アメリカは世界をリードしてきた経済大国だが、1980年代以後の貿易自由化の流れに沿って、各国の市場をこじ開けてきた。
その結果は、アメリカの製造業のアウトソーシングが急速に進んで、アメリカ国内の雇用機会が減少する流れになった。
この時期から、アメリカ経済の根幹を支えていた「中産階級」と、「高収入安定の大企業労働者」は、減少する一方となった。
自国の経済を安定的に発展させるには、豊かな生活を求める「堅実な中産階級が不可欠」であるとされるが、アメリカはこれを無視した。
その代わりに、一部のエリート層が潤う「金融業」や「IT産業」を、盛んに奨励する経済政策を取ったので、全体的な経済は成長したが、新規の雇用は、低賃金のサービス業しか生まれなかった。
これが、アメリカ経済の分断の始まりであったことは、明確である。
今から自国第一優先で、中間層が育成可能か、大きな疑問である。