三酔人の独り言

ルポライター・星徹のブログです。歴史認識と国内政治に関わる問題を中心に。他のテーマについても。

安倍が辞めて石破でいいのか?

2017-07-10 23:45:20 | 国内政治
 安倍晋三内閣の不人気ぶりは、少し前まで考えられないほど深刻になりつつあるようだ(*反対する側にとっては嬉しいことだが)。このことの表れとして、「安倍辞めろ!」コールが街頭で、ネット上で、噴出している。

 こういった「安倍辞めろ!」コールに一番「ニンマリ」しているのは、次期首相の座を狙う自民党の石破茂衆議院議員ではないだろうか。一応、人前ではあの「怖い目つき」のままだが。

 私も、安倍首相に一刻も早く辞任してほしい一人だが、この「『安倍辞めろ!』コール」単体で考えると、どうも物足りない気がしてならない。「安倍辞めろ!」とセットで「自公政権も終わらせろ!」とぜひ叫んで欲しいものだ。え? お前が言え? そうですね。今度機会があったら、ぜひ叫んでみたいと思う。

 そうは言っても、まず安倍内閣に関して。来月早々には改造人事を発表するのだろうが、そういった目くらましに騙されてはならない(*日本の有権者は、こういったイメージ戦術にコロッと騙されやすい)。

 先週末に行なわれた各種世論調査の結果が次々と発表された。(1)~(4)は、次の質問に対する回答。

【問】安倍晋三内閣を支持するか否か。
*P=ポイント(%の見掛け上の増減を数値化したもの)

(1)NNN(日本テレビ系列) [2017.7/7-9電話調査]
「支持する」  31.9%(前回調査(6/16-18)から7.9P下落)
「支持しない」 49.2%(同7.4P上昇)

(2)朝日新聞社 [2017.7/8-9電話調査(固定&携帯電話)]
「支持する」  33%(前回調査(7/1-2)から5P下落)
「支持しない」 47%(同5P上昇)

(3)読売新聞社 [2017.7/7-9電話調査]
「支持する」  36%(前回調査(6/17-18)から13P下落)
「支持しない」 52%(同11P上昇)

(4)NHK [2017.7/7-9電話調査]
「支持する」  35%(前回調査(6/9-11)から13P下落)
「支持しない」 48%(同12P上昇)

 こう見ていくと、最近の安倍内閣の支持率下落・不支持率上昇は急激であることが分かる。

 そして、上記(4)「NHK」の政党別支持率の推移を見ると、以下のとおり(*一部省略)。
 *(   )内は前回調査からの増減P

「自民」   30.7%(-5.7P)
「民進」  5.8%(-2.1P)
「公明」  4.1%(-0.1P)
「共産」  3.3%(+0.6P)
「支持なし」47.0% (+6.2P)

 確かに自民党の支持率は下落しているが、民進党の支持率も下落している。公明党はほぼ増減なし。共産党は少し増えている。そして注目すべきは、「支持(政党)なし」の大幅増。

 こう見ていくと、安倍内閣が追い詰められて崩壊するのは良いが、その後の展望を考えると、それほど楽観的にはなれない。安倍内閣が瓦解しても、次もまた自民党中心の政権となり、あの怖い目つきの石破茂氏か、第2・第3の自民党議員が首相の座に就くだろう。そして、「新生自民党政権」としてイメージ刷新に必死になるだろう。うまくいくかどうか、分からないが。

 ここまでは、野党や国民がどう足掻いても、どう騒いでも、なるようになるだろう。国会の議員構成がほとんど変わらないのだから。もちろん、世論の動向次第で新内閣の支持率は変動し、そのことで小さな変化はあるだろうが。

 何を言いたいのかと言えば、瓦解させるべき大目標は「安倍内閣」ではなく(*「小目標」ではあっても)、「自民党中心の政権」ではないのか、ということだ。もう少し詳しく言えば、大目標は「憲法破壊を主導する自民党を中心とする政権」であり、「違憲戦争法」 (安保関連法/2015年)の制定によって「憲法・立憲主義の破壊・骨抜き」を強行した政権与党には退陣してもらう必要がある、ということだ。

 次の「自民党中心の政権」になれば、安倍政権より悪くなるのか、良くなるのか、現在のところよく分からない。しかし、基本的には「同じ自民党政治の流れ」にある、ということだ。

「安倍が辞めて石破でいいのか?」「安倍が辞めてまた自民党政権でいいのか?」やはり私は、こういった問題意識を持ち続けるべきだと思う。

 もちろん、「自民党中心の政権」を終わらせるには、次回総選挙(衆院選)で野党が勝利しなければならない。だから、野党の特に民進党にはもっと頑張ってもらわないと困るのだ。しかし同党の支持率はあまり伸びず、先日投開票のあった東京都議会議員選挙では惨敗。安倍政治がこれだけ苦境に立たされているにも拘わらず、民進党は一向に支持率が伸びないのだ。

 私は、民進党(*旧民主党)には以下のような問題点がある(*「あった」)、と考えている。

(A)一般の人々のための政治ではなく、労組のための政治を行なっている(と見られている)。
→1例。大多数の人が反対する原発推進政策に対して明確に反対しない。反対の「骨抜き」。
当ブログ2014.2.8「民主党の支持率はなぜ伸びないのか?」参照

(B)日本社会の現実を無視して「理念」としての欧州社民政策を移植しようとする。
→民主党政権時代に一部導入した「所得制限なしの子ども手当」が好例。貧困・子育て等に本当に困っている人たちが何を求めているかを理解せず、「理念」先行の政治を推し進めた。限られた財源の中で優先順位を考え、現物給付(*サービス提供を含む)が不十分な現実こそ考えるべきだった。結局、国民多数の支持は得られなかった。
当ブログ2013.10.22「『民主党政権 失敗の検証』(中公新書)から学ぶ⑥」参照

 以上(A)(B)の例を挙げたが、民進党には「真の国民政党になってほしい」「現実を見据えた上で政策を提示してほしい」と強く望む。そして、安倍政権の「次に」または「次の次に」再び政治の中心に躍り出てほしい。

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