ときどき、ドキドキ。ときどき、ふとどき。

曽田修司の備忘録&日々の発見報告集

不出来なレポートは何故不出来なのか

2005-08-04 23:29:25 | 大学
跡見の「アーツ・マネジメントA」のレポートの採点を終了。
履修登録者131名のうち、レポート提出者は93名にとどまった。未提出者38名。このうち、授業を欠席がちだった学生が11名。この数字は仕方ないが、問題は、あとの未提出者27名である。ほとんどすべての授業に出席しながらレポートを出してこない学生がかなり大勢いる。
これらの学生がレポートを出して来ない理由はよくわからない。すべての試験期間が終わったあとの、さらに土日を挟んだ8月1日(月)にレポートの提出期限を設定したので、他の科目の試験やレポートの山に途中で息切れしてしまったのだろうか。

ちなみに、この科目の昨年度の履修者は36名だったので、今年は一挙に100名近く増えたことになる。跡見のマネジメント学部は、4年前に新設された学部で、「アーツ・マネジメントA」は2年生以上の科目なので、今年で開講3年目である。学生は、1・2年生のうちは外国語やコンピュータ関連の必修科目がたくさんあるので、なかなかそれ以外の科目を受けようと思っても受けられないという事情がある。そのため、昨年度までは私が担当する科目は、たいてい受講者数が少なめにとどまっていたのだが(注)、今年度以降は基本的に今くらいの規模の受講者数を予想しておいた方がよいだろう。

注:やはり開講3年目だった昨年秋学期の「芸術文化とNPO」でも劇的に受講者数が増えた→「この惨状」(2005/02/11)

同じ内容を講義するのでも、受講者の人数が少ないのと多いのとはえらい違いである。基本的に、同じ教え方はできないと思った方がいい。

この「アーツ・マネジメントA」(跡見)と、ほぼ同じ内容の講義を行い、レポートも同じ課題を出した玉川大学芸術学部の「文化政策論」では、履修登録者130名のうち127名がレポートを提出した。

→ 「そうではない可能性」への想像力(2005/07/21)

これと比べると、違いは歴然である。何故だろう。

今回の跡見の「アーツ・マネジメントA」のレポート提出者の成績は、93名中、A評価が28名、B評価が45名、C評価が20名。内容も、あまり上出来とは言えない。

おおざっぱに言えば、C評価のレポートの多くは、書いてある文章のひとつひとつに根拠が示されていない。書き手が「何故、そのことが正しいと言えるのか」という問いを想定していないので、論理性に欠け、感想文とほぼ変わらないのだ。

これに対してA評価のレポートは、何故、その題材を選んだかが読み手(採点者である私)にわかる内容になっている。論述されている文章について、「何故、そう言ってよいのか」という根拠がはっきりと示されているものがA評価になる、と思ってよい。

何を言わんとしているかというと、実際に書き出す前に、何を題材(論述の対象)として選ぶか、また、自分の意見の正しさを示す根拠となる材料が揃っているか、などをよく吟味してから書いてくれるとよいレポートになるはずだ、ということである。

ついでに、私の講義の場合にちょっと使えるヒントめいたことを書いておくと、授業中に配布してある新聞や雑誌などの記事をうまく使って論を組み立てれば、比較的少ない労力で論理的な考察を展開することが十分可能なはずだ。だが、そのことに気がついている学生は多くはない。
このやり方は、やや手抜き気味と言えなくもないので、こちらから強く推奨するつもりもないが、少なくとも私はそういうレポートについて特に減点することはない。論理展開に無理のないレポートを読むのは採点者にとって気持ちのよいことなので、その点が押さえてあればレポートとしては十分なのだ。


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