庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

次世代に対する責任を基本に据えてエネルギー政策を。

2009-08-05 | 核エネルギー・原子力問題
長期的な農業政策やエネルギーの確保と再生可能エネルギーへの転換は、国の成り立ちの基本である。
今までの政権党は経済成長という果実を求めることに奔走し、果樹を実らせる樹木を育てることや実りをもたらす土壌作りを軽んじてきた。
戦後の復興期に経済成長の土台を築いた世代が勇退した後には、それを引き継いだ人たちは、その苦労と大事さを知らないで権力の座についている。
この弊害が噴出しているのが、世襲的2世の世代によって引き起こされている社会の混迷の原因である。

この土壌作りにおいて大事なことは、次世代にまで影響する基幹になることを肝に銘じて考えることである。
将来に禍根を残すようなことを避けるべきである。
負の遺産になるものは今のうちに処理しておくのが現世代の責務である。
その重大な要素に、国土と地域社会を守る農業問題がある。
さらに、国の安全を確保する、食糧、エネルギーの自給である。
エネルギーの大部分を外部に頼る日本の立場は、いったん、事があると大きな被害を受ける。
このような外部依存体制を容認してきた世代は、次の世代に大きな負の遺産を残したことになる。

再生可能エネルギーへの転換政策は、国土の中で自給可能なエネルギーを長期的視野で育成するのが基本である。
日本の国土、領海の範囲で、日本国が消費するエネルギーを自給出来るように技術進歩に促進することが、ベースになるべきである。
そんなことは無理だと頭から思い込むのではなく、可能性のある技術をキチンと植えて、育てることで、将来の豊かな果実が得られる。
太陽光、風力、地熱、小規模水力、これらを育てることで半分近いエネルギーは自給できる。

残りはどうするのか?これが今後の研究課題である。
私はバイオマスエネルギーが最有力であると考え、その技術の調査と関発・研究を支援する[NPO]団体に所属して、仲間と協力して進めている。

まだまだ未知の領域は多くてこれだ!と言えるような提言はできないが、実現への可能性はどんどん開けてきている。
次世代に対して『正の遺産』、残してもらって良かったと、次世代の人たちが言ってくれる技術と事業を育成するのが目標である。

その一方、化石燃料依存からの脱却として、原子力エネルギーを利用する方向をかかげている勢力がいる。
これは、1960年ころから日本のエネルギー自給率のあまりの低さに将来を不安視して、当時、アメリカで開発されていた、「原子力発電」技術を導入して行こうという動きから始まった。
確かに、石油の様に不安定な地域からの輸入に頼ることのリスクを軽減してくれる。
しかし、放射性物質を扱うという、新たなリスクを背負い込むことになる。
50年たっても、いまだに安全性のリスクは大きく残っている。
その上、昨今の情勢からは、テロに対する防備のリスクも大きくなっている。

テロ国家といわれる危険性のある国はいまだに絶えず、今後も予断を許さない。
国内での安全性確保もやっとの状態である。
それなのに原子力発電関連の産業は、海外への技術輸出に向けて政府まで巻き込んで売り込みに懸命である。
政府は核兵器の廃止とは建前上は言っているが、原子力発電用の核物質は容易に核兵器に転用できることに目をそむけている。
北朝鮮を非難しながら、他の国の危うい政府にも原子力発電を売り込むことの矛盾について、国民への説明は何もしていない。

原子力発電技術を広めることは、気候変動対策を表向きにして、既得権益を守る原子力族の欺瞞性の現れである。
自分のところの放射性廃棄物の後始末の方策を50年も未解決のままにしておいて、企業利益を優先したいという魂胆である。

大きな〖負の遺産〗を残すことをこれ以上続けるべきでない。

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