秋の晴天日は空気が乾いていて光の散乱が少なくなる。春先は中国大陸から砂ぼこりが大量に運ばれてくるけれど
大陸が草木に覆われる秋には、視界を遮る砂ぼこりの現象もなくなる。
秋空というと、「天高く馬肥ゆる秋」がよく枕詞につかわれる。天気が良く食欲もわいてきて、からだも大きく成長して丈夫に
なる意味で用いられているけれど、本来の意味は「秋になると騎馬民族が侵入してくるので用心しなさい」と警戒を呼び掛ける
故事なのだそうだ・・・
今日聴いたジャズ・・・
BENNIE WALLACE・・・「THE NEAENESS OF YOU」
本作は1946年、テネシー州チャタヌガー生まれのテナーサックス奏者、ベニー・ウォーレスのバラッド集。
ウォーレスのテナーにピアノ、ベースだけを従えた変則トリオ編成。ドラマーがいない分、テナーサックスのアコースティック
な響きが生かされシンプルなフォーマットをとっている為、彼のメロディックなプレイは一段と際立ち、アドリブ・フレーズの輪郭も
いっそうくっきりと浮かびあがっている。彼を支えるのはケニー・バロン(ピアノ)、エディ・ゴメス(ベース)という超ベテラン
プレイヤー。ケニー・バロンのいぶし銀のような渋いメロディックな持ち味、フレキシブルな適応力が素晴らしいエディ・ゴメスらの
名人芸もたっぷり堪能できる内容になっている。
1・降っても晴れても・・2・柳よ泣いておくれ・・3・CRAZY HE CALLS ME・・4・COCKTAILS FOR TWO・・5・WHY WAS I BORN・
6・THE NEARNESS OF YOU・・7・I’M OLD FASHIONED・・8・I’VE GROWN ACCOUSTOMED TO HER FACE・・
9・SOME OTHER SPRING・・10・’TIS AUTUMN・・・
ウォーレスはセロニアス・モンクの音楽を好んでいて、モンクのスタイルに通じる激しく律動するフレーズを随所で感じ取れる。
また、コールマン・ホーキンス、ベン・ウェヴスター、ソニー・ロリンズ、コルトレーン、アルバート・アイラーに至る、ジャズ・テナー
の伝統を消化したうえに、自身の奔放な個性をプレイに注ぎこんで、70年代のジャズ界に新風を巻き起こしていったといわれている。
87年に「アート・オブ・ザ・サキソフォーン」「ボーダー・タウン」を吹き込んだ後、93年までの数年間は映画音楽の作曲に
没頭していたようで、その結果、「ホワイト・メン・キャント・ジャンプ」などの作品が生まれた。
しかし、やはりジャズ・シーンの第一線での彼の活動を願うファンの声が、大きくそんな時期に応えるようかのように、
「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミー」がリリースされた。
映画音楽を含めたスタジオでの豊かなキャリアを積み重ねたのちに、真剣にスタンダード・ナンバーに向かうようになったのだろう。
どちらかといえばアグレッシブなプレイを繰り広げてみせるという印象が強かったウォーレスだけに、メロディックな資質を生かした
彼のプレイは意外な驚きと共に嬉しくもある・・・