」が増加していたので、2007年頃から東大を中心としてグループが【米コメプロジェクト】が活動を始めて、国の予算をバックに、試験的な実施と検討・評価を開始している。

お米からアルコールを作る技術は、日本の長い伝統のお酒作りの下地があるから、これを利用しようという発想である。

お米の栽培は、多収量米という「食用出ない品種」を大量生産によりコストダウンを図る計画で、格安で国内生産ができる様にする目論見であった。(続)


石油輸入依存度を縮小して行く方向には歴代政権は無策。

2013-10-23 | バイオ燃料・バイオマス

日本のエネルギー政策の転換の方向は、『脱原子力依存』と、「石油輸入依存度の大幅削減」である、と説明したが、その具体的な代替策は理解してもらえたと思います。

自動車の用の燃料も半分程度の削減される方向で、しかも、その3割程度は電力による自動車への供給に切り替わっていく。

その主力手段は、[PHV](プラグインハイブリッド車)に切り替わることと、短距離利用の電気自動車の普及で、充電設備の充実が必須である。

 

ところが、乗用車のガソリン、トラックの軽油、船舶の重油、航空機のケロシンなど、石油系の消費は2030年以降も、輸入依存の石油に頼ることになってしまう。

これに対して石油系の企業は、全くと言ってよいほどの「将来への展望」を持っていない。

アメリカや欧州各国が石油代替燃料への、確固たる将来展望の基づく代替燃料の研究開発に余念がないのに比べると、無策とシカ言い様がない現状である。

 

歴代の自民党政権は、石油の代替燃料の開発に対して、将来への展望を検討してこなかった。

ブラジルのサトウキビからのエタノールの成功や、アメリカのトウモロコシエタノールの国策推進に対して、ただ、様子見の傍観者であった。

政権交代した民主党でも、官僚任せの「成行き日和見」に終始して、原発事故対応に追われるだけであった。

再登板した第2次阿部内閣でも、自民党の旧時代からの進展は一切なく、電力の将来展望も決断できない、エネルギー無知の状態である。

 

このブログで書いてきた様に、採るべき方向は、『海洋を活用したバイオ燃料』の国産化であり、直近の課題としては、大型海藻からの油脂分を抽出して軽油の代替燃料を製造することである。

それにも拘らず、2010年頃までの政策には、おざなりの研究助成金をつけて、取り組んでいるポーズだけをとっていた。

2011年3・11以降は、原発事故対応と電力の供給力不安の対策に追われて、輸送用の石油燃料の将来への研究は、方向性が定まらないママになった。

事業仕分けの短期的な観点だけで研究打ち切りや、大幅に削減することばかりに注力して、再生可能エネルギーへの取り組みは電力だけとなっている。


成長戦略は意気込みでは動けない。明確な政策目標を。

2013-10-22 | 快適エネルギー社会問題

安倍政権の方針は、経済のデフレ脱却と成長戦略を打ち出しているだけで、将来の日本のあり方に対する「大きな国創りの目標」が欠けている。

第3の矢、第4の矢と口先では声高に言うが、その目指すべきマト(目標)を示せないので、民間企業の活力は海外市場にばかり目が向いてしまう。

エネルギーの自給率を格段に向上し、安定した供給力をベースにして「環境産業立国」を目指すと明確に言明すれば、関連した産業への民間投資は拡大に転じるのは間違いない。

 

先のブログで書いた様に、「風力発電産業」と「水素エネルギー産業」を、国策に格上げして将来への普及拡大目標を掲げれば、確実に前向きに進みだす。

電力事業の大転換が、多くの産業分野に好影響を及ぼすだろう。

自動車産業を例にあげれば、今や世界の最先端を行く「省エネルギー環境先進車」の普及拡大が産業界の活性化を牽引するであろう。

特に、日本で産まれて発展している[PHV](プラグインハイブリッド車)は、革命的な省エネルギー性能で、21世紀の自動車の進化の象徴になる。

 

トヨタ自動車の最新の[PHV]プリウスは、電力48%、ガソリン52%の走行割合での公定燃費では、61km/リットル.の優れた燃費性能を達成した。

従来の平均では12~15km/リットル.であるから、4~5倍優れた性能だ。

この技術をベースとした乗用車が普及拡大して、自動車保有台数の大部分が置き換われば、自動車用に消費されるガソリンは、現在の半分以下に収まる。

トラックでも同様の技術革新により、軽油消費量の大幅削減ができる筈である。

もちろん、その対応策として、自動車への充電用電力は増加するが、風力発電や水素発電の電力設備を増強すれば、確実に供給体制が整う。

 

半分以下に減ったガソリンや軽油の消費量に対しては、このブログで説明してきた様に、『バイオ燃料』の製造を国内産の原料から製造出来る体制にする。

この技術を実用化した上で、普及拡大を国策として推進すれば、石油の輸入依存度は飛躍的に減少するだろう。

この国内産業の拡大においては、多くの雇用機会を生み出し、バイオ燃料の原料産地となる地域社会では、経済的な活性化によって生活の基盤が整う。

この様にエネルギー政策の将来目標を、明確にして国策での推進を実行すれば、民間企業も地域社会も勢い付くのは間違いない。

その目標も掲げずに口先だけの成長戦略では、民間も地域社会も動けないのだ。


エネルギー政策の転換に決断しない石頭政治家を外せ。

2013-10-21 | 快適エネルギー社会問題

日本のエネルギー政策の転換において、未だに原子力に依存せざるを得ないと主張する勢力は、「再生可能エネルギー」の導入量は、それほど多くは見込めないと主張している。

確かに「太陽光発電」ばかりに注力している様では、発電量の限界はすぐに見えて来て、頭打ちになりかねない。

ところが、風力発電に目を向ければ、今までは陸上での建設ばかりで適地を探してきたが、すでに限界が見え始めている。

 

それは、頭の硬い守旧派の見方であって、『洋上風力発電』の建設技術が実現すれば、日本の沿岸地域での洋上風力適地の潜在導入可能量は、全国で約16億kWのポテンシャルがあると試算されている。

世界では既に540万kWの洋上風力発電が、年率で30%増加となっている。

日本での洋上風力発電は2万5千kWにすぎない現状で、大きく遅れている。

2013年時点での「日本の風力発電」の設置累計能力は約265万kWに達しているが、今後の「主力を洋上風力発電」にして、年率で30%の伸び率で設置して行けば、2020年には1600万kWにまで、増加させることができる。

 

経済産業省の下部組織である[NEDO]の「風力発電ロードマップ」では、2030年までに1300万kWを導入目標としている。

それには、洋上風力発電の建設コストを低減させる必要があるが、量産によるコスト低減効果を狙うならば、建設の目標スピードがナマヌルイ計画である。

世界の平均伸び率が30%であるから、日本が国策として毎年30%増の建設計画を立てれば、2030年までには2億2千万kWの累計設置能力になる。

設備利用率が平均で35%としても、原発の(稼働率70%として)1億1000万kWに相当する電力を生産できる。

 

『洋上風力発電の能力』は、原発(1基100万kWとして)の110基分に相当して、震災前の54基分の2倍にも達する。

原発をゼロとしたうえで、石油火力発電分をすべて代替出来る能力である。

石頭の守旧派は、風力発電は天候任せで変動する電源だから、それほど増やせない、と最後の抵抗を試みるだろう。

それには、原発が不要になった分で「揚水発電」設備を、フルに活用できる。

更に、残った石炭火力発電を、変動する電力の補完設備として維持すれば良い。

問題なのは、風力発電はあてにならないと【思い込みしている石頭】である。


エネルギー政策の転換は逃げ場があるうちは決めない。

2013-10-20 | 快適エネルギー社会問題

安倍政権の政治姿勢は、「アベノミクスの第一の矢」の印象が強く、リスクの多い政策でも果敢に判断して実行する「決められる政治」の様に伝えられる。

しかし、現実に実行している政策は、【アベノミクスの第二の矢】の、公共事業の大判振る舞いであって、その財源も「国債の増発だより」だけである。

安倍のミクスの『第三の矢』の中身は、実効性が乏しい政策ばかりであり、産業界が競って投資を拡大する様な将来展望が、全く見えない目標ばかりだ。

このブログで再三提案している様な、エネルギー政策の転換路線を打ち出す姿勢もなく、従来の延長路線の焼き直しばかりでは、民間企業はついてこない。

 

掛け声だけは勇ましい様だが、実際には何も決断をしない政治判断ばかりだ。

唯一の決断としっても、「福島第一原発の5号機、6号機の廃炉」を、東京電力に要求したくらいである。

福島第一原発の1号機から4号機の事故処理で、5・6号機は早急に廃炉決定すべきなのに、「汚染水処理の不手際」で信用をなくすまで決定を先延ばしした。

ソコに至っても、安倍首相から5号機、6号機の廃炉を要求されなければ、動けないほどに、【東京電力の当事者能力】が喪失している。

 

東電の破綻は明確であるのに、国の税金を東電に貸し続けて倒産をさせずに、借金だけを膨らませて、挙句の果てには、向こう40年に渡って電気料金の上乗せで、東電の電力消費者に負担させる魂胆だ。

それも国民に説明をしないで、【東電だけを悪者】にして政府の責任を逃げながら、「ほとぼりのさめるまでは、何も決めないに限る」、と逃げに終始している。

どうも安倍政権は、逃げ場がなくなるまでは、【決断しない状態にして先送り】しておき、いつの間にか【こうするよりほかに方法がない】という状況に持ち込むのが、政治手法の様である。

 

いままで「利権構造に守られて成長してきた原子力発電産業」は、2011年の3・11以降は、国民の支持を全く失った【黒い利権集団】と見做された。

守旧派の経済人や、それにつながった政治家がいくら画策をしても、「安全性、安定供給性、経済性」のどれをとっても失格の電源エネルギーと確定している。

それから転換出来ないのは、今までの癒着構造が明るみに出ることで「差し迫った状態に追い込まれる」事態になり、逃げ場がなくなるまで続くだろう。

野党各党が、代替エネルギーの方策に対して、不勉強極まりない状態も、この逃げ場を封じられない大きな要因となっている。


エネルギー政策転換にブレーキをかけ続ける安倍政権。

2013-10-19 | 快適エネルギー社会問題

安倍政権は決められる政治を目指すと強調しながら、原発の再稼働については優柔不断の姿勢に終始してきた。

そのために、民間のエネルギー関連企業の取組において、石油の代替エネルギー開発の面で、中途半端な状態に置かれて企業は積極姿勢をとれないでいる。

再生可能エネルギー電力の面で、将来の本流となる『洋上風力発電』への参入に対しても、様子見の姿勢をとり続ける状態にブレーキをかけられている。

 

また『水素エネルギー開発』でも、政府の後押しがないために、思い切った投資計画の決断をすることに、ブレーキがかかってしまっている。

石炭の潜在的な利用可能量に対して、今までの石炭をそのまま燃焼させる火力発電は、先進国の義務である[CO2排出]削減に逆行する方向である。

それにも拘らず、日本の財界の一部では、電力エネルギーの価格面の有利さだけに着目して、日本国内での新規の石炭火力発電所を建設しようとしている。

アメリカでは、オバマ大統領が、[石炭火力発電はCCS(CO2を地下貯留)付き]に制限している姿勢とは、大きく遅れた優柔不断の取り組みである。

 

『洋上風力発電の早急な促進』や、「石炭からの水素分離による火力発電」などの『将来の主力になる電源』への転換には、官僚任せの「ソロソロ歩きの民間支援」ではなく、『政治主導の果敢な転換路線』を採用して、少しでも早い時期に「脱石油依存」に進みだすべきである。

もちろん、その間には「脱原子力路線」の確定をして、これ以上の余計な国費を、原発関連には回さないことは、言うまでもない。

この政府の確固たる姿勢を決定すれば、民間の電力関係事業者はこの潮流に遅れまいとして、『研究投資の積極化と事業拡大への路線』を優先することに決定するであろう。

 

安倍政権が【脱原発を否定】して、将来に原発に比率は下げる方向と言いながらも、再稼働には「原子力規制委員会の審査と、地元の合意が必要」と、他人ごとの様、逃げの姿勢に終始している。

アベノミクスの円安誘導によって「輸入原油価格の高騰」による貿易赤字の増大を招きながら、それに対する対応には、まったく手つかずのあり様である。

『脱石油依存』の方策は、各方面から提案がされているにも拘らず、何も検討しないで放置している。

これでは、水素発電関連の産業が育成出来る筈もなく、成行き任せに終始する。


水素エネルギーの実用化には国際的な協調路線が必須。

2013-10-18 | 快適エネルギー社会問題

日本に大量の水素を『安定的に供給』出来るシステムは出来るのであろうか。

また、その供給先から『石油よりも安価』で提供してもらえる様な取り決めができるのか。

この2点の課題をクリアー出来る見通しが立たないと、安易に『脱石油依存』の目標を設定することが絵空事になってしまう。

このブログでは、石炭輸出国のオーストラリアから、水素を液体状にして輸送する構想は、日豪両国が合意すれば技術的には実現可能な段階だと書いた。

 

オーストラリアのビクトリア州では、褐炭が豊富に埋蔵されているので、これを輸出して外貨を稼ぎたいと考えている。

しかし、褐炭は水分の多い状態で存在しているが、採掘して乾燥させると「自然発火しやすい」ので、輸送には不向きである。

そこで、現地で「水素」と分離し[CO2]を地下に貯留しておき、『水素だけ』を液化して輸出するシステムを、両国の出資で進める構想が成り立つ。

このシステムは、「液体化する設備」と「輸送タンカー」と、陸揚げ港での「液体化した水素を採りだす設備」を建設すれば、実現可能である。

 

この様に先進的な挑戦に向けて、日本での技術開発の支援と、国が保証する資金の仕組みを創り、オーストラリア政府との取り決めをすれば、両国にとってのメリットは十分に得られる方策である。

原子力発電の輸出に日本政府が前面に出て、トップセールスの愚行に深入りする時間があるなら、「水素エネルギー路線」の外交交渉に力を注ぐべきであろう。

褐炭の有効利用だけでなく、ロシアやカナダの豊富な水力発電を利用した『水素エネルギー開発』も、技術的には十分に実現性があるシステムである。

 

ところが、日本政府の原子力産業の擁護派は、まったく実現の見込みのない「核融合炉の研究」や、【使用済み核燃料の再処理利用】にしがみついて、膨大な国費の浪費を続けようとしている。

それを堅持する理屈は、日本のエネルギーの将来を展望すれば、核エネルギーに頼るしか安定的な供給を期待出来ないからだ、という。

1970年代の石油ショック時の国難が頭から離れないのにはあきれるしかない。

ここ20年くらいは、再生可能エネルギーの技術発展を待つ間には、外交による安定供給を目指す『水素エネルギー供給システム』の拡充が適切であろう。

「脱原子力」を唱えるには、実現可能な代替エネルギー策の実行が必須である。


日本の電力エネルギー政策の転換は石油火力からの離脱。

2013-10-17 | 快適エネルギー社会問題

日本の震災後の電力供給は、劇的に変化して、大半が火力発電に依存している。

期待されている「再生可能エネルギー」の割合は、1.1%から増加しているがそれでも2%台であり、政府の促進策が大幅に遅れている為に、欧州各国の様に10%を超えるまでには、かなりの時間が必要であろう。

その間は火力発電、それもLNG火力発電(46%)に依存せざるを得ない状況にあり、LNG(液化天然ガス)の輸入価格を引き下げる努力は欠かせない。

石炭火力発電(27%)への依存もしばらくは継続する必要がある。

 

対策が急務なのは、石油火力発電(16%)への依存を、可能な限り早期に他の電源に更新をしなければならない。

震災前には、石油火力は7.5%であったが、原発事故による再稼働の全国的な拒否によって、老朽化した石油火力発電設備を、急遽、修理しながら全力で稼働することを余儀なくされている。

旧式な石油火力発電は発電効率が低くて、石油の消費量が多い上に、円安と原油高の影響で稼働に必要な燃料費は、LNGの2倍近い費用になる。

 

この燃料費がかかることを理由に挙げて、「原発の再稼働をしないと電気料金を値上げせざるを得ない」と、原子力の信奉者は言い続けている。

「安全神話」と「原発安価神話」をウソのデータで捏造し続けてきた【罪悪感】を全く感じさせない、無責任な言動が復活している。

それはあまりにも行き過ぎだとして、一部の電力関係者と産業界では、石炭火力発電の新設を声高に言い始めた。

気候変動条約の京都議定書を無視した無責任な感覚で、「その場しのぎの対策」に留まっていて、次世代の人に対する責任を全く感じていない。

 

この数日のブログで紹介した、石炭から水素を作り、分離した[CO2]を地下に貯留する技術は、もうすぐ実用化ができる段階である。

石油火力に置き換えができる「水素発電所」は、10万KWの中規模で100億円程度の建設費用で出来る。

これを全国の300カ所に計画的に設置して、3000万KWにすれば、全国の原発をすべて廃炉にしても、電力の供給力は十分に賄えて、石油火力発電所は休止出来る様になる。

2020年を目指して計画的に実施に移せば、『原発ゼロ』と[CO2排出]削減が可能になり、経済への貢献も膨大に広がって行く。

後は決断あるのみだ。