マーサの昔話

デジカメでの景色や花、動物などの写真
海外体験談、今日の一品、糖分控えめ?なおやつ等‥‥‥

鏡に映った 納戸の扉

2009年07月21日 | Un fenómeno sobrenatural


 マーサの昔話、今宵は25歳の頃、親友と鳥取へ旅した時のミステリーです。
 親友の佐奈枝といつもの様にお茶していて「どこか行きたいなあ。 明日、砂丘を
見に行こうか。」なんて話していて、明朝の土曜から、行き当たりばったりで鳥取へ
行くことになった。

 仲のいい二人の電車での旅、時間はあっという間に過ぎて、昼過ぎに鳥取へ着く。
 青い空の下、砂丘へ行き海岸を歩いたり、らくだに乗ったりして楽しい一日を
過ごす事ができました。 ただ結構、風が吹いていて、気が付けば顔は、砂だらけ
話すたびに口の中も砂だらけで、ジョリジョリしてました。 お化粧していたので
砂がファンディーションにぴったりついて、化粧を落とさない限りは取れません。

 夕方5時近くになっていたので、宿を取りに駅前の宿案内所へ行きました。
 土曜日だったので、ホテル、ビジネスホテル、旅館はもう満室で、民宿しか
ないとの事、海の幸が食べれたらいいかなんて、適当な民宿に決める。 
 場所は、駅から歩いて10分位の所で、古い木造の2階建でした。

 ご主人が出てこられて、客商売に慣れていないのか、たどたどしい話し方での
接客。 薄暗い階段を上がって2階の奥の部屋だった。 他に何室かあるようだが
人の声は聞こえなかった。 食事は、奥さんが運んで来られて、部屋で頂く。
 甘エビを始め、海の幸は充実していた。 二人ビールで乾杯しながら
ボーイフレンドの話をしたり、会社の噂で盛り上がっておりました。 
 午後8時頃、1階の風呂場ヘ、ピチピチした二人の肩を、お互いに流し合いながら
湯船に浸かり、海の歌など歌っておりました。

 いいお湯につかったので、旦那さんにお礼を言いにフロントへ行くが、誰も
いませんでしたが、上の方では、男性のグループも来ていた様で賑やかでした。 
 友人が、他に泊り客がいて良かったねと胸を撫で下ろしておりました。 
 部屋に戻り、又、テレビを見たり雑談していたら、11時になっていましたので
寝ながら話そうということで、寝る準備をはじめました。
 
 先に、佐奈枝が歯を磨きに行ったのですが、1分もしない内に戻ってきました。
 「随分、早いのね。ちゃんと、磨いたの?」
 「・・・」見ると震えているではありませんか。
 「・・・メグ、私と一緒に行ってくれない?」
 「何だ、怖いの?」
 「お願い!」
 「いいのよ。 一緒に行こう。」 薄暗い廊下をぎしぎしと音をたてながら
共同の洗面所に着く。 洗面所の電気を付けると鏡に映った、納戸の扉が見えた。 
 二人で、話しながら歯を磨く。 気のせいかな、先程、納戸の扉を見た時は
ぴっしり閉まっていた。 それが、少しずつではあるが、2cm、3cm、5cmと
開いている。 磨き終えた時には、10cmも開いていた。

 私は、納戸に誰か隠れていて、私達を驚かそうとしていると思った。 二人で
磨き終わり、電気を消し部屋に戻った。 
 佐奈枝は私に「見たでしょう、あの扉。さっき、私が行った時もピッシリ閉まっていたのに、鏡を見るたびに、後ろの納戸の扉が少しずつ開いているのが解ったのよ。」 
 「ええ、確かに、これは気味悪いわ。 もし、この家族に変質者がいたら
襲われるのは嫌だものね。 私、ちょっと聞いてくるわ。」 
 「いや~ん、私も行く~。」

 そんな訳で1階のフロントに再び行き、旦那さんを呼ぶ。 奥の方から出てこられ
今、起こった事を話すと、「あ~その事ね・・・家の子供だわ。 お客さんが来ると
嬉しくなって、いつもああやって隙間から覗いているんですよ。」
 「ええ、こんな遅くに納戸へ入っているんですか?」
 「恥ずかしがり屋でね、顔を見られるのが嫌なんで、いつもあそこが家の子の
遊び場なんですわ。」
 「そうなんですか。 じゃ、中は物置じゃなくて広いんですか?」
 「客用布団を少し置いてあるだけですわ。 だから、たまに遊び疲れて
そのまま、納戸で寝てしまうこともあります。」

 私達はホッとして2階に上がり、そのまま休みました。 何事も無く、明くる日を
迎えられ、二人で洗面所に顔を洗いに行きました。 鏡に映った納戸の扉、ぴっしり
閉まっています。 確認しながら歯を磨く。 気がつくと5cm、8cm、10cmまで開いて
いました。佐奈枝と私は、果敢にも納戸の扉まで行き「お早う!」と扉を開けたのです。

 中は、布団、瀬戸物、たらいとかでびっしり物が入っていて、人の入る隙間も
ない位、一杯でした。 二人でそのまま、部屋まで戻り、さっさと荷造りを済まし
民宿を後にしました。 しばらく、二人は無言でしたが、佐奈枝が
 「やはり、民宿は駄目よ。 私、こんな怖い思い二度としたくないわ。」
 「じゃあ今度、串本のホテルへ行こうか?」 
 「そこは、賑やかなの?」
 「もう、うるさいくらい。」
 「じゃ、そこにしよう。」随分、意地悪な私。。。

 結局、訳が解らず仕舞いでしたが、これは、本音で私も怖かった。 
 あれ以上、連泊しなくて、良かったと思います。 
 する気もなかったですけれど、もし、連泊していたら・・・
 想像すると、又、般若心経を唱えたくなりますね。 














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