つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

野菊

2012-11-08 16:08:20 | ジャズ

 秋の野山に咲く野生の菊の総称。野菊と名づられた特定の植物があるのではない。
 野菊といえば一般には淡い紫色の嫁菜の花が野菊と思い込まれているが、紫色の野紺菊、黄色の油菊、粟黄金菊、磯菊、
 白色の竜脳菊、浜菊、小浜菊、野路菊、柚ヶ菊など種類はすこぶる多い。

 とくに栽培されるものではないが、それぞれ可憐な趣を持つ小さな花で秋の山野を彩る。
 江戸時代の歳時記『改正月令博物筌(かいせんがつりょうはくぶつせん)』(1808年)には、
 「嫁菜に似て、茎かたし。また、春は嫁女といふもの、秋花咲くを野菊ともいふ」などと解説されており、嫁菜の花が野菊と
 思われるあいまいさを残したのだろう。

 兵庫県ではこの花を県花にしている。伊藤左千夫の小説『野菊の墓』は野菊の可憐さを象徴している。
 左千夫は「秋草のいづれはあれど露霜に痩せし野菊の花をあはれむ」と野菊の風情を短歌にも詠んでいる。
 西蓮寺には文字碑がある・・・


 今日聴いたジャズ・・・


 RUSSELL MALONE QUARTET・・・「WHOLLY CATS」


 本作は、1963年、ジョージア州のオーバニー生まれジャズ・ギタリスト、ラッセル・マローンのリーダーアルバム。
 同じくリーダー作の”HEART STRINGS”とは趣が違って、豪快でスィンギーな演奏が多い。
 ラッセル・マローン(g)、ラリー・ウィリアムス(p)、ロドニー・ウィテカー(b)、ロヨン・イスラエル(ds)という布陣。
 

1・WHOLLY CATS・・2・I CONCENTRATE ON YOU・・3・CAROUSEL・・4・SWING LOW、SWEET CHARIOT・・5・OFF THE TOP・・
6・FOUR IN ONE・・7・AFTER ALL・・8・CHITLIN BLUES・・9・YESTERDAYS・・・

○チャーリー・クリスチャンがベニー・グッドマン楽団在籍中に書いたオリジナル・ブルース。マローンの豪快なソロは彼の真骨頂を
 伝えるほど素晴らしい・・・1

○お馴染みコール・ポーターによるスタンダード。マローンのスィング感が醸し出された、溌剌としたソロが聴ける・・・2

○ピアニスト、マルグリュー・ミラーのオリジナル。スローテンポでマローンは歌心溢れるアドリヴ・ラインを綴っている、マローンの
 神髄を聴かせてくれるトラック・・・3

○美しいコード・ワークを駆使したギターソロによる演奏。さりげないプレイの中に優れた才能を感じる・・・4

○ジミー・スミスのオリジナル。豪快でスインギーなプレイが聴ける。ピアノ・ソロもご機嫌に歌っている。本作では一番長いトラック
 (10:25)・・・5

○セロニアス・モンクが書いたオリジナル。ギターで弾くにはかなり難しいとされている。ソロを取るマローンとウィルスは各々の個性を
 存分に発揮していて、楽しい曲に仕上がっている・・・6

○ビリー・ストレイホーンがエリントン・オーケストラのために書き下したバラード。スインギーな曲だけではなく、こうしたバラードでも
 歌心にも優れた表現力の持ち主だということが判る・・・7

○本作では唯一、マローンのオリジナル。他の曲と比べると違った趣向の曲。ベースとのデュオによるもの。ベースソロも聴きどころ・・8

○ジェローム・カーン作曲の大スタンダード。マローンのソロで演奏される。メロディをあまり奏でることなく清々しく美しい・・9


 ラッセル・マローン:

 1963年11月8日、ジョージア州オーバニー生まれ。4~5歳のころから教会にあったギターを弾き始め、最初はブルース、R&B、
 カントリー&ウエスタン、ポップスなど手当り次第に弾いていた。ジャズを弾き出したのは10歳のころからで、最初に彼が意識した
 ギタリストがウェス・モンゴメリーとジョージ・ベンソンである。

 その後はジョン・コルトレーン、オスカー・ピーターソン、ジミー・スミスなど、ギタリスト以外のミュージシャンに興味を持って
 影響を受けていく。中学時代はトップ40を演奏するバンドに参加し、一方でジャズの練習を始めてあちこちのジャム・セッションで
 腕を磨いている。16か17のころには、家の近くにあった「ハウス・オヴ・ジャズ」というクラブで演奏を始め、徐々に活動の範囲を
 広げていった。

 高校を卒業し本格的なミュージシャン活動に入ったものの、オーバニーではチャンスもあまりなく、1985年にアトランタへ進出。
 しかしそこでもあまり満足がいく活動はできず、翌年ニューヨークに移ってくる。あちこちのジャズ・セッションに顔を出していた彼を
 認めたのがオルガンのジミー・スミスだった。彼のグループで2年活動し、1990年に再びアトランタに戻った彼に、さらなるチャンス
 が巡ってくる。それがハリー・コニック・ジュニアとの出会いだ。ハリーが地元の「ロキシー」という劇場に出演したときのことである。
 
 彼のバンドでベースを弾いていたベン・ウルフが以前からの知り合いだったことからハリーに紹介されたマローンは、コンサート終了後
 のジャム・セッションで認められてオーケストラのメンバーに抜擢される。以後はCBSと契約を結び、これまでに2枚のアルバムを発表
 している。


  RUSSELL MALONE(g)
  LARRY WILLIS(p)
  RODNEY WHITTAKER(b)
  YORON ISRAEL(ds)


  1995年7月18、19日、ニューヨーク、クリントン・スタジオ”A”にて録音・・・



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