場所 :北アルプス
時期 :1976年7月
ワンポイント :千葉高山岳部 昭和51年度夏山合宿
コース : 黒部ダム ~ 平の渡し ~ 奧黒部ヒュッテ (テント泊)~ 黒部川東澤 遡行(テント泊)~ 東澤乘越 ~ 鷲羽岳(2924mH) ~ 三俣小屋 ~ 雙六池 (テント泊)~ 大ノマ乘越 ~ 拔戸岳 ~ 笠ヶ岳肩 (テント泊)~ 笠ヶ岳 (2898mH) ~ クリヤ谷 ~ 槍見温泉 ~ 高山市内見物
<參加メンバー(假稱)>
顧問:桜井先生
OB:泉谷さん
3年:森さん(CL)
2年:寺本さん(SL)
1年:市原(渉外)、日下(氣象)、方波見(裝備)、私(食糧)
<1日目>
大町から黒部立山アルペンルート経由で黒部ダムに到着。
想像以上の巨大さに驚く。
快晴。ダムのかなたに赤牛岳が見えている。
その名の通り、牛がのんびりと身体を横たえているやうだ。
本日のサイト予定地は赤牛岳への登山口「読売新道」の起点となる奥黒部ヒュッテ。
明日、我々はそこから黒部東澤へ入る予定である。
ダムの上で、開き直りの県民踊りの後、赤牛岳のおほどかな山容に向かって出発。
朝のさわやかな光の中を、ダム沿いに延々と続く林道を歩く。
林道はいりくんだダムの喫水線沿いに付けられているため、
谷間のバックウォーターをはさんでこれから歩かなくてはならない道のりが見えてゐる。
しかし、なかなか近づいてこない。
さわやかだった日差しも、じきに、強烈に照り付けてくる。
澤登りがメインなので裝備の輕量化を圖つたとはいへ、22キロはあるザックが肩に食込む。
腕がしびれて、手がむくんでくる。
惡夢のやうな林道歩きであつた。
平の渡しにつくころには、日下がバテた。
日下の履いてゐる靴は、IBS石井のオリジナルでカンチといふ靴なのだが、片足だけで2キロ近くあらうかといふ代物。
店員に山靴は多少重い方が振り子のやうにリズムがとれて歩き易いといわれて購入したさうな。
我々はこの靴を「馬鹿ンチ」と呼んだ。
足に重しをつけて歩いてゐるやうなもんだ。
ぽんぽん蒸氣のやうな船に乘つて黒部ダムを渡る。
奧黒部ヒュッテに着いた時には、私もバテてゐた。
<2日目>
テントを撤收して、いよいよ黒部東澤に入る。天候はあいかわらずの快晴で氣持が良い。
足拵へは地下足袋にわらじ。
わらじを澤の水にひたして濡らしてから地下足袋にくくりつける。そうすると強度がまして長持するのだそうだ。
それにしても澤の水の冷たいこと! 上流には雪溪が殘つてゐるらしい。
東澤は廣くて明るい澤で、澤沿ひに快調に登つて行く。
最初の渡渉。
なるべくあさくて流れのゆるいところを選んで渡るのであるが、
さすがに黒部川の支流だけあつて、どこも流れが速く、しかも冷たい。
念のためもつて來た8ミリ40メートルのザイルで確保して、OBの泉谷さんが最初に渡る。
深さは太腿くらいまで。
上流側での水の盛上がりやうをみるとかなり流れは速さうである。
私の番が來た。流れにはられたザイルを掴みながら愼重に渡る。
渡渉のコツは流れに逆はず上流から下流に向つて渡ること。
しかし、流れは想像した以上に速い。
うつかりすると流されてしまひさうだ。
水が冷たいので、足先がしびれてくる。
わらじのフリクションを最大限に活かすように、すり足で川底を一歩一歩たしかめながら渡つてゆく。
渡り終つてほつとする。
次々に渡つてくる仲間たちの顏は緊張でこは張つてゐる。
きつと私もあんな顏をしていたのだらう。
快調に高度をあげてゆく。
右手に水晶岳の雙耳峰が見えてくる。
ちやうど雪溪が始まるあたり、標高2300メートル地點の右岸の小高くなつた平地にサイト。
雪溪を挾んで反對側には水晶岳の雄姿が望まれる、絶好のサイト地である。
夕食はカレーライス。山で喰ふカレーはなんとも旨い。
夜の冷え込みは豫想した以上であつた。雪溪のすぐ隣なので冷藏庫のなかで寢てゐるやうなもんだ。
シュラフをもつて來てゐて良かつた。
CLの森さんと新人の日下は、裝備輕量化のためにシュラフカバーだけだつたので、かなり寒かつたらしい。
時期 :1976年7月
ワンポイント :千葉高山岳部 昭和51年度夏山合宿
コース : 黒部ダム ~ 平の渡し ~ 奧黒部ヒュッテ (テント泊)~ 黒部川東澤 遡行(テント泊)~ 東澤乘越 ~ 鷲羽岳(2924mH) ~ 三俣小屋 ~ 雙六池 (テント泊)~ 大ノマ乘越 ~ 拔戸岳 ~ 笠ヶ岳肩 (テント泊)~ 笠ヶ岳 (2898mH) ~ クリヤ谷 ~ 槍見温泉 ~ 高山市内見物
<參加メンバー(假稱)>
顧問:桜井先生
OB:泉谷さん
3年:森さん(CL)
2年:寺本さん(SL)
1年:市原(渉外)、日下(氣象)、方波見(裝備)、私(食糧)
<1日目>
大町から黒部立山アルペンルート経由で黒部ダムに到着。
想像以上の巨大さに驚く。
快晴。ダムのかなたに赤牛岳が見えている。
その名の通り、牛がのんびりと身体を横たえているやうだ。
本日のサイト予定地は赤牛岳への登山口「読売新道」の起点となる奥黒部ヒュッテ。
明日、我々はそこから黒部東澤へ入る予定である。
ダムの上で、開き直りの県民踊りの後、赤牛岳のおほどかな山容に向かって出発。
朝のさわやかな光の中を、ダム沿いに延々と続く林道を歩く。
林道はいりくんだダムの喫水線沿いに付けられているため、
谷間のバックウォーターをはさんでこれから歩かなくてはならない道のりが見えてゐる。
しかし、なかなか近づいてこない。
さわやかだった日差しも、じきに、強烈に照り付けてくる。
澤登りがメインなので裝備の輕量化を圖つたとはいへ、22キロはあるザックが肩に食込む。
腕がしびれて、手がむくんでくる。
惡夢のやうな林道歩きであつた。
平の渡しにつくころには、日下がバテた。
日下の履いてゐる靴は、IBS石井のオリジナルでカンチといふ靴なのだが、片足だけで2キロ近くあらうかといふ代物。
店員に山靴は多少重い方が振り子のやうにリズムがとれて歩き易いといわれて購入したさうな。
我々はこの靴を「馬鹿ンチ」と呼んだ。
足に重しをつけて歩いてゐるやうなもんだ。
ぽんぽん蒸氣のやうな船に乘つて黒部ダムを渡る。
奧黒部ヒュッテに着いた時には、私もバテてゐた。
<2日目>
テントを撤收して、いよいよ黒部東澤に入る。天候はあいかわらずの快晴で氣持が良い。
足拵へは地下足袋にわらじ。
わらじを澤の水にひたして濡らしてから地下足袋にくくりつける。そうすると強度がまして長持するのだそうだ。
それにしても澤の水の冷たいこと! 上流には雪溪が殘つてゐるらしい。
東澤は廣くて明るい澤で、澤沿ひに快調に登つて行く。
最初の渡渉。
なるべくあさくて流れのゆるいところを選んで渡るのであるが、
さすがに黒部川の支流だけあつて、どこも流れが速く、しかも冷たい。
念のためもつて來た8ミリ40メートルのザイルで確保して、OBの泉谷さんが最初に渡る。
深さは太腿くらいまで。
上流側での水の盛上がりやうをみるとかなり流れは速さうである。
私の番が來た。流れにはられたザイルを掴みながら愼重に渡る。
渡渉のコツは流れに逆はず上流から下流に向つて渡ること。
しかし、流れは想像した以上に速い。
うつかりすると流されてしまひさうだ。
水が冷たいので、足先がしびれてくる。
わらじのフリクションを最大限に活かすように、すり足で川底を一歩一歩たしかめながら渡つてゆく。
渡り終つてほつとする。
次々に渡つてくる仲間たちの顏は緊張でこは張つてゐる。
きつと私もあんな顏をしていたのだらう。
快調に高度をあげてゆく。
右手に水晶岳の雙耳峰が見えてくる。
ちやうど雪溪が始まるあたり、標高2300メートル地點の右岸の小高くなつた平地にサイト。
雪溪を挾んで反對側には水晶岳の雄姿が望まれる、絶好のサイト地である。
夕食はカレーライス。山で喰ふカレーはなんとも旨い。
夜の冷え込みは豫想した以上であつた。雪溪のすぐ隣なので冷藏庫のなかで寢てゐるやうなもんだ。
シュラフをもつて來てゐて良かつた。
CLの森さんと新人の日下は、裝備輕量化のためにシュラフカバーだけだつたので、かなり寒かつたらしい。
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