想ひ出の喫茶店、「穗高」

きのふ仕事で東京に出張した。
同業會社の人事擔當者の情報交換會である。
午後１時半からの開始だが、東京に１２時過ぎに着く「のぞみ」に乘つた。
お茶の水にある喫茶店「穗高」に寄るためである。

２００３年１０月１０日に同じく出張で東京に行つた時に、「穗高」に寄るつもりでお茶の水へ行つた。
「穗高」のあつたビルは解體されて、更地になつてゐた。
たうたう想ひ出の「穗高」は無くなつてしまつた。
さう思つてしよんぼりした。

昨年、そのことをネットで知りあつた人にお話したら、意外なことをお聞きした。
あれ？「穗高」だつたらお茶の水にちやんとありますよ。
なんと！
ビルの建て替へだけで、「穗高」は存續してゐたのだ。
それ以來、機會があつたら、久しぶりに「穗高」でコーヒーを飮みたいと思ひ續けてきた。

１９７９年、浪人してゐた私は、お茶の水にあるＳ高等豫備校に通つてゐた。
それなりに受驗勉強に勵んでゐたので、樂しみといへるものはあまり多くなかつた。
さうしたなかで、この喫茶店「穗高」は樂しい想ひ出の寶庫であつた。

さて、新「穗高」だが、入り口といひ、内裝といひ、昔の面影がそのまま殘されてゐた。
一見するとなにも變はつてゐないと感じるほどだ。
山小屋風の内裝もそのまま。
マスターも不思議と年をとつてゐない。
２６年の歳月が經つてゐるにも拘はらず、あたかも浪人時代の私にタイム・スリップしたかのやうな不思議な感覺であつた。

お土産に、灰皿を買つてきた。
マッチも昔のデザインと新しいデザインのものをそれぞれ頂いてきた。
昔のデザインのものをみた瞬間、
「ああ、これこれ！このデザイン！」
懷かしさがこみ上げてくる。

喫茶「穗高」。
この喫茶店がお茶の水にある限り、私は浪人時代を樂しく思ひ出すことができる。
喫茶「穗高」よ、永遠なれ！

喫茶 穂高 （喫茶店 / 御茶ノ水）
★★★★★ 5.0