移日々之事物

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自らの王

2007-04-17 00:13:56 | Weblog
人は自らの王であるという言葉がどこかであったような気がします。

この言葉が元来どういう意味を持って書かれていたかは正直覚えていません。ですが最近ふとこの言葉を思い出したとき、なかなかに面白い言葉であると思いました。

王というのは支配者です。どのような人であろうと自分自身というものを支配しているのだという程度の意味に捉えるのが真っ正直な見方でしょう。こうやって捉えた場合は面白いも何も無い言葉なんですが、王という存在についての思考を一歩踏み込んで考えたとき意味が少し変わるなと思いました。

王というものは支配者だが、果たしてその支配は完全なのだろうか。そんなわけは無く、王の支配が及ばないものというのがあるはずです。

つまり人は自らの王である。自らを支配しているのだ。だが、自らのすべてを支配できないのである。などといったことを考えてなかなかに面白いなと感じたしだいです。

おそらく多くの人が実感したことがあると思うのですが、自分で考えもしないことを口走ってしまったとか、やろうとも思っていなかったことを無意識にやってしまっていたとか。

人は自分自身ですら制御することができない。真っ正直な捉え方とは反対の意味を含んでいる言葉とも見ることができて、たった一言のこの言葉の中にはいろいろ重い意味があるのではないでしょうか。

そして王という存在は裏切られることもある。歴史の中にあるように絶対的な支配者たる王は存在していないのです。それは人は自らを裏切ることもあるということも示しているのではないか。

無論今あげたような負の側面ばかりでなく、被支配者が支配者の思惑すらも超えた偉業を成し遂げることがあるようなこともあるでしょう。人も自身が把握し支配していると思っている自らの能力を上回ることを成し遂げることもあるともいえるでしょう。

人は自らの王である。

この言葉に限ったことではないだろうと思いますが、一言の言葉を踏み込んで考えていくとさまざまな事柄が見えてくることがあると実感した言葉であり、おそらく人は自分で考える以上に己というものを操れていないのだろうと考えさせられた言葉でした。